みなさんこんにちは、神門です。
人気を博した作品本編から派生した作品、いわゆるスピンオフ作品が世には数多く出ています。
今回は、人気アニメ作品から派生して生まれた漫画をご紹介します。
それは、
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』
です。
1980年代にアニメ放映されて人気を博した魔法少女アニメ『魔法の天使クリィミーマミ』から、なんと令和になって新たにスピンオフの漫画が生まれたのです。
今さら、とか思うことなかれ、このスピンオフ漫画がとても面白いのです。
かつて『魔法の天使クリィミーマミ』や魔法少女もの作品を楽しんだ方もそうでない方も楽しめる作品になっています。
ファンだった方は懐かしい気持ちとともに思い出しながら、そうでなかった方も新たな作品の出会いと思って読んでいただけたらなと思います。
またついでに、せっかくなので魔法少女作品についても過去から遡ってまとめてみましたので、その辺も楽しんでもらえればと思います。
目次
1、魔法少女ものの変遷をざっくり追いかけてみる
今回、『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』を紹介するにあたり、魔法少女もの作品がどのような変遷をたどっているかを簡単にまとめてみました。
あくまでライターが個人的な主観でまとめたものですので、その点はご留意願います。
1960~1970年代(魔法少女 黎明期:第一次魔法少女ブーム)
1966年に『魔法使いサリー』がテレビ放映されたのが、魔法少女ものの元祖ではないかと思います。
その後、
- 『ひみつのアッコちゃん』(1969年)
- 『魔女っ子メグちゃん』(1974年)
- 『花の子ルンルン』(1979年)
など、毎年のように魔法少女もの作品は供給されており、『魔法使いサリー』によって人気を博した魔法少女というジャンルが定着しつつあることを表しています。
ただし当時はまだ制作会社は東映(東映および東映動画)の一択であり、社会的に魔法少女ものが定着したとまでは言い切れない時代だったと思います。
実際、『魔法使いサリー』から始まる東映魔女っ子シリーズも1970年代はやや不調であり、1980年の『魔法少女ララベル』でシリーズは終了してしまいました。
1980年代(魔法少女 発展期:第二次魔法少女ブーム)
1980年代に入り、東映以外の制作会社が魔法少女ものを製作するようになります。
まず1982年に葦プロダクションが『魔法のプリンセス ミンキーモモ』を製作します。
続いて1983年にはスタジオぴえろが魔法少女シリーズの第一作、『魔法の天使クリィミーマミ』を製作して人気を博し、『ミンキーモモ』とあわせて第二次魔法少女ブームが起こりました。
スタジオぴえろの魔法少女シリーズは以降も
- 『魔法の妖精ペルシャ』(1984年)
- 『魔法のスター マジカルエミ』(1985年)
- 『魔法のアイドル パステルユーミ』(1986年)
と続きますが、『パステルユーミ』の頃には既に魔法少女ブームは下火となっており、この4作目の『パステルユーミ』を最後に魔法少女ものはほぼ姿を消してしまいます(なおこの後スタジオぴえろは、1998年に『魔法のステージ ファンシーララ』を製作してテレビ放映しています)
1980年代といえばいわゆるバブル期にあたり、様々な文化・サブカルが大きく発展し変化していった時代でもあります。
漫画やアニメが “子供のもの” から “大人も観るもの” へと変わってゆく中で、魔法少女を夢見る女の子も少なくなり過去のものへとなっていったのかもしれません。
1990年代(魔法少女 転換期:戦う魔法少女の誕生)
1980年代後半から下火となった魔法少女ものはなかなか復活する気配を見せませんでしたが、この1990年代となり一大転換が発生します。
『美少女戦士セーラームーン』(1992年)の登場です。
”魔法少女もの” + ”戦隊もの” のハイブリッドの登場です!
いわゆる戦隊ものは昔から男の子向けに制作されてずっと人気を博していましたが、そこに魔法少女をかけあわせて「戦う女の子」の姿を作り出しました。
魔法少女を加えることでただ戦うだけではなく、日常であったり、成長であったり、恋愛であったり、そういった要素を組み入れることが出来ます。
しかも戦隊ものですから主人公の女の子だけでなく魅力的な多くの仲間がいて、観る人それぞれが推せるキャラクターを見つけることが出来ます。
『セーラームーン』の大ヒットを機に、「戦う魔法少女」ものが多く世に出始めます。
- 『魔法騎士レイアース』(1994年)
- 『愛天使伝説 ウェディングピーチ』(1995年)
また単に「戦う魔法少女」ではなく、そこから派生した様々な作品が多く生まれ始めます。
そういう意味では『セーラームーン』はまさにエポックメイキングな作品だったと思います。
2000年代以降(魔法少女 成熟期:低年齢層から高年齢層まで幅広い作品の発生)
『セーラームーン』の登場により、魔法少女もの系統の作品は2000年以降も次々と製作され、色々な方向で人気を博していきます。
その代表ともいえる作品が『ふたりはプリキュア』(2004年)から始まるプリキュアシリーズでしょう。
2004年に始まったシリーズは2022年にも『デリシャスパーティ♡プリキュア』が放映されているほどの人気シリーズとなっています。
『プリキュア』シリーズ以外にも『魔法少女まどか☆マギカ』、『魔法少女サイト』など、どちらかといえば高年齢層向けの作品なども制作されており、男女、年齢を問わず様々な作品が世に送り出されています。
また「魔法少女もの」とは別ですが、『魔法の天使クリィミーマミ』は「アイドルもの」作品としても先駆者だったと思います。
「アイドルもの」としては、
- 『アイドル伝説えり子』(1989年)
- 『アイドル防衛隊ハミングバード』(1993年)
- 『アイドルマスター』(2011年)
- 『アイカツ!』(2012年)
- 『ラブライブ!』(2013年)
といった流れに引き継がれていると思います。
2、『魔法の天使クリィミーマミ』ってそもそもどんな作品?
魔法の天使 クリィミーマミ Blu-ray メモリアルボックス
『魔法の天使クリィミーマミ』は、スタジオぴえろが1983年より開始した「ぴえろ魔法少女シリーズ」の第一作として製作されたアニメーション作品です。
『クリィミーマミ』以前の魔法少女ものでは、魔法の国からやってきた魔法少女が人間界で生活したり、魔法の力で人助けをしたりするのを描いていましたが、『クリィミーマミ』ではそれら作品と一線を画して“芸能界”、“アイドル”という要素を取り入れました。
1980年代といえば女性アイドル黄金時代であり、その1980年代前半には沢山の有名アイドルがデビューしました。
- 1980年 松田聖子さんデビュー
- 1982年 中森明菜さん、小泉今日子さんデビュー
彼女たちを筆頭に多くのアイドルがデビューして人気を博しましたから、女性向けのアニメで“芸能界”、“アイドル”を取り入れるのは当然の流れだったのかもしれません。
物語の概要ですが、主人公は10歳の少女、森沢優。
優は、夢の世界フェザースターの住人から魔法のステッキを使って16歳の少女に変身して楽しんでいるところ、芸能プロダクション「パルテノンプロ」の社長にスカウトされてアイドルデビューをすることになってしまいます。
優が変身したクリィミーマミはたちまちのうちに大人気となり日本に一大ブームを巻き起こします。
しかしながら優は小学生、夜遅くまでは活動できませんし(午後8時には姿を消します)、そもそもクリィミーマミなど実在しないのですから正体がバレるわけにもいきません。
加えて、ほのかに恋心を寄せる幼馴染の俊夫がマミの大ファンになって追っかけをするようになり、状況はより複雑になっていきます。
そんな風に、優=マミが様々なことに巻き込まれながら芸能界と普通の日常を過ごしていく一年間(魔法のステッキは一年間の期限で借り受けたもののため)を描いた作品です。
3、『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』ってどんな漫画?
著者 | 三月えみ |
出版社 | 竹書房 |
掲載雑誌 | WEBコミックぜにょん |
掲載期間 | 2018年~2022年 |
単行本巻数 | 全7巻 |
ジャンル | アイドル、ファンタジー |
さて、前置きがかなり長くなりましたが、魔法少女ものの流れとその中における『魔法の天使クリィミーマミ』の位置づけもざっくりご理解いただけたものと思います。
そこでいよいよ『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』のご紹介となります。
物語の概要ですが、主人公はマミ!
ではなく、パルテノンプロに所属するトップスターの綾瀬めぐみです。
もともとめぐみは「ミルキーウェイ・プリンセス」として売り出され、デビューしてすぐにパルテノンプロの看板スターとして活躍します。
しかし、マミが現れてからはマミに人気を取られて二番手の扱いに甘んじてしまい、めぐみが恋心を抱くパルテノンプロの立花慎悟もマミにかかりっきりになってしまいます。
マミに強いライバル心と嫉妬心を抱くめぐみですが、常に会社のことを考えプロ意識を持ち、マミに対してもライバルでありながらも先輩として面倒を見る優しい心を持ち合わせています。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 1巻 三月えみ/竹書房 より引用
そんなめぐみを主人公として、アニメでは描かれなかっためぐみの過去や成長、マミに対する思いや行動などを描いたスピンオフ作品です。
アニメで観ただけでは分からなかっためぐみの良さというものが、この作品の中では沢山描かれています。
アニメを観ていたファンの方はもちろん、観たけれどよく覚えていない方やアニメを観ていなかった方も、「綾瀬めぐみの物語」として本作だけでも楽しめるように描かれていますので、お薦めできる一作です。
4、『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』の主要登場人物3人を簡単に紹介
作品の魅力紹介の前に、まず物語の中核をなすメインの登場人物3人をご紹介します。
4-1 綾瀬めぐみ:本作の主人公、勝ち気で健気で負けず嫌いなお姫様
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 1巻 三月えみ/竹書房 より引用
本作の主人公です。
パルテノンプロに所属するトップスターで「ミルキーウェイ・プリンセス」のキャッチコピーでデビューをしました。
気が強くて言葉よりも先に手が出てしまうタイプで、マミに対しても厳しい態度を見せますが、それはめぐみ自身のプロ意識の高さから出てくるものです。
トップスターであることに胡坐をかかず、常に向上心を失わない努力家です。
自分自身が立花慎吾プロデュースによって生み出されたパルテノンプロの「商品」であることを自覚し、そのことを常に意識して行動しています。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 4巻 三月えみ/竹書房 より引用
しっかりした性格をしていますが恋愛に関しては不器用で、慎吾相手にはなかなか素直になれずにいつもつっかかっていきますが、それも愛情の裏返しです。
自分をアイドルにしてくれた慎吾とパルテノンプロのため、自分にできることはなんでもしようとする健気な心も持っています。
ちなみにアニメでめぐみの声をあてているのは、島津冴子さん。
個人的に島津さんの声、大好きなんですよね(うる星やつら(初代)の三宅しのぶ、ダーティペアのユリ、エルハザードのミーズ・ミシュタル、等々)
私が唯一人、声でキャラクターを好きになるような声優さんが島津さん、というくらい好きな声です!(うる星やつらもダーティペアも原作未読でアニメから入って、声からキャラを好きになりました!)
4-2 立花慎悟:プレイボーイだけど仕事に情熱を燃やす二代目社長
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 2巻 三月えみ/竹書房 より引用
芸能プロダクション・パルテノンプロの若き二代目社長です。
幼い頃から成績優秀、スポーツ万能で容姿にも優れているため女性からは常にモテモテで、自他ともにプレイボーイを認めています。
ともすれば軽くてチャラい男に見えますが、社長業に関しては常に本気で情熱を燃やして臨んでいます。
慎悟が見初めためぐみやマミをデビューさせるためならなんでもする押しの強さ、強引さを持ち、めぐみやマミを守るためにも力を惜しみません。
またプレイボーイと言われつつ所属するアイドルに手を出すことは決してしませんし、実際には本当に好きな人には素直になれない不器用な面を持ち合わせています。
本作においては、めぐみと深く関わる慎悟の内面や過去についても多く描かれており、第二の主人公といってよいと思います。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 5巻 三月えみ/竹書房 より引用
4-3 森沢優(クリィミーマミ):めぐみがライバル視する、本編アニメのヒロイン
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 1巻 三月えみ/竹書房 より引用
優は私立セントレミー学園小等部に通う小学生の女の子で、魔法のステッキを使用することでマミに変身します。
アニメ『魔法の天使クリィミーマミ』では主人公です。
優自身は元気いっぱいで快活な女の子ですが、マミに変身するとやや大人しめになります。
マミの姿の時にスカウトを受け、パルテノンプロ所属のアイドルとして活動をすることになります。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 6巻 三月えみ/竹書房 より引用
デビューするなり絶大な人気を得るようになりますが、優が小学生のため夜8時以降は仕事をしないと事務所にも伝えており、そのことから「午後8時のシンデレラ」と呼ばれています。
本作における主人公はめぐみのため出番はそこまで多くありませんが、めぐみのライバルとして、事務所の後輩として、めぐみに大きな影響を与えます。
5、『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』の魅力を4つのポイントで紹介
それでは本作『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』の魅力を、アニメ視聴済みの方向けの視点と、アニメ未視聴で本作を読まれる方向けの視点でご紹介します。
5-1 めぐみ視点で描かれる物語が、一度は視聴した『クリィミーマミ』の世界を補完する
主人公はめぐみですから、当然ながらアニメの優(マミ)視点では分からなかった部分を描くことが出来ます。
本作は公式のスピンオフ作品ですので、テレビ版のエピソードを上手いこと使用してその裏側を描くことが出来、それが実にうまく描かれていてアニメの世界を補完する内容になっています。
描かれているエピソードは
- 「渚のミラクルデュエット」
- 「スタジオは大停電!」
- 「鏡の中のマミ」
- 「星のパラソル」
そしてOVAの完結編
- 「ロング・グッドバイ」
など。
いずれも、各エピソードの中でめぐみがどういった思いで行動をしていたのか、またその結果としてめぐみがどう感じたのか、そういったところが描かれています。
更にめぐみ視点に加えて、めぐみと深く関係する慎悟の視点で追いかける場面も多々あり、二方面から『クリィミーマミ』の物語を新たに作り上げています。
この中でも特に「星のパラソル」はめぐみがメインのエピソードでもありますから、それをめぐみ視点で見ることが出来るというのはファンにとってはたまらないと思います。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 6巻 三月えみ/竹書房 より引用
まためぐみ視点ということは、魔法など使えないファンタジー要素のない芸能界の姿を描いているということでもあります。
優がマミに変身することでスカウトされ努力することもなくすぐにデビューして大人気となり仕事も沢山入り、トラブルがあっても魔法を使って解決できたりするのに対し、めぐみには一切そういうことはありません。
デビューするまでも様々なことがあり、人気を維持するため人に見えないところでの努力を重ね、周囲からの陰湿な嫌がらせや妨害を跳ねのけ、それでもマミの登場によりトップの座を奪われていきます。
マミの芸能界での姿がキラキラした表の姿なら、めぐみの芸能界での姿はキラキラだけではなくドロドロした裏の姿も含めたもの。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 4巻 三月えみ/竹書房 より引用
マミが表の舞台で輝いている裏では、目に見えないところで様々なことが起きている。
芸能界の表と裏、そういう意味でも補完し合い、作品の魅力を高めていると思います。
5-2 めぐみの過去やめぐみの思いなど、アニメでは知ることの出来なかっためぐみの魅力を知ることが出来る
めぐみ視点で物語を描くことにより、5-1のようにアニメのエピソードを補完するだけでなく、“綾瀬めぐみ”というキャラクターを深掘りしてその魅力を引き上げてくれています。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 2巻 三月えみ/竹書房 より引用
アニメでは優(マミ)視点がメインのため、ライバルとなるめぐみの描かれ方や印象はどうしても良いものばかりにはなりません。
むしろ、マミと対比させるためにも気が強くて我の強い女の子になってしまいますし、視聴者からしたら「怖い子」、「嫌な子」という立ち位置にもなりかねず、その魅力というものも伝わりづらいと思います。
しかしながらめぐみを主人公とすることで、それまでは見えなかっためぐみの努力、考え、悩みや葛藤、プロ意識、そういったものが全て見えるようになります。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 1巻 三月えみ/竹書房 より引用
途端にめぐみの弱さや強さといった人間らしさが分かって、一気に魅力が高まります。
- どのような気持ちで芸能界に入りアイドルデビューしたのか
- 何を背負い、何を考え、トップスターとして日々を送っているのか
- 求めているものはなんなのか
そういったことを一つ一つ知るたびに、めぐみのことを応援したい気持ちが増していきます。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 3巻 三月えみ/竹書房 より引用
マミはもともとアイドルになるつもりはなく、努力をしてアイドルになったわけでもなく、芸能界の厳しさや辛さを知っているわけでもありません(作品のコンセプトなので、それを否定するものではありません)
それに対してめぐみは努力と運と度胸でトップスターの座を掴んだわけで、そこに至るまでに積み重ねてきたものの重さや深さが優(マミ)よりも大きいのは確かです。
だからこそ人間臭くて共感を覚えますし、そんなめぐみの姿を見ることで魅力を感じることができると思います。
5-3 80年代テイスト全開!作品全体が当時のアニメ作品とその時代をリスペクトしたものだと感じられる
古い過去作品のスピンオフを今の時代に作るとなると、現代風のアレンジがなされてもおかしくはありません。
だけど本作は徹頭徹尾、1980年代に作られた『クリィミーマミ』というものを意識し、リスペクトして作られているのが分かり、それがまた作品の良さを大きく向上させています。
とにかく、全編通して80年代テイストが全開です!
例えばコミックスの表紙を見てみてください。
スタイリッシュでエッジの効いたとかとは無縁の、80年代アイドル風を前面に押し出したかのようなデザインで揃えられています。
『僕とロボコ』のコミックス表紙もこれをパ〇って……オマージュしてほしいですね(出版社が異なるから無理)
また漫画の絵柄そのものも、絶妙に原作のアニメを意識した作画で描かれております。
アニメ『クリィミーマミ』は高田明美さんがキャラデザインを行っていて、とても魅力的で美しいキャラクター達がいきいきと動いています。おまけ漫画の中で作者の三月えみ先生も「高田さんの絵が至高すぎて自分の絵で描きたくない病」が発症しているくらいです。
『Angel Touch ~エンジェルタッチ~ 高田明美画集』 高田明美/徳間書店 より引用
だけど十分に原作アニメをリスペクトしたキャラクターを描かれていると思います。
それは単にキャラの見た目だけではなく、キャラの動きであったり世界観の表現であったり含めてです。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 5巻 三月えみ/竹書房 より引用
読んでいて、「ああ、あの時代のクリィミーマミのスピンオフ作品が現代で作られたんだ」と思わされます。
そしてそれがこの作品には素晴らしくマッチしていて、読んでいて心地よく思えるのです。
5-4 主人公めぐみの、芸能界での成長と復活の物語としてアニメを知らなくても楽しめる
アニメの『クリィミーマミ』は小学生の女の子の優が魔法のステッキで変身してアイドルになるというものですが、今の時代にこの設定での物語はなかなか厳しいものがあります。
アイドルという存在やその価値観も1980年代とは大きく変わってきており、この設定では幼い女の子たちでもどこまで受けるか疑問な部分があります(あくまで現代では、という意味です)
しかしながら、主人公をめぐみとすることによってこれが一転します。
めぐみは才能と努力でトップスターにまで上り詰め、そしてそこから落ち目になってきている状態です。
そんなめぐみがマミの出現によってさらに窮地に陥りながらも、魔法など持たないめぐみは地道に努力を重ね、必死に仕事をこなし、再びトップを目指していきます。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 1巻 三月えみ/竹書房 より引用
過去編でのアイドルデビューのエピソードを含め、
- 才能はあるけれど普通の少女であるめぐみが努力を重ねて成長する姿
- 周囲から嫌がらせやいじめに屈せずに前へ進む姿
- 一度は落ちてもそこから這い上がっていく姿
そういっためぐみの姿は、多くの人の共感を得るものだと思います。
そして、そういう主人公の成長物語は王道、普遍的なものであり、アニメを観たことがない人でも楽しむことができます。
『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』 4巻 三月えみ/竹書房 より引用
もちろん、アニメを観ていた方がより楽しめることに間違いはありませんが、「女の子が変身してアイドルになる作品」くらいの記憶でも問題なく楽しめると思います。
また、観たことのない作品で尚且つスピンオフだからといって、最初から選択肢から排除してしまうのはもったいない魅力を持った作品です。
6、まとめ
今回は
- 日本アニメでの魔法少女ものの変遷
- 魔法少女ものの中での『魔法の天使クリィミーマミ』の存在
- 『魔法の天使クリィミーマミ 不機嫌なお姫様』の魅力
を、紹介しました。
元のアニメはどちらかといえば低年齢層向けでしたが、スピンオフの本作は大人が読んでも楽しめるものに仕上がっています。
かつてハマッて懐かしいと思った方はもちろん、そうではない方にも知ってもらいたいと思いご紹介しました。
そして思い出したあかつきには、デリケートに好きして欲しいと思います!(意味不明)
2023年は放映開始40周年ですから、また何か盛り上がるかもしれません!
以上、声優さんの声で断トツでは島津冴子さんの声が大好きなマンガフルライターの神門でした。
・・・新たな声のお仕事、やってくれないのかしら。本作がアニメ化された際には是非に!
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