みなさんこんにちは、マンガフルライターの神門です。
2024年、好評のうちにアニメ放映(2クールを)を終えた『葬送のフリーレン』
独自の世界を構築したファンタジー作品ですので、当然ながら作品の中では独自の世界や歴史を構築しています。
作中でも過去に何が起きた、誰が何をした、ということが描かれたり説明されたりしていますが、過去のことは時系列で説明されていないため、実際にどういう流れなのか頭の中で整理しようとするのはなかなか難しいものです。
ということで今回は、『葬送のフリーレン』で発生した事柄を纏めて年表を作成しました(※本記事作成時点で発売されているコミックス13巻までです)
何が起きたかをまとめるのに加え、それらの情報から分かることや推察されること、またフリーレンが報酬として得た魔法なんかも纏めてみましたので、楽しんでみてください!
目次
1、『葬送のフリーレン』ってどんな漫画?
著者 | 原作:山田鐘人、作画:アベツカサ |
出版社 | 小学館 |
掲載雑誌 | 週刊少年サンデー |
掲載期間 | 2020年~ |
単行本巻数 | 既刊13巻(2024年5月時点) |
ジャンル | ファンタジー |
『葬送のフリーレン』は原作:山田鐘人先生、作画:アベツカサ先生のタッグで週刊少年サンデーに連載されているファンタジー漫画です。
主人公のフリーレンは、かつて勇者ヒンメルとともにパーティを組んで魔王を倒したエルフの魔法使いです。
魔王を倒しても人生は終わるわけではなく、むしろその後の人生の方が長いです。長寿種族であるエルフのフリーレンであればそれは猶更のこと。
本作は勇者たちが魔王を倒すまでの物語ではなく、「魔王を倒した勇者パーティの魔法使いが辿るその後」を描いています。
マンガ大賞2021の大賞を受賞し、2023年10月~2024年3月まで2クール連続でアニメ放映もされ人気を博しています。
2、『葬送のフリーレン』の年表を四つの時代に分類
『葬送のフリーレン』では千年以上前のことも描かれていたりして、時間の幅が非常に広くもあります。
それを並べる前に、まずはその長い歴史をその期間の特色に応じ以下の通り大きく五つの時代に分類しました。
- 神話の時代
- 人類発展の時代
- 人類対魔王の時代
- 勇者ヒンメルの時代
- 勇者ヒンメル後の時代
【神話の時代】
これは、フェルン達が生きている世界から遥か昔の時代となります。
神話の時代を生きて今もなお現存するのはゼーリエくらいかと思われます。
いつから始まり、いつをもって終わりとするのかも明確ではありませんが、女神様が天地創造したり、賢者エーヴィヒが活躍をしていたということは分かっています。
【人類発展の時代】
【神話の時代】のあと、おそらく人類(エルフやドワーフといった人型種族も含む)が徐々に文明を発展させていったのだと思います。
ここも時期的に明確ではありませんが、この間に女神様によって地上に聖典が授けられて女神様を信仰する僧侶が誕生し、聖典による僧侶の魔法が生まれたことになります。
エルフの武道僧クラフトもおそらくこの時期に活躍をしたものと思われます。
人類の前に魔族が現れるまでを、この時代と定義したいと思います。
【人類対魔王の時代】
魔族が人類の歴史に登場し、人類と千年以上にわたって戦争を行ってきました。
その魔族の頂点として君臨していたのが魔王です。
「葬送のフリーレン」 12巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
魔族が登場してから、勇者ヒンメルが誕生するまでを【人類対魔王の時代】とします。
※実際には、女神が地上に聖典を授けてから魔族が登場するまである程度の期間があると思われますが、その辺は明確にされていないため今回のような定義とします。
大魔法使いフランメが生まれ、やがてフリーレンを弟子とするのもこの時代となります。
【勇者ヒンメルの時代】
【人類対魔王の時代】に転機が訪れたのは、当然ながら勇者ヒンメルが魔王を討伐した時です。
そのため、勇者ヒンメルが誕生し、そして死去するまでを【勇者ヒンメルの時代】とします。
年数的には約八十年と短いですが、人類にとっては非常に大きな意義をもつ時代だったと考えます。
【勇者ヒンメル後の時代】
勇者ヒンメルが死去し、作品内でまさにフリーレンやフェルン、シュタルク達が冒険している時代を【勇者ヒンメル後の時代】とします。
もっと良いネーミングを考えたかったのですが、魔族もまだ残存していて完全に平和になったわけでもありませんし、どのような時代なのかはまだこれから分かることでもあり、仮ではありますが分かりやすい形ということでこのように定義しました。
次の第三章では、それぞれの時代のいつ頃にどのようなことが発生したのかを更に詳細にまとめていきます。
但し、【神話の時代】や【人類発展の時代】は、具体的にいつ頃に何が発生したかは多く語られていないこともあり、
- 【人類対魔王の時代】
- 【勇者ヒンメルの時代】
- 【勇者ヒンメル後の時代】
の3つの時代を主として取りまとめます。
逆に【神話の時代】、【人類発展の時代】】に関しては情報があまりないため、ちょっとした考察をいれております。
3、『葬送のフリーレン』の年表まとめ。5つの時代に分けて綴る
それではここより『葬送のフリーレン』の年表をご紹介します。
まず年表を作成する上での大前提として、基準となる年を定めたいと思います。
作品内で出てくる表現が、「勇者ヒンメルの死後〇〇年後」というものになりますので、ここはやはり勇者ヒンメルの没年を基準の0年とし、
- B.H.(Before Himmel)
- A.H.(After Himmel)
としたいと思います。即ち、「勇者ヒンメルの死後26年後」=A.H.26となります。
「葬送のフリーレン」 1巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
西暦の場合、紀元後はラテン語でA.D.(Annno Domini)となりますが、ここは分かりやすいことを優先にA.H.でいきたいと思います。
3-1 【神話の時代】:神話の時代とは具体的にいつ頃なのか?
女神の恩恵
【神話の時代】についてはよくわかっていませんし、具体的にいつ頃が【神話の時代】なのかも明確にはされていません。
分かっているのはB.H.1500~1600の頃に女神によって地上に聖典がもたらされたとあり、そしてその聖典に神話の時代の物語が描かれているということです。
「葬送のフリーレン」 12巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
ということは、人類に聖典が授けられたB.H.1500頃は神話の時代ではないということです。
神話の時代に女神が天地創造したり、十の石碑を残したりといったこともしていますが、それが実際にいつ頃なのかは明らかにされていません。
神話時代から今もなお生きているのはゼーリエなどごく一部であり、またこの時代、人類の世界にはまだ魔族は登場していませんでした。
神話の時代とはどれくらい昔のことなのか?
さて、では具体的に記載されてはいませんが、【神話の時代】が果たしていつ頃のことだったのかを想像してみます。
まず、聖典が授与されたという千五百年前頃はどの程度昔のことなのかを考えてみます。
現代の世界において千五百年前といえば西暦500年代の6世紀、日本であれば古墳時代に相当し、百済より仏教が伝来した時期となります。
世界に目を向ければ、中国なら南北朝時代からやがて隋になる時期、ヨーロッパであれば西ローマ帝国の衰退から始まる中世の時代に入る時期です。
今の世界と比べてみても、さすがに千五百年前が【神話の時代】というには、現在に近すぎます(もともと、この時代は【神話の時代】ではないと言っていますが、改めて)
例えば「日本書紀」においては神武天皇までの時代を「神代紀」として神話の時代と定めています。神武天皇が即位したとされるのは紀元前660年で、今から考えると二千七百年ほど前となります。
世界に目を向ければ、ギリシャ神話やインド神話などは紀元前15世紀頃に編纂されており、神話の時代はそれよりも更なる昔となります。
その辺を踏まえてみても、やはり千五百年前では近いというのが分かります。
他に作品内から分かっていることとしては、フランメが存命だった千年ほど前の時代において既に統一帝国という大きな国家があり、その中で宮廷魔法使いを教育していますが、フランメのいた施設の造りや魔導書や家具を見てもその時点でかなり発展した文明があると思われました。
「葬送のフリーレン」 13巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
そう考えると女神より聖典が授けられた千五百年前(フランメの時代より五百年前)でもそれなりの文明はあったと考えられ、神話の時代は聖典が授けられた時より短く見積もっても更に数千年は昔のことなのかなと思います。
ちなみにその一方で、そこからさらに千年が経過したのに文明があまり発展していないように見えるのは、科学ではなく魔法が発展した文明世界だから、でしょうね。
また一つのヒントとして千年前、ゼーリエがフリーレンに向けて「人間が凡そ文明と呼べるものを築いてから長い年月が経った」と言っています。
「葬送のフリーレン」 6巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
そして同時に、「たった千年」とも言っています。
「千年」を「たった」と認識するゼーリエが、「長い年月が経った」というのです。
たとえば私達が時間に対して、「たった〇〇年」というしたら、〇〇には何を入れるでしょうか。
同じように社会の変化・変革による新たな時代がやってくると考え、尚且つ自分が生きている前提で考えると、「たった数年」くらいの感覚の気がします。
そこから考える「長い年月」となると数百年~数千年となり、ゼーリエの感覚でいう「長い年月」は数十万年~数百万年になるのではないでしょうか。
となると、【神話の時代】は数百万年前の時代ではないかとも思えます。
神話の時代から生きるゼーリエ(エルフ)の寿命は?
これは前項からの流れでついでに考えてみたものですが。
エルフが長寿の種族というのは共通ですが、実は寿命はその作品設定によって結構な差があります。
例えば「指輪物語」のエルフや、「ロードス島戦記」のディードリットなどはハイ・エルフにあたり不老不死となります。
一方で「ダンジョン飯」ではマルシルによるとエルフの寿命は精々五百歳くらいで平均寿命は四百歳くらいと言っています。
「ダンジョン飯」 6巻 九井諒子/KADOKAWAより引用
では、『葬送のフリーレン』におけるエルフの寿命はどうなのでしょうか。
一つのヒントとして、前項でも記載しました通りゼーリエの発言を見ると以下のようになります。
- 私にとっては無にも等しいような短い人生
- 私たちの時間は永遠に近い
- たった千年
この世界の人間の平均寿命は分かりませんが、ハイターが百歳近くまで生きていますので、仮にフランメも百年近く生きたとした場合、どれくらいの人生なら無に等しいと感じるでしょうか。
仮にエルフの寿命が一万歳としたら百歳は百分の一、私達人間(人生百年)で考えると一年が百分の一にあたりますが、寿命が一年だからといって無に等しいとは感じないと思います。
そして前項でも考えた「たった千年」発言とあわせて考えると、ハイ・エルフと同様に不老不死なのではないかと思います。
神話の時代の伝説級の魔法、「服の汚れをきれいさっぱり落とす」魔法
【神話の時代】といえばもう一つ、一級魔法使いの特権でゼーリエから授与された「服の汚れをきれいさっぱり落とす」魔法です。
「葬送のフリーレン」 7巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
神話の時代に存在したとされる伝説級の魔法といわれていますが、なぜそれほどの魔法なのか?
単純に服に付着した埃などを払い落とすだけであれば簡単そうにも思えますが、この魔法を使うと「フローラルな香りがする」とフリーレンが言っています。
ということ、埃などだけでなく染みなども綺麗にしていると考えられます。
衣類に付着した染みを綺麗にして尚且つフローラルな香りがするということは、単に染み抜きをしたのではなく、染みが付着する前の状態に戻したと考えられます。
それは即ち、可逆的な魔法ということ。
そしてフランメは命が亡くなる少し前と思われる時期に、「不可逆性の原理」を研究していました。
「葬送のフリーレン」 13巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
ということは、少なくともフランメ存命の時点で可逆的な魔法は存在していなかった(作り出せなかった)と考えられます。
だからこそ、フェルンが与えてもらった「服の汚れをきれいさっぱり落とす」魔法は神話時代に存在した伝説級の魔法なのだと思われます。
ちなみに他に伝説級の魔法と言われているのは「カビを消滅させる魔法」や「しつこい油汚れを取る魔法」がありますが、これらも共通していると思いませんか(まあ、単純に油汚れを分離させているのかもしれませんが)
フリーレンがフェルン達と旅をしている最新の時代に可逆の魔法が存在するのかは分かりませんが、実際にそういった魔法は他に描かれていない気がします。
※フリーレンは黄金郷のマハトの「万物を黄金に変える魔法」で黄金にされたものを元に戻しましたが、これは可逆というよりは「黄金にされる呪いを解いた」ということなのかと思われます。
実際にフリーレンもこの魔法は「呪い」と言っていますし、ゼーリエの「呪い返しの魔法」が発動していることからも、「万物を黄金に変える魔法」が呪いに近しいものだと分かります。
「葬送のフリーレン」 9巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
3-2 【人類発展の時代】:人類の危機が訪れるも、英雄たちが世界を救う
【神話の時代】の後は、恐らく人類が発展していく時代を迎えたと思います。これは私達の世界でも同じです。
この期間に何が発生したかは、現在のところ作中では殆ど記載されていません。
明確なのは、B.H.1500頃(~B.H.1600)に、女神様により聖典が人類にもたらされたことくらいです。
「葬送のフリーレン」 12巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
武道僧クラフトが成した偉業はいつ行われ、そしてそれが現在に伝わっていないのは何故か?
この時代について考える際に出てくる登場人物が、エルフの武道僧クラフトです。
彼は僧侶で女神を信仰しており、女神が地上に聖典をもたらしたのがB.H.1500頃のことですから、彼が活躍したのはB.H.1500より後の時代、とは言い切れません。
何しろ彼は長命のエルフですから、もとは女神を信仰していなかったものが、聖典を読んでから女神を信仰するようになって武道僧となった可能性は十分にあります。
それを裏付けるのが、クラフトが成した偉業と正義です。
「葬送のフリーレン」 3巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
北側諸国ローア街道の村にはクラフトの石像があり、それはかつて世界を救った英雄を称えるために作られたものでした。
既に名前も忘れられており、いつの時代のことかも伝わっておらず、更にクラフトは戦士の姿をしていました。
即ち、もとは戦士だったものが、女神の聖典を読んで武道僧となったという流れが自然です。
そしてかつて戦士だった時代に世界を救うも、もはや具体的には誰も覚えていない事実から、相当な昔だったと思われますが、一方で村人が石像を作って引き継がれていることから【神話の時代】ほどの過去ではないと想像します。
「葬送のフリーレン」 4巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
一つ解せないのは、それほどの偉業を成したというのに現在では忘れられてしまっていることです。
魔王の命令によりエルフはほぼ絶滅して生き証人がいなくなり、伝承として残らないのはまだ理解できます。
しかしながら、書物に記録が残されていないことは不思議です。
神話時代に活躍したと思われる賢者エーヴィヒの魔導書や英雄譚は残っているのに、です。
更に言えば、勇者ヒンメルの冒険譚ですら多くが口伝であって書物では殆ど残されておらず、いずれは風化し事実と異なっていくものだとヒンメルもハイターも当然のように考えていました。
「葬送のフリーレン」 13巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
歴史を記録に残すというのは人として当然のことであり、学者・研究者であるならば必ず求めること、実施することだと思うのに、神話時代の記録は残されても人類の歴史は残されていないというのは実に不自然です。
孤児院で育ったヒンメルが手記を残していたり、北の辺境で生まれた幼少期のヴィアベルが普通にヒンメルの冒険譚を読んでいたことから、読み書きは一般的に教育されていたはずです。
「葬送のフリーレン」 7巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
ヒンメルの冒険譚が残っていないのはまだ推測しやすく、それは魔族との戦いにより、優先度が軍事(魔法)>娯楽(小説)であるため魔導書や魔法史の類は多くあるけれど、小説(冒険譚)という文化が育っていないものだと仮説することができます(歴史として、勇者ヒンメルが魔王や七崩賢を倒した大きな事実だけは残るが、その他の道中は伝承の中で変化していく)
クラフトが活躍した時代も同様と考えられなくもありませんが、その場合でも、歴史としても残らない疑問は解消されません(世界を救った英雄であるならなおさら)
もしかしたらその間の歴史にも、まだ語られていない何か大きな歴史的転換点があって失われてしまったのかもしれませんね。
3-3 【人類対魔王の時代】:フリーレンとフランメの出会い、魔族の襲来
B.H.1000以前(細かい時期は不明)に、初めて魔族が人類の歴史に登場します。
その魔族の頂点に君臨するのが魔王です。
魔王は人類との共存を望んで多くの国と民族を滅ぼし、そして人類はそれに対抗します。
こうした人類対魔王・魔族の時代は、勇者ヒンメルが魔王を倒すまでの間、千年以上に渡って続きます。
フリーレンとフランメの出会いと、弟子時代
B.H.1000頃(ヒンメルは76歳で亡くなったので、実際はB.H.1100頃かもしれませんが、このレベルになるとその辺は誤差とします)、フリーレンが暮らしていた集落が玉座のバザルトに襲われ、フリーレンを残して村は壊滅します。
「葬送のフリーレン」 3巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
一人残されたフリーレンを拾って弟子にしたのがフランメです。
ここからフリーレンは魔力を制限していきますから、そりゃアウラを含む魔族達は気が付かないわけです。
フランメは普通の人間ですので、その寿命は百年足らず。
それでも、エルフにとっては僅かにすぎないその人生で、不可逆性の原理を研究し、百以上の理論を見つけ、多くの魔法を生み出す素地を作り出しました。
それこそ、フリーレンが一生をかけても学びきれないほどの魔法を遺してくれました。
「葬送のフリーレン」 13巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
またフランメは、当時大陸を統治していた統一帝国に働きかけて国を挙げた魔法の研究に認可をおろさせました。
これにより魔法の研究が進み、軍事転用が開始されます。更に帝国以外の周辺諸国もその状況を黙ってみているはずもなく、魔法は一気に人類に普及することになります。
その過程で恐らく様々な魔法、それこそフランメが生み出した理論をもとにした、いわゆる「くだらない魔法」も様々に生まれているはずです。
フランメの死後数百年は、まさに「魔法大発展時代」でもあったのではないかと思います。
「葬送のフリーレン」 6巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
ちなみに、フリーレンが初めてゼーリエと会ってから五十年後、フリーレンはフランメの遺書をゼーリエに届け、その遺言状の中に上記のことが書いてありました。
一方でフランメが宮廷魔法使いを育てていたのは、フランメがまだ若い頃です(フランメの容姿から判断)
ゼーリエは、フランメが行っていたことを遺言状で初めて知ったようでした。
ゼーリエはフランメの考えには反対でしたが、現代においてゼーリエは魔法協会を創設して魔法使いの頂点に君臨しました。
この気まぐれも、もしかしたらフランメの行動があってこそのことだったのかもしれません。
歴史に名を残すことのないフリーレンの放浪時代
フリーレンの師匠であるフランメの死後、フリーレンは(おそらく)一人で世界を放浪することになります。
その道中、何をしているかは今のところ詳細には明かされておりません。
ただ一つだけ分かっているのは、B.H.570頃に黄金郷のマハトと戦って敗れ、右腕を黄金にされたということです。
「葬送のフリーレン」 9巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
以降、フリーレンに関しては、ヒンメル関連の事柄まで描かれていません。
実際、フリーレンがヒンメルのパーティに誘われた時も、「もう五百年以上魔族との実戦はやっていない」と言っており、フリーレンとしては大きな出来事もなく生きてきたのだと思われます。
「葬送のフリーレン」 3巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
「五百年以上」というのは、時期的に考えて黄金郷のマハトとの戦いのことだと思われます。
そしてマハトに黄金にされた右腕を治すのに百年かかっており、その間はさすがに魔族と戦っていないと思われますし、治った直後ならまだ五百年にギリギリ時期があいますが「五百年以上」と言っている以上、それもないと思います。
マハトに敗れたことで魔族と戦わなくなったというより、元々マハトと戦ったこともフリーレンとしては予定外だったのではないかと思います。
フリーレンは魔族への復讐のため魔力を鍛錬しており、フランメの言いつけ通り魔王をぶっ殺すまでは歴史に名を残すつもりはなかったはずだからです。
「葬送のフリーレン」 3巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
そう考えると、マハトの前に姿を現したのは、この魔法だけは一度見ておかないと対処することが不可能、そう考えたからだったのかもしれません。
あるいは、単純にマハトの「万物を黄金に変える魔法」に興味を持っただけなのかもしれませんが(ゼーリエもこの魔法を「面白い」と言っており、また習得もしていないようなので唯一無二の魔法なのだと想定されます)
七崩賢の結成
魔王が人類の歴史に登場した時から、魔王の配下の七崩賢全員が存在していたわけではありません。
B.H.472頃に断頭台のアウラが七崩賢に加わっているからです。
「葬送のフリーレン」 3巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
七崩賢は固定ではなく、誰かがいなくなれば新たな魔族がその位置に入ることになるのかもしれませんが、七崩賢の全知のシュラハトや不死なるベーゼが南の勇者やヒンメルによって討たれた後もその座を空位としていたことから、決まったメンバーで固定だったのではないかとも思われます。
但し、南の勇者とヒンメルの活躍開始から魔王討伐まで十年ちょっとの期間であり、新たな七崩賢を加えるに至らなかったという可能性もあります。
また他には一応、B.H.170頃にファスが皇帝酒の碑文を見つけたり、ゲーエンがトーア大峡谷の橋を作り始める、といったことがあります。
3-4 【勇者ヒンメルの時代】:フリーレンを変えた10年間の冒険
ヒンメルの生誕と幼少期
B.H.76にヒンメルが生まれています。
ヒンメルが魔王討伐の旅に出発したのが16歳のときで、十年の旅を経て魔王を討伐したその年にエーラ流星群を見ました。
五十年後に再びエーラ流星群をかつての仲間たちと見た後にヒンメルは亡くなっていますので、恐らく76歳頃になくなったと思われるからです。
またヒンメルは孤児院で育ちますが、その幼少期にフリーレンと出会っています。
森で迷った少年ヒンメルを助け、更に花畑の魔法でヒンメルを虜にしました(笑)
「葬送のフリーレン」 6巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
ヒンメルとフリーレンの再会、勇者一行の旅立ち
B.H.59頃に、フリーレンは南の勇者と会います。
南の勇者は、フリーレンが近いうちに勇者ヒンメルと出会うことを予言して立ち去り、その後約一年の間に魔王軍の部隊を壊滅させ、全知のシュラハトを含む七崩賢のうち三人を討ち取りました。
勇者ヒンメルの一行が魔王のもとまで無事に辿り着き、そして魔王を討ち倒すことが出来たのも、その前に南の勇者の快進撃があってこそだったのです。
「葬送のフリーレン」 7巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
B.H.60、ヒンメルが16歳の時、正式に魔王討伐の旅に出ます。当然、フリーレンとはその前に出会っており、パーティの仲間となっています。
冒険の話はフリーレンの回想で色々とエピソードも描かれていますが、明確な時期までは分かりません。
その中で明らかなのは、B.H.53(ヒンメル23歳時)に北部高原キーノ峠の女神の石碑において、八十四年後(A.H.31)のフリーレンが時間遡行してきたことです。
「葬送のフリーレン」 11巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
またその流れの中で勇者一行は七崩賢の一人の奇跡のグラオザームや、大魔族である血塗られし軍神リヴァーレなどと戦うことになりました。
同年には他に、腐敗の堅老クヴァールを封印したり、七崩賢の一人の断頭台のアウラを敗走させたり、ヒンメル一行が順調に魔王の元へ向かっていることが分かります。
勇者の帰還、魔王討伐後平和な時代の裏で動くマハト
魔王を無事に討伐して王都に戻った後は、当然ながらヒンメルやフリーレン達に大きな変化はありません。
凱旋して半世紀に一度見られるというエーラ流星群を見ると、また五十年後に再会してエーラ流星群を再び見て、ヒンメルは永遠の眠りにつきます。
そしてフリーレンは魔法収集とあわせて、人間を知るための旅に出ます。
「葬送のフリーレン」 1巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
一方で、魔王が勇者に倒されたからと完全に平和な世界になったわけではありません。
魔族はまだ残っており、七崩賢も全員が討ち倒されたわけではないからです。
ヒンメル達が魔王を倒したのと並行して、黄金郷のマハトが城塞都市ヴァイゼの領主グリュックに仕えるようになります。
そしてB.H.20にマハトはヴァイゼを黄金とし、一級魔法使い達は結界でヴァイゼごとマハトを封印しました。
また、ヒンメルの死と時を同じくして、かつてヒンメルに敗れた断頭台のアウラが力を取り戻し、また新たな不死軍勢を作り始めました。
「葬送のフリーレン」 2巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
3-5 【勇者ヒンメル後の時代】:フリーレンが自らの足で歩む、くだらない旅の道のり
ヒンメルが死亡し、フリーレンが人間を知る旅を始めてから20年後、フリーレンはハイターと再会しフェルンと出会います。
ここから先のフリーレンの冒険は漫画の中で描かれている通りです。
全てをご紹介するとキリがないので年表をご確認いただければとは思います。
フリーレンの旅は詳細に描かれていますので、訪れた場所とそこで発生したイベント、そして報酬として得た「くだらない魔法」をまとめました。
「葬送のフリーレン」 8巻 山田鐘人、アベツカサ/小学館 より引用
また作品内では、この世界の地理があまり詳細には描かれていませんが、大陸北部を目指すにあたり、
- 中央諸国
- 北側諸国
- 北部高原
- 帝国領
という順で旅をしており、それぞれの地方でどのような経験をしたか追いかけていくと、想像の翼を広げて世界を思い描いていくことができます。
魔王が倒れた後の世界ではありますが、魔族が滅びたわけではありません。
フリーレン達に倒されましたが、アウラやマハトがまだまだ人類に対し勢力を広げていったり、ソリテールが暗躍したりしていました。
他にも終極の聖女トートの呪いがあと十数年もすれば星を覆いつくすほどになる予定でもあり、まだ何が起きるかわかりません。
アウラとマハトが討たれたことで七崩賢は全員が倒されたはずですが、強大な魔族はまだ残っているはずです。
実際にどのような時代となるかは、これから分かってくることになると思います。
4、まとめ
『葬送のフリーレン』の世界の歴史をざっと年表でまとめてみましたが、楽しんでいただけたでしょうか。
こういった年表というものは、起きた物事の表面的な事象が記載されていますが、それらをよくよく読み解いていくと、その裏で何があったのかとか歴史の裏を想像できることもあります。
漫画や小説で作り上げられた架空の世界は、作品内では描き切れない膨大な裏設定(政治、文化、芸術、思想、等とそれらの歴史的変遷)があるはずで、それを想像することも楽しみの一つだと思います。
そういったものを思い描きながら読んでいってみるのも楽しいですよ。
以上、ファンタジー作品の導入は「ロードス島戦記」か「アルスラーン戦記」か「宇宙皇子」のどれかだったマンガフルライターの神門でした。
「葬送のフリーレン」の新しいエピソードは「サンデーうぇぶり」でも読むことができます。↓
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