みなさんこんにちは、【今週の1冊】として毎週、直近に読んだ作品(時には古い作品も!)をご紹介するマンガフルライターの神門です。
皆さんが作品を購入するご参考にしていただければと思います。
今回ご紹介するのは
『半人前の恋人』
です。
高校三年生の伊吹進太郎は、美術部員だということだけで学校に設置する備品の製作を任されました。
とはいっても進太郎の専門は絵で、工作的なことは得意ではありません。
それでも断り切れずに美術室で制作に勤しんでいると、何やら目つきの悪い怖そうな女子がずっと睨みつけてきている。
進太郎の作業音がうるさくてイライラしているのだろうと思ったら・・・
なんと、彼女がイライラしていたのは、進太郎の作業の、道具の使い方のいい加減さにでした。
「半人前の恋人」 1巻 川田大智/集英社 より引用
鋸の曳き方も、玄能の向きも逆。
とうとう彼女は進太郎から道具を奪うと、自ら作業をしてあっという間に作り上げてしまう。
作ってくれたお礼に、進太郎は彼女が苦戦している絵を代わりに描こうと提案するけれど・・・
彼女の名前は杉崎響子、太鼓職人を祖父に持つ少女。
絵を描く進太郎と、太鼓を作る響子。
お互い、それぞれの道ではまだ半人前にも届かないかもしれない。
そんな二人が出会い、交流し、惹かれていく、そんな青春グラフィティです。
ボーイミーツガール!
なんというかもう、見ていて甘酸っぱくなるといいますか。
進太郎も響子も、職人肌といいますか芸術家肌といいますか。
自分の好きなもの(絵、太鼓)に一筋で生きてきて、それに一生懸命だからこそ、高校三年生であっても実にピュア。
おそらく、他の同級生たちが楽しく賑やかに青春しているのとは異なる生活をしてきたのではないかと想像できます。
だけどもちろん、別にそれが不幸だとかそういうわけではなく。
自分の好きなことのためにやってきたのだから、それはそれで良いのだけど。
自分とは違う道で、自分と同じように不器用に生きてきた相手と出会い、自分が持っていないものに惹かれる。
「半人前の恋人」 1巻 川田大智/集英社 より引用
主人公の進太郎は見た目はちょっともっさりしている、真面目で優しい系の男子。
ヒロインの響子は、見た目はちょっとキツクて怖い系の女の子なのですが。
なんのことはない、実際には実に純情な女の子。
そういうカップリングも王道テンプレ的ではありますが、だからこそ安心して見ていられるといいますか、ほっこりするというか。
響子は照れ屋ではありますが、無駄に面倒くさい性格ではないし、正直でもありますから、進太郎に対し変にこじらせた態度もとりません。
だから、素直に安心して読み進めることができる。
不器用な二人を脇から支える、それぞれの男友達、女友達もいて、彼らも性格が良さそうなのでおかしな方向にはいかなさそう。
「半人前の恋人」 1巻 川田大智/集英社 より引用
あたたかい目で見守っていきたい。
そんな風に思わせてくれる、青春グラフィティです!
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