みなさんこんにちは、マンガフルライターの神門です。
今回の記事のために「めぞん一刻」を読み返したところ、終盤は泣けて仕方なかったのは歳をとったせいでしょうか。。。
さて。
漫画作品の人気が出れば、アニメ化というのは一つの流れです。
自分の大好きな作品がアニメ化される時、キャラの動きや声がどうなるのか、といったことが気になりますが、それに加えてどんな主題歌か、というのも気になる要素の一つです。
主題歌が作品に合っているかというのも重要で、これは例えば人気のあるアーティストを起用すれば良いというものではなく、いかに曲が作品の内容とマッチしているかが重要です。
主題歌が作品と合っているほど、原作ファンとしては嬉しいものですし、時には歌によってより一層作品を好きになることもあります。
そんな漫画原作アニメで、主題歌が神曲! と思える作品が「めぞん一刻」です。
今回の記事では、
なぜ、「めぞん一刻」のアニメ主題歌が素晴らしいのか? その歌詞の中に込められた意味
を考えて語りたいと思います。
いつもの記事とはちょっと異なった感じになりますが、漫画に対する愛が変わるものではありません。
「めぞん一刻」が好きな方、アニメ主題歌に同様のことを感じていた方、作品は好きだけど歌まで覚えていない・知らない方、是非、歌詞に込められた意味を感じ取っていただければと思います。
目次
1、「めぞん一刻」ってどんな作品? 基本情報を紹介
著者 | 高橋留美子 |
出版社 | 小学館 |
掲載雑誌 | ビッグコミックスピリッツ |
掲載期間 | 1980年ー1987年 |
単行本巻数 | 全15巻 |
ジャンル | ラブコメ |
「めぞん一刻」は、高橋留美子先生の手によって描かれたラブコメ作品です。
高橋留美子先生といえば「うる星やつら」に始まり、「らんま1/2」、「犬夜叉」など、少年誌での活躍が目立ちますが、この「めぞん一刻」は青年誌で連載されていました。
物語は、主人公である浪人生の五代裕作が住んでいるアパート「一刻館」に、ヒロインである音無響子さんが管理人としてやってくることから始まります。
個性的な住人に勉強を邪魔されて一刻館を出ようと考えていた五代くんですが、可憐な管理人さんに一目ぼれしてあっさりと決意を翻し、一刻館に残ります。
恋の相手は年上で未亡人、対する五代君は浪人生。
そんな二人の淡い恋愛模様を中心に、コミカルでテンポの良い物語が展開される、恋愛漫画の金字塔といえる作品です。
2、主題歌2曲の歌詞に込められた登場人物の思いと成長を紐解く
本記事の主題でもありますが、「めぞん一刻」はアニメ化もされ、人気を博しています。
アニメ「めぞん一刻」の主題歌は以下の通りです。
オープニング曲
No | 曲名 | 歌手 |
1 | 悲しみよこんにちは | 斉藤由貴 |
2 | アローン・アゲイン | ギルバート・オサリバン |
3 | 好きさ | 安全地帯 |
4 | サニーシャイニーモーニング | 松尾清憲 |
5 | 陽だまり | 村下孝蔵 |
エンディング曲
No | 曲名 | 歌手 |
1 | あした晴れるか | 来生たかお |
2 | シ・ネ・マ | ピカソ |
3 | ゲット・ダウン | ギルバート・オサリバン |
4 | ファンタジー | ピカソ |
5 | さよならの素描 | ピカソ |
6 | ビギン・ザ・ナイト | ピカソ |
斉藤由貴さん、安全地帯、村下孝蔵さんなど、そうそうたるアーティストの名前が並んでいますが、その中でも作品を代表する2曲
- 悲しみよこんにちは
- 陽だまり
の歌詞に込められた内容を今回は考えました。
この2曲は2019年11月に開催された『全ルーミックアニメ大投票』で4位(悲しみよこんにちは)、6位(陽だまり)に入ったくらい、ファンからも人気のある2曲です。
2-1 「悲しみよこんにちは」:悲しみの中にありながら響子さんの前向きな思いと決意を綴った、物語の開幕を告げるにふさわしい主題歌
「悲しみよこんにちは」は斉藤由貴さんが5枚目のシングル曲として発表した曲で、アニメ「めぞん一刻」の初代オープニングとして起用されました。
めぞん一刻の物語は、ヒロインである音無響子さんが新たな管理人として一刻館にやってくることから始まります。
めぞん一刻の物語の開始は、響子さんの人生の再スタートでもあります。
愛するご主人である惣一郎さんを一年前に亡くし若くして未亡人となった響子さんは、義父の薦めで一刻館での仕事を始めます。
最愛の人を失った悲しみを忘れられずにいるけれど、いつまでもこのままでいてはいけないと頭の中で理解している響子さん。
一刻館で働くことをきっかけに、人生を新たに歩み出そうという決意を持っています。
そんな響子さんの意思が、曲の前半の歌詞に織り込まれています。
おろしたての笑顔で
知らない人にも
「おはよう」って言えたの
(作詞: 森雪之丞、作曲: 玉置浩二、編曲: 武部聡志/1986年3月21発売/「悲しみよこんにちは」キャニオン・レコード からの引用)
「おろしたての笑顔」とは、今まで悲しみに沈んで笑うことなど出来なかった響子さんが、久しぶりに笑顔を作ったということでしょう。
辛い気持ちを持ちながらも新たな笑顔で「知らない人」=一刻館の住人達に挨拶をすることができた。
そして「言えたの」というのは、おそらく惣一郎さんに対する報告、呼びかけを込めているからこそだと思えます。
「めぞん一刻」 1巻 高橋留美子/小学館より引用
ここまでは新たな生活に臨もうとする響子さんの気持ちを表していますが、そのまますんなりとはいきません。
やっぱり惣一郎さんに会えない響子さんの悲しみを表現したように、歌詞もやや寂しげなものに変わります。
あなたに逢えなくなって
錆びた時計と泣いたけど
(作詞: 森雪之丞、作曲: 玉置浩二、編曲: 武部聡志/1986年3月21発売/「悲しみよこんにちは」キャニオン・レコード からの引用)
この錆びた時計とは、一刻館の時計塔のことを表しています。
この時計は壊れており、動くことのない壊れた時計=惣一郎さんの時間が止まっていること、を示しているのだと思います。
また同時に、惣一郎さんの死とともに響子さんの時間も止まっているのだ、そう受け取ることもできるかもしれません。
「めぞん一刻」 1巻 高橋留美子/小学館より引用
それでも、この曲は悲しみだけを伝えたいものではありません。
次から始まるサビの歌詞を見てみれば分かります。
平気 涙が乾いた跡には夢への扉があるの
悩んでちゃ 行けない
(作詞: 森雪之丞、作曲: 玉置浩二、編曲: 武部聡志/1986年3月21発売/「悲しみよこんにちは」キャニオン・レコード からの引用)
直前の歌詞で響子さんは涙を流していますが、涙が乾いたその先には新たな扉が待っていると言っています。
そしてこの歌詞、耳で聞いているだけでは
「悩んでいたら駄目だ」
と聞こえますが、歌詞を見れば分かります通り、そうは言っていません。
悩んでいたら、「行けない」
その扉を開けて前に進んで「行けない」と言っているのです。
「めぞん一刻」 3巻 高橋留美子/小学館より引用
さらに、
今度 悲しみが来ても 友達迎える様に微笑うわ
(作詞: 森雪之丞、作曲: 玉置浩二、編曲: 武部聡志/1986年3月21発売/「悲しみよこんにちは」キャニオン・レコード からの引用)
悲しみはいつまた襲ってくるか分かりません。
惣一郎さんを失っことは響子さんが生きている限り変わりませんし、であれば悲しみは必ずやってきます。
「めぞん一刻」 4巻 高橋留美子/小学館より引用
だけど、それでも、そんな悲しみを自分の中で受け入れ、「友達」のように迎え入れると言っています。
「悲しみを擬人化することで悲しみを和らげる」というのは、米国のテキサス大学で実際に実験・研究され、その研究結果が2019年9月26日号の『Journal of Consumer Psychology』に発表されています。
それが、1986年という時代に歌詞に織り込まれているというのもまた凄いと思います。
この歌詞からは、惣一郎さんに対して泣いた顔ばかりは見せられない。
あなたが今度私の中に現れたら笑顔で迎え入れますよという、響子さんの意思の詰まった歌詞なのだと感じ取れます。
アニメのOPではこの一番までとなりますが、二番の歌詞も響子さんの思いが詰め込まれています。
想い出あふれだしても
私の元気 負けないで
(作詞: 森雪之丞、作曲: 玉置浩二、編曲: 武部聡志/1986年3月21発売/「悲しみよこんにちは」キャニオン・レコード からの引用)
惣一郎さんとの別れを受け入れても、あなたと過ごした日々は消えること無く、想い出は知らず知らずに溢れ出してくることもあると言っています。
でも、「そんなときでも自分の中の元気よ、悲しみに負けないで」と、自分自身に対して喝を入れていると読み取れます。
一番の歌詞と同様にサビの前に、ちょっと辛い響子さんの思いが記されていますが、最後にはやっぱり「負けないで」とあるように、二番でもサビで前向きに転換します。
平気 ひび割れた胸の隙間に
幸せ忍び込むから
(作詞: 森雪之丞、作曲: 玉置浩二、編曲: 武部聡志/1986年3月21発売/「悲しみよこんにちは」キャニオン・レコード からの引用)
悲しみはなくなっていないけれど、それでも響子さんは受け入れています。
胸にひび割れが入ったように感じるとありますが、空いた隙間には幸せがちゃんとやってきてその隙間を埋めてくれるのだと伝えています。
それはおそらく、一刻館での生活が響子さんにそう感じさせてくれたのでしょう。
「めぞん一刻」 8巻 高橋留美子/小学館より引用
胸に隙間は出来るけれど、五代くんをはじめ、一之瀬さん、四谷さん、朱美さんといった問題児だらけの住人と過ごす日々が、いつしか幸せだと感じられるようになっていたのではないでしょうか。
忍び込むというのは、一刻館の住人達との生活が響子さんの意図しないところで幸せの1ピースになっていたということでしょう。
そして、「平気~から」という部分も、やはり惣一郎さんに対して報告しているように思えます。
「悲しみよこんにちは」のタイトルには、悲しみを受け入れて生きていくという響子さんの強い意志が込められているからこそ、付けられたものだと思います。
惣一郎さんを失った悲しみからまだ抜け出せないでいる響子さんが一刻館にやってきて始まる物語、そんな『めぞん一刻』という物語のスタートを告げるにふさわしい一曲であり、
これなくしてめぞん一刻は始まらない!
そう言える名曲なのです。
2-2 「陽だまり」:五代くんの一途さと優しさが、美しい日本語の歌詞とともに作品と重なり合った名曲
「陽だまり」はアニメめぞん一刻の最後のOP曲ですが、最後にはコレしかない! そう断言させてくれる一曲です。
作詞作曲、そして歌っている村下孝蔵さんは「初恋」や「踊り子」などのヒット曲を持つシンガーソングライターさんです(物凄く歌が上手く、本当に必聴です)
その村下さんが原作の漫画を読んでアニメのOP用に作り上げた「陽だまり」は、テンポの良いメロディーと村下さんの美しい歌声に乗ってめぞん一刻の世界を届けてくれました。
歌い出しの歌詞から引き込まれます。
蝉時雨 遥か すだれごしに
水を打つ夏の夕暮れ
石が川面を跳ねるように
ときめいた君を想って
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生/1987年9月21日発売/「陽だまり」CBSソニー からの引用)
いやもう、この歌い出しの歌詞を見ただけで村下さんの日本語の美しさを感じられます。
村下さんの曲には、カタカナや英語はあまり使われません。日本の言葉、単語が持つ素朴な美しさを歌詞で表現できる稀有な人だったと思います。
この歌詞を読むだけで、五代くんの心が響いてきます。
石が川の水面を跳ねているというのは水切りのことでしょうが、その跳ねる様を響子さんを想う心のときめきと表現しています。
どれくらい跳ねているのか、跳ねる高さは、距離は、速さは、そんなことを想像させられると同時に、夏の夕暮れ時に響子さんのことを考えている五代くんの姿が思い浮かべられます。
とても素晴らしいのですが、実はこの一番はアニメOPでは使用されていません。
アニメで使用されたのは二番で、おそらく二番の方が直接的な気持ちが出ていて分かりやすいからだと思います。
以下が二番の歌い出しです。
早く会いたい たった一言
心から叫びたいよ
きっといつかはめぐり逢い
結ばれると信じていたと
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生/1987年9月21日発売/「陽だまり」CBSソニー からの引用)
五代くんの切なる叫びが、この二番のAメロの中に全て込められていると感じられます。
切なく、狂おしいほどに響子さんのことを想っている。
その気持ちを声に出して叫びたい、でも出来ない。
「めぞん一刻」 11巻 高橋留美子/小学館より引用
それでも、いつかは響子さんと結ばれるのだと、出会った時から妄信的に信じていた。
優柔不断だけど、一途に響子さんに恋する五代くんらしい歌詞です。
そして
ああ僕は君一人のためだけの
ひとりぼっちさ
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生/1987年9月21日発売/「陽だまり」CBSソニー からの引用)
このフレーズを耳にした瞬間、
この歌詞を生み出した村下さんは天才か!
そう叫ばずにはいられないほど衝撃を受けました。
この歌詞については多くを語ることはありません。ただ一つ言えるのは、今でも歌詞でこのフレーズを越える衝撃には出会っていないということだけです。
また、曲は一番と二番でストーリーにもなっています。
きらきら
夕焼けの中 微笑み投げて
望みを祈りに変えたら
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生/1987年9月21日発売/「陽だまり」CBSソニー からの引用)
上記が一番で、二番の同じ個所が以下となります。
ひらひら
花びらの舞う 春の午後には
祈りを誓いにかえるよ
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生/1987年9月21日発売/「陽だまり」CBSソニー からの引用)
- 望み → 祈り
- 祈り → 誓い
この流れはまさに五代くんの気持ちの変遷です。
響子さんと出会ったときは、まだ、ただの望みでした。
ただ響子さんと付き合いたい、そういう自分自身の望みから、やがて祈りに変わります。
祈りとは、何かの実現を願うことです。
五代くんの願いとはなんでしょうか。
響子さんと結婚したい、二人で幸せになりたいという、より具体的な将来を考えたからこそ、望みから祈りに変わったのでしょう。
「めぞん一刻」 12巻 高橋留美子/小学館より引用
そして、祈りから誓いへ。
もちろん、響子さんを幸せにするという思いであり、響子さんの亡夫である惣一郎さんに対する誓約なのだと思います。
ひらひら花びらの舞う春の午後とはまさにラスト、五代くんが惣一郎さんの墓前で
「あなたの存在ごと響子さんをもらいます」
と誓ったシーンなのだと思います。
「めぞん一刻」 15巻 高橋留美子/小学館より引用
さらにこの歌詞は、「陽だまり」の中だけでストーリーになっているわけではありません。
「悲しみよこんにちは」の歌詞をご覧ください。
1番の冒頭がこちら
手の平のそよ風が 光のなか き・ら・き・ら 踊り出す
(作詞: 森雪之丞、作曲: 玉置浩二、編曲: 武部聡志/1986年3月21発売/「悲しみよこんにちは」キャニオン・レコード からの引用)
そして2番の冒頭がこちら
降りそそぐ花びらが 髪に肩に ひ・ら・ひ・ら ささやくの
(作詞: 森雪之丞、作曲: 玉置浩二、編曲: 武部聡志/1986年3月21発売/「悲しみよこんにちは」キャニオン・レコード からの引用)
そう、全く別の曲ですが、アニメの最初のOPと最後のOPで歌詞がリンクしているのです!
おそらくは村下さんが「陽だまり」を作詞する際、「悲しみよこんにちは」も考えて作られたのだと思いますが、それによって更に完璧な曲構成となっているのです。
しびれます!
五代くんの気持ちはさらに歌詞に込められています。
二人で陽だまりの中
光あつめ やさしさをわかち合えるさ
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生/1987年9月21日発売/「陽だまり」CBSソニー からの引用)
二人とはもちろん五代くんと響子さん。
はっきり言って不器用な二人です。
- 優しいけれど優柔不断、お人好しで貧乏クジばかり引いて人より多くの苦労を重ねている五代くん。
- やきもちやきで自分の気持ちに素直になれず、すぐに怒って、拗ねて、泣いてしまう響子さん。
そんな二人ですが、そんな二人だからこそ、日々の中からささやかな光を見つけ出して集めることが出来る。
光とは幸せであり、希望であり、未来。
「悲しみよこんにちは」で新たな決意を胸に抱き、扉を開こうと勇気を出していた響子さんが、「陽だまり」で掴むことのできた光。
そしてそれは決して一人のものではなく、二人でいつでも分かち合っていくもの。
めぞん一刻のラストといって思い浮かべるのは桜の花びらの舞い散る中、五代くんと響子さんの二人が手を繋いでいるシーンです。
「めぞん一刻」 15巻 高橋留美子/小学館より引用
まさに春の陽だまりの下、幸せを噛みしめている二人の姿です。
そして最後、
一番大事なこと忘れずに
輝いていて欲しいよ
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生/1987年9月21日発売/「陽だまり」CBSソニー からの引用)
一番大事なこと。
その中には惣一郎さんのことも含まれていると思います。
墓前で誓ったように、響子さんの心の中には惣一郎さんがすでに住んでいて忘れることなど出来ません。
でも、その大事なことがあるからこそ、今の響子さんがいて輝きを放っているのです。そして、そんな響子さんを五代くんは好きになったのです。
それを理解しているからこその一節だと思いますし、五代くんが本当に望んでいることだから曲の最後に持ってきている一言だと思います。
この「陽だまり」という曲は、私の中ではアニメソングの中では今でも燦然とNo.1に輝いている一曲です。
村下さんの歌声も素晴らしく、めぞん一刻のファンの方は原作シーンを思い浮かべながら是非、聞いて欲しいと思っています。
※作品の話とは離れてしまいますが、村下さんのこの「陽だまり」の弾き語りは凄まじいので本当に聴いて欲しいです。ギター一本でどれだけ豊かな音を出すのだと震えました!
3.まとめ
ということで、今回の記事ではめぞん一刻のアニメ主題歌の2曲について、
- その歌詞にどのような意味が込められているのか
- 原作のどのシーンを表現しているのか
- 響子さんや五代くんの思いがいかに歌詞に込められているのか
といった点を、私なりに考えて書いてみました。
アニソンはただのアニソンにあらず。
その歌詞で、メロディーで、曲で、それだけファンの心を掴めるものですし、原作をより好きにさせてくれる大事な素材の一つだと思います。
皆さんも、もし機会がありましたらご自身の好きなアニソンの裏に隠されたものを考えてみてください。
思いがけないことを発見できるかもしれません。
※ちなみに「マンガワン」さんで1巻無料、その後も1日1話無料で読むことができます。
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以上、登場人物のなかでは八神が好きなマンガフルライターの神門でした。
4.おまけ:アニソンの歴史を簡単に振り返ってみた
アニメ主題歌を記事にしましたので、ついでといってはなんですが、アニソンの歴史を4つの時代に分けて簡単に振り返ってみました。
- アニソン黎明期、日本アニメの夜明け
アニメの元祖は1963年に放送開始された「鉄腕アトム」だと思います。
少年合唱団による行進曲調の華やかなテーマソングは、多くの人が一度は耳にしたことがあると思います。
この1960年代はアトムに端を発し多くのアニメが放送されるようになりますが、当時はまだアニメはあくまで子供向けのものでした。
それゆえか、アニメソングも子供の合唱団がメインだったり、あるいはコーラスだったりしたものが多いものでした。
- アニソン草創期、アニソン歌手の登場
1970年代に入るとアニソンの様相が少し変わってきます。
いわゆる“アニソン歌手”が登場し始めます。
水木一郎さん、ささきいさおさんといった方たちです。
彼らの歌った曲は大ヒットを記録し一般の曲とも肩を並べる程ですが、それでもあくまで「アニメの歌」でした。
それは即ち、作品タイトルやキャラ名や内容を直接感じさせるものが歌詞に直接組み込まれ、明らかに「このアニメの主題歌だな」と分かるもので、メロディーも一般の歌謡曲とは異なる曲調でした。
(もちろん、作品らしさを前面に押し出した主題歌は視聴者にも分かりやすく覚えやすく、とても良いと個人的には思っています)
- アニソン転換期、歌謡曲を越えるアニソン
1980年代に入り、音楽界に衝撃がはしります。
それは1983年に放映された「キャッツアイ」で、杏里さんの歌う主題歌がオリコンチャートで1位を獲得し、年間チャートでも6位を獲得するという快挙を成し遂げたことです。
ここで初めて、歌謡曲と同等以上の人気を誇るアニソンが誕生しました。
「キャッツアイ」を機に、1980年代はアニソンも当時の流行を取り入れた、都会的で洗練された主題歌が多く発生しました。
個人的には「キャッツアイ」が壁をぶち壊し、それに続いて革新を起こしていったのが以下の三作品の流れだと思っています。
- ダーティペア:打ち込みサウンド風に仕立てられた中原めいこさんの歌う「ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット」にドキドキ
- きまぐれオレンジロード:池田政典さんの歌うのスタイリッシュでスピーディな第一期のOP「NIGHT OF SUMMER SIDE」に衝撃
- シティハンター:アニメのラストカットから流れ込んでくるイントロが凄まじくかっこよいTMNの「Get Wild」に酔う
そして「めぞん一刻」もまたそんな1980年代にアニメ化され、歌謡曲を越えるような名曲を残してくれました。
- アニソン発展期~現在(2020年)
1990年代以降はまさに百花繚乱、深夜アニメが流行り出し、声優ブームが起き、それらに伴ってアニソンも様々なジャンルの曲が人気を博し、ついには国民的歌番組である年末の「紅白歌合戦」にもアニソンが歌われるようになりました。
「新世紀エヴァンゲリオン」の「残酷な天使のテーゼ」のようなアニソンらしい主題歌もあれば、B’z、l’arc~en~cielなど大物アーティストの曲が普通に主題歌を歌うアニメも多数あり、アニソンと一般の曲(J-POPとでもいましょうか)の境界は本当になくなったように感じます。
世代によっても違うでしょうし、個人の趣味嗜好でも異なるでしょう。
でも、人それぞれに、自身にとって最高だと感じられる曲があるのではないかと思います。
おそらくそれは、その曲に、歌詞に、その人の魂を震わせるものが込められているのだと思います。
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