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誰も教えてくれない漫画の読み方/ガンダム編

どうも、和佐です。

第2回にしてもはや「漫画」ではなく、「アニメ」になってしまいましたが(苦笑)前回の歴史漫画編にも通じるので、先にガンダムという巨大な壁を越えていこうと思います。

ガンダムといえば日本人なら誰もが知る国民的ロボットアニメですね。

シリーズの多さや世代を超えて愛されているという意味ではギネス級じゃないでしょうか?

最近の作品でいえば

  • ガンダムUC
  • Gのレコンギスタ
  • 鉄血のオルフェンズ

などがありますが、今回僕が取り扱いたいのはレコンギスタや鉄血のオルフェンスのような「宇宙世紀とは別の世界観」のガンダムではなく、宇宙世紀の中のガンダムです。

 

「は?」

と思う人もいると思いますが、ガンダムと一口に言っても、

  • 宇宙世紀(UC)
  • アフターコロニー(AC)
  • アフターウォー(AW)
  • コズミック・イラ(CE)
  • 未来世紀(FC)

など、作品によって世界観時間軸が違います。

まあ「ガンダムが登場する様々な平行世界」というふうに理解しておけばいいと思いますが、要するに、「同じ歴史上の作品ばかりではない」ということです。

一応言っておくと、初代ガンダムの時間軸を「宇宙世紀」と言います。

 

 この宇宙世紀に該当するガンダム作品には、

  • 機動戦士ガンダム
  • 機動戦士Zガンダム
  • 機動戦士ガンダムZZ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
  • 機動戦士ガンダムF91
  • 機動戦士Vガンダム
  • 機動戦士ガンダム 第08MS小隊
  • 機動戦士ガンダムU.C

などがあります。

あと追加するなら、

  • ∀ガンダム(ターンエー)

これは宇宙世紀からさらに1万年後の設定なので、同じ時間軸にあるといえば同じ時間軸にある作品です。

この他には無数の漫画や小説、ラジオドラマやゲームなどのスピンオフ作品があるわけですが、ガンダムの魅力の1つはやはりこの

「歴史的スケール感」

なわけです。

だからガンダムはただのロボットアニメではなく、もはや、「歴史」なんです。

作品1つでは語り尽くせない歴史的な魅力がここまであるアニメは他にはないんじゃないでしょうか?

海外ドラマのスタートレックシリーズも、同じ時間軸の中の別の地域、別の時代のドラマなので、歴史的な深みはありますが、ガンダムほどスピンオフは多くありません。

 

だから、歴史漫画の次はもう「ガンダム」だろう、と(笑)

勝手に思い立ってこうやって「漫画」という縛りを破って、ガンダムについて書いているわけです。

もうすでにこの段階でわかると思いますが、ガンダムは作品単体でも面白いですが、「宇宙世紀」という観点から見ればさらに面白く見えてきます

歴史的な背景や重要なキーワードを踏まえて観れば10倍楽しめます

ということで、早速本編に移っていきましょう。




1.宇宙歴ってなんぞや?

さて、まず最初に踏まえておきたいのは「宇宙歴」という歴史についてです。

これはガンダムの世界では「西暦の後の、宇宙移民が開始して以降の歴史」とされていて、西暦何年に宇宙歴に変わったのかまでは言及されていません。

とりあえず今は西暦2017年なので、まだ当分、宇宙歴はやってこなさそうですね。

イーロンマスクなどが火星移住計画を進めていて、それによると2020年代には火星を植民地化すると言っているので、割と近い将来に人類が地球外で生活するようになるかもしれません。

まあともかく、宇宙歴は西暦の後の世界、ということですね。

そして宇宙歴の始まりとともに設立されたのが、

「地球連邦政府」

というやつです。

こいつが腐敗していく過程で紛争が起こりまくるのが、ガンダムの世界なわけですが(こういうと身も蓋もないな 苦笑)、

「地球人」

をひとくくりにして、統一政府を作ったわけです。

だからこの時代には「国」というものは存在しません。

厳密にはジオン公国だったり、コスモバビロニアだったり、木星帝国だったりが、地球連邦政府からの独立を宣言するわけですが、地球連邦的にはそんなことは認められないので、公式には「国」は存在しないんです。

で、当たり前ですが、地球の中でだって今なお紛争が絶えないわけですよ。

ってことは、当然の流れとして、地球連邦政府に対する宇宙サイドの人々の不満はどんどん募っていくんです。

そして戦争になる、と。

これが初代ガンダムの「一年戦争」というやつです。

これは年表によると

U.C.0079-0080年

に起こった戦争なので、つまり地球連邦政府が樹立してから100年も経たないうちに起こっているんです。

まあ、逆に言えばよく79年ももったな、とも言えるんですが、現代を生きる僕らの感覚では、第二次世界大戦が1945年に終結しているので、そこから79年後といえば2024年ですよ。

日本人の今の感覚としては例えばアメリカに喧嘩を売ろうなんて考えないわけです。

でも、宇宙歴ではアメリカ的な実質世界トップの政府に対して、その植民地である「コロニー」が戦争を仕掛けたわけです。

これはよっぽどの仕打ちがなければ起こらないことですよね?

そう。

それがあったわけです。

2.なぜ戦争が起こるのか?

まず、この一年戦争が宇宙歴における最初の戦争ですが、この先、幾度となく戦争は起こります。

その根本的な原因はなんなのか?

簡単に言えば、

「スペースノイドとアースノイドの確執」

です。

一年戦争時はスペースコロニーに「自治権」を認めない地球連邦に対して、ジオン公国が独立を宣言し、そこから戦争に突入していったわけですが、これがきっかけになって、明確な形で、

  • スペースノイド(宇宙に住む人々)
  • アースノイド(地球に住む人々)

この対立関係が生まれたんです。

宇宙は地球と違って環境が過酷です。

あらゆるものをリサイクルして、自分たちでライフラインを管理しなければならない。

そんな過酷な環境で住む人たちにとって、地球でのうのうと暮らしている地球連邦は目の上のたんこぶだったわけです。

自分たちは安全な場所から命令するばかりで、コロニー側の恩恵は少ない。

対立が生まれる土壌がどんどん育っていったんですね。

そしてもっと言えば、ガンダムシリーズではおなじみの、

「ニュータイプ」

という新人類の出現が、決定的にスペースノイドとアースノイドの対立の溝を深めていったとも言えます。

要するにこれは戦争における常套手段である、

「プロパガンダ」

なわけですよ。

まずは言葉で、敵と味方を区別する。

鬼畜米兵のようなものです(笑)

あるいは、匈奴(くな)夷狄(いてき)南蛮(なんばん)のような、蔑称を相手につけることによって、自分たちの優位性を高めたわけです。

スペースノイドはニュータイプという根拠によって、自分たちこそが地球に住む人間よりも進化した人間で、地球連邦なんかに支配される理由はない、と、選民思想が高まっていき、

同じように地球連邦でも、「地球」という資源的・精神的根拠によって、宇宙にいる人間も地球連邦が管理するべきだ、という選民思想が高まっていきます。

「どっちもどっち」

なんですが、なんにせよ、基本的にはこーゆー風に思い上がった奴らが戦争を起こすわけです。

で、一年戦争が始まるまでは「ニュータイプ」というのは、ジオン・ズム・ダイクン(シャアの父親)が提唱したジオニズムという思想の中に登場する、

「やがてそのような人類が出現するだろう」

という予言だったわけですが、いざ、一年戦争が始まってみたら、

  • アムロ・レイ
  • ララァ・スン
  • シャア・アズナブル

などの現実のニュータイプらしき人間が発見されて、

おいおい。これはマジでニュータイプってあり得るんじゃね?

 スペースノイドってスゲーんじゃね?」

と、ジオンは勢いづいていくわけです(ニュータイプは基本、スペースノイドばかり。宇宙で生まれることが条件になっている)。

アムロもララァもシャアも、モビルスーツのパイロットとして登場しますが、その超能力的な勘の良さで、カラーリングだけ変えたザクで、通常のザクの3倍のスピードを出したり、広い戦場にいるニュータイプ同士で感応しあったり、とにかく、ヤバいぐらい戦績を積み上げていったんです。

こうやって「ニュータイプの存在」の確証が高まっていくにつれて、ニュータイプを研究する研究所が生まれます。

「人工的に人間をニュータイプに覚醒させれたら、超人兵士が誕生する」

というわけですね。

こーゆー研究所は一年戦争時に立ち上がり、一年戦争の期間中には成果を出せませんでしたが、続く作品の「Zガンダム」「ガンダムZZ」では、研究所の成果として数々の強化人間が登場します。

  • フォウ
  • ロザミア
  • プルツー

など、悲劇的な強化人間が登場するんですが、まあ、これはとりあえず置いときましょう。

とにかく、ニュータイプという存在によって戦争はかき乱されていくんです。

ってことは、アムロやシャアが戦争悪化の原因とも言えるんですが(苦笑)まあ、本人たちが悪気があったわけではないので、そこは許してあげましょう。

ニュータイプを利用して戦争を拡大した「ザビ家」という、悪い奴らがいるので(笑)

で。

一年戦争からU.C.0100年までの約20年間は、ジオンと連邦の戦いの系譜が続いていくわけです。

ジオンの残党は若干残りつつも、とりあえず戦争は落ち着いていきますが、地球連邦政府はここからますます腐敗していきます。

具体的にどう腐敗して行ったのかはよくわかりませんが、次第に宇宙に対する支配力を失っていくのです。

U.C.0123年、地球連邦とコロニーの一企業であった「ブッホ・コンツェルン」が建国した「コスモバビロニア」との戦争が起こり、これを皮切りにして、

「宇宙戦国時代」

に突入していきます。

もう、バンバン、コロニー国家が独立していくわけですよ(笑)

この辺は「ガンダムF91」「Vガンダム」で語られるストーリーですね。

ザンスカール帝国や木星帝国が現れて、コロニー同士で戦ったり、連邦政府と戦ったり、もう大忙し。

そして最終的には、U.C.0218に地球連邦政府は崩壊してしまったのです。

一応、Wikipediaに載っている宇宙歴の最後としては、

U.C.0653年 プロキシマ・ケンタウリへの植民

とあります。

長い戦争の歴史を経て、やっと、地球から他の惑星へ人類は旅立っていったのです。

さて。

ザーッと細かいところを飛ばして、宇宙世紀の流れを話してきましたが、ガンダムの世界において、戦争が起こる時はいつだって、

「自分たちの方が偉い・優れている」

という主張が存在します。

一年戦争のきっかけは自治権の獲得でしたが、戦争をしていく中で選民思想が強化されていきます。

つまり、人間はいつまでたっても変わらないってことですね。

このなんだかよくわからないリアリティが、ガンダムの魅力です。

ここまでガンダムを理解した上で各作品を観れば、きっと10倍楽しめるはずです。

3.平和への道

書きながらどんどんおかしな方向に進んでいるのはわかりますが(笑)

とりあえず思いついたので書いていきます。

平和ってどうやったら作れるんでしょうね?

今の僕らの生きている世界ではガンダムの世界のように「選民意識」で争いはあまり生まれないと思います。

いや、一部の国はいまだに選民教育をしていますが、僕らは人類の長い歴史の中で、

民族的な優位性

というものは、あまり認められないと理解してきました。

もちろん、背丈だったり、体格の良さだったり、ルックスという意味では、日本人よりもアメリカ人の方がでかいので、そこに優位性はあります。

でも、僕らは

でかいやつが偉い

という世界観では生きていませんよね?(笑)

人間というのは本来、適材適所なんです。

体がでかいことが優位になる場所もあれば、逆に小さいことが優位になる場所もある。

様々な得意・不得意を許容するような多様性のある世界に僕らは生きています。

「インターネット」

がその象徴ですね。

インターネットではオタクがヒーローになれたり、マイノリティーを許容するコミュニティがあったり、自由に人と繋がれて、自由に場所を移動することができます。

「限られた空間」

に閉じ込められてしまうと、どうしても優劣が生まれたり、マイノリティーとマジョリティーが生まれてしまいます。

が、フィールドが「地球上」とか、「インターネット」になれば、適材適所ってことが現実的に可能になってくるんです。

これから先、技術が進歩するにつれて言葉の壁も無くなっていきます(リアルタイム自動翻訳機の登場ですね)。

ってことは、

「今いる場所で自分の偉さや権利を主張する」

というやり方ではなく、

「自分が一番活躍できる場所で存分に活躍する」

というやり方をみんなが採用出来れば、争いを未然に防ぐことができるんです。

とはいえ、全人類がこんな風に物事を考えるようになるのは随分先の話だと思うので、直近の対策としては、

「何事も対話から始め、歩み寄る」

ということを覚えておけばいいと思います。

当たり前のことですが、人間が2人以上いたら、そこには行き違いがあるんです。

例えば同じマンションに住む住民の家から音楽が聞こえてきた時。

関係のない側にとってそれは騒音ですから、当然、嫌なわけです。

こんな時、対話が下手な人は、

「うるさい」

としか言わないわけです。

これじゃあ話が進みません。

だってその隣人は音楽が聴きたいわけですから。

隣人の音楽が聴きたい

自分の音楽がうるさい

間にある落とし所を見つけるまで問題は解決しません。

だから対話をして、交渉をするんです。

例えば、

「自分は深夜に働いていて、午前中は寝ているから、午前中に大きな音で音楽を聴くのはやめてほしい。午後1時以降だったら問題はない。」

とか、

「どれだけ音漏れしているか録音してみたから聞いてほしい。これを改善するにはボリュームを下げてもらうか、防音対策用の費用を出してもらうしかない。」

など、ちゃんと説明して、解決策も提示する。

その上で合意するかどうかを話し合う。

対話で解決しない場合は、もうさっさと引っ越す。

その場所にこだわる必要はないですからね。

基本的に、

「相手に何かしてほしい・変わってほしい」

と思った時、それがどんなに常識的に相手が間違っていることだとしても、相手はそんなこと思っていないので、譲歩が必要です。

この対話譲歩が上達すれば、少なくとも自分が生きている生活空間では、あまりトラブルが起こらなくなっていくはずです。

そして最後の手段は「逃げる」です(笑)

会社や学校でいじめられているとか、そーゆー場合は逃げるが勝ちです。

「対話の意思がない相手」を相手することほど無駄なことはないので、もっと違う場所を見つければいいと思います。

って、ガンダムと全く関係ないですね(苦笑)

でも、

「相手の言い分も含めた折衷案を出す」

っていうのは、コミュニケーションの基本中の基本なので、ガンダムの歴史に学んで「もう対話の余地はない」とならないように気をつけてください。

では、これで。

和佐大輔

 

PS.

個人的には「逆襲のシャア」「ガンダムF91」がオススメですよ。

両方、劇場版?なので90分そこそこですから。

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1 個のコメント

  • 何気なしに読んでみましたが、こういった視点があるかと驚かされました。自分もガンダムが好きで古い作品も時間があるときに観ていましたがこんな視点は持ち合わせていませんでした。歳が上がるにつれて別の観点から見ていましたが、ここまでではなかったです。
    これでもう一度観てみようと思います。
    和佐さんとガンダムやエヴァなどを語り合えたら楽しそうですね。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    「人生で大事なことはすべて漫画から学んだ」と豪語するマンガタリのライター。「漫画を愛し、漫画に愛された男」サンシャイン和佐は少しでも多くの人に漫画のすごさを伝えなければいけない、という身勝手な使命のためにマンガタリを一人で運営中。詳しくはプロフィールをご覧ください。