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誰も教えてくれない漫画の読み方/歴史漫画編

どうも、和佐です。

今回は僕なりの「漫画の読み方」について書いていこうと思います。

普通、漫画の読み方を誰かに習うことはないと思いますが、ちょっとしたコツを掴んでおくだけで、漫画を10倍楽しむことができ、さらに、知識として多くの情報を身につけることもできてしまいます。

漫画は読んで楽しむのも醍醐味ですが、漫画から得られる「雑学」が、人生を大幅に豊かにしてくれます。

この雑学は

  • コミュニケーションにも使え
  • アイディアのヒントにもなり
  • 新しい興味関心の呼び水にもなる

ので、余すところなく漫画をしゃぶり尽くしていきましょう。

では早速ですが、今回は「歴史漫画編」ということで、僕が普段実践している歴史漫画の読み方をご紹介していきます。




1.歴史漫画といえば?

言わずと知れた歴史マンガの金字塔、横山光輝先生の”三国志”。学校の図書館で見たという人も多いのでは。

歴史漫画といえば横山光輝先生の「三国志」だったり、手塚治虫先生の「ブッダ」だったり、割と古い漫画を連想する人もいると思いますが、そんなことはありません。

最近(2017年2月現在)の連載作品でいえば、

  • ヤングジャンプ連載の原泰久先生の「キングダム」
  • 月刊アフタヌーン連載の岩明均先生の「ヒストリエ」
  • ゲッサン連載の石井あゆみ先生の「信長協奏曲」
  • ビッグコミックス連載の中村真理子先生の「天智と天武」
  • コミックエース連載のたかぎ七彦先生の「アンゴルモア」
  • ビッグコミックスペシャル連載のおかざき真里先生の「阿・吽」
  • バンチコミックス連載の灰原薬先生の「応天の門」
  • アクションコミックス連載の王欣太先生の「達人伝」
  • モーニングコミック連載の惣領冬実先生の「チェーザレ 破壊の創造者」

などなど、数多くの歴史漫画が連載されています(天智と天武は完結してますね)。

信長協奏曲や信長のシェフ、群青戦記などの先品は「現代から主人公がタイムスリップする」という物語展開なので、厳密には歴史漫画というよりは、SFに近いのかもしれませんが、とにかく歴史漫画の魅力は、

「史実に基づいた、実際に生きた人間たちの物語である」

ということです。

これが物語好きとしてはたまらないわけです。

「同じ人間だもの。現代にも共通することや真似できることがあるはず。生きる指針にすらなりうる。」

と、僕は考えています。

実際、僕の人生は数々の歴史上の偉人たちの人生や考え方を参考にしています。

例えば日本人なら坂本龍馬、織田信長、中国なら曹操、劉備、孫氏、孔子、ヨーロッパならアリストテレス、カエサル、チェーザレ、などなど、数々の偉人から生きる哲学を学んでいるわけです。

まあ、この辺りは話すと長くなるので先に進めますが(笑)

とにかく、

「こんなすげー奴らが、実際に生きていたんだ」

というだけで、僕はそこにロマンを感じるのです。

2.歴史漫画を読む上で何が大事なのか?

 
西村ミツル・梶川卓郎による作品。戦国時代にタイムスリップした料理人の主人公が、信長お抱えのシェフとして奮闘するという内容。2013年にはドラマ化もされた。

ぶっちゃけ、歴史漫画はそのまま読んでも面白いです。

しかし、多くの人が学校で学んだ歴史の授業が頭に残っていないはずなので、何の事前情報もなしに読み始めると、「時代背景」というダイナミクスを感じられないまま読むことになってしまいます。

こうなると要は、

「ただの人間ドラマ」

になってしまうのです。

歴史漫画のいいところは、

「歴史は既に決まっている」

というところです。

つまり、織田信長が主人公の漫画があったとしたら、結末は本能寺の変で殺されることに決まっているんです。

そして豊臣秀吉、徳川家康に歴史が繋がっていく。

言うなれば、歴史漫画とは「オチが見えている漫画」なわけです。

これを本気で10倍楽しもうと思ったら「背景」や「未来」を想像する必要があるのです。

だから歴史漫画を読む上で大事なことの1つは、

「ざっくりでいいから、歴史背景を理解しておく」

ということです。

例えば先ほどの織田信長が主人公の場合、必ず秀吉も家康も明智光秀もどこかで出てきますよね?

例えば子供の頃に家康が織田家に人質に取られていたとか、秀吉が「サル」と呼ばれていた一兵卒だったとか、明智光秀が織田軍の中で出世していく様だとか、

「これが、10年後、こうなるのか!」

と、想像を膨らませながら読み進めていくわけです。

こうやって「先を予測しながら」読んでいくと、当然のこととして、

「なぜこいつはあんなことをしたのか?」

「何がどうなってこいつはあのポジションにつくんだ?」

など、疑問が浮かんでくるはずです。

この疑問こそが、歴史漫画を読む上で最高のスパイスになっていきます。

要するに歴史漫画とは、

「作者の歴史解釈」

ですから、作者自身も、歴史上の人物を描く上で、史実をなるべく多くリサーチして、史実と史実の間にある「謎」について考察しているのです。

例えば、信長と光秀の関係性。

この2人にはどんなストーリーがあって、謀反に至ったのかは、歴史の史実には書いていないんです。

史実には「出来事」しか載っていませんからね。

出来事と出来事の間には、必ず人間関係があり、複雑に絡み合った「必然性」があるわけです。

理由がなければ謀反なんて起こさないし、理由がなければ人間は動かないんです。

歴史解釈とは史実と史実の間にある無数の「なぜ?」を、想像力を持ってして紐解いていく作業です。

これは気の遠くなるような作業ですが、漫画家はその膨大で先の見えない作業を「僕らの代わりにやってくれている」わけですよ。

作者の「なぜ」と、自分の「なぜ」が合致した時、そこにえも言えぬ作者との共感が生まれ、感動が生まれるのです。

何も考えずに読むのではなく、自分自身もその歴史を解釈するべく、想像力を働かせながら読んでいく。

自分では思いつかなかった解釈がそこにあったり、気づかなかった事実があったり、言ってみれば、漫画と対話していくようなものです。

歴史背景をざっくりと理解し、疑問を持つだけでも、もうこれだけ「楽しみ」も「感動」も増えていくわけです。

ただ流し読みするなんて勿体無い。

僕はもうWikipediaと漫画の往復ですよ(笑)

これを続けていくと第3の楽しみ方である、

「他の人の視点」

をしゃぶりつくせるようになっていきます。

これは2つの意味があるんですが、

1つは、

「他の作者の歴史解釈を楽しむ」

そしてもう1つは、

「違う登場人物の視点を楽しむ」

ということです。

他の作者の歴史解釈はわかりやすいですね。

要するに、他の織田信長が主人公の漫画を読むんです。

そうするとまた違った人物像が浮かび上がってきたり、解釈によってこうも内容が変わるのか?という楽しみ方ができます。

そしてもう1つの「違う登場人物の視点」で言えば、例えば織田信長が主人公の漫画に対して、豊臣秀吉や徳川家康が主人公の漫画を読んでみたり、武田信玄や上杉謙信の視点も面白いですね。

織田信長は他の人物からするとどんな風に見えていたのか?

例えば、「信長のシェフ」では、現代のシェフがタイムスリップして信長に仕えるわけですが、この場合、「料理人の視点で信長を見る」ということになります。

信長視点で見ると、第六天魔王に相応しいような傍若無人ぶりが目立つかもしれませんが、一方で信長のシェフで描かれている信長は、傍若無人ですが、冷酷無比というよりは、論理的に物事を考え、あえて「恐怖」を利用しているような印象です。

こんな風に、登場人物の視点が違うだけで、一連の物語にさらなる深みが出てくるのです。

だから僕のオススメは、

「歴史漫画は同じ題材のものを必ず複数読む」

ということです。

僕は三国志も好きですが、漫画「三国志」の場合は劉備玄徳が主人公で、主に劉備の物語として三国志が描かれていますが、「蒼天航路」では、曹操が主人公として描かれています。

三国志という物語を違う視点で読むことができるわけです。

最近流行りの「キングダム」は、秦の始皇帝の物語ですが、これを読むなら合わせて「達人伝」も読みましょう。

達人伝は、キングダムの時代よりも少し前の時代で、秦の大将軍である白起が猛威を振るった時代の、秦以外の国の視点で物語が進んでいきます。

若かりし頃の呂不韋が出てきたり、嬴政の父親が出てきたり、キングダムと合わせて読むことで想像が一気に膨らんでいきます。

ここまでくると最後の4つ目の楽しみ方、

「近い歴史漫画を読む」

という段階に入っていきます。

例えばキングダムは秦の始皇帝の話なので、時代的には紀元前250~220年ぐらいの漫画です。

三国志の時代は、始皇帝の時代から400年が経った180年~280年ごろの話なので、歴史的に「つながり」があるんです。

他にも、古代ローマであれば、カエサル時代、スパルタカス時代、ハンニバル時代、五賢帝時代、もっと歴史を下れば、ルネッサンス時代、などなど、「同じ地域の歴史的血統」を感じることができます。

同じ地域の歴史を貫いて読んでいくと、段々と地理にも詳しくなっていって、何がどうなっているのかを俯瞰して読めるようになっていきます。

日本の歴史でも、飛鳥時代、奈良時代、平安時代、鎌倉時代と、貴族社会から武家社会に変わっていく様子や、仏教がどのように根付いていったかなど、縦に貫いていくことによって見え方が変わってくるのです。

  • 「天智と天武」は蘇我入鹿や中大兄皇子の漫画なので飛鳥時代
  • 「阿・吽」は空海と最澄の漫画なので奈良時代
  • 「応天の門」は菅原道真の漫画なので平安時代
  • 「アンゴルモア」は元寇合戦の漫画なので鎌倉時代

これを読むだけで、日本の歴史がどんな風に変わっていったのかが見えてきたりするわけです。

これを踏まえてから、毎度おなじみの織田信長を読んでみたり、徳川家康を読んでみたり、「超高速参覲交代」のような映画を見てみるなり、さらに明治維新から、第一次世界大戦、第二次世界大戦、昭和、平成と続けて読んでみたり。

もう、なんでもやりたい放題ですよ(笑)

歴史がわかってくると、あらゆる漫画・映画・ドラマが10倍楽しめるようになります。

最高ですね(笑)

3.最後にまとめると・・・

歴史漫画を楽しむ上で重要なことは4つ。

  1. 読む前にザックリとでいいから歴史背景を知っておくこと
  2. 史実と史実の間の「謎」に疑問を持つこと
  3. 違う視点で同じ時代を読んでみること
  4. 同じ地域の前後の歴史を読んでみること

あ、最後に加えるとしたら、

  • 違う地域の同じ時代の歴史を読んでみること

これができると、

「あー、この時はちょうど日本ではこんなことがあったのか・・・」

など、中国と日本の比較ができたり、ヨーロッパと日本の比較ができるようになります。

これもまた、歴史のダイナミクスを大いに感じる楽しみ方ですね。

始皇帝とか、古代ローマ帝国とか、紀元前の話ですよ!

日本はまだ弥生時代ですから!

古墳すら、まだですからね。

そんな時代において、中国では大型の攻城兵器が使われていたり、ローマではアリストテレスも、アルキメデスもいるんです。

「どんだけー!」

と、思わず叫びたくなるような時代格差。

まあ、これは別に日本だけじゃなくて、南米の方だって大きく進歩が出遅れているんですが(1400年代まではまだインカ帝国ですから)、それにしても、日本人の追い上げは半端じゃないな、と。

時代のダイナミクスを感じれば、今を生きる僕らも、

「何かがしたい」

と思えるはずです。

それが初期衝動になって、次の偉人が生まれるかもしれないわけですから、歴史漫画は人生を左右するといっても過言ではないのです。

では、みなさんも是非、歴史漫画を読みましょう。

最後にオススメの歴史漫画をまとめておきますね。




4.和佐大輔がオススメする歴史漫画

 

1.蒼天航路

まずは何と言っても蒼天航路です。これは漫画でちゃんと読んだ方がいい。アニメ版はイマイチ。王欣太の漫画はどれも味わい深く、絵も非常に美しいですが、中でも蒼天航路は格別です。終盤になるにつれて曹操が年老いていく姿は号泣必至。曹操を取り巻くキャラクター達も実に魅力的で、歴史漫画の「最高レベル」と言っても過言ではありません。心に残る名言が多いのも特徴です。

2.ヒストリエ

寄生獣で有名な岩明均の作品で、古代ギリシャの物語。過剰に感情的に人間を描く最近の漫画の風潮からは大きくかけ離れ、「実際の人間はこんなもの」というリアルを見せてくれる作風が特徴的。同作者の「ヘウレーカ」もオススメ。

3.宗像教授シリーズ

「伝奇考」「異考録」の2つの連載からなる考古学漫画。歴史漫画ではないけど、考古学的な見地から(宗像教授視点)歴史を想像し、大いに楽しめるシリーズです。ちなみに星野之宣のSF漫画はどれも面白いので読む価値ありです。

4.天智と天武

蘇我入鹿、中大兄皇子、中臣鎌足など、小学校の社会の授業で習った大化の改新の物語。なんとなく悪者として考えていた蘇我入鹿に対して、また違った視点を持つことができる漫画です。真実は歴史の闇の中ですが「こんなシナリオもありえる」という面白さがあります。

5.幕末狂想曲RYOMA

幕末を生きた坂本龍馬が生き生きと描かれ、また違った視点で明治維新について学ぶことができる漫画。この漫画で描かれる龍馬の生きかたは、僕らに足りない何かを思い出させてくれます。

6.チェーザレ 破壊の創造者

君主論でマキャベリが「理想の君主」として上げた英雄「チェーザレ・ボルジア」の生涯を描いた漫画。ルネッサンス時代の華やかさの裏で渦巻く政治的な陰謀。そして全ヨーロッパ統一という野望を抱いた1人の天才。これはもう、面白くなるしかないテーマです。惣領冬実の他の作品も非常にオススメ。

7.ビン~孫子異伝~

孫子の兵法でお馴染みの「孫子」の物語。孫武の子孫である孫ビンが様々な計略を持って圧倒的な戦力を持つ匈奴(モンゴル)の大群と対峙し、熾烈な戦争を繰り広げる。いい感じに加速したデフォルメで、どんどん次が読みたくなるはずです。が、しかし、打ち切りになってしまった(苦笑)ちなみに、孫ビンの師匠である鬼谷子の本も面白いので読んでみてください。

8.墨攻

歴史の中に消えていった「墨子」の思想を体現する主人公が、ひたすら攻めて来る敵から城を守り続ける物語。「攻城」ではなく「守城」というニッチなテーマですが、歴史の中には確かに「墨家」という思想があり、そのために戦い抜いた人々がいたのです。

9.阿・吽

空海と最澄の生涯を描いた物語。特に最澄の人知を超えたトリップっぷりは、読んでいる僕らの思考も加速させるような感覚を与えてくれます。これはもはや「読むドラッグ」です。

もちろんまだまだありますが、以上に挙げた9作品はぜひ読んでみてください。世界が広がるはずです。

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ABOUTこの記事をかいた人

「人生で大事なことはすべて漫画から学んだ」と豪語するマンガタリのライター。「漫画を愛し、漫画に愛された男」サンシャイン和佐は少しでも多くの人に漫画のすごさを伝えなければいけない、という身勝手な使命のためにマンガタリを一人で運営中。詳しくはプロフィールをご覧ください。