みなさんこんにちは、【今週の1冊】として毎週、直近に読んだ作品(時には古い作品も!)をご紹介するマンガフルライターの神門です。
皆さんが作品を購入するご参考にしていただければと思います。
今回ご紹介するのは
『ダイヤモンドの功罪』
です。
主人公、綾瀬川次郎は小学五年生にして身長166cmの長身を誇り、さらに天性の身体能力をもっています。
しかし、その能力の高さゆえに、どのスポーツをやっても周囲とうまくいきません。
初めてやるスポーツでも、すぐに何年も努力を続けてきた他の子達を抜かして圧倒的な力を見せてしまうからです。
指導者は次郎に夢を見て特別な扱いをするようになります。
他の子達はそんな大人たちの姿も見ますし、後からやってきたあっさり抜かしていく次郎に嫉妬と憎悪の目を向け、やる気をなくしていく。
自分のせいで傷つく人がいること、夢を諦める人がいることに、次郎は耐えられません。
次郎は、スポーツは楽しいもの、皆と仲良く楽しくやりたいと思っているのに、次郎の才能がそれを邪魔するのです。
そんな次郎が出会ったのが、足立バンビーズという少年野球チーム。
バンビーズは勝利そのものを目的とせず、皆で楽しく野球をやっているチームで、次郎が入っても受け入れてくれました。
「オレは野球だったんだ!」
初めて楽しめるスポーツに出会い、野球を謳歌する次郎でしたが、その才能がそのまま終わるわけもなく・・・
と、野球を題材に少年たちの成長や葛藤を描いていくと思われる作品です。
「ダイヤモンドの功罪」 1巻 平井大橋/集英社 より引用
いやぁ、まさに、「功」と「罪」ですね。
圧倒的な能力を持つ人っていうのは、その存在だけで周囲との軋轢を生むと思います。
それが小学生とか幼い時期なら尚更そうでしょう。
高校生、大学生となれば、天性の能力を持つといっても周囲にも相当にレベルの高い人も増えてきているでしょうし、本人の意識も大人になってきている。
でも小学生くらいだと、その能力の差は相当なものになるのではないか。
体格差だって、かなりの差があるはず。
野球の世界に限った話ではありませんが、結局のところは限られた座席の奪い合いで、能力の高い人が良い席をとっていきます。
誰かが良い席をとれば、誰かが弾かれます。
そして本人が望む、望まないに限らず、才能があるがゆえに周囲の期待がその人を押し上げていく。
本人がそれを望み、より高い場所を目指して突き進んでいくのなら良いですが、次郎はそういうタイプじゃない。
自分が出来すぎるせいで傷つく人がいるなら、手を抜いてしまおうかというような性格。
だけどそれは、本気でスポーツを打ち込んでいる人からすればきわめて失礼な話でもあります。
- 本気でやっている人達の中に入れば次郎の能力の高さで軋轢を生む
- 勝負にこだわらず楽しいことを主としているところでは次郎の能力を活かせない
- 大人たちは次郎の才能を見逃せない
とにかく、物語序盤から色々と胸が痛くなるような展開が続いていきます。
バンビーズでは力を発揮できない次郎は、監督からU-12の日本代表の選考会に参加することを薦められます。
そこならば、次郎一人だけ突出することはないはず、ということだったけれど、そこでもやはり次郎の力は圧倒的で・・・
「ダイヤモンドの功罪」 1巻 平井大橋/集英社 より引用
それでも、今までやってきた水泳などの個人競技とは異なり野球は団体競技。
投手として圧倒的な力を見せる次郎ではありますが、チームメイト達がいなければ勝つことはできません。
そして、チームとして戦う以上はコミュニケーションは不可欠。
代表として戦う同年代の子達とのやり取りを通し、少しずつ次郎の考えにも変化が出てくるのか?
今までも物凄い才能をもった子を題材にした作品はあったと思いますが、ここまでがっつりとこういう物語にした作品はあったでしょうか。
次郎がどういう風に成長をしていき、周囲とどういう関係性を築いていくのか。
先を楽しみにしたいと思います。
本作は、↓ ヤンジャンのアプリで無料で読むことが可能です!
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