こんにちは、マンガタリ編集部です。
コウノドリのドラマがもう最高でしたね!!
もうほんと、涙なしには見られない
素晴らしいドラマでした。
個人的には、
死産を経験したパティシエ夫妻の回
が、嗚咽しながら泣きました笑。
(妊婦役の女優さんも、
素晴らしい演技でニュースにもなりましたね。)
わたしたちのの涙を枯らしにかかってくるコウノドリ。
実はなんと、
原作者『鈴ノ木ユウ』さんのデビュー作なんですね。
そして、漫画やドラマに負けず劣らず、
原作自体も
感動的なストーリーで誕生しています。
今回は
- コウノドリの誕生秘話
- サクラの実在のモデル
を紹介した後、
コウノドリがいかにすごい漫画なのか
考察したいと思います!
目次
1.漫画「コウノドリ」の誕生秘話
泣ける!と評判のコウノドリですが、
誕生する経緯もドラマティックなんです!
- 作者の鈴ノ木ユウさんはどんな人なのか?
- なぜ、男性の雑誌で産婦人科の漫画を書くことにしたのか?
を紹介していきます!
1-1.コウノドリを書いた鈴ノ木先生ってどんな人?
まず、漫画やドラマを知らない方へ簡単にご紹介したいと思います。
著者 | 鈴ノ木ユウ |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | モーニング |
巻数 | 19巻(2017年9月現在) |
発行部数 | 400万部 |
漫画雑誌「モーニング」で2012年から現在連載中の産科を舞台にした医療漫画です。
2016年に第40回講談社漫画賞(一般部門)を受賞し、2015年10月には綾野剛さん主演で実写テレビドラマ化になりました。2017年10月(TBSテレビ)から続編が放映されます。
著者は鈴ノ木ユウ先生で、ミュージシャンであり漫画家さんでもあります。
「ん?ミュージシャンが医療漫画??」
って思いませんでしたか?
実は鈴ノ木先生って異色のキャリアの持ち主なんですね。
ミュージシャンなのに医療系でかつ難しい題材である「産科」のマンガを描くって不思議ですよね!
なぜ、鈴ノ木先生はコウノドリを書こうと思ったのでしょうか?
1-2.なぜ男性が産婦人科の漫画を書こうとしたのか?
コウノドリの何がすごいかって
臨場感を強く感じるんです。
例えばこのシーン...
コウノドリ4巻より引用
本当にオペを間近で見てるような気分になるくらい、現実との違和感を感じさせません。
事実、現役の産科医さんから忠実に再現してると高く評価されてるんですね。
コウノドリってさらっと読むと感動系のお話だけど
実は産科医療の現状にかなり強く噛みついたり問題提起したりしています。
産科医療漫画の「コウノドリ」がなぜ現役産婦人科医にも絶賛されるかというと、テレビなどにありがちな「最初からストーリーが決まっている、お産といえばこう」じゃなく、そこにある現実を映しだしてくれているからなんですよ。しかも医者、助産師、患者、それぞれの視点がバランスよく描写されてるし
— タビトラ (@tabitora1013) October 4, 2014
レビューだけで綿密な取材をして、漫画が描かれているんだなって伝わってきますが
でもね、よく考えてみてください。
男性が産婦人科の話を書くって普通に考えて大変じゃないですか?
だって、女性の禁断の聖域みたいなもんで、完全にアウェーな訳です(笑)
先生が産科のマンガを編集部に持ち込んだところ、はじめはあまりいい顔をされませんでした。
なぜなら、取材だけでなく「人工妊娠中絶」「性感染症」などの非常にデリケートな話題を多く含んでいる、難易度の高いテーマなのです。
取材も大変、テーマも重い、色んな人に配慮する必要がある、男性ウケする要素も少ない…
まるでヒットする予感がありません。
でも、鈴ノ木先生はチャレンジされたのです。
何が先生をそこまで駆り立てたのでしょうか?
先生は友人の勧めから漫画の製作に携わってはいましたが、本気で漫画家を目指したのは30代後半からです。
ミュージシャンでバイトを2つ掛け持ちしていて、お子さんが生まれたことによって家族をテーマにした漫画で食っていくと決意することになります。
お金がないながらも幸せに生活していた時、偶然にも奥さんがお世話になった産科医の先生から、現実の産科で起こってる残酷な問題(診察に来ずに出産してしまう未受診妊婦など)を聞くことになり
自分が伝えなきゃ!と強く思ったそうです。
非常に強い使命感を感じたのは
先生にとってわが子の立会出産は
人生で一番の感動だ!
と胸を張るくらい宝物の思い出だったからなんですね。
コウノドリ5巻より引用
自分は人生イチ感動したのに、現実では違うことが起きていると他人事には思えなかった。
コウノドリには鈴ノ木先生の「不幸な妊婦や家族、命が一人でもなくなるように」と強い願いが込められてるんです。
愛ですね、そして使命に燃える男性の生き様はかっこいいとしか言いようがない。
そうして、生まれてきたコウノドリの連載は短期モノとしてスタートしましたが、好評により長期連載になり、講談社漫画賞を受賞するまで怒涛の快進撃をすることになるのです。
強い情熱や使命から出てくる作品には、他者にも共振していくように、テクニックを凌駕して伝わるものがありますよね。
「先生の夢が叶ってよかったなぁ」って読んでるだけで泣けてくるんです。
ちなみに、15話立ち合い出産の回は鈴ノ木家の実際の出産がマンガになってるので、感動の一部始終をぜひ読んでみて下さいね。
コウノドリ5巻より引用
2.鴻鳥サクラは実在してた!?
コウノドリ1巻より引用
コウノドリが誕生したのは鈴ノ木先生の想いだけではなく、奇跡とも呼べる出会いもあったからです。
現実の産科現場を知るきっかけとなった「奥さんがお世話になった産科医の先生」との出会いです。
何を隠そうこの先生が主人公である鴻鳥サクラのモデルとなった先生なのです。
「サクラ先生が現実にいたら、幸せな妊婦さん増えるやろうな~」って思ってたら
ホントにいた!!
りんくう総合医療センター(大阪府泉佐野市)の荻田和秀先生です。
荻田先生は現役産科医でありながら、ジャズピアニストでもあります。
主人公・鴻鳥サクラは病院に隠しながら覆面ピアニストとして活動しているキャラ設定なんですが、荻田先生からインスパイアされてできあがりました。(荻田先生は公にして活動されてます。)
事実は小説より奇なり。
ミュージシャン×漫画家の鈴ノ木先生
と
産科医×ジャズピアニストの荻田先生
なんだか2人は運命の出会いですね(笑)
鈴ノ木先生の好きなことはおそらくミュージシャンであるけれど、才能があったのは「漫画家」の世界だった。
しかし、ミュージシャンをやっていたことが決して無駄だったわけではなく、荻田先生との出会いと、マンガの構想になった・・・。
いや〜、人生いろいろ。
漫画家さんにも紆余曲折なドラマがあるんですね。
経営者のビジネス書などで生き方を学ぶのもいいけれど、漫画からも十分に学べることを「コウノドリ」では教えてくれてる気がします。
作品だけでなく著者の背景も知ると、また違った視点で読めるので、ぜひ知ってみて下さいね。
ちなみにモデルの名医・荻田先生ですが、素敵な本を出版されてます。
[amazonjs asin=”406272913X” locale=”JP” title=”嫁ハンをいたわってやりたい ダンナのための妊娠出産読本 (講談社+α新書)”]着眼点が素晴らしいんです。
今まではママさんに向けた本はたくさんあるけれど、ママさんをいたわりたいパパさんたちに寄り添った本になってます。
出産を控えてるパパ準備中の方はぜひ読んでみて下さいね。
3.コウノドリは日本の出産を変える漫画
コウノドリは確かに感動する漫画、ドラマです。
が、他の感動する系のドラマと決定的に違うのは、
マンガを通して、社会に広く問題提起をしてる
という点ではないでしょうか。
もはや、
産婦人科業界が大きく変わるんじゃないか?!
というレベルです。
ここからは2つ、理由を書いていきますね。
3-1.教科書に認定したいくらい出産について詳しく書かれている
コウノドリの突き抜けているところは、網羅性なんですね。
切迫流産・淋病・逆子・子宮頸がん・未成年妊娠・無脳症・被膜児・マタニティブルーetc
オムニバス形式に短編でまとめられてる中にも、密度濃い情報をつめこんでいて読みやすいことが特徴です。
予備知識がなくても理解が深まるように、きちんとロジックも解説してくれてるんです。
例えば、双子の説明する回では
コウノドリ5巻より引用
私も双子は精子が2匹同時に入るもんだとばっかり思ってました(笑)
妊婦さんやご家族には、出産の参考書としても使えるようになってます。
知識面もさることながら、出産シーンを読むといかに私たちは誰かに助けられて生まれてきたんだなって当たり前なことを教えてくれるんです。
お母さんや産科医さん、助産師さんや看護師さん...生まれてきた時の記憶はないけれど、自分の命のために誰かが必死になってくれたと思うと、愛おしさと共に胸が熱くなって泣けてきます。
産科医の経験はなくても、みんな赤ちゃんの経験はしてきているから。
コウノドリを読んで泣く人が多いのは、話が「お涙ちょうだい」とかではなく、みんなに共通してある命の誕生という原点を近くに感じれるからなんだと思うんです。
3-2.男性雑誌に載ることでたくさんの人に出産の知識を広めている
実は、コウノドリには辛口レビューがあります。
現役妊婦さんやママさんから「やっぱり男性が描いた漫画、妊婦の気持ち分かってない」という厳しい内容です。
ただ、私は辛口レビューに関しては「ちょっと待って下さい」と異議をとなえたい。
男性漫画誌に産科を取り上げた漫画が掲載されたこと自体、一つの革命的な出来事なんです。
医療関係者でなければ足を踏み入れることのできない、分かろうとしてもなかなか理解しづらい、ブラックボックス化した未知の場所を切り拓いてくれたんです。
もし、女性が産科の漫画を書いたとしたら「分かってよ、妊婦の気持ち!」みたいな感じのストーリーに終始なっていたと思います(笑)
そしたら、やっぱり女性にしかピントの合った漫画になって男性には響かない。
男性の気持ちが分かる鈴ノ木先生が「妊婦さん・赤ちゃんを大切にしようよ!」ってメッセージを発することにコウノドリの強い存在意義があるんだと思うんですよね。
それに妊婦さんや男性だけじゃなく、産婦人科関係者へもエールを送っている作品なんです。
実は、日本の産科医は、お医者さんの中で一番訴訟リスクを背負っている立場なんです。
産科医志望者は減少し現場は常に人手が足りませんし、生まれてくる赤ちゃんの数の減少より施設の数の減少スピードが早いという深刻な問題を抱えています。
そんな産婦人科の現状を、多くの人が漫画やドラマを通して知ることができています。
コウノドリを通して、知る由もなかった人々が、
- 妊婦さんに起こる問題
- 旦那さんに起こる問題
- 医療従事者に起こる問題
を知り、関心を向けている。
これってすごいことだなぁと思います。
4.まとめ
ってなわけで漫画「コウノドリ」はいかがでしたでしょうか?
漫画は読み捨てられるものだと言われているんですけど、作品にかける漫画家さんの想いも感じれるし、社会に対しても問題提起できる立派な書物だと私は思います。
現役の妊婦さんやご家族には参考書にもなるし、理解してもらうための橋渡しともなる作品です。
また、出産の経験のない方や男性でも、命が生まれるのはとても尊い奇跡の連続で、みんな経験してきたんだよって事を優しく強く教えてくれます。
溢れんばかりの鈴ノ木先生の出産愛を読んで感じてみてくださいね。
マンガタリ編集部
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