みなさんこんにちは、【今週の1冊】として毎週、直近に読んだ作品(時には古い作品も!)をご紹介するマンガフルライターの神門です。
皆さんが作品を購入するご参考にしていただければと思います。
今回ご紹介するのは
『ソアラと魔物の家』
です。
日々の生活における重要な三大要素と言えば、衣食住です。
そんな中、異世界の「食」を題材にした作品では『ダンジョン飯』という名作が存在します。
そして本作『ソアラと魔物の家』では、異世界の「住」を題材として描いております。
物語のあらすじは以下のようになります。
主人公のソアラは孤児で、まだ幼い頃に軍に拾われて魔物たちと戦うための戦士として育てられました。
同年代の他の子どもたちが受ける親の愛情や家庭といったものも知らず、ただひたすら国のために戦う戦士になることだけを目指して成長していきました。
そしていざ、戦士としての初陣を飾るべく塔城したソアラを待ち受けていたのは思いもかけない事態でした。
なんと、人間と魔物たちは休戦協定を結んだとのこと。
長きに渡る戦いは終戦を迎え戦う必要のなくなったソアラに、国王は自由を与えます。
しかし、ただ魔物と戦うことだけを目標に育てられたソアラは、いきなり訪れた自由にも何もやることがありません。
また孤児であり、家族もないソアラには、帰るべき家も家族もありません。
途方に暮れたソアラはあてもなく世界をさまようようになりますが、そこで出会ったのがドワーフ三人組の「魔界建築士」です。
ひょんな成り行きでドワーフたちがゴブリンの家を建築することに関わったソアラは、建築された「家」に喜ぶゴブリン達の姿を見て衝撃を受けます。
ソアラは初めて、「家」というものの存在やその意味を感じたのです。
目的を失っていたソアラは、ドワーフのリーダーであるキリクに見初められ、三人と一緒に魔界全土を股にかけた建築の旅に出ることにしたのでした。
「ソアラと魔物の家」 1巻 山地ひでのり/小学館 より引用
「住」をテーマにしてうまいこと漫画にできるのか? という懸念を持つかもしれません。
ですが、ファンタジー世界を舞台にしたことでなかなかにマッチングしています。
前述したゴブリンやスライム、グリフォンといった、ファンタジーでは馴染みのある魔物たちが、どうすれば快適に住める「家」になるか?
ということを、想像力をたくましくして描いています。
魔物たちは多種多様な生態系をもっていますし、様々な特徴を持っています。
人間以上に、特定の場所に適応した体をしていたり、特殊な文化を保有しています。
だからこそ、魔物たちに適合した住居を提供するのはなかなか難儀なこと。
現実世界なら難しいですが、ファンタジー世界ですから特殊な植物であったり、特殊な素材も考えようと思えばいくらでも考えられます。
とはいえ、なんでもアリにしてしまってはご都合主義になりかねない。
現実とファンタジーを上手いバランスで融合させてこそ、納得のいく住環境が構築できるというものです。
たとえば、マグマを利用した床暖房なんかは地熱床暖房ですね。
「ソアラと魔物の家」 1巻 山地ひでのり/小学館 より引用
ただ魔物たちの「家」を作るだけではなく、物語性もこの先さらに展開していきそうな感じもあります。
まずは、主人公のソアラが、魔物たちに「家」を提供することによってどのように成長していくのか。
孤児で家族の愛、家の温かさを知らず、魔物は倒すべき敵だと教えられて育ったソアラが、魔物たちとの交流や、自分たちに適した「家」に喜ぶ魔物たちの姿を見て何を感じるのか。
あと、現時点でソアラ自身が建築できるわけではないので、その辺の技量も上達していくのかも気になるところ。
そしてさらに、魔王の存在。
ゲームのようにこの世界でも魔王は存在し、魔物たちの頂点に立っているようです。
その魔王から、キリクに対して召集令状が届きました。
- 果たして魔王とはどのような存在なのか?
- 魔王の目的はなんなのか?
そもそも人間たちとの戦争を開始し、そして終結させたのも魔王のはず。
そういったところもこの先、明らかになっていくのかもしれません。
「ソアラと魔物の家」 1巻 山地ひでのり/小学館 より引用
絵柄もクセがなく読みやすいですし、ここから先も楽しみと思える一作です。
魔界建築のBefore Afterを見届けていきたいと思います。
気になる方は是非、さんでーうぇぶりでも読めますので、どうぞ!
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