みなさんこんにちは、【今週の1冊】として毎週、直近に読んだ作品(時には古い作品も!)をご紹介するマンガフルライターの神門です。
皆さんが作品を購入するご参考にしていただければと思います。
今回ご紹介するのは
『龍とカメレオン』
です。
主人公は天才漫画家・花神臥龍。
そして、無名漫画家・深山忍。
臥龍は今もっとも人気のある漫画家で、連載作品も常に読者アンケートはトップ。
アニメ化、映画化もされ、まさに人気の絶頂にあるといっても過言ではない状況。
その連載もラストに向けてスパートをかけている最中、アクシデントによってなんと臥龍と忍の体が入れ替わってしまう。
当然ながらどうすればもとにもどれるのかと考える臥龍だが、忍はそれを否定する。
せっかく人気漫画家になれたのに、なぜわざわざ戻る必要があるのかと。
忍は誰の絵でも完全コピーできる才能の持ち主。
だから、付いたあだ名が「カメレオン」。
無名だった過去の自分など不要、これからは人気漫画家の花神臥龍で生きていくことを宣言する。
かくて、カメレオンは龍に成り代わり。
地に堕ちた龍は再び天を目指す。
漫画という世界を舞台にして熱き人達がぶつかりあう漫画家バトル作品です!
「龍とカメレオン」 1巻 石山諒/スクウェア・エニックス より引用
連載が開始されてから各所で話題になっていた本作。
読んでみればわかる、その熱さと面白さ。
展開としては、トップと底辺が入れ替わってしまい、主人公がその底辺から再び這い上がっていくというのはそれぞれ目新しいわけではない。
ただ、とにかく熱さと勢いというかが強い。
物語の展開もスピード感があり、引き延ばしたり出し惜しみしたりしている感がない。
話しの展開のさせ方も上手い。
身体が入れ替わったとはいえ、中身は天才漫画家の花神臥龍。
物語を考える力、画力、構成力、人生経験、そういったものがなくなるわけではないから、すぐに力を発揮し人気を得られるかとも思える。
だけど、「カメレオン」深山忍は、画力だけでなく臥龍という人間そのものもトレースして龍になり切ろうとして実際にその力を見せる。
そうするとどうなるか。
どんなに深山となった臥龍が面白い漫画を描こうが、それは「臥龍の描いた漫画に似た作品」になってしまう。
絵も、話も、そもそも大人気である作品が先にあれば、その二番煎じと見られてしまう。
だから、面白くてそこそこ人気のある作品を出すことはできるけれど、そこまでになってしまう。
深山となった臥龍は、かつての自分を、全く違う形の漫画を描いて超える必要が出てきてしまったというわけである。
これは大変に難しい。
長年染みついた、というか自分が積み重ねてきたものを横に置いておいて、新しいものを積み上げて超えなければいけないのだから。
そう簡単にはいかない展開が読者を引き込ませる。
「龍とカメレオン」 1巻 石山諒/スクウェア・エニックス より引用
そして何より、漫画に対する熱!
漫画に限った話ではありませんが、仕事っていうのはバトルそのものなんだということを見せてくれます。
特に主人公の臥龍は主人公らしさをガツンと見せてくれます。
地に落ちて、成功し世界的にも認められた自分という凄まじく高い山が目の前にあるのに、その高さに挑戦できることを喜ぶ。
逆境に落ちた時にどういう行動をなすかが主人公の魅力の一つであるかと思いますが、これは完全に主人公ですわ。
「龍とカメレオン」 2巻 石山諒/スクウェア・エニックス より引用
もちろん、臥龍と深山だけではない。
無名の新人漫画家になったということは、同じように漫画家を目指すライバルたちが沢山いるわけで。
そして、漫画家を支える編集の人やアシスタントさん。
そういった人たちの思いやスタンスなども交えながら臥龍の新たな物語は進んでいく。
実際に臥龍が深山と対決できるのはまだ先のことになりそうですが。
そこまでに深山がどんな龍に変化し、そして臥龍がどのような龍として生まれ変わっていくのか。
楽しみな作品がまた出てきました!
※なお、本作はマンガUP! で読むこともできますのでよろしければ!
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