みなさんこんにちは、マンガフルライターの神門です。
世の中で多くの人に愛されている、ラブコメ作品。
自分もこんな恋が出来たら! と思わせてくれるからこそ人気があります。
そんなラブコメ作品の一つ、
『その着せ替え人形は恋をする』
を今回はご紹介します。
作品のあらすじだけぱっとみると、「オタクに優しいギャル」の話? と思うかもしれませんが、本作はそうではありません!
記事では、
- 何が「オタクに優しいギャル」とは異なるのか
- どういった点が魅力なのかをお伝えします。
2022年1月よりアニメ放映される本作、アニメ放映前の予習、あるいは放映後の復習としてでも読んでいただけたらと思います!
1、『その着せ替え人形は恋をする』ってどんな作品?
著者 | 福田 晋一 |
出版社 | スクウェア・エニックス |
掲載雑誌 | ヤングガンガン |
掲載期間 | 2018年1月~ |
単行本巻数 | 既刊8巻(2021年11月時点) |
ジャンル | ラブコメ |
『その着せ替え人形は恋をする』は福田晋一先生がヤングガンガンで連載しているラブコメ作品です。
主人公の五条新菜(ごじょうわかな)の祖父は雛人形を作る職人で、新菜もまた雛人形の顔を作る「頭師(かしらし)」になることを夢に持ち、幼い頃から人形作りばかりしてきました。
しかし、幼い頃に女の子から「男なのに人形作りばかりして気持ち悪い」と馬鹿にされてから、人形作りの趣味を周囲には隠すことにしました。
他に趣味もないため、高校進学しても友達もできない新菜ですが、ある日偶然、学校の被服実習室でミシンを使っているところを同じクラスのギャル、喜多川海夢(きたがわまりん)に見られてしまいます。
実は大のオタクで好きなキャラクターのコスプレがしたいけれど衣装が作れなかった海夢は、新菜にコスプレ衣装を作って欲しいとお願いします。
そうしてコスプレを通して二人の仲を、そして新菜の成長を描いたラブコメです。
2、『その着せ替え人形は恋をする』の主人公とヒロインの2人を紹介
まずは本作の主人公とヒロインを簡単にご紹介します。
個性的、かつ、とても真っすぐで応援したくなる二人です!
2-1 五条 新菜(ごじょう わかな):真面目過ぎる主人公
「その着せ替え人形は恋をする」 1巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
本作の主人公です。
両親を早くに亡くし、雛人形づくりを生業にしている祖父のもとで共に暮らし、新菜自身も祖父と同じく雛人形の顔を作る「頭師」になりたいと考えています。
生真面目すぎるほど真面目な性格であり、それが災いしてか雛人形作り以外に趣味もなく、家で来ている作務衣以外に私服もなく、学校でも友達と呼べる存在がいませんでした。
海夢と出会い、コスプレ衣装作りにかかわっていく中で海夢のことを意識するとともに、海夢の影響もあり今まで狭かった自分自身の世界を切り開いていくことになります。
コスプレ衣装作りにも真面目に取り組み、エロゲーも全クリア、アニメや漫画も全話視聴し、キャラの心情にも寄り添うほどです。
2-2 喜多川 海夢(きたがわ まりん):行動力のありすぎるギャルなヒロイン
「その着せ替え人形は恋をする」 1巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
本作のヒロインです。
キラキラネームな感じですが、その名前に違和感を覚えさせないほど、明るく元気な美少女のギャルです。
クラスの中でも中心人物であり、多くの友達がいます。
更に読者モデルとして活躍しており、事務所からも専属モデルになって欲しいと言われているほどの実力を持っています。
アニメや漫画、ゲームが大好きで、推しキャラになりきりたいがため、コスプレをしたいと望むようになります。
海夢の本気の情熱が新菜を動かし、海夢の情熱に本気で応える新菜に海夢もまた惹かれていきます。
3、『その着せ替え人形は恋をする』が持つ4つの魅力をご紹介
内気な男子とギャルの恋愛を描いた作品は他にも
- 『イジらないで長瀞さん』
- 『やんちゃギャルの安城さん』
などがありますが、上記の作品のヒロインである長瀞さん、安城さんと同じ「ギャル」とされながらも、海夢は異なったカテゴリではないかと思っています。
それもまた一つの魅力であり、なぜそのように思うかも含めて本作が持つ魅力をご紹介します。
3-1 オタクに優しいギャルを描いたのではなく、好きなことに一途なピュアな二人を描いた高純度のラブコメ
他のギャルを描いた作品が、ギャルが主人公の男子を何故かからかってくる、いわゆる「オタクに優しいギャル」タイプなのに対し、本作の海夢は異なります。
海夢はギャルであるのと同時に、アニメや漫画やゲームのことが大好きなかなりのオタク趣味を持ち、愛が深すぎる故にコスプレをして大好きなキャラになり切りたいと思うようになります。
まず、土台として大きな情熱があり、海夢の夢であるコスプレをするために、衣装づくりのできる新菜を頼るという構図があります。
「その着せ替え人形は恋をする」 1巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
ギャルの海夢が新菜と積極的、能動的に接するようになる動機が初めからきちんと描かれています。
だから、「なんでこんな美少女ギャルが主人公に?」という疑問が最初から消えるのです。
今どきの高校生達で、海夢自身も海夢の友人たちも裁縫、ミシンができる人なんていない、というのは説得力もあります。
そして新菜が衣装づくりができるとはいえ、コスプレ衣装は通常の衣装とは異なりますので、二人で協力して試行錯誤しながら衣装を作成していくことになります。
「その着せ替え人形は恋をする」 1巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
加えて、新菜は幼少時から雛人形づくりに接し将来は「頭師」になりたいと真剣に日々の修練も欠かさず、その真面目な性格から海夢のコスプレ衣装造りを手伝うと約束したからには、真剣に取り組んで決して手を抜きません。
作るからにはどのような衣装なのか知り、着ているのがどんなキャラクターなのか知る必要があるためと、海夢からアニメや漫画やゲームを借りて全て読み込み、やり込んでから衣装制作に着手するくらい真剣です。
そこまで真剣に手伝ってくれるからこそ、海夢だって新菜に惹かれていく部分があるのは間違いありません。
「その着せ替え人形は恋をする」 3巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
主人公の新菜とギャルの海夢が親しくなっていく素地がきっちりとあるわけで、「なぜこの二人が?」というのがありません。
そして主人公もヒロインも、自分の大好きなこと、趣味や将来の夢に真っすぐで一生懸命だから魅力もあって応援もしたくなる。
ぱっと見、「オタクに優しいギャル」風の作品に思えますが、中身は高純度なラブコメ作品であり、だからこそ二人の恋の物語を楽しみ応援できる魅力ある作品になっているのだと思います。
※なお、作品タイプが違うだけであり、『長瀞さん』も『安城さん』もライターは大好きです!
3-2 非実在ギャルではない、ギャルっぽさを感じさせる海夢
非情に感覚的な話になってしまうのですが、長瀞さんや安城さんは男性の作者さんが男性の目線で描いたギャルなのに対し、海夢は女性の作者さんが描いた女性目線で描いたギャル、という風に感じられます。
だからでしょうか、長瀞さんや安城さんに関しては、「いやいやこんなギャル実際にはいないだろうな」と思いながら読んでいるのに対し、海夢に関しては「ギャルっぽくて実際にいるのかもしれない」と思わせられます。
「その着せ替え人形は恋をする」 6巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
例えば他のギャル系ラブコメ作品(という言い方が正しいのかわかりませんが)は、ヒロインのギャルが色気をふりまくことも多いです。
もともと露出の高い衣装が多いというのありますが、主人公をからかうため狙って見せているところも多々あります。
何より、描かれ方にエロティックさを感じます。
対して、海夢も確かに露出は高いのですが、それはあくまで自分の好きな格好をしているだけであり、新菜に対しても性的アピールをしているわけではありません(している時もありますが、その際は本人も意識的にやっているのが分かります)
誰に対しても同じであり、新菜に対しても他の生徒と変わらない接し方をしているだけだと思うので、エロさを感じません(色気はあります)
下着とかは見られても良いけれど(見せてもよい用の下着?)、カラコンを入れていない顔を見られるのはムリ!
とか、そうした気にするポイントなんかも、どこかズレている一方で、「ギャルってこういうものかも?」と思わせられる部分でもあります。
「その着せ替え人形は恋をする」 3巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
また、海夢の友人のギャル達も同じように、女子高校生のギャルってこういう感じなのかな? と、そう思わせてくれる気がします。
特にクラスメイト達との絡みが一気に増える学園祭では、今までちょろっとだけ顔見せしていたような女の子たちが登場し、なかなか魅力的な姿を見せてくれます。
「その着せ替え人形は恋をする」 8巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
デフォルメされて作られたギャルではなく、普通にいそうなギャル達が描かれているというのも魅力の一つと感じました。
※ライターがギャルに詳しくないので、違っていたら申し訳ありません!
3-3 ギャルが強みというわけではない! ヒロインの海夢が持つ3つの大きな魅力
なんだかんだいって、ヒロインの魅力があるかどうか? が作品としては大きなポイントでもあります。
本作のヒロインの海夢の魅力は、大きく3つだと感じています。
■自分の気持ちに素直!
こういうラブコメ作品のヒロインは、素直でないことが多いです。
それはそれで当然のことで、素直だったら簡単に主人公とくっついてしまい、めでたしめでたし、となってしまうからです。
ギャル系の作品でも、主人公に思わせぶりな言動をしてみたり、明らかに好意を抱いているだろう、と思える描写があったりしますが、それでもヒロインの内面や本当の思いはなかなか出てきません。
しかし海夢は違います。
一緒にコスプレ衣装づくりをする中で、かなり早い段階で、新菜のことが好きだと自覚します。
「その着せ替え人形は恋をする」 2巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
それも、相当に激しく。
新奈を好きと自覚してからは積極的にアプローチもするようになり、自分の好意を素直に一生懸命に表現しようとするところが微笑ましいです。
ギャルではありますが恋愛に関してはピュアで、でもギャルらしく(?)積極的に攻勢をかけていく海夢が可愛らしい。
この手のギャル系ラブコメ作品としては珍しい感じでもあり、魅力でもあります。
■好きなものを好きだと言える強さ
海夢はアニメや漫画がゲームが大好きで、それを隠そうともしません。
ギャル友達にもそれは隠さず、好きなキャラのグッズを鞄にも大量にぶらさげていたりします。
更に、最初にコスプレしたいと望んだキャラはエロゲーの女の子ですが、そのことも新奈に隠すどころかゲームの面白さを熱く説くほどです。
自分のやりたいこと、好きなことは隠さないし譲らない。
一方で、自分の好きなものを知りもせずに馬鹿にするような人は相手にしません。
「その着せ替え人形は恋をする」 1巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
雛人形づくりが男子らしくないと思い、雛人形が好きで雛人形づくりが好きだと人に言えない新菜には、海夢の強さはとても眩しく見えます。
もちろん、好きなものを無理に人に押し付けたりすることはなく、あくまで自分が好きなことを人に迷惑をかけないようにする、ということが大前提にあります。
海夢の強さは、同じような思いを持つ人にも魅力的に映るのではないかと思います。
■圧倒的な行動力!
新菜が内心で何度も「行動力!」と突っ込みをいれるほど、海夢はバイタリティにあふれています。
思い立ったら、それが良いと思ったらすぐ行動に移して実践!
考えるよりもまずは動いてしまえ、という海夢の行動力は羨ましささえ感じることもあるかもしれません。
「その着せ替え人形は恋をする」 1巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
基本的に大雑把で体育会系的なノリと行動力を持つ海夢ですが、相手が嫌だと思えば無理強いすることはありませんし、他人への思いやりも持った女の子です。
大胆さと繊細さ、その大きな差とバランスもまた、海夢の魅力の一つです。
3-4 もちろん、コスプレ知識についても順を追って得られる楽しさがある
本作のテーマは「コスプレ」です。
当然ながら、作品を通してコスプレの知識についても得ることが出来ます。
「その着せ替え人形は恋をする」 3巻 福田晋一/スクウェア・エニックス より引用
上手なのが、
- アニメ、漫画、ゲームの知識に詳しいけれど手先が不器用な海夢
- 手先が器用で衣装づくりやメイクができるけれどアニメ等は全く知らない新菜
という組み合わせのため、コスプレ初心者として順を追って一つずつステップアップしていくので、コスプレに詳しくない人でも同じ目線で追いかけていくことが出来ます。
内容も縫製の専門的なことなどではなく、あくまでコスプレのテクニックであったり、見せ方であったりするので、コスプレや衣装づくりに興味がなくてもわかりやすく、そして楽しく読むことが出来るのも成功だと思います。
4、まとめ
今回は『その着せ替え人形は恋をする』について
- ギャルがオタクに優しいという漫画ではないその理由
- ヒロイン喜多川海夢の持つ魅力
をお伝えしました。
主人公とヒロインの男女両方を応援したくなる、良作のラブコメです。
興味をもたれたならば、ぜひぜひ、手に取って読んでみていただければと思います!
以上、マンガフルライターの神門でした。
※なお、本作はマンガUP! で一部無料で読むこともできますので、作品の雰囲気を知りたい方は是非、試し読みしてみてください!
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