みなさんこんにちは、【今週の1冊】として毎週金曜日、基本的には直近に読んだ作品(時には古い作品も!)をご紹介するマンガフルライターの神門です。
2021年の最終日も変わらずご紹介します!
今回ご紹介するのは
『オレが私になるまで』
の4巻です!
3巻が発売されてから1年4か月ぶりの新刊です、待っていました!
なお、作品についての紹介はこちらの記事でも紹介していますので、作品自体を未読の方はこちらもどうぞ!
さてさて、改めて待ちに待った4巻です。
3巻までは、女の子になったアキラが、自分自身が女の子になることへの戸惑いであったり、女の子として前向きに生きるための歩みであったり、アキラの内側にスポットを当てていたと思います。
4巻でもそのこと自体は継続するのですが、変わっていくところもあります。
女の子になったことで周囲と関わるのが怖くなって内向的になっていたアキラですが、留海という友人が出来て少しずつ変わっていって。
中学生となって、新たな友人、人間関係ができてきて。
少しずつ、少しずつ、自分の外のことをも考えるようになってきます。
特に中学生になって大きく変わっていくのは男女の関係、すなわち恋愛感情。
学生服によって否応なく男女の違いが明確になり、意識をするようになるのが中学生という時期。
好きな男の子、好きな女の子。
小学生の頃はまだ明確でなくても、この頃になると一気にその思いが強くなります。
3巻では江里花と佐原のことが描かれましたが、この4巻ではとうとうアキラ本人の、自分事となって降りかかってきます。
いつしか黒髪ストレートロングで清楚な美少女になっていたアキラですから、男子に目をつけられてもおかしくはありません。
だけどアキラは、自分が女の子になり女の子として生きていくしかないことを受け入れながらも、男だったことを完全に捨てきれているわけではありません。
だから、恋とか愛とか、好きとか嫌いとか、そういうことがアキラにはまだわかりません。
いや、わからないというのもあるでしょうけれど、おそらく意識的に考えないよう、自ら遠ざけていたのだと思います。
「オレが私になるまで」 4巻 佐藤はつき/KADOKAWAより引用
更に、まだ男子だったころに、女の子に対して行った悪戯行為。
自分がされて嫌だったこと。
男女の関係について考えると、どうしてもそのことを思い出してしまう。
決して、消えることのない過去。
- アキラの意思に関係なく、大きく変わっていく外との関係性
- ゆっくりと変わっていくアキラの内側
そこのギャップがアキラを苦しめるのがこの4巻であり、中学生という時期。
時の流れは、周囲は、アキラを待ってはくれません。
人間関係、とくに恋愛となれば、誰が誰を好きかによって二人だけの問題ではなく、周囲も巻き込んで拗れていくこともある。
今のアキラに、そこまで追いつくほどの余裕はありません。
「オレが私になるまで」 4巻 佐藤はつき/KADOKAWAより引用
- 自分は女の子として男を好きになるのか?
- それとも自分が男だったこともあり女を好きになるのか?
異性だけでなく、同性を好きになることもありうる。
自分の場合はどうなのか。
好きにも色々な形があると、少し知ったアキラ。
アイキャッチ画像の帯にも書いてありますが、
『オレは誰を好きになるのだろう。』
まさに、この一文を表現したのがこの4巻かと思います。
「オレが私になるまで」 4巻 佐藤はつき/KADOKAWAより引用
少しずつ、少しずつ、知って、世界を広げていく、そんなアキラの歩みをゆっくり描いていく姿勢は4巻でもブレません。
いまだにまだ、過去がアキラを縛ります。
一方で、前に進みたい、みんなに優しくしたいとも思います。
そんな、少しずつ変わっていくアキラが是非、報われて欲しい。
どのような決断、どのような判断をするのだとしても。
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