みなさんこんにちは、【今週の1冊】として毎週金曜日、基本的には直近に読んだ作品(時には古い作品も!)をご紹介するマンガフルライターの神門です。
皆さんが作品を購入するご参考にしていただければと思います。
今回ご紹介するのは
『ヘルドッグス 地獄の犬たち』
です。
うーん、奇しくもこの記事公開をする日は12月24日クリスマスイブ、まさにそんな日に相応しいタイトルですね!!
本作は深町秋生先生による同名小説のコミカライズとなります。
正直、原作小説がめちゃくちゃ面白くて、でもそれゆえに漫画化して果たして面白くなるのか? という不安がありましたが、杞憂に終わりそうです。
原作の面白さを漫画の中で確実に、誠実に、展開してくれています。
主人公の兼高は、東鞘会というヤクザの組織の若頭補佐という立場。
しかしながらこの兼高、実は警察官で身元を隠してヤクザ組織に潜入した潜入捜査官。
組織でのし上がり、地位と信頼を得て組織が持っている重要な情報を取得するため、三年半の歳月をかけて若頭補佐まであがってきました。
ヤクザの世界で簡単にのし上がるには、実績を積むしかない。
その実績とは即ち「汚れ仕事」で、警察官でありながら兼高は組織のヒットマンとして何人もの男を殺してきました。
警察官なのに、人を殺してしまう。
仲間たちの前では表情一つ変えず、容赦なく相手を痛めつけ、殺し。
人のいないところで嘔吐し、眠れない夜を過ごす。
そこまでして組織に入り込むにはそれだけの理由があり、実は東鞘会のトップの十朱も元は警察官である潜入捜査官。
しかし十朱はそのままヤクザのボスに収まってしまい、当然ながら警察はそのことを明かすわけにもいかず、弱みを握られている状態。
その十朱の存在を消すことこそ、兼高が送り込まされた理由なのです。
「ヘルドッグス 地獄の犬たち」 2巻/イイヅカケイタ KADOKAWAより引用
なんていうか、この設定だけで面白そう! と思った方は是非、手にとってみてください。
B級バイオレンスの面白さがギュッと詰め込まれています。
本当は警察官なのに、人殺しなどの犯罪をおかしていく兼高。
当然ながら警察内でも彼の存在は殆どの人間に伏せられ、かつての仲間たちからも敵視される存在になりながら日々を過ごす。
しかもヤクザの世界は、「盃を交わす」みたいなことがあるわけで、ある意味で親兄弟よりも強い絆が生まれる関係にもあります。
本来なら警察官として取り締まるべきヤクザ連中と仲間になり、絆が芽生え、権謀術数の渦巻く警察社会よりもむしろ仲間の熱さを感じるようになる矛盾。
- 警察官だけど警察は仲間ではない。
- 東鞘会内部で信頼を勝ち取りつつあるけれど、東鞘会は討つべき敵で心を許すわけにはいかない。
すさまじいまでの孤独の中、使命のために全てを押し殺して突き進む兼高の覚悟やすごみが、上手いこと絵柄ともマッチして出されています。
「ヘルドッグス 地獄の犬たち」 1巻/イイヅカケイタ KADOKAWAより引用
原作小説を変に改悪することなく展開させているのも正解。
本作は余計なものの入っていない作品だったので、プラスアルファとか追加要素なんかはない方が良いでしょう。
ヤクザ世界の抗争を描いたバイオレンスなので、当然ながら暴力などのバイオレンス描写が盛りだくさんなので、その辺が苦手な方は避けた方がよいかもしれませんが。
物語の面白さは折り紙付きです。
できることなら、原作小説を読んでからをお勧めしますが、漫画から入っても楽しめると思います。
物語設定自体は前述したようにそこまで複雑ではないので、漫画からでも世界観にすっと入っていけるはず。
深町ワールドを漫画世界で表現できるのか? といった点もご説明した通り問題ありません!
ファンの方はもちろん、原作を知らなかった方も楽しめると思います。
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