今月も漫画読んでますかー!マンガタリ編集長の堤です。
今回は
「2019年2月にマンガタリのライターが読んだおすすめ漫画」
を紹介します!
ぜひ、次に読む漫画の参考にしてください!
目次
1、『ペリリュー 楽園のゲルニカ』 / 戦争というこの世の地獄絵図を三等身のかわいらしい絵柄で綴ったリアル系戦争漫画
作者 | 武田一義 |
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出版社 | 白泉社 |
掲載誌 | ヤングアニマル |
掲載期間 | 2016年2月15日~ |
巻数 | 既刊6巻 |
『ペリリュー 楽園のゲルニカ』は史実である「ペリリュー島の戦い」を下敷きにして描かれたマンガです。
太平洋戦争中の1944年(昭和19年)、パラオ諸島の「ペリリュー」という島で日本軍守備隊とアメリカ軍の陸上戦がありました。ペリリューには当時、東洋一と呼ばれた飛行場があり、この奪い合いの戦闘です。
その戦いに日本軍の兵隊として徴収された一人が、マンガ家志望の青年「田丸」です。
まだ戦闘が開始されていないペリリューで、田丸はゲリラ戦用の洞窟を掘ったり物資を運んだりする地味な労働をしていました。
作業中にマンガのネタを思い描いて張り手を喰らうような日々でしたが、田丸は戦争にいまいち現実感を持たずに暮らしています。
しかし、いつしか戦局は変わり、アメリカ軍の空爆によりペリリュー島は地獄の戦場に変化していきます。
敵味方問わず死んでいく人間、不足する物資。
田丸は飢えと寝る場所のない辛さ、絶え間ない緊張にさらされ続けます。そして極限状態に追い込まれた人の醜悪さやしぶとさを見せつけられます。
普通の青年からは、戦争という「大いなる災い」はどのように見えたのか。
三等身のかわいらしい絵柄でつづられる、この世の地獄絵図です。
2、『NARUTO』 / 受け継がれていく意志を作品の全てから味わえる王道中の王道忍者バトル漫画
作者 | 岸本斉史 |
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出版社 | 集英社 |
掲載誌 | 週刊少年ジャンプ |
掲載期間 | 1999〜2014年 |
巻数 | 全72巻 |
言わずと知れた大ヒット作ですね。
落ちこぼれ忍者の主人公「うずまきナルト」が、仲間でありライバルでもあるエリート忍者「うちはサスケ」と切磋琢磨しながら、里の長である「火影」を目指す王道バトル漫画です。
- 「伝説の三忍」との邂逅。
- ナルトの体内に封じ込められた妖狐・九尾を狙う組織「暁」との死闘。
- 徐々に解き明かされていく忍びの歴史の謎。
などなど
見どころ満載で、全72巻に及ぶ壮大なストーリーが繰り広げられます。
2月はこの記事をきっかけに『NARUTO』を読み返しました。
というのも、、
↓
その憎しみの連鎖によって繰り返される争い
↓
その憎しみの連鎖を断ち切って、争いのない次の世界を目指す。
というテーマ性を両作品に感じたからです!
『NARUTO』を久しぶりに読んだんですけど、、
いやー、やっぱり面白い!!
改めて思ったのは、、
画がうますぎる!
そして、キャラクター1人1人の生き様が本当にカッコいい!ということ。
あとはやっぱり壮大なテーマ・ストーリーですね。
争いのない世界の実現のため何世代にもわたって受け継がれていく意志。
そして「受け継がれていく意志」とは、漫画の物語の話だけではなく、『PLUTO』や『NARUTO』という漫画が、偉大な先人である手塚治虫の意志を受け継いで生まれたことと同じことが言えます。
大切なメッセージをいろんな角度から表現して、物語として楽しませながら教えてくれる漫画の素晴らしさ、偉大さを改めて感じました。
ということで、全72巻…と全部読むのはちょっと大変ですが(でしたが笑)、、漫画の歴史、脈々と受け継がれていく漫画家さんたちの意志を感じながら、読んで(読み返して)みるのはいかがでしょうか。
3、『甘々と稲妻』/ 「誰とご飯を食べる?」を問いかけてくるシンパパと娘が料理で絆を深めるほっこり料理漫画
作者 | 雨隠ギド |
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出版社 | 講談社 |
掲載誌 | good!アフタヌーン |
掲載期間 | 2013年2月~2018年12月 |
巻数 | 全12巻 |
妻をなくしてしまった高校教師の「犬塚公平」が、娘の「つむぎ」を男手一つで育てていく中、料理を通して父と娘が絆を強めながら成長していく作品です。
公平は料理などできませんが、娘のつむぎにはちゃんとした料理を食べさせてあげたいと、勤めている高校に通う女の子「小鳥」のてほどきを受けて愛情を込めた料理を作ります。
料理に関する漫画ですが、公平は料理の初心者であり、ときには幼いつむぎもお手伝いをするのですから、物珍しものや難しい料理はなく、誰にでも身近なメニューなのが良いです。
公平、つむぎ、小鳥、そして他の仲間達とまさに「紡いでいく」、心温かなお料理漫画です。
この作品の料理のテーマは「つむぎ(娘)と一緒に美味しいものを食べる事」ですから、大事なのはいかに相手のことを思い、そして一緒に食べるということ。
コマから、人物の表情や仕草からその愛情が伝わってきます。
準備から「楽しさ」が、食べている姿から「美味しさ」が、読み手にビシバシ伝わってきて、読んでいて楽しいですし、一緒に食べたくなってきます!
なじみ深い料理が多いからイメージもしやすく、「これ食べたい!」と思えるのが魅力です。
2月に発売された12巻で作品も完結しましたが、最終巻では番外編としてつむぎが誕生した時の話や、またつむぎの中学時代の反抗期、大学進学に悩む姿なども描かれて、そこでまたお父さんとの関係が見られるのがとても良かったです!
こんな素敵な父娘、良いなぁと素直に思ってしまいます。
やっぱり料理が美味しいのって、「誰と」一緒に食べるか、なんだなぁと思った作品でした。
4、『私という猫 ~終の道~』/ 「ある野良猫」のリアルを描いた漫画の最終章。目をそらしてはいけない野良猫の残酷な現実とは。
作者 | イシデ電 |
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出版社 | 幻冬舎 |
掲載誌 | (書き下ろし) |
巻数 | 全1巻 |
「私」という野良猫の物語。「私」とは一人称視点であることを表すと同時に、特定の名を持たない野良猫の境遇をも表している。
食べるものを確保し、安眠できる場所を探し、季節が巡って訪れる狂おしいまでの身体の変化のままに異性を求め、懐胎し、子を産み、育てる。子はすべて順調に育つとは限らない。
厳しく、残酷な現実の中で「私」は野良猫としての生を生きてきたが――。
「つらい」。
この漫画の感想を訊かれたらこう答えるしかない。私だけでなく、私の周辺の読んだ人に訊ねてみても、やはり同じ感想を述べた。
『私という猫 ~終の道~』は「私という猫」、「私という猫ー呼び声ー」に続くシリーズ第3巻にして最終巻。「私」の生きざまを描いた物語もこれで完結である。「私」の末路を見届ける義務が、読者にはある。
安心できる場所の確保さえ難しい野良猫の世界は、帰るところがあり、夜は布団で眠る生活をしている人間の想像を絶する厳しさ。その中を生命からがら生きる野良猫たちの生命は哀しく、力強い。
猫好きは必読。かわいい猫は登場しないし、猫が好きであればあるほど、この作品はつらい。しかし、目をそらしてはいけない現実が描かれている。
5、『人形の国』/ 優しい雰囲気で展開するダークSFファンタジー。独自の世界観に浸りながら成長ストーリーも楽しめる!
作者 | 弐瓶勉 |
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出版社 | 講談社 |
掲載誌 | 月刊少年シリウス |
掲載期間 | 2017年4月~ |
巻数 | 既刊4巻 |
極寒の人工天体の地表と地下という、広大な世界を舞台にした、SFファンタジーです。
舞台は直径12万キロメートルあるという巨大な人工天体「アポシズム」。地球とは違いこの地表は極寒で酸素も薄い。このような場所で、人々はそれぞれに集落などを作り、細々と暮らしています。
その中のひとつで暮らしていた青年・エスローは、地表で力を持つリドベア帝国の兵士に、ともに暮らしていた仲間たちを全滅させられてしまいます。
本人も死にかけていたところを、地底からやってきたというタイターニアの力を借りて、「正規人形」という人の姿と戦闘時の姿を持った戦士に生まれ変わります。
正規人形の力を使ってその場を切り抜けたエスローは、タイターニアと共に各地を回りながらリドベア帝国と戦っていく、というストーリーです。
作者は、アフタヌーンで以前も掲載されていた「シドニアの騎士」の弐瓶勉先生!
「シドニアの騎士」が好きだったので、コミックスになっていた「人形の国」を手に取ったのですが、こちらは戦闘モノでとても驚きました!
今回の絵柄は、端的に言うと、白い。
黒のベタ塗りは髪くらいで、線も優しく、トーンの濃淡で表現されていて、白い!
ですので、一見明るく優しい雰囲気に見えるのですが、内容はSFダークファンタジーです。
私は、エスローが戦うことになるシーンや他の登場人物の状況の重さと、白く明るい絵柄のギャップが、特に面白いと思いました。
そしてこの作品の魅力は、その世界感と、主人公が戦いながら歩いていくストーリーです!
例えば、主人公のエスローが戦闘時はまるで変身したヒーローのような姿で戦い、逆に負傷すると骸骨かゾンビのような姿になってしまうなど、戦闘シーンでも弐瓶先生のSFらしい演出がされています。
そしてストーリーが進むにつれ、エスローには戦いを通して仲間が増え、彼が少しずつ孤独ではなくなる姿も見どころだと思います。
SF世界にどっぷり浸かりながら、主人公たちの成長を楽しんで、読み進めて(読み込んで)ほしい作品です。
まとめ
今回はマンガタリライターが2019年2月に読んだ漫画をご紹介させて頂きました!
『ペリリュー 楽園のゲルニカ』と『私という猫 ~終の道~』は、リアル系の漫画なのでウッときそうですね。読むのに覚悟が要りそう、、、
骨太系の漫画を欲してる方は是非、手にとって感想を教えてください。
個人的には『甘々と稲妻』が別の意味でウッときそうです。
編集長である私、堤は2児のパパなので、奥さんが亡くなった親子の話は、ちょっと危険ですね、、、
まだ読んでないですが、神門さんの紹介を読んで想像しただけで泣きそうになりました(笑)
ここは読んで間違いない『NARUTO』に手を出しますかね!
さてさて、気になる漫画はありましたでしょうか?
もし、こちらの記事を読んで新たな漫画の出会いを作ることができれば幸いです。よかったら漫画の感想もコメントに書き込んでみてくださいね。
来月のおすすめ漫画もお楽しみにっっっ!
マンガタリ編集長 堤
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yahooニュースの特集で取り上げられていた本作。興味を持ったのはその絵のかわいさからでした。このかわいさは、本当なら日常系などのほんわかマンガで出されるタイプのものです。
「これなら戦争漫画のグロさも和らげてくれるだろう」と思って読んでみたのでした(ライターは痛そうな絵が苦手なのです)。
・・・が、ある意味全く逆で、かわいさがゆえに地獄のような状況が胸にザクザク刺さります。
確かに直接的なグロ描写についてはいくぶんか見づらさが和らぎます。しかし、かわいいキャラたちが殺し合い、奪い合い、精神に異常をきたす「内面のおぞましさ」はむしろ際立って感じます。
しかしかわいさとグロのギャップを狙っている作品でもありません。かわいらしいキャラたちは簡単に死にますが、ドラマティックに死ぬキャラはわずかです。
たいていは「石につまづいて頭を打って死ぬ」とか「一斉射撃の大ゴマ1コマ内で声もなく死ぬ」などです。ストーリーを盛り上げてから落とすようなあざとさはなく、淡々とした日常として処理されます。
ある意味、日常系と言ってしまってもいいのかもしれません。戦争という日常を生きる青年の毎日マンガというジャンル。
「戦争マンガ」をリアルに感じたい方はぜひどうぞ。リアルな絵ではないのに、リアル以上に迫ってくるものがあるマンガです。
個人的には、田丸が食べている量がかわいそうで仕方ありません。
ライターの甥っ子は20歳で、グラタン2皿とか平気で食べます。
しかし、同年代の田丸の食事は飯ごうのふたに五分の一くらいの白米です(食料があるとき。ないときは絶食)。いくら栄養状況が現代と違うとはいえ、これが日常ならそりゃ頭もおかしくなるだろうとぞっとします。