どうもマンガタリライターのペンタです。
今回紹介する作品の名は「ゴールデンゴールド」です。
面白いという前提はありますが、
- 読み終わったときの後味がすっごく悪い
- 夢に出るくらい不気味
これが初めて読んだ時の正直な気持ちです。
でも、、、
強烈に「読みたい」という衝動が抑えられなく中毒性がやばい!
そんな作品です。
ゴールデンゴールド(ゴルゴルとも呼ばれる)は、「刻刻」という作品でデビューした堀尾省太さんが作者です。
刻々は、「ゴールデンスランパー」で有名な伊坂幸太郎さんや水木しげるさんが大絶賛されている漫画で、アニメ化もされた作品です。
2011年の漫画大賞にもノミネートされた作品で、次回作に期待がかかる中、生み出されたのがゴールデンゴールドです。
ゴールデンゴールドは、人と金を集める能力を持つ気味の悪い生命体を中心として、変化し次第に狂っていく人たちの人間模様を描いた作品です。
率直に感想を言えば、
「とにかく気味が悪い」です笑
ただ、めっちゃ面白くてついつい読んじゃうんです。
ホラーのような怖い、おぞましいではなく、「不気味」という言葉がしっくりきます。
それなのに中毒性が高く病みつきになるゴールデンゴールドの魅力を存分に語っていきます。
ぜひこれをきっかけにゴールデンゴールドの世界へ足を踏み入れてみてください。
目次
1 ゴールデンゴールドの基本情報
作者 | 堀尾省太(ほりお せいた)さん |
---|---|
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | モーニングコミックス |
巻数 | 既刊4巻(2018年8月27日現在) |
寧島という人口が少ない瀬戸内海の孤島が舞台です。
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
この物語は同級生の及川くんに恋をする琉花が偶然拾った置物にお祈りをすることから始まります。
琉花の好きな及川くんは、かなりのオタクでアニメイトが好きです
父親が大阪のアニメイトの近くに住んでいるため、大阪に引っ越したがっていました。
及川くんに引っ越して欲しくない琉花は置物に「でっかいアニメイトを建てて欲しい」と祈ります。
そんなピュアな想いでこの置物が目を覚まします。
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
のちにフクノカミと呼ばれるこの生き物(?)は、商店と民宿を経営する琉花の家に居座ることになります。
福の神ってこんなに気持ち悪いの?って突っ込みたくなりますけどね笑
それからこの生物は、祖母の経営する民宿と商店に客足とお金をもたらし、異常に繁盛します。
祖母のビジネスも加速するように膨らみ、人のいない孤島にも関わらずコンビニやスーパーを展開し、やがて島の人々を巻き込んでいきます。
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
人と金をもたらされた寧島の人々は、金によって欲望を引き出され、どんどん狂っていく物語です。
2 謎の力を持つ生命体とそれを中心に狂わされる人達の人間模様が面白い!
ゴールデンゴールドの魅力は、謎の生物「フクノカミ」によって自分たちの欲を引き出され、変化していく人々の人間模様です。
しかもその変化の描き方が非常にうまくて、妙に生々しく、リアリティがあります。
その魅力を1つずつ紹介していきましょう。
2-1 優しかったばあちゃんが乗っ取られどんどん狂っていく様子が恐ろしい
琉花の祖母は、パッと見ただのいいばあちゃんって感じです。
「金儲け」なんて単語は間違っても口から出ないような人です。
実際に、あの生物(フクノカミ)が来るまでは客足なんて全然いないと自分で言ってます。
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
ですが、、、
フクノカミが来て、祈るようになり、商売が繁盛しだしてからばあちゃん人間性が次第に変化していきます。
「金が人間の本性を引き出す」という言葉を聞いたことがありますが、まさにこの物語では金によって人間性が変わってしまいます。
友達であった人に金で家を買い取り、金で揉め事の種を解決したり、
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
さらには、顔が一瞬フクノカミになって冷たい言葉を吐いたり
(ゴールデンゴールド巻より引用)
フクノカミの言葉をしゃべったりと
(ゴールデンゴールド2巻より引用)
「優しかったばあちゃんがなんかおかしい。」っていう感覚に陥ってきます。
徐々に徐々にですが、琉花はばあちゃんに違和感を覚えていくのです。
フクノカミに変えられたというより「化け物がばあちゃんに馴染んでいく」ような感覚で非常に気持ち悪いのです。
(ゴールデンゴールド2巻より引用)
この変化していく描写がたまらなく不気味なのです。
ある日突然ばあちゃんが変わったっていう極端さではなく、何かじわじわと溶け出していくように変化していくのです。
昔のばあちゃんのような優しい人間性は残ってる。
でもたまーにぞわっとするような発言があったりして、違和感を覚えるようになっていきます。
優しいばあちゃんと不気味なばあちゃん、2重人格のように感じるのです。
次第に不気味さが増してきて、絶妙に恐怖心をくすぐってくるのです。
店がうまくいってお金もいっぱい稼いで、ばあちゃんは幸せそう。
それでも不安は消えないし、奇妙な違和感は消えないのです。
2-2 ただの置物が徐々に力を持ち、周囲の人々を支配していく様が気味が悪い
フクノカミは最初ただの置物でした。
もちろん意思は持たず、転がってる状態でした。
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
ただ、、琉花の祈りをきっかけとして、化け物が目を覚ますのです。
フクノカミによって商売に精力的になった琉花の祖母は、寧島会(ねいじまかい)という会を立ち上げます。
寧島会は「もっと金儲けしてこの島を盛り上げよう」というのが主旨の集まりです。
でも会の活動自体は大したものではありません。
自分の店が繁盛するように祈り、ただ食事をし、そして祈る。
これだけです。
ただ、この祈りがフクノカミのエネルギーとなっていきます。
多くの人の祈りによりフクノカミはどんどん力を持っていくようになります。
(ゴールデンゴールド2巻より引用)
その証拠に、島の外からも来航者が増え、寧島会に入ってる人たちの店は繁盛していきます。
そして島全体が活気にあふれてくるようになります。
(ゴールデンゴールド4巻より引用)
力を持ったフクノカミは、生物を操り、琉花の祖母と対立する用心棒を死に追いやったり
(ゴールデンゴールド3巻より引用)
警察を味方につけたり、
(ゴールデンゴールド4巻より引用)
周りの人々をコントロールしていくことになるのです。
人智を超えた力を発揮しているフクノカミが一つの島を支配するようになってる
しかもその支配者がいかにもヤバそうな生物です。
ページをめくるたびに、嫌な感覚が増していくはずです。
島の人々を掌握していってるフクノカミが
- 今後どんな事態を引き起こすのか
- 最終的に何を企んでいるのか
それが楽しみ半分、怖さ半分で続きが気になって仕方なくなるのです。
2-3 人の祈りを力にし、島の人には普通のおじさんに見えるフクノカミの謎が多すぎる
度々登場するフクノカミですが、見ての通り謎が多すぎるのです。
第一にこの生き物は島の人間には普通の人間に見えているんです。
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
島の外から来た人は別ですが、島の人たちは50歳ほどのおじさんに見えるそうです。
こんな気持ち悪い姿形をしているにも関わらずです。
さらには、人の祈りを力の源にしているところも謎です。
(ゴールデンゴールド2巻より引用)
フクノカミがただの置物から生物に化けたのも琉花の祈りをきっかけにしたものでした。
つまり人間の祈りがこの生物のエネルギーなのです、
それから多くの人の祈りを元に、どんどん遠くから客を呼び寄せているのです。
(ゴールデンゴールド4巻より引用)
琉花が大阪のとある神社に行った際、一時的ではありますが、フクノカミのことを忘れていました。
琉花の推測では、昔から大勢の人が祈ってる神社だからこそ祈り的な部分で結界的な役割があるということです。
謎は多いですが、祈りという原始的な行為がフクノカミを紐解くキーワードになっていくことは確かですね。
- 島の人には普通のおっさんにしか見えない
- 「祈り」を力に人を引き寄せ続けている
まだまだ未知数で謎の多いフクノカミの今後が楽しいですね。
3 ゴールデンゴールドは物語の核となる琉花の恋の行方に注目して読もう!
今まではどんな世界観でどんな話かを説明してきました。
今からは、どんな視点でこの作品の楽しむかをお伝えします。
あくまでもこれは僕一個人の見方です。
これから話す視点で読んでいただけると違った視点でゴールデンゴールドを楽しめるんじゃないかと思います。
その視点とは、琉花と及川の恋の行方が物語の核となる!という点です。
(ゴールデンゴールド3巻より引用)
ゴールデンゴールドのこの先の展開は、琉花の恋に大きく左右されるということです。
フクノカミの動きや大人たちの争いに目が写ってしまいますが、実はすべて琉花の純粋な祈りから始まったのです。
色々な思惑を抱えた大人たちのドロドロした心と違い、琉花の及川に対する思いは非常にピュアです。
「ただ及川と一緒にいれるだけでいい」
それだけです。
(ゴールデンゴールド3巻より引用)
純粋な恋心が物語の核となっているのです。
琉花は、及川の大阪行きを何とか阻止するための手段として、アニメイトを建ててほしいと祈りました。
アニメイトを建てたいと祈ったのは、及川にずっと寧島にいてほしいからです。
琉花にとってはアニメイトを建てることは目的ではなく、及川を止めるための手段の一つにすぎません。
つまり、2人がくっついてしまえば、アニメイトを建てる必要などないのです。
でも琉花の「寧島にアニメイトを建てたいと」いう思いは、フクノカミの最初の原動力です。
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
琉花と及川の恋が成就すること=琉花の最初の願いが消えることを意味します、
願いが消えることは、フクノカミにとっても不都合なことです。
フクノカミにとって原動力となった琉花の願いは叶えるべきですから。
琉花の願いは、2人が結ばれるかどうかにかかっています。
すると、必然的に琉花と及川の恋というのは意外にも物語の中で重要になるんです。
この物語の核になる琉花の恋心
ここに注目してみてください。
漫画のおまけ要素として、琉花と及川の恋の展開を楽しむのではなく、物語を決定づける要素として注目する。
つまり、この恋が物語にどう影響するのかと考えながら読むとより楽しむことができるし、深く理解することができます。
「琉花の恋が重要な要素である」という視点でゴールデンゴールドを楽しんでもらえればと思います。
4 これから注目すべき今後の3つの見所を紹介!
連載も始まってまだまだどうなっていくのか展開の見えないゴールデンゴールド。
そんなゴールデンゴールドの気になる今後の見どころを話していきます。
4−1 金の亡者と化したばあちゃんの人間性を形成した生い立ちが明らかになる
ばあちゃんは最初こそ優しい人として描かれていました。
でも、フクノカミによって変化し金の亡者へと変わっていってます。
この姿は琉花たちから見て明らかに異質な姿です。
(ゴールデンゴールド3巻より引用)
僕は、ばあちゃんはフクノカミによって悪い人間になったのではないと考えます。
ばあちゃんの中に眠る隠れた人間性が引き出されただけなのです。
金が人間性を変えたではなく、金によって本来の姿に戻ったのです。
ばあちゃんの隠れた人間性は過去に起こったことや生い立ちに起因しています。
つまり、ばあちゃんには過去に金に関する何か強烈な出来事が起こっているはずなのです。
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
証拠に、ばあちゃんの過去の伏線となるこんな発言もあったくらいです。
今の異常な人間性のばあちゃんを作った過去のシーンがこれから明かされるのです。
さらに、、、
4巻の巻末のところで、ばあちゃんの生い立ちが明らかになる
(ゴールデンゴールド4巻より引用)
そうはっきりと書かれています。
巻末で書かれている以上、5巻はばあちゃんの生い立ちがメインで描かれるでしょう。
5巻でばあちゃんが金の亡者になる最もらしい理由が明らかになるのです。
- 今の怖いばあちゃんを引き出したのはどんな過去なのか?
- 壮絶なトラウマや強烈な出来事がばあちゃんに身に起こったのか?
ここに注目してみれば、5巻もより楽しくなるでしょう。
4−2 未だ謎の多いフクノカミの正体を解明する琉花と黒蓮の推理劇
フクノカミは、行為だけを見ればただ早坂家や寧島に福をもたらしてるだけです。
でも、寧島の人たちにはただのおっさんにしか見えていないこと。
不気味や容姿をしてることもあり、どうも騙してるようにしか見えないのです。
(ゴールデンゴールド3巻より引用)
フクノカミは、ばあちゃんを乗っ取り、寧島内でのビジネスをどんどん拡大させていってるのです。
フクノカミが何を企み、何を引き起こすのかわかりませんが、ほっといたら完全に良くない方向に向かうでしょう。
絶対にろくでもないことをやらかすはずです。
フクノカミの暴走を止められるのは、島の外で生まれた琉花と東京から来た黒蓮(くろはす)という作家さんだけです。
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
2人がどうフクノカミに立ち向かい、フクノカミの謎を解き明かすのか?
ここがこれからの楽しみな部分です。
先ほども話したように、琉花はフクノカミが力を持ったキッカケであり必要な存在なのです。
実際に琉花が倒れた際も、祖母を乗っ取ったフクノカミが琉花が遠くに行くことを嫌がっています。
(ゴールデンゴールド3巻より引用)
つまり琉花がフクノカミの謎を解明することや力をつけるフクノカミに対抗できる人間です。
もう一人の黒蓮という作家さんも、このフクノカミの謎を解くキーパーソンの一人です。
新しい作品のネタ作りのために、島に来た黒蓮さん。
人脈を利用して昔の寧島に関することをよく知る作家さんから情報を得たり、
(ゴールデンゴールド2巻より引用)
作家ならではの鋭い視点で、フクノカミの狙いや思惑を見抜いたりしています。
(ゴールデンゴールド4巻より引用)
正体不明で謎の力を持つフクノカミに対して、
- フクノカミの力の源となっている琉花
- 情報や推理の面で活躍する黒蓮さん
2人がフクノカミにどう対抗し、フクノカミの謎を解き明かすのか。
そこに注目すると、物語がより楽しく読めるでしょう。
4−3 血まみれの島民と1人の侍が描かれた冒頭のシーンは何を意味する?
伏線確実である冒頭のカラーで描かれたシーン。
(ゴールデンゴールド1巻より引用)
海辺を歩き誰かを探す1人のサムライ。
そして、そこら中に倒れてる死体の数々。
死体の顔を見ると、耳たぶが伸びており全員がフクノカミと同じような顔をしています。
サムライの刀には血がついておらず、死体にも刀傷はついていない
これらの事実から、島民皆がフクノカミに乗っ取られ島民同士で争ったということが予想されます。
また黒蓮がコンタクトを取った茶虎(ちゃとら)さんの話からも江戸時代に寧島が一度繁盛し、争乱が起きたのではないかという予想が立っています。
(ゴールデンゴールド2巻より引用)
つまり、冒頭のシーンは江戸時代の島民同士の争いの末路ではないかと考えられます。
冒頭の印象的なシーンは、「これと同じことが今の寧島までも起こる」ということを意味してるのではないでしょうか?
そうです。
琉花たちが住む現代の寧島でも同じように島民同士が殺し合う展開になるかもしれないのです。
この仮説を立てることで、すべての辻褄が合うような気がしてくるのです。
実際にフクノカミに乗っ取られてるばあちゃんも時々フクノカミになってますし、
ばあちゃんのビジネスにたてついた人たちに対し、フクノカミは巨大生物を操って襲わせる。
(ゴールデンゴールド2巻より引用)
警察に対しても、巨大な猫を操ったりと人間以外の生物を操る能力も持ち合わせているのです。
(ゴールデンゴールド4巻より引用)
島民の皆も、フクノカミによって欲望や精神を操られる。
そして金によってどんどん欲望が強くなり、最終的に金をめぐって争いあう展開になりかねません。
平和だった寧島が争いで欲望と血まみれの島に変わる
(ゴールデンゴールド4巻より引用)
これが注目するポイントですね。
5 まとめ
ゴールデンゴールドは、謎の生命体によって狂わされる人たちを描いた物語です。
とにかく不気味な生命体フクノカミの顔がもう頭から離れなくないですか?笑
この生物によってかき回され、生活が変わっていく人々の変化を恐がりながらも楽しんでください。
もちろんフクノカミに対抗する2人にも注目です
- 純粋な恋心を持つ琉花
- 情報力と洞察力を持つ黒蓮先生
この2人がどう動いていくかも見どころです。
そして最終的に寧島はどんな未来になるのか?を一緒に見届けていきましょう。
- 寧島は島民同士の争乱になり、血にまみれた姿に変わってしまうのか。
- はたまた平和な姿を取り戻せるのか。
今から完結までが楽しみですね。
4巻でもフクが見えるおっさんや政治家の登場も期待され、役者も揃い始めました。
(ゴールデンゴールド4巻より引用)
また昔の寧島の話も出て情報も出揃い、これから盛り上がっていきそうで楽しみですね
ぜひともゴールデンゴールドを読んでみてください。
よろしくお願いします
堀尾省太さんの別の作品「刻々」のリンクものせておきます
ぜひ楽しんでください!
マンガタリライター・ペンタ
コメントを残す