へそ!マンガタリライターじょにすけです。高校生の時にはじまった『ONE PIECE』と共にその後の人生を歩んできました。もう20年以上の付き合いになります。
はい、今回は『ONE PIECE』の話をさせていただきます。
これを書いている2019年12月現在、この作品は単行本で95巻にも及ぶ超大作になっています。もはや100巻越え確実の超長編物語ですが、、
伝説のはじまりは…
『ONE PIECE』1巻 著:尾田栄一郎/集英社より
死刑台で“ニヤ”っと笑う海賊王ゴールド・ロジャー。
ずっと記憶に残る1シーンですね。
本作は「バトル漫画なのにキャラが死なない漫画」としても有名です。※59巻:頂上戦争でエースが死ぬまではリアルタイムの物語上で1人も死なない
作者の尾田栄一郎先生は、『ONE PIECE』は少年のものだから「殺人や死亡シーンをなるべく描かない」という制約を設けているそうです。そんなこともあって、ロジャーの死がさらに際立っているのかもしれません。
ただ、過去のエピソードとして登場するキャラクターも含めると、ロジャー以外にも笑って死んでいった人たちが結構いるんです。みんな大好きなキャラクター達だと思います。
死なない作品のなか異彩を放ちまくる…
笑顔で死んでいった人たち
きっとここには大切な“なにか”が詰まっていると思うんです。
また、
- 「笑って死ぬ」ことにはどんな意味があるのか?
- なぜ笑って死んだのか?
を知ることで、『ONE PIECE』をより深く楽しめるんじゃないか!?と思うんです。
…
ということで!ここでは、笑って死んでいった8人に注目して…
8人の感動のラストシーン、最後のセリフを振り返りつつ、
- 笑って死ぬことの意味
- 笑って死んだ理由
- どうしたら笑って死ねるのか?
というところまで解明していきたいと思っています。
どうぞ最後までお楽しみください!
1、『ONE PIECE』ってどんな漫画?
作者 | 尾田栄一郎 |
---|---|
出版社 | 集英社 |
掲載誌 | 週間少年ジャンプ |
掲載期間 | 1997年〜連載中 |
単行本 | 95巻(2019年12月現在) |
ジャンル | 冒険バトル |
“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”を巡る大海賊時代のストーリー。海賊王を目指す主人公のルフィが仲間達と大冒険を繰り広げる王道バトル漫画です。
子供心をくすぐる大冒険のにおい…
『ONE PIECE』26巻 著:尾田栄一郎/集英社より
熱いバトルや友情シーン…
『ONE PIECE』9巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
さらにハードボイルドまであります…
『ONE PIECE』74巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
少年のわくわくとカッコいいをすべて詰め込んだ「ジャンプの王者」といえる作品です!
それだけではありません。
「空白の100年」や「Dの意志」といった、未だ明かされない謎…
壮大な世界観…
『ONE PIECE』90巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
涙なしでは見れない人間ドラマ…
『ONE PIECE』41巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
壮大すぎる世界が緻密に描かれていて、キャラクター1人1人の背景物語も濃厚に語られるので、味わい深くて大人が読んでもおもしろい。
僕らに人生で大切なことを気づかせてくれる生きる教科書であり、子供から大人まで楽しめる最強の漫画であり、、間違いなく漫画史に名を残す超傑作です。
ここでは、そんな作品中で「笑って死んでいったキャラクターたち」に迫っていきます。
2、笑って死んでいった7+1人を最後の言葉と共に紹介
まずは、笑って死んだ登場人物たちのストーリーと最後のシーンを振り返っていきましょう。
- 力強い光を放つ壮絶なラスト
- 死を覚悟した人間の「最後の言葉」に宿る強烈なメッセージ
心してご覧ください!
2−1 ゴール・D・ロジャー「探してみろ この世の全てをそこに置いてきた」
『ONE PIECE』1巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
海賊王ロジャー。冒頭でもご紹介した『ONE PIECE』はじまりのシーンですね。
ロジャーの最後の言葉からすべては始まりました。
「処刑される瞬間に笑う」なんて、初めはただのイカれたヤバイ奴という印象でしかなかったですが、、物語が進んでいくと、
- 万物の声を聴く力があったり
- 作中最大の謎である「空白の100年」や「Dの意志」の真実を知っていたり
世界をひっくり返そうとしていた人物だということがわかってきます。
『ONE PIECE』61巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
自身の最後の言葉によって世界が大きく動くこともすべて理解していました。
自らの死で新しい時代をつくる。
まさに「海賊王」の称号に相応しい最後でした。
2−2 ベルメール「ノジコ!! ナミ!! 大好き」
ベルメールさんは航海士のナミとその姉ノジコの母親ですね。ベルメールさんのエピソードは泣けます。
…
もともとベルメールさんは女海兵でした。ある戦場で親を亡くした3歳のノジコ、生まれたばかりのナミと出会います…
『ONE PIECE』9巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
瀕死の状態で死を覚悟していたベルメールでしたが、ナミたちの笑顔で命を救われたんです。
ベルメールさんは母親としてノジコとナミを育てることに。母子家庭で貧しく、ケンカもありましたが、3人は楽しく暮らしていました。
そんな中、突如現れたのが魚人の海賊アーロン…
『ONE PIECE』9巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
ベルメールさんは、ノジコとナミの命を救うため自ら犠牲になり…
『ONE PIECE』9巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
愛に死にます…
『ONE PIECE』9巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
最後のセリフは、最愛の娘たちへの愛の言葉でした。
また、ベルメールさんは母親として2人にこんな言葉を残していました…
『ONE PIECE』9巻 著:尾田栄一郎/集英社より引用
「いつでも笑ってられる強さ」を自ら証明して、2人の娘に残したベルメールさんでした。
[+1]モンキー・D・ルフィ「わりい おれ死んだ」
実際には死にませんでしたが、ルフィもロジャーと同じ死刑台で笑った男ですね。
ルフィは一度対戦して吹っ飛ばした宿敵(?)の“道化のバギー”に捕まり、公開処刑を宣告されます。
でも実はルフィ…はじめから死ぬことを受け入れて笑ったわけではないんです。
『ONE PIECE』11巻 著:尾田栄一郎/集英社より
「最後に一言 何か言っとくか?」とバギーから促されて出たセリフは、
『ONE PIECE』11巻 著:尾田栄一郎/集英社より
まったく死を受け入れていません。苦し紛れに出た虚勢で、表情を見てもわかる通り、最後まで抵抗を続けていました。
そんな中、仲間のゾロとサンジが登場。ルフィを助けるために死刑台を壊そうとするも…間に合わない。
そこではじめてルフィは死を受け入れます。そして笑うんです。
「ゾロ!! サンジ!! ウソップ!! ナミ!!」
『ONE PIECE』11巻 著:尾田栄一郎/集英社より
最後にルフィからでは言葉は、その前の独りよがりな虚勢とは違い、ここまで一緒に冒険をつづけてきた仲間達に向けた謝罪の言葉でした。
結局、ルフィが死ぬことはなかったんですが、
なぜ1回目は抵抗していたのに、2回目は笑えたのか?
ここは次の項以降で解明していきたいと思います。
2−3 ヒルルク「まったく!!!! いい人生だった!!!!」
ヒルルクは、年中雪が降っている冬島のドラム王国の医者ですね。ヒルルクのエピソードも何度泣いたことか。。
暴力と悪政で国を支配するドラム王国の王・ワポルによって苦しめられる国民。ヒルルクは、“病気の国、病んでいる人の心を治す”という信念のもと研究を続けていました。
『ONE PIECE』16巻 著:尾田栄一郎/集英社より
また、“ヒトヒトの実”を食べた青い鼻のトナカイのチョッパーの父親のような存在でもあります。
トナカイとしても人間としても中途半端な姿のチョッパーは、トナカイからも人からも迫害をうけ、独りぼっちでした。
『ONE PIECE』16巻 著:尾田栄一郎/集英社より
人に襲われ倒れていたチョッパーを救ったヒルルク。チョッパーは初めて触れた優しさに涙を流します…
『ONE PIECE』16巻 著:尾田栄一郎/集英社より
その後2人は喧嘩したり、仲直りしたりして、ともに暮らしました。
でも1年後。不治の病にかかり死期が迫っていたヒルルクは、自らの死によって悲しい思いをさせないようにチョッパーを家から追い出します。
結局、チョッパーには病気のこと、バレてしまうんですが…。
チョッパーはヒルルクの病気を治すために万病の薬と勘違いして猛毒キノコのスープをつくってしまいました。それを飲んだヒルルクは、医者仲間のDr.くれはに、チョッパーと完成間近の研究を託します。
そして最後まで国の危機を救うために城へ向かいました。国中の医者が倒れたという噂を聞いていたからです。
それはワポルが仕掛けた罠でした。
でも、罠だと知ったヒルルクは安堵するんです…
『ONE PIECE』16巻 著:尾田栄一郎/集英社より
最後まで国のことを思うこの言葉には胸が締め付けられますね。
ヒルルクは、自分を撃ち殺すよう命じたワポルを制して話し始めます。
「やめておけ お前らにゃあ おれは殺せねェよ 人は いつ死ぬと思う…?
心臓をピストルで撃ち抜かれた時… …違う
不治の病に犯された時… …違う
猛毒キノコのスープを飲んだ時……違う!!!」
『ONE PIECE』16巻 著:尾田栄一郎/集英社より
さらに続きます。
「おれが消えても おれの夢はかなう
病んだ国民の心もきっと救えるさ…!!」
そして「いい人生だった」と笑って死んでいくヒルルク…
『ONE PIECE』16巻 著:尾田栄一郎/集英社より
国のこと、最愛の息子チョッパーのことを思いながら散ったヒルルクの最後でした。
2−4 ポートガス・D・エース「愛してくれて……ありがとう!!!」
海賊王ロジャーの実の息子。白ひげ海賊団の2番隊隊長。ルフィの義兄です。
複雑な状況で生まれ育ったエースは、自分の存在・価値を証明することに固執していました。荒くれ者たちが暴れまわる大海賊時代をつくった大罪人でもある海賊王ロジャーの息子ということで、存在を否定され、辛い思いをたくさんしてきたからです。
『ONE PIECE』60巻 著:尾田栄一郎/集英社より
そんなわけで“名声”を手に入れるために海賊になったエースでしたが、いつしか敵として戦った白ひげの器のデカさに惚れ込み、白ひげ海賊団の一員に。
しかし同じ白ひげ海賊団にいた裏切り者の黒ひげ・ティーチに敗けて海軍に捕まってしまいます。そして、白ひげ海賊団 VS 海軍の頂上戦争の引き金になってしまいました。
自分を助けるために、死闘を繰り広げる仲間、オヤジと慕う白ひげ、弟のルフィを目の前にして、エースは涙…
『ONE PIECE』58巻 著:尾田栄一郎/集英社より
白ひげ海賊団の援護、エースを孫のように思っていたガープの情けもあり、なんとか処刑台から救われたエースでしたが、、最後はルフィを庇って、追ってきた海軍大将の赤犬・サカズキにやられてしまいます。
ルフィーの腕の中で、エースは自分の人生を語ります…
『ONE PIECE』59巻 著:尾田栄一郎/集英社より
エースが本当に求めていたものは名声なんかじゃなくて、“生まれてきてもよかったのか”の答えを知ることだった。
ルフィや仲間たちのおかげで“生まれてきてよかった”と思えたんですね。
『ONE PIECE』59巻 著:尾田栄一郎/集英社より
みんなへの伝言をルフィに託したエースは、最後の最後で笑みを浮かべました…
『ONE PIECE』59巻 著:尾田栄一郎/集英社より
2−5 白ひげ「お前達には全てを貰った 感謝している さらばだ息子達………!!」
本名エドワード・ニューゲート。海賊王ロジャーのライバルで、ロジャー亡き後は最強の男として君臨していた大海賊です。
白ひげは、海賊団の船員や傘下の海賊たちのことを「息子」と呼び、逆に船員たちからは「オヤジ」と慕われていました。
エースと同じく頂上戦争において壮絶な最期を遂げます。
エースの死後、息子である船員やルフィーたちを逃すために1人海軍の前に立ちはだかる白ひげ。そこに現れたのはかつて船員だった黒ひげ・ティーチでした。
海軍との戦闘ですでに瀕死の重傷を負っていた白ひげは集中砲火を受け、最期の時を迎えます。
白ひげの最後のセリフは、海賊王ロジャーの意志を次に繋げる言葉でした…
『ONE PIECE』59巻 著:尾田栄一郎/集英社より
そして最後は愛する息子たちのことを思いながら…
『ONE PIECE』59巻 著:尾田栄一郎/集英社より
仁王立ちのまま逝った白ひげ…
『ONE PIECE』59巻 著:尾田栄一郎/集英社より
最強のオヤジです。
正直、白ひげに関しては、笑っているかどうか?判断が難しいところですが、きっと心の中で「グララララ」と笑ってたんじゃないかと思ってます。
2−6 コラソン「お前はもう自由なんだ……」
本名ドンキホーテ・ロシナンテ。王下七武海ドフラミンゴの実の弟で「コラソン」という名前はドフラミンゴファミリー(海賊団)のコードネームです。
“ナギナギの実”を食べた能力者で自分の出す音、触れたものの音を消すことができます。
『ONE PIECE』77巻 著:尾田栄一郎/集英社より
コラソンは、兄ドフラミンゴの暴走を止めるために海軍のスパイとしてドフラミンゴファミリーに潜入していました。
そこへやってきたのが、珀鉛病(はくえんびょう)という発病すると数年しか生きられない病にかかった少年トラファルガー・ロー。のちにルフィーと海賊同盟を結び共闘することになる海賊ですね。
病が原因で迫害を受け、両親たちも殺された天涯孤独だったローは、世の中すべてを憎んでいました。ドフラミンゴの元にやってきたのも「すべてをぶっ壊す!!!」という目的を果たすためです。
コラソンは、病んで荒んでいたローを救うためにローを連れてドフラミンゴの元を離れました。
はじめはコラソンのことを嫌っていたローでしたが、親身になって助けてくれるコラソンの優しさをうけ「コラさん」と言って慕うように…
『ONE PIECE』77巻 著:尾田栄一郎/集英社より
ローがコラさんを信頼し始めた頃、ドフラミンゴからローの病気を治せる“オペオペの実”の情報を手に入れたと連絡が入ります。
“オペオペの実”があれば、ローの病気を治すことができる!
先回りしたコラソンは、ドフラミンゴを出し抜いて“オペオペの実”を手に入れます。しかしその時に重傷を負い、、ドフラミンゴには裏切ったことに気づかれてしまいました。
ドフラミンゴの能力で逃げ場がなくなり死を覚悟したコラソンは、ローを逃すために最後の力を振り絞ります…
『ONE PIECE』77巻 著:尾田栄一郎/集英社より
コラソンはローを宝箱の中に隠した後、自分が捕まることでローが脱出するチャンスをつくります…
『ONE PIECE』77巻 著:尾田栄一郎/集英社より
コラソンは銃で撃たれました。
でも、すぐには死にません。
コラさんは最後までローのことを思っていました…
『ONE PIECE』77巻 著:尾田栄一郎/集英社より
病や憎しみに囚われ縛られていたローをドフラミンゴの元から解放して自由したコラさんは、笑みを浮かべていました。
2−7 ペドロ「いいか ゆガラ達は前へ進め!!」
モコモ公国くじらの森 侠客団(ガーディアンズ)団長。ジャガーのミンク(動物のような半獣人種族)です。
過去に四皇ビッグマム海賊団に囚われたことがあり、ビッグマムによって寿命を50年奪われています。限られた時間のなか、親分のネコマムシ達が待ちわびている「世界の夜明け」の礎となるために生きていました。
『ONE PIECE』87巻 著:尾田栄一郎/集英社より
そんな中、モコモ公国の危機を救ってくれた麦わらの一味のために、因縁のビッグマム海賊団に囚われたサンジ救出作戦に同行します。
なんとかサンジを救い出した一行でしたが、ビッグマムたちに追われて絶対絶命の大ピンチに…
『ONE PIECE』87巻 著:尾田栄一郎/集英社より
ルフィー達こそが「世界の夜明け」へ導く者だと信じてペドロは、自らの命を懸けてルフィーたちの道をつくります…
『ONE PIECE』87巻 著:尾田栄一郎/集英社より
死に方は映画『レオン』と同じ。そして煙草をフーッとふかしながらの「ニコ」。渋すぎです。
※ペドロに関しては生存説もあります。個人的には好きなキャラなのでまたいつか会いたいなぁ…
3、なぜ笑って死んだのか?考察してみた
死なないバトル漫画と言われているなか、笑って死んでいった8人を振り返ってきました。思わず読み返したくなったシーンも多かったんじゃないでしょうか。
ただ、
- 死刑台で処刑
- 幼い娘たちを残して、目の前で殺される
- 実の兄に射殺される
状況的に考えたら悲劇ばかりですね。どれも笑って死ねる状況ではありません。死。愛する人たちとの別れ。
本来なら悲しいものであるはずの最後の瞬間に笑って死んだ7+1人。
- 「笑って死ぬこと」にはどんな意味があるのか?
- なぜ笑って死んだのか?
紐解いていきましょう。
ここでは尾田先生と3人の言葉を頼りに結論を出してみました。
3−1 愛する人がいつでも笑ってられる強さを忘れないように
まずはベルメールさんの笑顔の死にはどんな意味があったのか?を考えていきます。
『ONE PIECE』9巻 著:尾田栄一郎/集英社より
「いつでも笑ってられる強さを忘れないで…」
きっと、この言葉をノジコとナミが忘れることはありません。
ベルメールさんがこの言葉のとおりに生きて、笑顔で死んだことによって、より鮮明に2人の記憶に刻まれただろうと思います。1ファン1読者である僕の記憶にも刻まれました。
ナミは、ベルメールさんの言葉を糧にどんな困難も笑顔を忘れず乗り越えました…
『ONE PIECE』9巻 著:尾田栄一郎/集英社より
『ONE PIECE』11巻 著:尾田栄一郎/集英社より
「いつでも笑ってられる強さを忘れないで」
ベルメールさんの意志は、ノジコやナミたちに受け継がれました。
そして今も笑顔で冒険は続いています。
3−2 “くい”のない人生を生きた表れ
つづいてエースが笑って死んだ理由をみていきたいと思います。
『ONE PIECE』59巻 著:尾田栄一郎/集英社より
エースの笑顔の死については、単行本のSBS(質問コーナー)で尾田先生が真相を書いてくれています。
エースの死に際の表情、あれは、エースの気持ちを考えた時、ああいう表情に移り変わると思ったので、それを表現した並びゴマです。実際に痛いし、熱いし、苦しいし、申し訳ないし、死にたくないという表情。だけど、自分の人生には悔いはないという気持ち。これは本心だと一生懸命ルフィに伝えようとするんじゃないかな。というのが、あの笑顔です。
〈中略〉
相手に笑ってほしいから、笑ってみせる笑顔、最後の表情は、残された者達に贈る彼の優しさなんじゃないかと思います。
『ONE PIECE』61巻 著:尾田栄一郎/集英社より
エースの笑顔は
- 自分の人生に悔いはない気持ち
- 残される者たちに贈る優しさ
の表れでした。
ちなみに、エースはルフィとの最後のやりとりでこんなことを言っていました。
『ONE PIECE』59巻 著:尾田栄一郎/集英社より
この誓いというのは、もう1人の義兄弟サボが天竜人の船に爆撃されて(実際には生きてたけど)死んでしまったと知らされたあとにルフィと交わした誓いです。
『ONE PIECE』60巻 著:尾田栄一郎/集英社より
死ぬときの後悔といえば、1000人以上の末期患者の声をもとに書かれた『死ぬときに後悔すること25』著:大津秀一などが有名ですが、ほとんどの人は死が目前にせまると後悔するそうです。
そこには、
- やりたいことをやらなかったこと
- 生きた証を残さなかったこと
- 愛する人に「ありがとう」を伝えなかったこと
などが挙げられています。
エースは、自由に、思いのままに生きました。
『ONE PIECE』60巻 著:尾田栄一郎/集英社より
本当に求めているものに気づき、“生まれてきてもよかったのか?”の答えを出すことができました。
「ありがとう」を伝えました。
だから、“くい”のない人生を生きれたんですね。
笑顔の死は、“くい”のない人生を生きた証です。
3−3 思い出してもらうなら笑顔の方がいい
なぜ笑ったのか?コラさんには明確な意志がありました。
これは先ほどのエースの笑顔の理由とも繋がるんですが、残される人(これからも生きていく人)への優しさです。
コラさんが笑って死んだ理由は、ローを思ってのことでした。
『ONE PIECE』77巻 著:尾田栄一郎/集英社より
「いつかおれを思い出して貰うなら笑顔の方がいいもんな」
たしかに!どうせ思い出してもらうなら…
大切な人の頭の中に苦しい表情で登場して、心配させたり、悲しい気分にさせたりするんじゃなくて…
思い出す人が笑えるような、ちょっとでも“いい思い出”として登場したいですね。笑
別れる人に“いい思い出”として残す。
“笑顔の死”にはこんな思いも込められていました。
…
…
- “くい”のない人生を生き
- 残される人に“いい思い出”や
- これからを生きる指針を残す
笑って死んだ理由、笑って死ぬ意味がわかったところで…
最後に、笑って終わらせるためにやるべきことをまとめたいと思います。
4、笑って死ぬために伝える・思う最後のこと
笑って死んだ7+1人の「最後のセリフ」と「最後の思い」をまとめました。
要点を抽出すると、
誰のことを思ってたのか?は…
- なんらかの意志を託したい人
- 愛する人
のどちらか(両方当てはまる場合もあり)で、いずれにせよ、自分のことではなく人のことを思っていました。
その相手に最後に伝えた、思ったことは…
- 残る人、次の人の指針となるメッセージ
- 「好き」
- 感謝の言葉「ありがとう」
でした。
ロジャーの意志は、白ひげやペドロたちがひき継ぎ、現在ルフィたちへと繋がっています。
コラさんの意志を継いだローはルフィと一緒にドフラミンゴを倒し自由になり、ヒルルクの意志を継いだチョッパーとくれはは、桜を咲かせました。
あと、個人的には「さらばだ」もダンディーで好きですが、やっぱり最後に思うことは感謝の気持ちが多かったですね。
ルフィがはじめは抵抗してたのに最後に笑えたのもゾロやサンジが現れたからで…ルフィから出た言葉は「わりい」という謝罪の言葉でしたが、ここまで旅を続けてきた仲間への優しさや感謝の気持ちもこめられていたんじゃないかなと思います。
最後にやることはシンプルです。
- 次の人に意志を繋ぐ
- 好きな人に「好き」
- 愛する人への「ありがとう」
これさえ忘れずにできたら、きっと笑って最後を迎えられると思います。
まとめ
笑って死んでいった7+1人のストーリーはみんな感動的で心に残るラストでしたね。
今回はそこから感じたこと、考えたことをまとめてきました。
笑って死ぬことには…
- いつでも笑ってられる強さを忘れないように
- “くい”のない人生を生きて
- 残る人に“いい思い出”を残そう
こんな意味が込められています。
笑って最後の時を迎えるためには…
- これからも生きる人への指針となるメッセージ
- 好きな人に「好き」
- 愛する人への「ありがとう」
を伝える。思う。
最後の瞬間に好きな人のことや感謝の気持ちで溢れてたら幸せですね。
あとは今回の記事を通して、1つ1つのことを次に繋がるようにちゃんと終わらせていくことって大事だなと強く感じています。
ということで…この記事もそろそろ終わりにしようと思うので、最後にこれだけ言わせてください。
感動するだけでなく、笑って生きるために大切なことを気づかせてくれる『ONE PIECE』が大好きです!こんな長い文章を最後まで読んでくれたあなたのことも好きです。笑
最後まで読んでいただきありがとうございました!
じょにすけ
改めて『ONE PIECE』を読み返したくなった人はぜひ。笑
こちらは11人の漫画好きライターが「ラストが最高な漫画」を語った記事です。各作品のラストシーンと今回の「笑顔の死」がリンクするところもあって、併せて読むと面白いですよ!