『惑星のさみだれ』のキャラクターと物語概要を解説!王道だけど邪道なファンタジーの魅力を紹介

 

みなさんこんにちは、マンガフルライターの神門です。

今回ご紹介するのは

 

『惑星のさみだれ』

 

です。

「わくせいのさみだれ」ではなく、「ほしのさみだれ」ですので間違えないように要注意!

この『惑星のさみだれ』、2010年に連載が終了した作品なのですが、なんと10年以上の時を経て2022年夏にアニメ化されることが決定し、作品のファンや作者の水上先生のファンの界隈で一気に話題が盛り上がりました。

 

今回はその『惑星のさみだれ』について簡単なあらすじとキャラクター紹介を行うとともに、なぜアニメ化決定でここまでファンの間で盛り上がったのか、その作品の魅力について語りたいと思います。

  • 『惑星のさみだれ』が気になっている
  • アニメ放映に先駆け、ストーリーやキャラクターを知っておきたい
  • 『惑星のさみだれ』の昔からのファンで、改めて作品を復習したい

 

という方は、是非、本記事を読んでいただければと思います!

 

目次

1、『惑星のさみだれ』ってどんな漫画?

著者 水上 悟志
出版社 少年画報社
掲載雑誌 ヤングキングアワーズ
掲載期間 2005年-2010年
単行本巻数 全10巻
ジャンル ファンタジー

 

『惑星のさみだれ』は、水上悟志先生がヤングキングアワーズで連載していた作品です。

主人公の雨宮夕日とヒロインの朝日奈さみだれの2人を中心に、仲間たちと共に各人が持った特殊能力で敵である魔法使いを倒すために戦うファンタジー作品です。

作品自体は2010年に完結し、単行本は全10巻と非常に読みやすい長さで物語は完結しています。

「単行本10巻以内で完結した面白い漫画」、を調べている方にはぜひともお薦めしたい作品で、数ある水上悟志先生の作品の中で今でも根強い人気を誇っています。

それゆえに、2022年のアニメ化の発表では驚喜した人も多いですし、その中には同業者の方も多かったのではないかと思います。

 

2、アニメに先駆けて!『惑星のさみだれ』の物語と作中の重要なキーワードの簡単な解説

ここではまず、『惑星のさみだれ』の物語の概要の紹介と、作品内で使用される特殊なキーワード3つを紹介します。

物語を楽しむうえでの前提とお考え下さい!

 

2-1 『惑星のさみだれ』ってどんなお話なの? 物語の始まり及び概要をざっくり解説

物語は、主人公の雨宮夕日の前に騎士と名乗るトカゲの姿をしたノイ=クレザントが現れたところから始まります。

ノイは、地球を滅ぼそうとする悪の魔法使いの手から姫を守り、世界を滅亡から救うためにやってきたと言います。

更にノイと契約を交わして、姫を守り魔法使いを倒す「トカゲの騎士」となって欲しいと頼んできます。

しかしながら夕日は平穏と退屈を望んでおり、魔法使いの使役する「泥人形」に襲われて命の危機にさらされても、姫である朝日奈さみだれと出会っても、ノイの言うことを聞こうともしません。

夕日の前にいきなり現れたノイ。ここからすべてが始まる。

「惑星のさみだれ」 1巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

しかし夕日はその後さみだれに地球を滅ぼすものである「ビスケットハンマー」を見せられます。

さらにさみだれに

  • 「私のものになりなさい」
  • 「この地球を砕くのは私の拳」
  • 「忠誠を誓え」

 

と言われた夕日は、朝日奈さみだれという小さな魔王に、そして惑星を砕く物語へと魂を呑まれ、戦いへと身を投じることにしたのでした。

小さな魔王、さみだれが誕生した瞬間。後ろに見えるのがビスケットハンマー

「惑星のさみだれ」 1巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

ノイの「トカゲの騎士」となった夕日は、魔法使いが繰り出す泥人形と戦うため、そしてさみだれの頼もしき片腕となるため、ノイから授けられた能力「掌握領域」の念動力を自由に使えるようになるため自らを鍛えます。

魔法使いから姫を守り地球破壊を阻止するための騎士は、「トカゲの騎士」である夕日を含めて全部で12人存在します。

ですが、地球を滅ぼす「ビスケットハンマー」ではなく自分の拳で地球を破壊するのがさみだれの目的であり、そのさみだれの願いをかなえるため夕日は騎士となりさみだれに忠誠を誓いました。

なぜ、そのようなことを望むのか。

  • 地球を愛しているから、地球を自分の所有物としたいから自らの拳で砕きたいさみだれ
  • 幼少時の体験から重度の人間不信となり、さみだれだけに忠誠を誓いさみだれの願いを叶えると誓う夕日

 

悪の魔法使いや「ビスケットハンマー」から地球を守る物語であると同時に、さみだれと夕日が地球を壊そうとする物語でもあります。

さみだれの願いは、自分の拳で地球を破壊すること

「惑星のさみだれ」 1巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

ごくごくざっくりですが、物語の概要は以上のようになります。

もちろん、これはほんのごく一部でしかありませんので、気になる方は是非、頭からすべて読んでみてください!

 

2-2 『惑星のさみだれ』を楽しむうえで押さえておきたい3つのキーワード

ここでは『惑星のさみだれ』を楽しむうえで知っておくべき重要なキーワード3つをざっと説明いたします。

 

■指輪の騎士

悪の魔法使いと戦うために選ばれた十二人の騎士たちです。

それぞれ騎士の従者である獣によって選ばれ、選ばれた者たちには騎士の証である指輪が現れることから指輪の騎士と呼ばれています。

騎士として契約するとその見返りに、一つだけ願いを叶えることができるようなります。

これは、命を賭けた戦いに巻き込まれることに対する報酬であり、また戦いを嫌がる人を参加させる対価となります。

騎士の契約を交わすと、好きな願いを一つ叶えられる。それは報酬であり対価である

「惑星のさみだれ」 1巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

■掌握領域

指輪の騎士となった者が手に入れることができる特殊能力です。

一言でいうなれば「念動力」となりますが、使い手である指輪の騎士の性格や考え方によって特性が異なります。

騎士自身の肉体を鍛えることにより、持続時間を延ばしたり、威力を強くしたりすることも可能です。

指輪の騎士となったことで使用できるようになる「掌握領域」

「惑星のさみだれ」 1巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

■ビスケットハンマー

地球を破壊する巨大なハンマーです。

軌道上に浮かんでいて、基本的には通常の人間には見ることが出来ませんが、指輪の騎士たちはその巨大な姿を見ることが出来ます。

(正確には、「そこにある」と意識した者のみ見ることが出来ます)

地球を砕く、ビスケットハンマー

「惑星のさみだれ」 1巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

3、『惑星のさみだれ』に登場する、姫・さみだれと姫を守る12人の騎士を紹介

ここでは物語を読み進むうえで欠かせない主要登場人物である、さみだれ、およびさみだれを守る騎士たちをご紹介します。

 

3-1 朝日奈さみだれ(あさひな さみだれ):騎士たちが守るべき姫

「惑星のさみだれ」 5巻 水上悟志/少年画報社 より引用

本作のヒロインにして、12人の騎士たちが守る姫です。

しかしながら本心では地球を愛しすぎるが故に、地球を自分の所有物とするため自らの拳で地球を破壊したいと願う魔王でもあります。

実はさみだれは病弱で余命いくばくもない状態だったのですが、精霊・アニマと契約を結ぶことによって生命力を得ているのです。

そのため、戦いが終わってアニマとの契約も終了してアニマが消えたら元の状態に戻ってしまいます。

自分がいない世界など嫌だ、だから地球を壊してしまいたいと願っているのです。

「惑星のさみだれ」 2巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

さみだれはアニマと契約し精霊の力を得たことで、素手で泥人形とも戦うことのできるパワーを得ており、車を投げたり川をジャンプで飛び越えたりと、凄まじい力を見せつけます。

 

3-2 雨宮夕日(あまみや ゆうひ):トカゲの騎士

平穏と退屈を望む青年

「惑星のさみだれ」 1巻 水上悟志/少年画報社 より引用

物語の主人公であり、トカゲの姿をしたノイ=クレザントと契約を交わしたトカゲの騎士でもあります。

ごく普通の大学生でしたが、さみだれと出会い、さみだれの魅力にうたれ、さみだれに忠誠を誓うようになります。

本人は幼少時の体験(トラウマ)なども重なり人を信用しておらず、大学に友人もおらず、合理主義者で冷徹なところもあります。

物語では、さみだれと、そして他の騎士たちと出会い、成長し、変わっていく姿が描かれていきます。

 

 

掌握領域は「掌握空域 天の庭(バビロン)」

念動力の塊のようなものを操り、その上に乗るなどして自分の動きをサポートしたり、また逆に敵にぶつけて動きを妨げるといった役割を果たします。

単体で敵を倒すような力のある能力ではないため、いかに活用していくか、常に考えながら使用していく必要があります。

格好つけてます

「惑星のさみだれ」 8巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

3-3 東雲半月(しののめ はんげつ):犬の騎士

自称、正義の味方

「惑星のさみだれ」 2巻 水上悟志/少年画報社 より引用

正義の味方を自称する、犬の姿をしたルド=シュバリエと契約を交わした犬の騎士です。

古武術「古雲流」の達人であり、精霊の力で身体能力が圧倒的に向上したさみだれをも簡単にあしらってしまうほどの体術を誇ります。

さみだれの姉・氷雨に一目ぼれをしたり、用心深い夕日の懐に入り込んだりと、ひょうひょうとして憎めない雰囲気を醸し出しています。

 

掌握領域は「方天戟」といい、槍状の領域を作り出して相手に投擲し、その威力で相手を削り取っていきます。

 

3-4 東雲三日月(しののめ みかづき):カラスの騎士

半月の弟である

「惑星のさみだれ」 2巻 水上悟志/少年画報社 より引用

カラスの姿をしたムーと契約を交わしたカラスの騎士であり、東雲半月の弟でもあります。

夕日と同じ大学に通っている大学生で、兄の半月と同じように武術の達人でありますがその戦い方はあくまで我流。

強く大きかった兄を追いかけ、追い越そうとしています。

気さくな大学生の仮面の下には戦闘狂の一面があったりもします。

 

使用する掌握領域は「掌握結界 封天陣」といい、大量の領域を周囲に放ってそれらの領域を足場に立体的な戦いを行います。

夕日とは同世代でもあり、良きライバルとして共闘したり、逆に戦い合ったりします。

戦闘狂であり、戦闘センスはピカイチ

「惑星のさみだれ」 3巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

3-5 南雲宗一郎(なぐも そういちろう):馬の騎士

馬の名前はアレでしょうか

「惑星のさみだれ」 3巻 水上悟志/少年画報社 より引用

馬の姿をしたダンス=ダークと契約を交わした馬の騎士で、騎士の中で最年長の渋いおじさんです。

最年長ということもありますが、知識も経験も責任感もあり、戦いの場においてもリーダー的な役割を果たします。

実は南雲は元刑事であり、刑事時代の知識や能力も活用しています。

 

掌握領域は「傾天平面(たかまがはら)」といい、平面上の領域を作り出します。単体では相手に貼り付けることで動きを止めたりして、また他の騎士の領域と重ねることで別の力を発揮させるような使い方をしています。

掌握領域以外でも強烈な足技を誇り、能力を使用しない戦いにおいても強さを発揮することが出来ます。

 

3-6 白道八宵(はくどう やよい):蛇の騎士

やはり、剣士タイプは一人は欠かせません

「惑星のさみだれ」 3巻 水上悟志/少年画報社 より引用

蛇の姿をしたシア=ムーンと契約を交わした蛇の騎士です。

おっとりとした雰囲気を持ち、しゃべり方も語尾が「です~」などと伸びたりしてゆったりした感じです。

しかし、シアから生きるか死ぬかの闘いに参加して欲しいと言われて即決したり、契約の報酬である願い事もその場で即断したりと、色々と考え方が常人から逸しているところもあります。

学生時代から剣術を習っていて、怒らせると怖いお姉さんでもあります。

実は隠れオタクでコスプレを趣味にしていたりもします。

 

掌握領域は「炎状刀(フランベルジュ)」といい、手にした武器(木刀)に紐上の領域を巻き付かせて攻撃を行います。

攻撃力はさほどでもありませんが、南雲の「傾天平面(たかまがはら)」と領域を重ねることで「炎の魔剣(フレイムタン)」を繰り出したりもしました。

 

3-7 風巻豹(しまき ひょう):黒猫の騎士

ぽっちゃり系・・・

「惑星のさみだれ」 3巻 水上悟志/少年画報社 より引用

黒猫の姿をしたクー=リッターと契約を交わした黒猫の騎士です。

やや(?)太っている、穏やかな雰囲気を持っている男性で、大学で心理学を研究しています。

常に落ち着いており、学者らしく知識欲が旺盛であり、また色々なことを知ってもいます。

その知識欲ゆえか、敵の魔法使いであるアニムスからも興味を持たれる存在ですが、アニムスとは思想が異なるということで拒絶しました。

見た目通りの大食漢で、大食いのさみだれとも張るほどです。

 

掌握領域では、本来は敵の魔法使いが使役するような泥人形を大地から作り出す「創造領域 地母神(キュベレイ)」を駆使します。

泥人形は形態も色々と変えて作り出せるため、戦闘にも使えれば仲間たちの訓練にも使えたりと、非常に使い勝手の良い能力です。

一番、汎用性のありそうな能力

「惑星のさみだれ」 4巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

3-8、9 星川昴(ほしの すばる):鶏の騎士、月代雪待(つきしろ ゆきまち):亀の騎士

幼馴染の二人。見た目と中身は異なります

「惑星のさみだれ」 3巻 水上悟志/少年画報社 より引用

星川昴は、鶏の姿をしたリー=ソレイユと契約を交わした鶏の騎士で、活動的なショートカットをした中学一年生の女の子です。

ボーイッシュで強気な雰囲気を持っていますが、実は幼少時は運動も苦手で気も弱く、幼馴染である雪待に守ってもらうような女の子でした。

丁寧な物腰と口調で、凛々しい外見ですが内面は実に可愛らしい女の子です。

 

そして月代雪待は、亀の姿をしたロン=ユユと契約を交わした亀の騎士です。

中学一年生の女の子で、糸目でツインテールが特徴です。

おっとりとした感じの子ですが、心のうちに強い芯を持っていて、空手を習っていて男子も泣かせてしまうほど実は強気の女の子です。

やっぱり、星と月は2人コンビじゃないとダメですよね!

 

掌握領域は雪待と2人で手をつないで作り出す、「最強の矛」と「無敵の盾」です。

「無敵の盾」で敵の攻撃を防ぎ、その「無敵の盾」そのもので攻撃することが「最強の矛」となる、まさに攻防一体の能力です。

二人で作り出す強力な能力

「惑星のさみだれ」 4巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

3-10、11 日下部太朗(くさかべ たろー):ネズミの騎士、宙野花子(そらの はなこ):カマキリの騎士

こちらも幼馴染の二人

「惑星のさみだれ」 3巻 水上悟志/少年画報社 より引用

日下部太朗ネズミの姿をしたランス=リュミエールと契約を交わしたネズミの騎士です。

高校生の男子で、カマキリの騎士の花子とは家が隣同士の幼馴染で、ハナコのことを昔から好きでもありました。

プロの料理人を志望しており、掌握領域でも人参を細かく切り刻むなど細かい操作が得意です。

熱血漢ではありますが小心者で、魔法使いとの戦いにもビビっていますが、好きなハナコを守るため戦いに身を投じます。

好きな女の子為なら命は張れる。それが、勇者・・・

「惑星のさみだれ」 4巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

掌握領域では「荒神(あらがみ)」という、空気を細かく振動させて高温を発生させることでアルコールなどを着火・爆発させる技を使用します。

 

宙野花子カマキリの姿をしたキル=ゾンネと契約を交わしたカマキリの騎士です。

太郎の幼馴染で三つ編み、眼鏡の女子高校生です。

感情が希薄で、泣かない、怒らない、怖がらない、何を考えているか分からない、という女の子で、騎士の契約で得られる願い事もかなり適当に使用してしまいます。

 

掌握領域では、分子の運動を抑制させることで水を瞬時に凍らせて極低温を発生させる技を使用します。

感情が希薄なため自分の技にも思い入れが薄く、当初は「よく冷え~る」などと名前を付けてタローからツッコミを受けました。

花子は感情が希薄。そんな花子も変わっていくのだが・・・

「惑星のさみだれ」 4巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

3-12 茜太陽(あかね たいよう):フクロウの騎士

最年少の騎士!

「惑星のさみだれ」 3巻 水上悟志/少年画報社 より引用

フクロウの姿をしたロキ=ヘリオスと契約を交わしたフクロウの騎士です。

12歳と騎士の中では最年少の男の子ですが、12歳という年齢に似つかわしくない落ち着いた雰囲気を持っています。

家庭環境に恵まれておらず、父親が再婚した後にできた弟の方にばかり愛情が注がれ太陽本人が少し陰を帯びた少年として育っています。

 

掌握領域は「混沌領域 因果乱流(パンドラ)」といい、時間をかき乱すことで対象のものを破壊したり、逆に傷を治したりすることが出来ます。

 

3-13 秋谷稲近(あきたに いなちか):カジキマグロの騎士

人呼んで、師匠!

「惑星のさみだれ」 4巻 水上悟志/少年画報社 より引用

カジキマグロの姿をしたザン=アマルと契約を交わしたカジキマグロの騎士で、夕日たちと合流する前に既に命を落としています。

実は稲近は戦国時代の生まれで、5歳の時に発生した大地震で津波に飲み込まれて生還したことで神通力に目覚め、それ以来500年間生きてきた超能力者です。

稲近の最後の弟子が昴と雪待で2人からは「師匠」と呼ばれています。

神通力で自分の死期も知っていた稲近は二人を導き、力の使い方を教え、二人に力を与えて亡くなりました。

カジキマグロが従者という、その絵面だけで非常に強力なキャラクターでもあります。

 

掌握領域は「天沼矛(アマノヌボコ)」、昴と雪待を守るため、瀕死の重傷を負いながら泥人形に最後の攻撃を与えました。

 

4、『惑星のさみだれ』の魅力をもう少し深堀り!ここに注目してほしいポイント

ここまで『惑星のさみだれ』の物語の概要と登場人物を紹介しました。

これだけでも作品を楽しむ情報を凝縮して詰め込んできましたが、更に作品を楽しむため、追加で個人的に「ここに注目してみてほしい」ポイントを3つ、お届けします。

 

4-1 王道ど真ん中だけど王道からそれた物語展開を冒頭から提示して中弛みなく完結まで進む物語

『惑星のさみだれ』の物語の骨子は非常にシンプルかつ王道をいっています。

即ち、

 

地球の破壊を願う悪の魔法使い vs 姫と12人の特殊能力を持つ騎士たち

 

言ってしまえば初めから終わりまでこの構図であり、魔法使いおよび魔法使いの繰り出す泥人形との戦いが最後まで描かれます。

魔法使い vs 獣の騎士団(12人の騎士たち)の分かりやすい構図は初めからなのだが・・・

「惑星のさみだれ」 3巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

闘いにおいては特殊能力を使用した「能力バトル」であり、仲間たちはそれぞれ異なる力を組み合わせて戦っていきます。

非情に分かりやすい作りで誰にも理解されやすく、更に能力バトルは多くの人を惹きつける設定でもあります。

しかしそこで終わらないのが『惑星のさみだれ』。

 

本記事の「2、アニメに先駆けて!『惑星のさみだれ』の物語の簡単な解説」でも説明していますが、主人公の夕日とヒロインのさみだれは、魔法使いを倒して地球を守る正義の味方の立場でありながら、魔法使いを倒した後に自分の手で地球を破壊したいと願う魔王の立場でもあります。

そしてそれが物語の冒頭から示されています。

 

地球の破壊を願う悪の魔法使い vs 姫と12人の特殊能力を持つ騎士たち

 

だけではなく、実は

 

魔法使いを倒した上で地球の破壊を企む魔王とその下僕

 

という第三勢力を内包しているわけです。

裏にある第三勢力、さみだれと夕日

「惑星のさみだれ」 3巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

主人公たちが目指す2つの相反した道のどちらに辿り着くのか、読者はその疑問をはじめから抱きながら物語を読み進めていくことになります。

  • どこかで仲間たちに知られたりしないのか?
  • 仲間たちと戦う展開になるのか?
  • 結局、最後はどうなるの?

 

最終目標を物語の最初に提示し、戦いの中で変わっていく人間関係や心情を考えながら、実際にどういう結末を迎えるのか予想して読み進める。

そういう楽しみを持った作品であり、それが物語の冒頭からラストまで中弛みすることなく完結を迎える作品なのです。

 

4-2 「導き」と「成長」、王道の人間関係をきっちりと描き切る

指輪の騎士は12人いますが、その年齢構成は12歳の子供から42歳の中年まで実に幅広いです(500歳超の秋谷稲近はまた規格外ですが)

そして12人の年齢差、あるいは人生経験の差が、

  • 年長者は年少者を守るとともに導き
  • 年少者は年長者の背中を追いかけ
  • 同年代同士は互いに刺激しあい成長する

 

というのを実に綺麗に物語の中で展開します。

12人の騎士は、以下のように3つの層に分かれます。

  • 大人組:秋谷稲近、南雲宗一郎、風巻豹、東雲半月
  • 青年組:雨宮夕日、東雲三日月、白道八宵、日下部太朗、宙野花子
  • 子供組:星野昴、月代雪待、茜太陽

 

 

大人組は、子供組は守るものであると同時に一人の人間として接し、青年組に対してはより精神的な成長を促し、

青年組はまだ大人になり切れない中で、大人組の背中を見て自分がどうあるべきかを考え、同時に自分たちより幼い子供組と近い立場を保ちつつ格好いい姿を見せたいと立ち回り、

子供組は年長者の導きを受けつつ、足手まといにならないよう自分に何ができるかを考えて必死に成長しようとする、

子供は守るものと思っていた南雲だったが、その子供に教えられる

「惑星のさみだれ」 9巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

そういった関係性や変化・成長が描かれ、見事に纏まっているのです。

 

例えば、主人公の夕日はかなり屈折した性格をしています。

幼少時の体験より周囲を信じられなくなり、友達や信用できる人も作らず、性格もかなり冷めています。

そんな夕日が、地球を自分の拳で破壊したいというさみだれに強い衝撃を受けて忠誠を誓い、さみだれの願いを叶えたいと思うようになりました。

過去に縛られている夕日の成長も、もちろん大きな要素の一つ

「惑星のさみだれ」 1巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

しかしながら、東雲半月と出会い、秋谷稲近の意思を知り、東雲三日月という同年代のライバル的な存在を得て、変わっていきます。

今まで得られなかったものが、戦いの中で得られた仲間達によって埋められていくことで、夕日は変わっていくのです。

そしてそれは、他のキャラクターに関しても同様だったりします。

 

物語と同様、テーマ自体は奇をてらったものではない王道です。

その王道テーマを全10巻の1ストーリーの中できっちり描き切っているところが本作の良さだと思います。

 

4-3 作品は終わっても物語は終わらない、「さみだれ」を描いた最終話までのラストエピソードの素晴らしさ

この作品、物語の終盤に至る魔法使いの繰り出す泥人形、および魔法使いとの戦いにおいては、12人の騎士たちを中心に描かれていくように感じられます。

4-2でもお伝えしたように、その中で描かれる人間関係や成長といったものを強く受け止めていきます。

その中で、ヒロインであるさみだれは物語の中心人物でありながら、物語の中心に描かれないキャラクターでした。

しかしながら、単行本でいう最終10巻においてガラリと変わります。

一気にかわり、さみだれのための物語になる

「惑星のさみだれ」 10巻 水上悟志/少年画報社 より引用

 

ああ、『惑星のさみだれ』とは、タイトル通りにさみだれの物語なのだと読者に認識させてくれます。

 

地球を壊そうとする魔法使いとの戦いではなく、地球を壊そうとする魔王の物語だということを理解させてくれる急展開。

そして、そこからつながっていく物語のラスト。

闘いは終わっても人生は続いていく。

当たり前のことではあるけれど、今までの戦いと人間関係の変化を受けたうえで見せてくれたラストは綺麗であり、また力強いものでもあります。

 

以前マンガフルで、「ラストが最高な漫画」の記事を作りましたが、今になってなんであのとき、『惑星のさみだれ』を挙げなかったんだろう!? とも思います。

マンガタリライターおすすめの「ラストが最高な漫画」11作を厳選紹介!

2019年11月30日

 

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、作品は完結してこそ意味があり最終評価されるものです。

全10巻という比較的コンパクトな中で、おそらく作者の水上先生が描きたかったことを全て収め、表現し、終わらせることが出来た作品。

そのトータルを見てほしい作品でもあると思います。

 

5、まとめ

以上、今回は『惑星のさみだれ』の

  • 物語の概要の紹介
  • 主要な登場人物の紹介
  • 作品の魅力の紹介

 

を行いました。

私も今回、アニメ化の話を聞いて、本作品を引っ張り出して再読して、改めて素敵な作品であることを再確認しました。

『惑星のさみだれ』のファンの方も、まだこれから見てみようかという方も、本記事を読んで作品の魅力や楽しさを少しでも感じていただけたら幸いです。

 

以上、ビジュアル的にも性格的にも氷雨さんが好きなマンガフルライターの神門でした。

 




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ABOUTこの記事をかいた人

社畜として働きつつ、漫画と小説と野球に癒される日々。人生を変えた作品は「女神転生」。プロ野球を愛しベイスターズを愛する。 熱血王道もの、血飛沫舞うバトルものから美少女百合ものまでなんでも好む。特に「無限の住人」の美しい殺し合い、「はやて×ブレード」のバカバトルが好きです。