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『マブラヴオルタネイティヴ』ゲームのコミカライズ作品ならではの魅力を具体的に印象的なシーンで紹介

 

みなさんこんにちは、ゲームも大好きなマンガフルライターの神門です

そんなゲームの中でも自身に大きな影響を与えたゲームというものが何本か存在しまして、そのうちの一つが『マブラヴオルタネイティヴ』でした。

2019年には正式続編の製作が発表され、その後も2021年と2022年にはアニメ放映もされ再び盛り上がりを見せているマブラヴ界隈であり、ここで更に(今さら?)自分も何かしたい、でもマンガフルは漫画を語るサイト・・・

そうだ、だったら、漫画版『マブラヴオルタネイティヴ』を語れば良いじゃない!

と、ハルーも言っております!

「マブラヴ オルタードフェイブル」 アージュより引用

 

ということで今回は、作品を知らない方には作品の魅力を、ファンの方にはコミカライズならではの魅力をお届けしたいなと思います。

何度プレイしても、読み返しても熱く燃え、泣いてしまう物語を是非ご一緒に堪能しましょう!

そして、アニメ第三期<横浜基地防衛戦>、アニメ第四期<桜花作戦>が製作されるよう応援しましょう!

 

目次

1、『マブラヴオルタネイティヴ』ってどんな作品?

著者 蒔島梓
出版社 KADOKAWA
掲載雑誌 月刊コミック電撃大王
掲載期間 2007年~2017年
単行本巻数 全17巻
ジャンル SF、あいとゆうきのおとぎばなし

 

『マブラヴオルタネイティヴ』は、元はアージュよりPCで発売された美少女ゲーム(いわゆる18禁ゲーム)でした。

文章を読み、途中で出てくる選択肢を選んで進めていくノベルタイプのゲームです。

前作である『マブラヴ』(いわゆる無印版)で展開された“EXTRA編”、“UNLIMITED編”を受けて発売された『マブラヴオルタネイティヴ』は、燃えゲーであり、泣きゲーであり、鬱ゲーであり、プレイした人達に多大なる影響を与えました。

『進撃の巨人』の作者・諌山創先生が『マブラヴオルタネイティヴ』をもとに『進撃の巨人』を作成したことは有名です(なお、プレイ中のとあるシーンでは、あまりのショックで一週間寝込んで続きがプレイできなかったというエピソードも有名

諌山先生、パクッていると堂々と言っていますね

「マブラヴオルタネイティヴ」 7巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

PCで人気を博した後、家庭用ゲーム機にも移植され、さらには2021年、2022年にはアニメ化もされました。

ゲームの続編も発表され、一時は静まっていたマブラヴ界隈もここ数年で再び盛り上がりをみせている状態です。

 

2、『マブラヴオルタネイティヴ』物語の概要

作品をご存じない方のために、簡単に物語の概要をご紹介します。

 

<EXTRA編 → UNLIMITED編>

2001年10月22日、主人公の白銀武は目が覚めると本来過ごしていた平和な“EXTRA編”とは全く異なる「並列世界」に放り出されていました。

その世界では、地球はBETAという地球外起源生命体の侵略を受けて人類の総人口は10億人程度まで減っており、武が知る街も朽ち果てているような状態でした。

異なる並列世界に入り込んでしまった武

「マブラヴオルタネイティヴ」 1巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

かつて通っていた学校は国連軍の基地となっており、級友たちは衛士となるためその基地で訓練兵として存在していました。

国連軍に入隊した武は、【人類救済計画 オルタネイティヴⅣ】の国連軍衛士として仲間と共に戦いますが、オルタネイティヴⅣは失敗し【地球放棄・人類脱出計画 オルタネイティヴⅤ】が発動されてしまいました。

その後も武は国連軍衛士として戦いますが、3年後にBETAとの戦いで命を落としてしまいます。

 

<オルタネイティヴ>

武が目覚めると、カレンダーの日付は2001年10月22日。

武はループして戻っていることに気が付きます。

武はUNLIMITED編で得た知識と経験を活かし、オルタネイティヴⅣを成功させるため再び国連軍衛士として戦いに身を投じることを決意しました。

オルタネイティヴⅣが凍結されオルタネイティヴⅤが発動された12月24日まで、残された時間は僅か二か月。

武は未来を変え、そして元の世界に戻ることはできるのか。

 

ということで、並行世界ものでループものとなります。

無印の『マブラヴ』を先に知っておいた方がより楽しめることは間違いありませんが、物語の前提さえ知っておけば『マブラヴオルタネイティヴ』からでも十分に楽しむことはできると思います。

 

3、『マブラヴオルタネイティヴ』の魅力

『マブラヴオルタネイティヴ』の魅力とは何か?

今までに様々なところで様々な人が言っていますし、それも人それぞれ受け取り方は異なります。

それでもあえて、ライターの主観で何が魅力なのかをご紹介します。

 

3-1 プレイヤーを本気で殺しにくる「圧倒的な絶望」に立ち向かうシナリオ

本作はノベルでありゲーム性はほぼないこともあり、シナリオこそが命です。

そしてそのシナリオが、プレイヤー達を精神的に殺しに来ます。

主人公の武はループして二回目ということもあり、訓練兵としては抜きんでた成績を残し、また元の世界の知識を活かした新たな戦術概念を取り入れさせるなど、天才衛士と謳われるようになります。

しかし平和な世界で育ち実際の戦争など経験したことのない武は、ある事件でそれまで積み上げてきたものを根底から壊されることになります。

なお、ここはまだ地獄に入る手前です

「マブラヴオルタネイティヴ」 7巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

でも、なんとかそこから立ち上がれそうだと思った次の瞬間に、地獄に叩き落されます。

ゲームをプレイした方ならご理解いただけるかと思いますが、そこからが「オルタが始まった」と言われます(地獄へようこそ! とも・・・)

更に地獄だと思った場所はほんの入り口で地獄の一丁目に過ぎず、地獄の底だと思っていたらそこから更に奈落に突き落とされていきます。

武に感情移入していればいるほどプレイヤーもダメージを負い、心を抉られ、精神的ダメージを受け、呆然としてしばらく動けなくなります。

いや本当に、あるイベントの後は諌山先生だけでなく多くの人がしばらくゲームを先に進めることが出来なかったと言っていますし、「こんなシナリオを見せる原作者は狂っている!」などと言う人もいたとかいないとか。

ここは地獄の四丁目、くらいでしょうか

「マブラヴオルタネイティヴ」 8巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

容赦するとか甘いことは一切なく、これでもかと武を追い込んでいくシナリオはまさに狂気、でもだからこそプレイヤーを強く作品世界に没入させていきます。

「もうやめて、武ちゃんのHPもMPも限界だよ!」

などと思いながら、次こそ救われるだろうと進めては落とされる、物語の辿り着く先を見届けずにはいられない吸引力を持っているのです。

 

当然ながら、ただ辛いシナリオを見せるのが目的ではありません。

武がなぜそのような目に遭わねばならないのか、武のとった行動がどのような事態を引き起こすのか、そしてそのことに対して武自身がどのように向かい合い変化していくのか。

主人公が成長してく姿もその中に含めて見せてくれます。

他の誰かに「大丈夫だ」と言われ、自分で考えることもせず安心してしまった・・・(成長前です)

「マブラヴオルタネイティヴ」 8巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

武は、望まずに時空を飛び越えて並行世界に来てしまい、なおかつループする特異な存在となってしまいました。

そんな武だからこそ襲い掛かってくる様々な理不尽とも思える事象が、武個人に絶望を与えます。

更にBETAという異形の外来種との戦いが、人類は滅亡に向かっており、このままでは確実に滅亡するだろうという全人類に共通する絶望もあります。

1973年からわずか30年足らずで中央アジアから欧州全土はBETAの配下となっている現実・・・

『マブラヴ オルタネイティヴ』公式メカ設定資料集 MUV-LUV ALTERNATIVE INTEGRAL WORKS より引用

 

物語の流れであったり、見せ方であったり、そういったテクニック的なものももちろんありますが、とにかく甘さなどない圧倒的な「絶望」とその「絶望」にどのようにして立ち向かっていくのか、その姿を見せてくれるシナリオこそが大きな魅力だと思います。

絶望のあとには希望がある、なんて甘いことを考えていた時が私にもありました。。。

 

3-2 架空歴史ものとしての完成度の高さ

本作はBETAの侵略を受けているというだけでなく、それ以外の歴史も私たちが生きる世界とは異なる、架空歴史作品でもあります。

人類が初めてBETAと接触したのが1967年、月面にて。

そこから人類は種の生存を目的とした戦いの歴史を歩き始め、2001年に至るまでどのような計画が立案されて実行されたのか、BETAと戦うため何が開発されたのか、当然ながら現実とは全く異なる歴史が築かれています。

こんな感じでずらりと年表が揃えられています

『マブラヴ オルタネイティヴ』公式メカ設定資料集 MUV-LUV ALTERNATIVE INTEGRAL WORKS より引用

 

その設定は実に細かく定められ、美少女ゲームだというのに女の子たちの絵や資料よりも、人類が歩んだ歴史、メカ、戦略・戦術作戦図、といった資料の方がはるかに多く作られています。

設定好きの人は、もうこの手の資料を読むだけで涎が出ると思います。

みんな大好き(?)不知火。大量の戦術機もばっちり記載!

『マブラヴ オルタネイティヴ』公式メカ設定資料集 MUV-LUV ALTERNATIVE INTEGRAL WORKS より引用

美少女ゲームでこんな作戦図が大量に

「マブラヴオルタネイティヴ」 アージュより引用

 

そして設定だけではなく、作品内で描かれる物語も架空歴史ものとして非常に優れています。

例えば、武の初めての実戦の相手はBETAではなく人間でした。

国内で発生したクーデター事件に巻き込まれ、否応なしに人間同士で戦う場に駆り出されました。BETAと戦うため、人類を守るため訓練しているのに、最初の戦いが人間同士という皮肉。

地球外外来種の侵攻により人類存亡の危機になっても、国と国、国内での派閥や利権といったもので、人間同士で足の引っ張り合いをしています。

どんな状況になろうとも全人類が一丸となって戦うなどということはない、人間とはそういう生き物なのだと描いています。

武は国連軍に所属していますが、日本帝国軍、米国軍などそれぞれ思惑があり、いかに相手を利用するか、いかに自分たちの都合の良い状況にするか、政治的・政略的なものを踏まえた物語が展開されます。

人類存亡の危機でありながら、国家間の争いは絶えない

「マブラヴオルタネイティヴ」 4巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

主人公が仲間たちと力をあわせてBETAと戦うぜ! という単純な話ではなく、歴史の積み重ねの上で現在があり、どのような未来を目指すのか、そのためにどのような選択をするのかが描かれます。

だからこそ、物語に重みと説得力が発生します。

 

実際には本作の魅力はこれ以外にも沢山ありますが、その全てを出していては尽きなくなってしまいます。

今回は、物語と、物語をなすための土台設定、この2つに絞りました。この2つがあるからこそ他の魅力も光を放っているのだと思います。

 

4、ゲーム作品のコミカライズならではの魅力

『マブラヴオルタネイティヴ』はゲームが先で、そこからコミカライズされました。

ここでは、漫画という媒体ならではの魅力をご紹介します。

 

4-1 主人公の武には見えない、他の登場人物の心情や動きを補完してくれる

ゲームが武と主人公とした一人称視点で物語を追いかけるのに対し、漫画は三人称視点で物語を追いかけます。

ゲームでは基本的に武が見たもの、聞いたものしか情報は入ってきませんし、分かりません(中には例外で、武がいない場面も描かれることはあります。さすがに、全て武が見ている場面だけだと他のキャラクターの活躍場面や重要シーンが見えなくなっちゃいますからね)

だから、武として事件がいきなり発生したと感じますし、キャラクターの言動に関しても理解できない部分が出てきます。

このシーンとか、ですね。答えも明示されませんでした

「マブラヴオルタネイティヴ」 アージュより引用

 

武には、自分がいない場所で何が行われているか分からないのは当然ですし、自分以外の人物が何を考えどのような意図で行動しているかは想像するしかありません。

しかし漫画は三人称視点で物語を俯瞰して追いかけます。

主人公の武をメインに展開していくことは間違いありませんが、武が動いているのと同時に別の場所で何が起きているのかも描かれています。

そういった裏側が描かれるから、次に武が遭遇する事件についてより深く理解して受け取ることができます。

 

様々な登場人物の心情や、過去に何があったのかなど、キャラクターの内面を深掘りするシーンもあります。

ゲームの中では、武以外のキャラクターの内面は、あくまで武が想像することしかできませんが、そういったキャラの心情や過去なども描くことで、そのキャラが抱えているものを把握し、どういうバックボーンがあるから今の言動につながっているのだとより理解しやすくなります。

主人公以外の登場人物の掘り下げも

「マブラヴオルタネイティヴ」 5巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

漫画ならではの一番の魅力は、まさにここかと思います。

 

4-2 ゲームでは立ち絵と文章だけの場面を、絵と動きでイメージ豊かに補完してくれる

ゲームの画面は基本的にキャラの立ち絵とその場面の背景、そして文章で進んでいきます。

そのため、同じような画面を長く見ることになります(とはいえ『マブラヴ』シリーズはキャラクターが画面の中をよく動き、表情もくるくるとよく変わるので、そこまで同じ画面が続いているとは感じさせません)

その点、漫画ではコマ割りをすることで同じ場面でもアングルを変えたり、人物の動きを大きくしたり、違う場所を映し出したりして物語をダイナミックに表現することができます。

ゲームでは一枚絵(でも、よく動きます)のシーンに、体の動きがつく

「マブラヴオルタネイティヴ」 8巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

これはメディアによる個性の違いで、ゲームでは人物の音声、BGM、効果音といったものもあわせて臨場感や迫力を出しているのに対し、音を出せない漫画だからこそコマ割りとそのコマとコマの繋がりによってゲームとは異なる迫力を出しています。

ゲームの中で展開されている内容をいかに漫画の中の動きに落とし込むかは、作者の想像力に委ねられる部分が大きいかと思います。

本作ではゲームの内容を忠実に再現しながらゲーム画面では見て取れない部分を上手く汲み取って落とし込めていると思います。

 

4-3 漫画だけのオリジナル要素で物語そのものを補完してくれる

原作がある作品をコミカライズする際にファンが気にする点の一つに、原作とは異なるオリジナル要素が組み込まれるかどうか、があります。

原作が好きな人ほど、オリジナル要素は邪魔だと考える人が多いのではないかと思います。原作が完成されているほどオリジナル要素を加えるのは難しく、失敗する可能性も高くなります。

本作は基本的に原作ゲームを忠実にコミカライズしていますが、それでもごく一部にオリジナル要素が付け加えられています。

しかしそのオリジナル要素も、『マブラヴオルタネイティヴ』の派生作品で描かれた外伝的内容を上手く適切なシーンに入れ込んだり、原作者が作ったネームを書き起こしたりと、あくまで作品を壊さないようにしています。

最終巻のあとがきを読むと、原作者の吉宗鋼紀先生もネームをチェックしていた様子がうかがえるので、そういった点でも違和感なくオリジナル要素を組み入れて物語を補完することに成功していると思います。

 

5、ゲームでは描かれていなかった漫画版ならではの場面を具体的にご紹介

ここでは実際に漫画版だからこそ描かれている場面を10個選出しましたので、時系列で紹介します。

ゲームをプレイした方も、そのシーンを思い出しながら見ていただければと思います。

 

5-1 横浜基地の二人の門兵とのやり取り

武が並行世界に来て最初に横浜基地を訪れた時に色々と揉めたのが、基地を守る門兵の二人でした。

ただの脇役でその後に出番などないと思われていたような二人でしたが、彼らにも当然ながら人生があり、思いがあり、それが描かれている1シーンです。

彼らも本心では地球を守るため、BETAと戦うために衛士となって戦術機に乗って戦いたい思いがあります。

ですが適正がなく落とされて門兵として基地を守る仕事に就いているのです。

訓練兵からいずれ衛士となってBETAと戦うことのできる武のことが羨ましいと言う姿は、とても良い1コマだなと思いました。

何気に良いキャラを出していた門兵の二人でした

「マブラヴオルタネイティヴ」 2巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

最前線で戦う衛士が目立ちがちですが、実際には整備、補給、情報、分析、といった最前線以外の多くの後方勤務があってこそ成り立っており、それらに従事している多くの人もBETAと戦い人類を守りたいと心から思っています。

そういうことを見せてくれたシーンでもあると思います。

 

5-2 夕呼が武の戦術機の機動を伊隅ヴァルキリーズに見せるシーン

武が考案した戦術機の新概念、キャンセルとコンボ。

夕呼はその新概念を実装した新OSの開発を行いますが、新OSによって実現できる武の機動を先行して伊隅ヴァルキリーズの面々に公開しました。

ゲームでは、もっと先に進まないと武は伊隅ヴァルキリーズの面々と会うことがなく、この場面も描かれていませんでした。

実際には、当然ながら新OSの概念とそれを考案した武の存在は伊隅ヴァルキリーズには知らされていたわけです。

またこの場面では、武が出会った時には既に戦死してしまっていたメンバーもいるので、そういった意味でも嬉しい追加描写でした(築地、高原・・・っ!)

登場する伊隅ヴァルキリーズの面々

「マブラヴオルタネイティヴ」 2巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

5-3 霞の過去や夕呼との出会いの場面

元の世界に戻る転送実験をしている中で、武は夕呼から過去から続いてきたオルタネイティヴ計画の説明を受けます。

その中で霞の存在についても説明されましたが、漫画の中ではさらに霞の幼少時やリーディング実験の姿、そして夕呼との出会いの場面などが描かれました。

夕呼と霞の出会いのシーンも

「マブラヴオルタネイティヴ」 3巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

霞の過去についてはゲーム本編でもあまり描かれていないので、こういう補完がされるのもありがたいものです。

 

5-4 クーデター事件の裏側

物語序盤の山であるクーデター事件。

ゲーム中の武にとっては突然発生したクーデターですが、実際にはその裏で様々な思惑があり、準備がすすめられたうえで起こったものです。

クーデター部隊の頭である沙霧大尉や駒木中尉たちの動きや、榊首相の動き、そういったものが漫画の方では描かれています。

クーデターが発生する前の、一場面

「マブラヴオルタネイティヴ」 4巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

誰が正しい、正しくないではなく、それぞれが自分の立場や成し遂げたい思いを抱えて発生したクーデターとそれから連なる動き。

大事な事件だけに、ちゃんと補完してくれています。

 

またクーデターでは米軍も介入してきますが、米軍の中で重要な役割を果たすのがウォーケン少佐とイルマ少尉です。

ウォーケンの考えやイルマの背景なども、簡単ではありますがここで事前に描かれます。

米軍にも様々な人が所属している

「マブラヴオルタネイティヴ」 4巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

それが、クーデターの混乱した動きの中にまた繋がっていくことになります。

特にイルマに関しては、ゲームでは冥夜が沙霧を説得し平穏に終わろうとしたところでいきなりイルマが発砲して裏切ったように見えました。

その後も特に何の説明もなくイルマは退場することになってしまいましたが、この漫画版の方ではイルマが自分の意思ではなく何かに操られた様子が描かれています。

イルマは自覚せずに行動してしまったことが描かれています

「マブラヴオルタネイティヴ」 6巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

クーデターが静かに終わっては困る陣営の差し金で、それがどこなのか、そういったものを読者にも分からせようとする補完描写でした。

 

5-5 クーデターに出撃していた伊隅ヴァルキリーズの戦い

クーデターにはA-01部隊、即ち伊隅ヴァルキリーズも出撃していました。

武は知る由もありませんでしたが、伊隅ヴァルキリーズもクーデター軍と戦いを繰り広げており、その様子が描かれています。

ゲームでは全く触れられることのなかった高原の戦死、高原の戦死に動揺する築地、そしてこの時点ではまだ生存していた麻倉も描かれていました。

茜、晴子、築地、高原、麻倉の訓練兵B小隊だった面々はまだまだ実戦に慣れているわけではなく、そういったことも分かります。

高原、可愛いですよね。貴重なポニテ娘が。。。

下には小さいですけれど麻倉の姿も

「マブラヴオルタネイティヴ」 5巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

5-6 武が元の世界に戻っている間の仲間たちの姿

武はオルタネイティヴⅣ計画に必要な論文を入手するため、元の世界の夕呼に会いにいきますが、その間も時間は進んでいきます。

武が元の世界に戻っている間、オルタの世界に残されていた仲間達がどのように過ごしていたかが描かれています。

A小隊の仲間たちは当然ながら引き続き訓練を行っていますが、嬉しいことにそれだけでなく伊隅ヴァルキリーズに所属する茜や晴子たちも描かれています。

たまに抱き着く晴子が・・・!

「マブラヴオルタネイティヴ」 7巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

クーデター部隊で戦死した仲間のことを思った行動や、恐らく噂で知った武のことを千鶴に聞いてきたりして、「そういったことがあったのかー」と思わせてくれます。

武たちより先に実戦に身を投じた茜たちとのちょっとした違いなども表現されていて、とても良いなと思いました。

戦死した仲間を思う茜と晴子、それを陰から見守るまりもちゃん

「マブラヴオルタネイティヴ」 7巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

個人的には、たまに抱き着く晴子が可愛かったです。

そんなことする関係だったんだ!

という発見でもありました。

 

5-7 まりもちゃんの訓練兵の話

トライアルで失態を見せた武を慰めたのは、まりもちゃんでした。

まりもちゃんは武を元気づけるために、自分自身の過去の話をします。

あえてゲーム画面より引用してみました

「マブラヴオルタネイティヴ」 アージュより引用

 

ゲームの中ではまりもちゃんが話してそのエピソードを伝えるだけでしたが、漫画版では実際のエピソードを2話以上にわたって描いています。

実はこれは、まりもちゃんの訓練兵時代のエピソードを描いた「贖罪」という別作品に収録されていたものです。

本編ではさらりと流されてしまいましたが、派生作品で実際に展開されている内容をうまいこと組み込んできて、まりもちゃんがどのような思いで訓練学校の教官になったかがより理解できます。

まりもちゃんの過去は「贖罪」から

「マブラヴオルタネイティヴ」 8巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

・・・っていうか、うわぁ、まりもちゃーん!!

 

5-8 甲21号作戦に参加したキャラクター達の背景

佐渡島ハイヴ攻略を目指す甲21号作戦は国連軍、帝国軍で行う大規模なもので様々な人物が参加します。

大きな戦いの中で、それらの人たちが考えていることや抱えていることなども、漫画の中で描かれました。

伊隅ヴァルキリーズは部隊の性格上、その事実は家族に対しても知らされることはなく、隊長の伊隅みちるも例外ではありません。

家族は、みちるが国連の教導隊に属していると知らされており、甲21号作戦に参加することなく安全な後方にいると信じています。

みちるの姉妹の一番下の妹・あきらは帝国軍の衛士として甲21号作戦に参画しますが、みちるも同じように作戦に参画することを知らない様子がここで見られます。

実の姉妹にすら、その任務内容は明かされない

「マブラヴオルタネイティヴ」 10巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

そして、みちると他の三人の姉妹は同じ一人の男を好きになったライバル同士でもあります。

甲21号作戦の最後、みちるは日本を救うために凄乃皇を爆破させ佐渡島もろともBETAを消滅させることを決意しました。

最期が近づく中、みちるは自分が恋した正樹のことを思い、自分の気持ちを吐き出しました。

ゲームでは伊隅ヴァルキリーズと最後の交信をした後、このようにみちるが気が付いた自分自身の本心を描いてくれると、読み手としても嬉しくなります。

みちるが最後に見せた、気持ちと、表情

「マブラヴオルタネイティヴ」 12巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

また、伊隅ヴァルキリーズの中でも他のキャラよりドライで割り切りがよく見える晴子ですが、晴子が国連軍に入ることを決めたシーンも描かれています。

BETAの侵略を受けて、戦うことが当たり前となっている世界で、晴子はまだ幼い弟たちを戦争に参加させたくないと思います。

晴子の思い

「マブラヴオルタネイティヴ」 11巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

戦う意味や覚悟、自分がなんのために戦うのか、ドライに見えてそういったことに悩み、迷ってもいる晴子の姿です。

他のキャラと異なり、並々たる熱意があるとか、お国のためにとか、そういう強い思いが持てずにモヤっとする晴子ですが、そういう姿を過ぎし日常シーンで見せることで様々な人間がいるとも思わせてくれます。

晴子、良いキャラですよね。

好きです!

 

5-9 水月と遥の交わした約束

横浜基地防衛戦において、水月は1999年の明星作戦のことを思い出しました。

それは、水月と遥が共に思いを寄せていた孝之が戦死した戦いでもありました。

共に想い人を失った二人は、失意の中にありながらも一つの約束をします。

いつか必ず、二人の間で孝之に対する決着をつけようと。

そんな二人が抱えていた思いを補完してくれたシーンでした。

水月と遥、二人のかわした約束とは・・・

「マブラヴオルタネイティヴ」 14巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

5-10 物語が完結した後の追加エピソードで未来を補完

桜花作戦が完了し、武が元の世界に戻って大団円とりましたが、武が去った世界は武がいなくなってもまだ続いていきます。

BETAが滅んだわけではなく、人類はまだ危険な状況であることに変わりはありません。

武が去った後、果たして世界はどうなったのか。

多くの人が気になったことかと思います。

漫画では2049年、即ち48年後の世界が追加エピソードとして描かれています。

桜花作戦から48年! そこには霞の姿が・・・!

「マブラヴオルタネイティヴ」 17巻 蒔島梓/KADOKAWA より引用

 

そこでは、霞が人類統合体の初代総監となっており、完全な平和といかなくても希望のある未来が続いていることを見せてくれます。

追加エピソードは吉宗さんがネームを描いていることもあり、公式なエピソードといえます。

これは是非、作品を読んで楽しんでもらいたいエピソードです!

 

6、まとめ

今回は『マブラヴオルタネイティヴ』の熱が再燃したこともあり、

  • 『マブラヴオルタネイティヴ』の魅力とは?
  • コミカライズならではの魅力とは?
  • 具体的にコミカライズならではのシーンはどこ?

 

といったところを紹介しました。

果たして正式続編がいつ発売されるのか(本当に発売されるのか?)、そしてアニメ三期以降は実現しないのか。

その辺は信じて待ちたいと思います。

実現するためには、周辺が盛り上げることも重要ですからね!

ということで、登場人物の中ではハルー、まりもちゃん、月詠さんが好きな神門でした。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

社畜として働きつつ、漫画と小説と野球に癒される日々。人生を変えた作品は「女神転生」。プロ野球を愛しベイスターズを愛する。 熱血王道もの、血飛沫舞うバトルものから美少女百合ものまでなんでも好む。特に「無限の住人」の美しい殺し合い、「はやて×ブレード」のバカバトルが好きです。