どうもマンガタリライターのペンタです!
今回は紹介させてもらう漫画は「とんがり帽子のアトリエ」です。
『とんがり帽子のアトリエ』は
- 第13回全国書店員が選んだおすすめコミック1位
- 2018年の「このマンガがすごい!」で6位
2つの受賞経験がある、「魔法使い」を題材としたファンタジー漫画です。
名前くらい聞いたことがあるんじゃないでしょうか?
今回は『とんがり帽子のアトリエ』をよく知らない人のために
- とんがり帽子のアトリエはどんなストーリーなのか
- 他の漫画とは違う!とんがり帽子のアトリエの面白さ
を伝えていきます。
魔法漫画は他にもたくさんありますが、その中でも僕は特に『とんがり帽子のアトリエ』をオススメします!
「何故とんがり帽子のアトリエを読むべきなのか?」
この記事を読んでもらえればその理由がわかります。
目次
1、『とんがり帽子のアトリエ』ってどんな漫画?
(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
作者 | 白浜鴎 |
---|---|
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | 月刊モーニングtwo |
単行本 | 既刊4巻(2018年12月) |
この作品の作者である白浜鴎さんはイラストレーターとしても活躍していて、画力が凄まじく高く、1ページ1ページがまるで一枚の絵を見てるような感覚に陥ります。
魔法というファンタジーの世界と一枚絵のような綺麗な絵がかなりマッチしていて読みやすいです。
圧倒的高い画力で描かれる魔法の世界
(とんがり帽子のアトリエ2巻から引用)
絵だけでも見惚れてしまいますよね?
作品の中では、「魔法は人を幸せにするもの」とされています。
そのメッセージが表すように魔法はキラキラしたものとして描かれます。
(とんがり帽子のアトリエ3巻から引用)
魔法も魔法をかける張本人も輝いてますね。
このように作品では絵が注目されがちですが、あらすじや魔法の設定も絵に負けないほどかなり魅力的です。
では、とんがり帽子のアトリエの簡単なあらすじを紹介していきます。
2、『とんがり帽子のアトリエ』のあらすじをかんたんに紹介
主人公は魔法に憧れを持つココという少女です。
魔法使いに憧れる主人公ココ(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
魔法を使いたくても、生まれた時から魔法を使えない人は魔法使いになることができない世界なのです。
そんなある日、母が営む仕立て屋に来た魔法使い(キーフリー)と出逢い、
ココはこっそりキーフリーが魔法をかける瞬間を見てしまい、魔法の秘密を知ってしまいます。
ココはこっそり魔法を書く姿を見てしまいます
(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
その秘密とは、魔法は「道具」さえあれば誰でも魔法を使うことができるということです。
それに気づいたココは、昔祭りでもらった絵本とペンが「魔法をかけるための道具」とわかり、好奇心の赴くまま魔法を使ってしまうのです。
小さい頃お祭りでもらったインクとペンで魔法を発動するココ
(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
だが、少女・ココが発動させてしまった魔法は、禁術(魔法界でも禁止とされている魔法)でした。
何も知らないココは禁術を発動させてしまい、自らの母親を石化させてしまったのです。
母親が禁止魔法によって石化してしまう
(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
この世界では「魔法の秘密を知り、禁術を使った者には記憶を消す措置」がとられます。
だが少女ココを不憫に思った魔法使いキーフリーが、ココを弟子とし、ココは母を救うために魔法使いとして生きていきます。
母を救うため一人前の魔法使いを目指すココに色んな試練が襲いかかります。
(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
これが大まかなあらすじです。
あらすじだけ聞けば普通の魔法漫画じゃないのか?と思いますが『とんがり帽子のアトリエ』の面白さは魔法の仕組みにあるのです。
3、自由がゆえに努力が必要な異色の魔法の設定を徹底解説
魔法の漫画は他にもいくつもありますが、とんがり帽子のアトリエの魅力は魔法の仕組みや設定です。
魔法の仕組みにしっかりとした理屈があり、いくらでも応用が効くので見てて面白いです。
この魔法の設定や仕組みこそが僕がこの作品を好きになった理由です。
そんな『とんがり帽子のアトリエ』の魔法の仕組みの魅力を3つに分けて紹介していきます!
3−1 魔法は「ペンとインクで描くもの」であり、誰でも使えるもの
魔法といえば、ハリーポッターに出てくる魔法使いのように杖をふったり、唱えたりするものを真っ先に想像しますよね?
この作品では、魔法はペンにインクをつけて描くことで発動します。
ペンに描くことで魔法が発動する
(とんがり帽子のアトリエ2巻から引用)
「なんか地味!」って思いませんでした?笑
魔法と言えば、手をかざして発動させたり、杖を振って発動させる方が一般的ですよね。
僕の偏見かもしれませんが、魔法が発動するときはある程度アクションが欲しいんですよ。
だって魔法ですからね笑
ペンで描くという原始的な行為は、魔法のイメージとはかけ離れていますよね。
でもこれこそが『とんがり帽子のアトリエ』の魔法の特徴です。
唱えるでもなく、杖を振るわけでもなく、ペンで描きます。
だから才能なんてものはなく、ペンと魔法陣さえ知っていれば誰でも魔法が可能なのです。
ただ、それをみなが知ってしまうと、全人類が魔法を使ってしまい、秩序は保たれなくなります。
そうなることを恐れ、
- 魔法は一部の人間しか使えない
- 生まれた頃から魔法使いでない人は、魔法を使えない
とされてしました。
でもそれは魔法をみんなに使わせないための嘘だったのです。
魔法をみなが使って、恐ろしい世界になってしまうのを避けたのです。
だからペンで描くという簡単な方法で魔法が発動してしまうことを魔法使いは隠してきました。
「魔法はかけるものじゃなくて、描くんだ!」
(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
「魔法はかけるものではなく、描くんだ」
この言葉が表しているように、描く魔法こそが『とんがり帽子のアトリエ』の魔法の特徴です。
(とんがり帽子のアトリエ4巻から引用)
また、インクで書けるものなら何でも魔法がかかるので靴の裏に書いたり、壁や布に書いて発動させることが可能です。
靴の裏に魔法陣を書いて、空飛ぶ靴に!
(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
- 人体には直接魔法が使えない
- インクがつくもの全てに魔法が発動する
この設定がまた一段と物語を面白くさせるのです。
3−2 「紋」と「矢」と「陣」の描き方で魔法が様変わりしてしまう
魔法は紋と矢と陣。
この3つによって魔法の種類や効果が決まります。
紋の種類、矢の向きや種類が違えば、それだけで全く別の魔法になります。
(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
しかも、この作品の魔法の設定は細かく矢印の長さが少し違うだけでもうまく発動しません。
作品の中でこんなシーンがありました。
主人公のココが魔法の練習をしている時、アガット(ココと同じで、見習いの魔法使い)に水を浴びせてしまいました。
もちろん故意ではなく完全に事故です。
この時に、アガットが「1本だけ矢が長いから横方向に飛んだ」と解説してくれます。
丁寧にココに教えてくれるアガット(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
これくらい微妙に一本線が長いだけで正常に発動しないのです。
「別にこれくらいええやん」と思うくらいのわずかな差でも効果はガラリと変わります。
結構繊細ですよね。
だから魔法を自分の思い通りに使用するには魔法陣や矢、紋を正確に書く力が必要になってきます。
最初はうまく魔法陣が書けず、ココは初歩的な魔法ですら苦労していました。
初歩的な炎の魔法を練習するココ
(とんがり帽子のアトリエ2巻から引用)
ペンと描き方さえ知っていれば簡単に魔法が使えるわけではないんです。
正確に円や線を書く技術が必要になっているのです。
でも、逆に言えば
線の書き方一つで影響する魔法の仕組みだからこそ様々な魔法の使い方ができます。
(とんがり帽子のアトリエ3巻から引用)
ココも言うように、矢をねじれさせれば魔法も捻れ、矢を長くかけば吹っ飛びます。
それほどまでに書いたことに素直に反応する魔法の仕組みなのです。
1本だけ長く矢印を書けば、勢いよく空に飛び上がることもできます。
あえて魔法陣のバランスを崩すことで、勢いが出ます。
(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
また矢を反転させれば効果も反転します。
(とんがり帽子のアトリエ3巻から引用)
このように、書いたことがそっくりそのまま反応する素直な仕組みです。
設定はかなり細かくて、繊細になってますが不思議と複雑さは感じさせません。
絵の良さもあいまって、むしろ魔法の良さや魔法の素晴らしさが伝わってくる作品です。
3−3 魔法を使うためには、正確に描くための泥臭い地道な努力が必要
先ほども話したように、魔法は線一つで発動しなかったり効果が変わったりするほどかなり繊細です。
ペンとインクがあればホイホイ魔法を思うように使えるというわけではありません。
ココは「知らざる者」と呼ばれており、他の魔法使いと違い、最近になって魔法を使い始めました。
簡単に言えば、「初心者の魔法使い」です。
だから他の魔法使いよりも魔法陣を描くのがあまり上手くありません。
そんなココは何度も何度も魔法陣を描いて練習しています。
必死に繰り返す魔法陣を描く練習をするココ
(とんがり帽子のアトリエ2巻から引用)
確かによくよく考えてみれば、道具を使わず綺麗な丸や綺麗な線を描くことは難しいです。
だから当然練習が必要になります。
目をつぶって魔法陣を描く練習をするアガット
(とんがり帽子のアトリエ2巻から引用)
他の子たちも魔法を上達させるために何度も描きます。
魔法を上達させるためには、何度も反復して書きまくるしかありません。
個人的にこういう泥臭さを感じさせる描写が好きです。
「ペンで描く魔法だからって簡単に出来るわけじゃない。しっかり時間を積み重ねて上達させるものなんだ。」と言わんばかりに。
必死にノートにペンで文字を繰り返し書く受験生にすら見えてきます。
でもこういう描写があることで、すごくリアリティを感じさせられます。
魔法って僕らが生きてる現実世界では存在しない(とされてる)ものなので、魔法を扱った漫画を読んでも、どこか自分と切り離して読んでしまいます。
だから「ペンで書く」という誰でも出来るような行為を繰り返しすることで魔法が上達する。
この設定がすごく現実味を感じて、物語に自然と引き込まれてしまいます。
読んでても、すごく特殊な訓練をやってる人よりも
地味なことを繰り返しやってる人の方が見てて応援したくなりますよね?
- 泥臭い努力が魔法を上達させる
この現実味ある設定もとんがり帽子のアトリエを楽しむ1つの要因です。
4、「ペンとインクを使うという制約の中で魔法を駆使して戦う姿」に注目せよ!
それは、「限られた制約の中でアイディアを駆使してどんどん試練を乗り越える」というところです。
『とんがり帽子のアトリエ』は魔法を題材とした作品ですが、魔法の凄さや壮大さを描いたものではありません。
「魔法は人を幸せにするもの」というメッセージが込められており、魔法は日常生活に寄り添ったものになってます。
(とんがり帽子のアトリエ2巻から引用)
『とんがり帽子のアトリエ』の魔法の1つ1つは、出来ることがかなり限られています。
意外にも1つ1つの魔法自体はちっぽけなものです。
ただ、この設定こそがこの物語を面白くさせるのです。
使い方、知恵でちっぽけな魔法が変幻自在に姿を変えるからです。
(とんがり帽子のアトリエ2巻から引用)
小さな穴を空ける魔法。
これだけではあまり役に立ちませんが、それを繰り返すことで大きな穴を開けることが可能になります。
アイディアがちっぽけな魔法のできることを広げてくれるのです。
また「魔法は人を幸せにするもの」とされているため、人体にかける魔法は使ってはいけません。
だから人を攻撃したり、傷つけるための魔法は使いません。
いかなる状況であってもです。
ただ、この世界には「つばあり帽」と呼ばれる闇の一団がいます。
禁止魔法を使うつばあり帽の1人
(とんがり帽子のアトリエ1巻から引用)
彼らは人体にかける魔法(禁術)を平気で使う危険な思想を持つ魔法使いです。
そんなつばあり帽に襲われたりと危険な目に遭った時でさえ、人体にかける魔法は使ってはいけないのです。
そういうピンチも、機転を効かせて壁に魔法をかけたり、直接人体に使わない魔法を駆使して対処します。
反則まがいの敵に対しても、いかに使える魔法を駆使して戦うのか、という所も面白い部分です。
そういう限られたルールの中で戦う様が見所です。
他の漫画を見てみると、魔法は戦う手段の一つであり強力な魔法や技が存在します。
つまり、とんがり帽子ならではの唯一無二の魔法の設定なのです。
“日常に寄り添った魔法”ばかりです。
その魔法で目の前の困難や敵と対峙していくのです。
読んでいても、「どうやってこの危機を脱するの?」とワクワクします。
(とんがり帽子のアトリエ4巻から引用)
新しい強力な魔法がドーンと出てきて解決!みたいな展開はありません。
本当にアイディアで打開していきます。
限られた制約の中で、いかに知恵を振りしぼり、いかに危機を脱するか
ここが『とんがり帽子のアトリエ』オススメポイントであり、ぜひ読んで欲しい部分です!
5、まとめ
『とんがり帽子のアトリエ』は、絵はもちろんのこと魔法の設定がめちゃくちゃ魅力的で他の漫画とは全然違います。
- ペンで描く魔法
- 人体には直接使えない魔法
- 線の描き方ひとうで魔法の効果や種類がガラリと変わる
- 泥臭くて地味な行為で魔法が上達する
魔法の設定一つ一つが面白く、どうなっていくんだろう?と続きが気になって仕方なくなります。
限られたルールの中でいかに危機を回避、敵を倒していくか。
ここがぜひとも読んで欲しい魅力てあり、オススメなところです。
だから、色んな魔法漫画、ファンタジー漫画を見ている人でも新鮮に感じられるはずです。
見てて自然に作品の世界観にのめり込んでしまうはずです。
そんな読んでる僕たちに魔法をかけてくれる作品なので1人でも多くの人に読んで欲しいです。
少しでも興味を持ったなら下のモーニングの公式サイトから試し読みしてください。
ぜひぜひ読んでみてください!
マンガタリライター・ペンタ
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