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漫画『君のためのカーテンコール』の魅力を紹介!誰でもない誰かのために書く/演(な)る物語

どうも、マンガフルライターの相羽です。

今回は、シンプルに僕の大好きなマンガの魅力について、語らせてください。

その作品とは、

さとうしほ先生が原案、恵茂田喜々先生が漫画を担当されてる、

『君のためのカーテンコール』です。

というのも、2024年10月2日時点で恵茂田喜々先生がXで、

とポストされているのです。

これは、もちろん本来的には第4巻以降まで続く構想している物語の射程があるのだけれど、人気というか商業的な理由で、このままだとそのMAXのところまでは描けずに第3巻までで終了となりそう、という示唆が含まれているポストです。

それでも、2025年4月27日時点で、

ともポストされており、まだ、物語が続いていく希望はある模様。

今から、熱量を込めて『君のためのカーテンコール』の魅力について書いてみますので、少しでもピンときて頂けた方は、このゴールデンウィークの間にでも手にとってぜひ読んでみて頂けたらと思います。

なお、パワーを上げて文章を書きたいので、既刊第2巻までのある程度のネタバレが記事中に含まれます点をご了承頂けたらと思います。

さて、『君のためのカーテンコール』

主人公の一人、阿久津桜(あくつ・さくら)、は物語冒頭では閉塞感を抱えています。

 

世界を否定的に捉えてるところから、物語は始まります。

(「君のためのカーテンコール」 1巻 さとうしほ、恵茂田喜々/一迅社 より引用)

 

「息をするのも難しい」という彼女の閉塞は、社会の中で「自分として」生きるのがそのままでは難しいといった要因に起因します。ありていにいえば「コミュ障」みたいなものなのですが。

後に創作で表現されていく彼女の魂の大きさが巨大でかたちもユニークなので、そのまま(たとえば社会で波風立てないようにといった)整った規定の型に押し込みながら生きようとしてしまうと、溺れてしまうように「自分」が萎縮してしまう、そんな女の子なのです。

そこに彼女の魂のありのままのかたちを解放する、もう一人の主人公、柊つばめ(ひいらぎ・つばめ)が現れます。

 

つばめという名前のとおり、「当初は」、「空」や「解放」のイメージの人物です。

(「君のためのカーテンコール」 1巻 さとうしほ、恵茂田喜々/一迅社 より引用)

 

二人は運命的に出います。桜が書いた小説に感動したつばめは、言います。

「声が出ないならば キミは想いを綴ればいい ボクが代わりに キミの声に演(な)ろう」。

 

誰かのために、誰かに演(な)る。

(「君のためのカーテンコール」 1巻 さとうしほ、恵茂田喜々/一迅社 より引用)

 

二人は演劇をはじめます。

ここまでだと、つばめが王子様的なポジションで、閉塞していた桜を解放するという物語なのかな? と思えるのですが。

物語が進むと、実は一見自由であるようなつばめの方が、「そのまま(ありのまま)の自分を自分では愛せない」「自分以外の『本物』にならなくてはならない」という、観念の圧力にとらわれている人物であることが分かってきます。

 

ある種の自己否定感を抱えている柊つばめという人物像。

(「君のためのカーテンコール」 1巻 さとうしほ、恵茂田喜々/一迅社 より引用)

 

この、つばめが抱えている問題、近年の作品での模範的な解答は、無理に「本物」になろうとしなくても「そのままの自分でイイ」です。ですが、本作は「演劇」が題材の作品でもあるのですよ。

僕が好きなアニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズとか的には「あなたが優しいのはあなただからでしょう?」の台詞(『ガンダムSEED』内のラクス・クラインというキャラクターの有名な台詞です)に回帰するように、無理に競争に参加して自分以外の誰かになろうとしなくてよい、あなたはあなたのままでよいという話になるのですが。

「演劇」は多かれ少なかれ「自分以外の誰かになる」要素がある題材です。この場合、柊つばめの物語はどうなっていくんだ!? というのは、個人的に大いに興味が引かれてるところだったのでした(また巧みなことに、劇中の演劇で演じられる劇中劇が、この「自分」、「本物」という題材になっていたりします)。

つばめを、ある種「自分以外の『本物』にならなければ」と駆り立てていくきっかけとなるのが、三人目の主要登場人物、久世珊瑚(くぜ・さんご)です。彼女も役者で部員になってくれるので仲間でもあるのですが、ざっくりとは、つばめよりも役者として格上なのです。

 

このようなコマを選んでしまいましたが、穏やかに可愛らしい表情も見せる人です。

(「君のためのカーテンコール」 1巻 さとうしほ、恵茂田喜々/一迅社 より引用)

 

彼女に触発されて、つばめは向上の意識を持って演劇に取り組んでいくようになるのですが、それは、つばめと桜だけの世界だけにはとどまっていられないという彼女たちの内面・環境の変化のはじまりでもあって。

ちなみに、この、久世さんがとにかく「なんかすごい」というキャラクターなので、このキャラクターを目撃するためだけにでも、第1巻の購入をおすすめしたいくらいです。久世さんはこわい!

そしていよいよ四人目の主要登場人物、後輩の、小石莉々(こいし・りり)が演劇部に入ります。彼女の初期衝動は「お姫様になりたい」。あからさまに「自分以外になりたい」要素なので、初登場時は、きたー! とテンションが上がりました。

 

自分ではないキラキラした存在、「お姫様」という初期衝動。

(「君のためのカーテンコール」 2巻 さとうしほ、恵茂田喜々/一迅社 より引用)

 

当初憧れの珊瑚を目指して役者を希望しますが、当の珊瑚から「役者向いてないね」と告げられます。

そのタイミングで桜との対話もあり(桜は、自分ではなくつばめが輝けばいいと思っている)、自分以外の「誰かを輝かせる」道もあるのか試してみると、いったん役者ではなく衣装製作の道へ。

この題材も、近年の作品での模範的な解答は、「スポットライトを浴びるようなお姫様じゃなくても、一人一人自分の道がある。無理にお姫様にならなくても、そのままの自分を愛そう」です。

ところが、「誰かを輝かせる」の道を一度経験してみた上で、莉々が選んだ道は「でもりりは やっぱりりり自身が輝きたい」です。やはり、自分以外の誰かになりたい願いを、必ずしも否定的には描いていない作品! とテンションが上がりました。

 

自分自身という「誰か」のために。

(「君のためのカーテンコール」 2巻 さとうしほ、恵茂田喜々/一迅社 より引用)

 

そして、莉々は憧れてるのは珊瑚ですが、一連の出来事の中で魂が触れ合った、桜に対しても憧れとも嫌いとも好きともちがう「何か大きな感情」を持つようになっていきます。

このように、複数の女子同士による人間関係。その間でやり取りされる「大きな感情」という百合作品の醍醐味も味わえる作品です。女の子のキャラクターの絵も可愛いです。

自分という決して自分と切り離せない存在とうまく付き合えない中でもがいて、もがきながら他者を求めてしまうけど、他者はどこまでも自分の「かがみ」で。

……と、そんな感じで女子同士の静的な巨大感情がもつれ合いながらどこかに向かっていく! というところで一区切り……というのがざっくりとした第2巻までの流れです。

 

作品タイトルにも入っている「カーテンコール」の意味するところは……

(「君のためのカーテンコール」 1巻 さとうしほ、恵茂田喜々/一迅社 より引用)

 

どこへ向かっていくのかを目撃したい! 作者さんが思い描く結末までを見届けたい! というのが僕の率直な気持ちなので、第3巻から先までも続いていけるように、第1巻と第2巻をぜひ購入して頂けましたらと。

たとえ続かなくとも、第2巻のラストである程度の一区切り感も出てるので、上述したようなギラついた物語のエッセンスは体験して頂けると思います〜。

(追記)

『君のためのカーテンコール』、全話無料公開が開始されました! 5月6日までとのこと。この機会にぜひ〜。↓

『君のためのカーテンコール』/一迅プラス

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