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【今週の一冊】『16bitセンセーション』2巻の感想。1990年代の激動の美少女ゲームの変遷を追いかけて

みなさんこんにちは、【今週の1冊】として毎週金曜日、基本的には直近に読んだ作品(時には古い作品も!)をご紹介するマンガフルライターの神門です。

皆さんが作品を購入するご参考にしていただければと思います。

今週は、11月に第2巻が発売された、『16bitセンセーション』をご紹介します!

 

1、『16bitセンセーション』ってどんな作品?

まず簡単に本作の内容をご紹介します。

時は1990年代の前半、当時はまだパソコンは一般的には普及しておらず、保有しているのはある意味でコアなユーザーという時代でした。

パソコン自体が非常に高価でそう簡単には手が出せるようなものではないのですが、そんなパソコンを欲しいと多くの人に渇望させたのが、

美少女ゲーム

です。

煩悩は人を動かす大きな原動力となります。

本作はそんな1990年代前半から、美少女ゲームやその業界がどのように変遷していったのかを描いている作品です。

アクアプラスのみつみ美里さん、甘露 樹さんを企画・原作に、『神のみぞ知るセカイ』の若木民喜先生が漫画を描いています。

 

2、パソコンゲームの黎明期を振り返ってみる

作品の内容に入る前に、パソコンゲームの黎明期の状況などを思い出してみました(興味ない方は読み飛ばしてください)

パソコンが一般家庭に入り込み始めたのはおそらく1980年代以降だと思いますが、その当時にパソコンを欲しいと自発的に思う人は、身近にパソコンがあってそれを触ってみて自分も欲しい! と思うからだと思います。

実際私も、幼少時に自分の家にパソコンが置いてあって、それでゲームができたのがきっかけでした。

当時はCDやフロッピーディスクどころかカセットテープの時代で、カセットをデッキにセットして読み込ませること数分以上、それでようやくゲームのデータをロードしてプレイできました。

よくプレイしたのは『来なさい!』という、ロードランナーと平安京エイリアンを足して割ったようなゲームで、こんなゲームでも何回もプレイして楽しんでいました。

その後、友人の家でPC-88に触れ、そこで「イース」「信長の野望」といったゲームに触れて衝撃を受け、自分のパソコンが欲しい! と願ったものです。

作品内のコラムで若木先生も言われていますが、そうしてパソコンを手に入れた後にやりたくなることとえばプログラミング、自分でゲームを作ることです。

さすがに全部はアレなので一部を抜粋。「うんうん」と頷く貴方は是非、本作をお薦めします!

「16bitセンセーション」 2巻 若木民喜/KADOKAWA より引用

 

私も多分に漏れず、本を買って本のサンプル通りのソースコードを入力したりしましたが、そのレベルで挫折しました。

先に進む人は、そこでコードの意味とかを調べて理解して、自分なりにサンプルプログラムを修正して異なる動きをさせてみたりして、そこから更にプログラミングの道に進んでいくのだと思います。

 

当時のパソコンは30万を優に超える値段がして、さらにCRTモニターも別売りで必要で、どちらもデカくて置く場所に困るし、子供がおいそれと買えるものではないのですが。

それでもパソコン欲しい熱を燃えさせ購入に至る大きな要因に、美少女ゲームの存在は欠かせません。年頃の男子に、美少女ゲームは刺激が強すぎると同時に、圧倒的な訴求力もあわせもっていました。いつの時代もエロは偉大ですね・・・

 

本作は、そんな経験を持つ方はもちろん、そこまで古くなくても1990年代からパソコンに触れていた方に必ず突き刺さる作品になっています。

1992年から、その当時の状況と、その年に発売されてヒットした美少女ゲームが実名で出ており、さらには漫画に加えて色々な視点での美少女ゲーム業界コラムも載っていて、その内容が頷かされるものであったり、知識として「なるほど」と思わされるものだったり、とってもお得感満載です。

 

3、『16bitセンセーション』の魅力とは?

今回は発売された2巻をメインとしますが、この2巻で描かれているのは1996年から1998年、DOSからWindowsへと移る大転換期。

それは同時に、美少女ゲームとしても転換期を迎えていて、いわゆる『同級生』のような主人公中心のゲームから、『To Heart』のようなヒロイン中心のゲームへと変わっていくものでした。

当時を経験した人なら頷けるのではないでしょうか。

衝撃を与えた「To Heart」

「16bitセンセーション」 2巻 若木民喜/KADOKAWA より引用

 

名手であった剣乃ゆきひろ氏の制作した『EVE』『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』のように強い主人公を中心に世界を動いて女の子を惹きつけていくゲームから、没個性の主人公が多くの魅力的なヒロインの誰か一人に惹かれてその女の子との関係性を深堀していくゲームが多くなっていくことを。

漫画の世界でいうならハーレム系ラブコメ作品が強くなっていく感じなのかもしれません。

ちょうどこのころから、Leaf、Keyといったブランドのノベルゲームが人気を博してくることになり、この先の美少女ゲームの流れを決定づけていきます。

そういう美少女ゲームの移り変わりを、美少女ゲームメーカーで働くイラストレーターのメイを中心に描いております。

漫画で描かれている内容も面白いのですが、やっぱりコラムが唸らされるもの。

  • 主人公インフレ時代の終わりとヒロインインフレの始まり
  • 女の子の「ダンジョン化」~「To Heart」が開いた現代ギャルゲー

 

など、読むと時代が変わっていったその瞬間であったことを理解させてくれます。

 

 

個人的に気に入っているのはプログラマーの守くん。

守は生粋の98っ子で、Windowsが出るとなっても98の牙城を守り続けると頑なに言い続けるほど。

国産PC、98が消えるのを目前にして守は・・・

GATEWAYとか懐かしいなー。牛さん!

「16bitセンセーション」 2巻 若木民喜/KADOKAWA より引用

 

AT互換機(DOS/V機)とPC98は異なってゲームも98専用ゲームだったものが、Windowsで完全に統一化されちゃいますからね、98の終焉は98ユーザーではなかった私もどこか悲しいものでした。

と言いながら、私はPC-98で発売された『偽典・女神転生』をプレイするためAT互換機の98-NXとか買いました。

そうしたら肝心の『偽典・女神転生』がバグだらけで進められないという悲劇・・・!

という感じに、人それぞれで思うところ、感じるところは違うかもしれませんが、同じ時代のパソコン世界を経験してきた人なら、間違いなく当時の自分がどのような衝撃を受けたから思い出して楽しめる作品になっています。

 

また、美少女ゲームもコンシューマー版で発売されて売れるのが当たり前のようになり始めた時期でもあります。

その前まではPCエンジンで発売されたオタク向け、マニア向けという感じのジャンルだったものが、セガサターン、プレイステーションといったハードでごく当たり前にように発売され、パソコンを持っていない人でも当たり前に楽しめる時代に突入します。

セングラ・・・そう、それは戦闘用グラップラー

「16bitセンセーション」 2巻 若木民喜/KADOKAWA より引用

 

PCにおけるDOS/V ⇒ Windowsへの転換だけではなく、PC-コンシューマの並行時代の幕開けでもあった激動の時代。

その時代の真っただ中に身を置けた幸せを感じさせてくれると思います。

 

とにかくノスタルジーを感じさせる本作、今回のコラムを読んでどこか一つでも、少しでも刺さるようなところがあれば手に取ってみて損はありません!

さあ、1990年代にGo Back!

 

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ABOUTこの記事をかいた人

社畜として働きつつ、漫画と小説と野球に癒される日々。人生を変えた作品は「女神転生」。プロ野球を愛しベイスターズを愛する。 熱血王道もの、血飛沫舞うバトルものから美少女百合ものまでなんでも好む。特に「無限の住人」の美しい殺し合い、「はやて×ブレード」のバカバトルが好きです。