みなさんこんにちは、【今週の1冊】として毎週、直近に読んだ作品(時には古い作品も!)をご紹介するマンガフルライターの神門です。
皆さんが作品を購入するご参考にしていただければと思います。
今回ご紹介するのは
『くちべた食堂』
です。
ちょうど最新の第2巻が8月12日に発売されたばかりです!
『くちべた食堂』とはなんぞ?
というところですが。
実際の舞台は「味処くちなし」という食堂。
高校教師の柳凛は、「くちなし」が通っている高校からも近く、凛が住んでいるマンションのすぐ隣なのに、人が少ないからという理由でなんとなく5年ものあいだ、「くちなし」に入るのをスルーし続けていました。
しかしようやく入店すると、そのお店の味にすぐにハマッてしまいました。
「すごく美味しいです」
とか、
「実は隣に住んでいるんです」
と、店員さんに思いを伝えたいけれど、今さらになって話しかけてきたとか、ウザがられたらどうしようかと思い悩み、なかなか話しかけられない。
「くちべた食堂」 1巻 梵辛/KADOKAWA より引用
一方で「くちなし」の店員のくちなしさんも、実は柳さんのことを5年間ずっと追いかけてきました。
せっかくのランチタイムなのに、「食うものないなぁ」という顔をしてコンビニ袋を手にして店をスルーする柳さんの姿には、食堂店員の身としては心折れそうになっていました。
それがようやく入店して食べてくれて、
「ご近所さんですよね?」
とか、
「美味しいですか?」
とか話しかけたいけれど、店員から雑談をふられて嫌になる人もいると思うと話しかけられない。
「くちべた食堂」 1巻 梵辛/KADOKAWA より引用
お互いがお互いに好意を抱いているけれど、互いに口下手でなかなかスムーズにコミュニケーションが取れない。
だけど、日々の食事を通して少しずつ分かっていくような、それでもやっぱりすれ違うような。
そんな二人のもじもじした姿を描く、ご飯を媒介にほっこりする日常ほんのり百合作品です。
お互いが相手のことを思っているのに、なかなかそれが上手いこと伝わらないもどかしさ。
だけど、それがいい雰囲気を出しています。
店員さんとお客さんという立場。
相手は働いているわけで、それを邪魔してはいけないという思いと、もっと自分の思いを伝えたいという気持ち。
相手はお客さんで、静かに食事をしたいとおもっているかもしれない。邪魔しちゃうかもしれない、という思い。
口ベタではあるけれど、大切なのは「伝えたい」という思い。
それがとにかく読み手の方にも伝わっていて、読んでいて、二人に対してもっと頑張れ、もっと攻めていいんだよ!
と言いたい気持ちになってきます。
でも、お互いに思い合っているわけですから、それは伝わっていくのです。
「くちべた食堂」 1巻 梵辛/KADOKAWA より引用
また話が進んでいくと、二人だけではなく周囲との関係性も少しずつわかってきます。
- 柳さんと同僚の先生達とか。
- 教え子たちとか。
- くちなしさんの妹さんとか、親御さんとか。
そういった人たちもすこしずつ「くちなし」に関わってきて、そこからまた柳さんとくちなしさんの関係に影響を及ぼしてきて。
最初は二人だけの狭い閉じた世界に感じるけれど、実はそうじゃないということが読み進めていくとわかってくる。
普段の生活の中に「くちなし」があり、そこを中心として柳さんとくちなしさんが関係性を構築していく。
そういうことが分かってくると、また楽しさが増してきます。
「くちべた食堂」 1巻 梵辛/KADOKAWA より引用
とにかく、読んでいて二人に対する愛おしさが募ってきます!
二人とも(おそらく)20代の後半のはずですが、可愛らしさが半端ありません。
ほのぼのといえばほのぼの、百合といえば百合。
もっともっと、二人の色々なシーンを見てみたい。
そう思わせてくれる作品です!!
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