みなさんこんにちは、マンガフルライターの神門です。
これまで、『ヘルシング』、『ブラック・ラグーン』の記事を作成してきた中で、私の中の内なる声が言いました。
なぜ、『トライガン』を書かないのか?
と。
いえいえ、書かないわけがありません。
当時はヤングキングアワーズに『トライガン』と『ヘルシング』が同時連載されていた奇跡の時代です。
『トライガン』ももちろん大好きだったので、旧単行本の後、『トライガン アーカイブス』のために新装版も改めて全部揃えちゃいました。
ということ今回は『トライガン』です。
『ヘルシング』、『ブラック・ラグーン』は名言をまとめた記事にしましたが、『トライガン』なら銃でありバトルであり“GUNG-HO-GUNS”だよな!
と思いましたので今回は、
VS “GUNG-HO-GUNS”
です!
敵の幹部軍団としては、個人的には漫画史上最高の軍団だと思っています。
ヴァッシュと、ウルフウッドと、繰り広げた数々の死闘とその中の名場面や名言をまとめてご紹介します!
ファンだった方は、「もう一度読みたくなってきた!」と
未読の方は「なにこれ読んでみたい!」と思っていただけると嬉しいです!
目次
- 1、『トライガン』ってどんな作品?
- 2、GUNG-HO-GUNSとは? 人外的戦闘能力を誇る12人の魔人達
- 3、GUNG-HO-GUNS&レガートとの全戦闘を名場面・名言つきでプレイバック
- vs モネヴ・ザ・ゲイル(GUNG-HO-GUNSの1)
- vs マイン・ザ・EGマイン(GUNG-HO-GUNSの2)
- vs ドミニク・ザ・サイクロプス(GUNG-HO-GUNSの3)
- vs 雷泥・ザ・ブレード(GUNG-HO-GUNSの9)
- vs レオノフ・ザ・パペットマスター(GUNG-HO-GUNSの4)
- vs グレイ・ザ・ナインライブス(GUNG-HO-GUNSの8)
- vs ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク(GUNG-HO-GUNSの7)&ホッパード・ザ・ガントレット(GUNG-HO-GUNSの6)
- vs ザジ・ザ・ビースト(GUNG-HO-GUNSの12)
- vs リヴィオ・ザ・ダブルファング(GUNG-HO-GUNSの10)
- vs ラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デス(GUNG-HO-GUNSの11)
- vs エレンディラ・ザ・クリムゾンネイル(13(ロストナンバー))
- vs レガート・ブルーサマーズ
- 4、まとめ
1、『トライガン』ってどんな作品?
著者 | 内藤泰弘 |
出版社 | 少年画報社 |
掲載雑誌 | 月刊少年キャプテン、ヤングキングアワーズ |
掲載期間 | 1995年-2007年 |
単行本巻数 | トライガン 全3巻(新装版 全2巻) トライガン・マキシマム 全14巻(新装版 全7巻) |
ジャンル | ガンアクション |
『トライガン』は、内藤泰弘先生がもともとは月刊少年キャプテンで連載していたガンアクション作品です。
その後、月刊少年キャプテンが休刊となったことに伴い、『トライガン・マキシマム』としてヤングキングアワーズに移籍して連載が継続されました。
物語の舞台は地球を遠く離れた砂漠の星です。
二重恒星と高重力という劣悪な環境の中で人々は細々と生きています。
主人公のヴァッシュ・ザ・スタンピードは「人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)」と恐れられ、人間として初めて局地災害指定を受ける伝説の凄腕ガンマンです。
それほどの凄まじい銃の腕を持ちながら、極度のお人好しの平和主義者であり、戦う相手であろうと決して殺そうとはしないほど。
それは、過去に大都市ジュライを消滅させた「ロスト・ジュライ」などの事件を引き起こしたことにも起因します。
ヴァッシュの生い立ち・過去には隠された秘密があり、自らに課した使命を果たすため戦い続けるヴァッシュを描いた作品です。
TVアニメ化もされ、サントラを買ってしまうほど音楽が格好良かったです。
OPの曲だけでご飯3杯はいけますね!
内藤先生のことを『血界戦線』で知ってファンになった方も多いかもしれませんが、個人的には『トライガン』ですので、『血界戦線』ファンで未読の方は是非、読んでみてください! やはり銃をガンガンぶっ放すのがロマンです(笑)
2、GUNG-HO-GUNSとは? 人外的戦闘能力を誇る12人の魔人達
本筋に入る前に、GUNG-HO-GUNSについて簡単にご紹介。
ヴァッシュの双子の兄であるナイブズによって組織された、12人の異常戦闘集団が、GUNG-HO-GUNSです。
ナイブズに選出された者もいれば、自らの意思で加わった者もいますが、いずれも魔人と呼ばれる程の戦闘能力を誇り、それぞれ1から12までのナンバーが与えられています。
また、13番(ロストナンバー)を与えられた隠しメンバーも存在します。
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
GUNG-HO-GUNSの凄いところは、12人(13人)という大所帯でありながら、誰一人として埋没することなく、それぞれの能力とバトルをまざまざと思い出せることです。
敵幹部は、四天王でも七鍵守護神でも十本刀でも(ちょっと違う)、人数が多くなるとどうしても個性の弱いもの、目立たないものとかが出てきますが、このGUNG-HO-GUNSは見た目も能力も誰一人忘れることがないほど魅力的です。
一言でいえば、滾ります(笑)
3、GUNG-HO-GUNS&レガートとの全戦闘を名場面・名言つきでプレイバック
それではさっそく、GUNG-HO-GUNSとの戦いの軌跡をご紹介します。
未読の方、あるいは以前に読んでいたけれど細部を忘れてしまった方のため、戦いの結末とかはなるべくネタバレしないようにしています!
vs モネヴ・ザ・ゲイル(GUNG-HO-GUNSの1)
「トライガン」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
ナイブズが組織した12人の魔人。
その中からヴァッシュへの第一の刺客として送られたのが、モネヴ・ザ・ゲイルです。
モネヴはナイブズに買われ(飼われ)、二十年以上もの間、ただひたすらに訓練の日々を送り、超人的な身体能力を身に着けた男です。
モネヴの武器は、両腕に装着した巨大なガトリング砲です。
「トライガン」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
ガトリング砲から放たれる圧倒的な火力によって、正面に立ちはだかるあらゆる障害物を粉砕して獲物を引き裂いていきます。
モネヴが去った後には、まるで強力な竜巻が通過したかのような惨状が残るのみであり、まさに“突風(ゲイル)”。
暴力的な弾丸の嵐に対し、ヴァッシュは銀行の大金庫の扉を盾にして火力を防ぎつつ、精密射撃でモネヴに対抗しました。
「トライガン」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
- “ガンマン”のヴァッシュに対し、“兵士”のモネヴ
- クイック&ドロゥで精密射撃のヴァッシュに対し、弾幕による面で制圧するモネヴ
互いに銃同士での対決でありながら対照的な二人をGUNG-HO-GUNSとの開幕戦にもってきたのが、なんとも効いています。
この後に出てくる連中は揃いも揃って銃に頼らない異能を使ってきます。
通常の射撃ではヴァッシュに敵うはずなく、圧倒的火力でもダメ、真っ当な銃の戦闘ではヴァッシュに勝てないということを、初戦だからこそ見せたのではないかと思います。
【モネヴ戦の名場面】
ヴァッシュのことを筋金入りの平和主義者と聞いていたモネヴですが、実際に相対してみると全くそんなことがないと感じます。
反撃してきたヴァッシュの目を見て、モネヴが怯んだ場面です。
悪魔め……
本性を現しやがった!
「トライガン」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
普段はヘラヘラしているヴァッシュですが、その内に隠されたものがある。
それを明確に見せたシーンだった思います。
vs マイン・ザ・EGマイン(GUNG-HO-GUNSの2)
「トライガン」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
モネヴを倒した後、街を出たヴァッシュの前に姿を見せたのがマイン・ザ・EGマインです。
全体に棘のようなものがあしらわれた球体の装甲を身にまとい、見た目はまさに針鼠のようです。
金属の針を放射して相手を串刺しにする戦い方のようですが、残念ながらそれを披露する前にヴァッシュの速射によって装甲をはがされてしまい、あっけなく敗北します。
マインとは地雷とか水雷の意味がありますので、球体が爆発して棘を放出して相手を粉々にするような力なのでしょう。
GUNG-HOの中で唯一、戦闘の見所がなかったのがマインで、あの甲冑から出ている腕はどうなっているんだと・・・むしろそちらの方が気になります。
【マイン戦の名場面】
マインをあっさりと退けた後のヴァッシュは、はるか彼方にいるレガートに向けて銃を撃ち、言い放ちます。
聞こえてるか ルールの変更だ
たった今から攻守ところを変えるぜ
ケガ人つかまえてトドメさしてる余裕なぞ一切与えねえ
たった今からお前は俺の獲物だ
「トライガン」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
平和主義者のヴァッシュが、自らレガートに対して宣戦布告を行ったのです。
作品序盤で最も格好良いシーン、セリフの一つだと思います。
vs ドミニク・ザ・サイクロプス(GUNG-HO-GUNSの3)
「トライガン」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
GUNG-HOの紅一点、ドミニクです!
紅一点なのに、この序盤で戦ってしまうのが勿体ないです。
眼帯をした美貌のガンマンとか、響きが良いですね。
眼帯に隠された目に彼女の特殊な能力が秘められており、催眠術により相手の感覚を強制的に遮断、術にかかった方はドミニクがまるで瞬間移動しているかのように感じるのです。
「トライガン」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
どんなに集中しても接近を感知することのできない反則技のようなもの。
ドミニクの接近を感知できずにヴァッシュも苦戦しますが、指先の痛みがなくなるというわずかな違和感から催眠術を察知し、かろうじてドミニクの術を見破るのでした。
【ドミニク戦の名場面】
圧倒的な早撃ちではまず相手のいないヴァッシュ。
そんなヴァッシュに対する、ドミニクからの宣戦布告。
どんなに早くても勝てない世界で戦わせてあげる
「トライガン」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
一度でいいからこんなセリフをぶちかましてみたいものです!
vs 雷泥・ザ・ブレード(GUNG-HO-GUNSの9)
「トライガン・マキシマム」新装版 1巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
銃こそが身を守り敵を退ける銃社会を、刀一本で渡り歩いてきたサムライです。
流派は次元斬一刀流、愛刀はムラマサ。
距離が離れていたら刀が届くはずもなく、本来なら刀が届く距離に近づく前に撃たれてしまうはずです。
しかしながら、ローラースケート(?)による円を描く曲線的な動きで直線的な銃の狙いを外し、ランダムな動きで銃が持つ距離の優位性を相殺するという、まさに魔人の名に相応しい力を見せつけます。
円の動きで一瞬にして距離を詰めて斬りかかる奥義、「二重星雲(ふたえネビュラ)」でヴァッシュを追い詰めます。
「トライガン・マキシマム」新装版 1巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
【雷泥戦の名場面】
vs雷泥戦、一度、互いに力をはかりあった後の第二幕。雷泥がヴァッシュの射撃をかわした瞬間のこの一場面。
「トライガン・マキシマム」新装版 1巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
雷泥の機動力は既にヴァッシュもわかっており、その状態で果たして雷泥は通用するのか? そう思ってページをめくった瞬間に目に入ってくるこの見開きページの格好良いこと!
日本人であれば、銃vs剣とか燃えます。
通常であれば剣で弾丸を斬る、とかになりますが、機動力ですからね!
敵でありながら、銃に剣で挑む雷泥を応援したくなっちゃいますね。
vs レオノフ・ザ・パペットマスター(GUNG-HO-GUNSの4)
「トライガン・マキシマム」新装版 1巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
見た目は只のウスラ眠い親父(ウルフウッド談)ですが、紛うことなきGUNG-HOの一員。
レオノフは人形使いで、実に数100体、数トンにも及ぶ大量の精巧な人形を操ることができます。
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
操る人形はまさに本物の人間かと見間違えるばかりで、そのため、ヴァッシュでさえも人形を撃つのに一瞬の判断のズレが生じ、更に人形の中に本物の人間を入り混じらせ戸惑わせ、その隙をレオノフは突こうとします。
実はレオノフは幼少時にヴァッシュと出会っており、ヴァッシュはその頃の記憶を蘇らせることでレオノフを動揺させます。
レオノフはかつて愛した女性イザベラを模した人形を自分の命より大切にしており、戦いの舞台の崩落にその人形が巻き込まれた時、自らも後を追って落下しました。
【レオノフ戦の名場面】
イザベラ人形を追って落下するレオノフを助けようと、レオノフの糸をつかむヴァッシュ。
なぜ、自分を助けようとするのか疑問に思うレオノフに対し、ヴァッシュはつぶやくように言います。
あんたの親父がくれたパンの味をおぼえている……
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
不老の体を持ち長い年月を生きているヴァッシュですが、その中で出会った人たちのことは忘れられずにいます。
vs グレイ・ザ・ナインライブス(GUNG-HO-GUNSの8)
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
圧倒的な巨体をもって迫るグレイに対するのは、ヴァッシュではなくウルフウッドです。
本来、GUNG-HOの一員であるウルフウッドを「裏切り者」としてとらえ、処刑するべく立ちはだかります。
ですが、その巨体が能力だというわけではありません。
ウルフウッドの策でシャッターに腕を挟まれて切り落とされても、その腕だけが動いて閉ざされたシャッターを開く。
体のあらゆる箇所を撃たれ、抉られ、失っても立ち向かってくるその不死身性でウルフウッドを追い詰めます。
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
その正体は、小柄な9人の男が操る巨大な人形であり、誰かを失っても残る者が相手を倒すという、まさに文字通りのナインライブス(9つの生)なのです。
【グレイ戦の名場面】
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
9つのうち7つの生を失いましたが、残る2人で気を失ったウルフウッドにとどめを刺そうとしたところ、上層から落ちてきたメリルとミリィに押しつぶされてしまうシーン。
グレイ戦は内容的に結構なグロさを誇るのですが、このラストによってすべてが吹っ飛んでしまうような感じでした。
グロかったからこそ、最後にギャグのようなオチを持ってきたのかもしれません。
vs ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク(GUNG-HO-GUNSの7)&ホッパード・ザ・ガントレット(GUNG-HO-GUNSの6)
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
この戦いは、ミッドバレイとホッパードが組んでヴァッシュとウルフウッドに挑んできます。
ミッドバレイの異能は、“音”です。
特殊なサックスを武器としており、圧倒的な音量と音域で、固有振動と共鳴を利用した殺人音楽を奏でます。
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
現実主義者で危機察知能力も高く、本来ならGUNG-HO-GUNSとしてなど戦いたくないものの、レガートに逆らうことはできず戦いに赴きますが、このヴァッシュ戦のどさくさに紛れて逃れようと考えていました。
音楽を奏でることで衝撃超音波を発して相手を攻撃したり、逆位相の音をリアルタイムの演奏を行うことで周囲一帯を完全無音状態にするなど、人間業とは思えない演奏をします。
その姿はまさに「音界の覇者」、「音界の支配者」。
「トライガン・マキシマム」新装版 3巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
ホッパードと組んだのは、ホッパードの攻撃がヴァッシュに気づかれないよう上述した通りに周囲を無音状態にするため、そして自分が姿を消した後にその痕跡を消してもらうためでした。
ホッパードがヴァッシュと対峙するのに対し、ミッドバレイにはウルフウッドが相対します。
ウルフウッドはミッドバレイの攻撃で視力を失いながらも、その類まれなる戦闘能力とセンスでミッドバレイを追い詰めていきます。
ミッドバレイの援護を受けてヴァッシュと戦うのがホッパードです。
仮面で顔を隠し、自分の体を覆いつくす巨大な盾「グーデリア」で武装し、そのグーデリアでまるで弾丸のように突進して障害物もろとも相手をなぎ倒し、すりつぶします。
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
ヴァッシュと戦うのは、かつてホッパードが愛していた盲目の女性、ホッパード自身が自分の半身だという女性を、ロスト・ジュライの際に失ってしまったためです。
他のGUNG-HOが雇われていたりするのに対し、ホッパードはヴァッシュへの復讐のため自ら志願して一員となっています。
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
凄まじい破壊力、突破力を誇るグーデリアによる突進ですが、威力をあげるためには距離が必要で、それは直線的で大きな音が発生してしまいます。
遠距離からでも精密射撃を行うヴァッシュには致命的であり、それを補うためミッドバレイと組んで戦いました。
このミッドバレイ&ホッパードのコンビによるバトルは作中も屈指の燃える熱い展開を繰り広げており、名場面も紹介しきれませんが、その中からでも彼らそれぞれ一つずつ選んでみました!
【ミッドバレイ戦の名場面】
ヴァッシュとの緒戦を終え、改めて決着をつけに向かうミッドバレイとホッパード。
最後に互いの意思を確かめあい、死地に向かう二人の交わした言葉。
……ゆくか?
……応よ!
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
わずかこれだけのやり取りの中に、どれだけの思いが込められているか。
他にも「ここからのギグはメンバーシップオンリーだ」とか、色々な場面やセリフがありましたが、光の無い世界であがいてきた二人が交わす言葉、そして別れ方が心にしみて選びました。
【ホッパード戦の名場面】
とうとうヴァッシュと戦いの火ぶたを切って落とすその瞬間。
その瞬間を待ちわびていたホッパードがつぶやくように放った言葉、そして直後の突進シーンです。
あの日から……俺はもう人間じゃない
奴を殺すためだけの――
弾丸
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
なんていうかもう、言うことないですわ!
vs ザジ・ザ・ビースト(GUNG-HO-GUNSの12)
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
ザジは監視や情報伝達の担当であり、直接的な戦闘能力は高くありません。
保有する能力は、虫の操作です。
惑星中にいる無数の虫を操ることであらゆることを知ることが出来ます。
また、肉体が死亡しても別の肉体に乗り換えることが出来る、という特殊能力も持っています。
大量の虫を使役してメリルを誘拐し、ミッドバレイとホッパードとの戦いにヴァッシュ達を呼び込みますが、それ以外でヴァッシュ達と直接的な戦闘は行わない、GUNG-HOの中でも特殊な立ち位置をしています。
「トライガン・マキシマム」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
その正体は実は惑星に生息している「砂蟲(ワムズ)」の統一意識でした。だから、操作する肉体をいくら殺されても滅びることがありませんでした。
GUNG-HOに属していますがナイブズに従属しているわけではなく、本当の狙いはナイブズの力を利用してプラントを奪うことでした。
【ザジの名場面】
ザジの場合、その役割のため直接的な戦闘が少ないので戦闘以外の場面ですが、二人目の「端末」での再登場シーンです。
ミッドバレイに体を粉砕されたはずのザジが、今度は新たに女性の姿となって登場しました。
「トライガン・マキシマム」新装版 3巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
降り注ぐ光を浴び、周囲に虫を舞わせた姿はどこか神秘的。
ザジとは何者!?
肉体が滅んでも精神を移すことが出来る能力を持っていたのか?
そう思わせられたシーンでした。
vs リヴィオ・ザ・ダブルファング(GUNG-HO-GUNSの10)
「トライガン・マキシマム」新装版 5巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
顔の左半面に鬼の面をかぶった男で、前後左右同時に射撃可能な二連式の銃、「二重牙(ダブルファング)」を武器としています。
リヴィオと対するのはニコラス、実はリヴィオはニコラスと同じ孤児院で育った弟分で、ニコラスを強く慕っていました。
殺し屋組織「ミカエルの眼」に所属しており、ウルフウッドの師でもあるマスター・チャペルにより鍛えられました。
肉体に施された代謝促進手術はウルフウッドに施されたものより一世代先をいっており、銃に撃たれて重傷を負ってもすぐに回復します。
さらに、身体的物理的限界を超えた力をも得ており戦う相手を圧倒しますが、高い戦闘経験を誇るウルフウッドに対しては苦戦を強いられます。
「トライガン・マキシマム」新装版 5巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
vs ラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デス(GUNG-HO-GUNSの11)
「トライガン・マキシマム」新装版 5巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
孤児院を出た後に訪れた町でリヴィオは虐待を受けます。
虐待された自分自身を守るために産み出されたもう一つの人格がラズロです。
リヴィオがウルフウッドとの戦いに敗れた後、その人格を表出させてウルフウッド、そしてウルフウッドのためにやってきたヴァッシュの両名と戦います。
背中に装着した義肢と両腕で三挺のパニッシャーを同時に扱い、圧倒的な身体能力と火力で前に立ちふさがるものを粉砕していきます。
「トライガン・マキシマム」新装版 5巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
ウルフウッドはヴァッシュと共闘をしますが、最終的にウルフウッドは一人で戦うと宣言しラズロとサシで戦います。
それこそが、リヴィオの兄貴分としてのウルフウッドの決断だったのだと思います。
共に「ミカエルの眼」による改造手術で超人的な身体能力と身体治癒能力を得た二人、手術はラズロ(リヴィオ)の方が一世代先をいきますが、ウルフウッドの方は異常な戦闘センスと戦闘経験で上をいきます。
ウルフウッドの思い、リヴィオの思いのぶつかりあった死闘の結末は、なんとも非情なものでした。
【リヴィオ/ラズロ戦の名場面】
ウルフウッドとの死闘の終盤、ウルフウッドの攻撃により体を破壊されてラズロは修復が追い付かなくなります。
死を予感するラズロですが、そんなリヴィオに対しウルフウッドはパニッシャーを放り投げ、素手でラズロを殴り始めます。
なぜ、銃でとどめを刺さずに殴り始めたのか、ウルフウッドの思いは描かれていませんが、それはおそらく、孤児院の兄貴分として弟分の目を覚まさせるための説教だったのではないでしょうか。
単に孤児院内での兄弟喧嘩、だからこそ銃など用いず拳でただ殴る。
そして殴られるラズロもこう言います。
い……痛え……ただの拳が……
ものすげえ痛え!!
「トライガン・マキシマム」新装版 5巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
これはおそらく、ラズロ=リヴィオとしてのものではないかと思います。
だからこそこの後、リヴィオの意識が出てきてラズロを止めたのだと思います。
そして、ウルフウッド。
本来はGUNG-HO-GUNSの5、ニコラス・ザ・パニッシャー。
それでいながら、ヴァッシュの盟友となった男です。
「トライガン・マキシマム」新装版 5巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
ヴァッシュと共に数々の死線をくぐりぬけ、GUNG-HO達をも手にかけてきたウルフウッドですが、孤児院での弟分のリヴィオ(ラズロ)、そして師であるマスター・チャペルとの戦いで体が限界を超えます。
戦った末の壮絶な戦死、などというものはこの男には似合いません。
無事に助けた孤児院のかつての弟、妹たちを乗せた舟が飛び去って行くのを見送り、ヴァッシュと並んでサシで酒を飲みかわします。
そんな二人に降り注ぐのは、孤児院の仲間たちがニコラスのために作っていた祝いの紙吹雪。
「トライガン・マキシマム」新装版 5巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
最後に、ニコラスは家に帰ったのです。
vs エレンディラ・ザ・クリムゾンネイル(13(ロストナンバー))
「トライガン・マキシマム」新装版 3巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
女性のような外見をしていますがれっきとした男性のエレンディラ。
本来は存在しない「13」のナンバーを与えられた、GUNG-HO-GUNSの最強の魔人です。
手にしているスーツケースは旅行用のものではなく、そこから巨大な釘を何本も射出して敵を貫く武器です。
対するのはウルフウッドによって目を覚まし、ウルフウッドの意志を継いでヴァッシュとともに戦うことにしたリヴィオです。
リヴィオに対し本気を出す必要性を感じたエレンディラは、常に装着している拘束具を解放しリヴィオを、そしてリヴィオの危地に現れたラズロですら圧倒します。
追い詰められたリヴィオは、ラズロと共闘してエレンディラに対します。
「トライガン・マキシマム」新装版 7巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
特殊な身体治癒能力、そしれリヴィオとラズロ、さらにニコラスの想いも背負い、まさに肉を切らせて骨を切る戦法でエレンディラを倒そうとするのでした。
【エレンディラ戦の名場面】
エレンディラの武器を見た時。
こいつは……パイルバンカァァァァ!!
「トライガン・マキシマム」新装版 6巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
いやはや、パイルバンカーは男のロマンです(断言)
男のロマンを、男扱いされることを嫌うオネエのエレンディラが使用するというところがなんともいえません。
vs レガート・ブルーサマーズ
「トライガン」新装版 2巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
レガートはナイブズの忠実な腹心であり、GUNG-HO-GUNSを統率する立場となります。
単分子鎖ナノ鋼糸を相手の筋繊維に刺して微電流を流すことで、その肉体を自由に操る能力を持ちます。
特殊能力だけでなく、作中でも最強の身体能力と戦闘能力を持っています。
ヴァッシュとの最終戦闘においてはその能力を全力解放し、二人の戦闘は完全に互角の様相を呈します。
「トライガン・マキシマム」新装版 7巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
しかしこのレガートとの戦いにおいて、ヴァッシュは今まで頑なに守ってきた「不殺」の誓いを解いており、それが最終的に決着をつける差になりました。
【レガート戦の名場面】
今まで、どれだけ死闘を繰り広げようと“不殺”を貫いてきたヴァッシュ。
偽善と呼ばれようと、相手から馬鹿にするなと罵られようが、全てを受け止めて生きてきました。
しかしこのレガートとの最終決戦で、ヴァッシュはついに選択を迫られます。
レガートを殺さなければ、レガートに操られたエレンディラによりリヴィオが殺されてしまうからです。
脳裏によぎるのはウルフウッドの言葉。
いつかおどれにも「選ぶ」日が必ずやってくる
ウルフウッドが命を懸けて護ったリヴィオを失うわけにはいかない。
「トライガン・マキシマム」新装版 7巻 内藤泰弘/少年画報社 より引用
涙を流しながら引き金を引くヴァッシュは、ここで初めて、ヴァッシュの代わりに引き金を引いてきたウルフウッドの気持ちを理解したのです。
4、まとめ
今回は『トライガン』のGUNG-HO-GUNSとの戦い、およびそれぞれの戦いにおけすライター独断の“推しシーン”をご紹介しました!
人により思い入れのキャラ、シーンはそれぞれかと思いますが、
- ドミニクさん素敵!
- ホッパードは実は常識人なんだよなー
- ウルフウッドーーー!!
等々、思っていただければと思います。
今読んでもGUNG-HO-GUNSは燃えます、盛り上がります。
以上、メリルのマントは重すぎて無理じゃない? という疑問を口にしてはいけないと思うマンガフルライターの神門でした。
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