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『鋼の錬金術師』名言10選!マイナス発言を食らったらこれを使え!

気に入った漫画は何度でも読み返すので暗唱できるようになることもたびたびのマンガタリライター、衛澤(えざわ)です御機嫌よう。

今回は「鋼の錬金術師」から、マイナス発言を食らったときに使える名言を集めてみました。

世の中は人の気持ちも荒みがちで、誰かの心を削るマイナスの言葉を投げかける者も少なくありません。

毎日毎日がんばっているのに、上司や同僚などの身近な人からマイナス発言を浴びせられて、やる気や気力をゴリゴリ削られてしまう……という経験が、みなさんにもきっとあることと思います。

そんなときこそ「鋼の錬金術師」の名言が役に立ちます。

  • 「課長と先輩が全然違うこと言ってて、どっちが言う通りにすればいいか分からん」と困り顔で怒りをぶつけてくる同僚にゲンナリ
  • ろくな指示もせず「何でこんなことするんだ」と怒る上司にグッタリ
  • 同僚の愚痴と上司の理不尽な叱責が飛び交う会社……できれば明日は行きたくない

こんな状態に陥ったことはありませんか?
そんな方にぴったりの名言が「鋼の錬金術師」には多数、登場します。

逆ギレを受け流すときの名言や非難を跳ね返すときの名言など、「鋼の錬金術師」の名言を10コ選び出し、ランキング形式でご紹介します。

おしまいまでお付き合いください!

 




目次

1.荒川弘の出世作にして代表作「鋼の錬金術師」とはどんな漫画か

「鋼の錬金術師」の名言をご紹介する前に、まずは作品についておさらいしてみましょう。

  • 作者の情報を含めた「鋼の錬金術師」の基本情報
  • 「鋼の錬金術師」の舞台と世界観
  • 「鋼の錬金術師」の主な登場人物の紹介

これらを順を追って確認していきます。

 

1-1 鋼の錬金術師の基本情報

ここでは「鋼の錬金術師」の基本的な情報を振り返ってみましょう。

「鋼の錬金術師」
作  者 荒川 弘(あらかわ・ひろむ)
連 載 誌 月刊少年ガンガン
出 版 社 スクウェア・エニックス
連載期間 2001年~2010年(10年間)
単 行 本 全27巻
アニメ化 「鋼の錬金術師」(2003年)
「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」(2009年)
映 画 化 「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」
「鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星」
「鋼の錬金術師」(実写)

 

「鋼の錬金術師」でデビューした荒川弘は現在、

  • 銀の匙 Silver spoon
  • アルスラーン戦記
  • 百姓貴族

などの連載を抱える人気漫画家です。

「鋼の錬金術師」を連載していた10年の間に3回の出産を経験し、しかし連載を休むことがなかった強者です。
この経験が単行本第5巻で語られた、主人公エドたちがラッシュバレーで出産に立ち会うエピソードを生み出したのかもしれません。

最終回が掲載された月の「少年ガンガン」は売れすぎて買えなかった人も続出。そのため、何ともう1回「少年ガンガン」に掲載されるという異例の事態も発生しました。

それほど人気だった「鋼の錬金術師」はどのようなストーリーだったでしょうか。もう一度振り返ってみます。

 

1-2 「鋼の錬金術師」の舞台と世界観

「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第26巻第105話「神の御座」より引用

「鋼の錬金術師」の舞台はこんなところです。

「鋼の錬金術師」の舞台と世界観
舞  台 アメストリス
舞台のモデル 近代・産業革命期のヨーロッパ
統 治 者 国軍大総統(キング・ブラッドレイ)
特有の要素
  • 錬金術
  • 錬金術師
  • 国家錬金術師

 

「鋼の錬金術師」の舞台装置として、忘れてはならないのが錬金術です。一部の者しか扱えない特殊な技術です。

錬金術は既存の物質を

  • 理解
  • 分解
  • 再構築

という3段階を経ることによって、別の物質につくり変える技術です。私たち読者が住む世界の錬金術とは別のものです。

錬金術は学問でもあり、アメストリス国では「国家錬金術師」という国家試験をパスした者だけが得られる資格もあります。資格を得た者は軍属となり、国軍の少佐相当の地位が与えられます。

国歌錬金術師には三大制限が課せられます。

  • 人を造るべからず
  • 金を造るべからず
  • 軍に忠誠を誓うべし

という3つです。

このうちの「人を造るべからず」は国家錬金術師のみならず、一般においても禁忌です。

「鋼の錬金術師」の物語は、二人の幼い兄弟がこの禁忌を犯してしまうところからはじまります。

 

1-3 「鋼の錬金術師」の主な登場人物

「鋼の錬金術師」にはいずれも魅力的な、生命力に溢れた人たちが登場します。

ここでは主な人物について簡単にご紹介します。

 

エドワード・エルリック - 禁忌を犯し、やがて真理に辿りつく鋼の錬金術師


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第2巻第5話「錬金術師の苦悩」より引用

主人公。通称エド。
国家錬金術師の資格を史上最年少で取得した、天才的な技術と知識を持った錬金術師。タイトルの「鋼の錬金術師」とは彼のことです。

幼い頃に錬金術の禁忌を犯してしまったエドは左脚と右腕、そして弟のアルフォンスの身体を失いました。これ等を取り戻してもとの身体に戻るため、兄弟は旅を続けます。

この旅の物語が「鋼の錬金術師」で語られます。

 

アルフォンス・エルリック - 鎧の巨躯に穏やかな魂の少年錬金術師


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第27巻第107話「最後の戦い」より引用

主人公エドの弟。通称アル。
幼少時からエドと行動をともにし、同じように錬金術を学びました。エドには一歩譲りますが、能力は国家錬金術師並みと言えます。

エドとともに亡くなった母を取り戻そうと人体錬成を行い、身体すべてを代償として奪われてしまいます。魂だけはエドが錬成して取り戻し、鎧にエドが書いた血印によって定着されています

 

ロイ・マスタング - 親友と国のため静かに燃え上がる国家錬金術師


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第4巻第16話「それぞれの行方」から引用

アメストリス国軍大佐で国家錬金術師。通り名は「焔の錬金術師」。発火布という特殊な生地でつくられた手袋を使用して、指を鳴らす動作一つではげしい焔を生み出します。

エルリック兄弟とは旧知の間柄で、エドとは憎まれ口を叩き合いながらも兄弟の旅を助けます。
同僚であり親友のヒューズ中佐を亡くしたことにより、ホムンクルスへの怒りを秘め続けることとなります。

 

マース・ヒューズ - 切れ者故に夭折した、マスタングの親友


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第2巻第6話「破壊の右手」より引用

アメストリス国軍中佐。マスタング大佐の親友で、軍法会議所に勤めていました。大佐の大総統への野望を知る者で、達成させるべく協力する者でもありました

エルリック兄弟をよく知る者でもあり、兄弟やウィンリィが近くに立ち寄ったときには自宅に招くなど、面倒見がいい一面も。

 

7人のホムンクルス - 裏に表に暗躍する7つの欲望たち


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第8巻第31話「己の尾を嚙む蛇」より引用

「最初のホムンクルス」が生み出したホムンクルスたち。その一人ずつに、「最初のホムンクルス」が自らの切り離した感情を一つずつ分け与えています。

分け与えた感情は7つです。

  • 色欲(ラスト)
  • 暴食(グラトニー)
  • 嫉妬(エンヴィー)
  • 強欲(グリード)
  • 傲慢(プライド)
  • 怠惰(スロウス)
  • 憤怒(ラース)

カトリック教会で言う「七つの大罪」が、それぞれに人工の肉体と人格を持ったような、そんな存在です。エドたちの前にたびたび現れ、敵対行動を取ります。

 

2.なぜ、「鋼の錬金術師」はマイナス発言を食らったときに最適な漫画なのか?

「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第1巻第3話「炭鉱の街」から引用

「鋼の錬金術師」の舞台は、先ほども述べましたようにアメストリスという国です。過去に内乱があり、現在も隣国との国境にはきなくささがあり、ホムンクルスが暗躍する国です。

しかし、そんな中でも民衆は毎日を営み、それぞれの苦悩を抱えながらも懸命に、力強く生きています。

怪しげな教主が支配する街や、圧政に喘ぐ炭鉱の街。主人公エドとアルが旅の途上で訪れるさまざまな土地では、どんな場所でも住む人たちがみなパワフルです。

また、エドたちが深く関わる人物の多くはイシュヴァールの内乱を経験しており、人の生き死にを目の辺りにし、自らの身の危険を経験しています。それだけに、簡単に生命を諦めることがありません

そんな風に生命いっぱいに生き、その意義や尊さを知る人たちが織り成す物語には、活力に富んだポジティブな名言がたくさん登場します。

マイナスなものに触れてへこんでしまったときは、活力に満ちたものに触れてパワーを充填するのが一番です。

さあ、「鋼の錬金術師」の名言に触れて元気いっぱいになりましょう!

 

3.誰に対しても自信を持って対峙できる「鋼の錬金術師」名言ランキング

ここまでお読みくださったみなさんには、舞台となる世界や登場する主要人物について基本的な情報を確認して頂けたかと思います。

ここからいよいよマイナス発言を食らったときに使える名言ベスト10を紹介していきます。それぞれの人物の背景にある事情を踏まえて、それぞれの言葉を味わいながらお読みください!

 

第10位 「何で分からないんだ」にストレートに答える

やっぱり口で言わなきゃ伝わらない事もありますよね

「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第4巻第15話「鋼のこころ」より引用

きょうだいのように育ったけれど大切なことは相談してくれないエルリック兄弟を思い、ウィンリィは「本当のきょうだいなら、きちんと話してくれたのかな」と洩らします。

それに答えてヒューズ中佐は「男ってのは言葉より行動で示す生き物だから」と言いました。

けれどもその後に兄弟の間で誤解による行き違いが発生。結局は話し合うことでそれは解決します。

その様子を陰から伺っていたウィンリィが一緒にいるヒューズ中佐に言ったのが「やっぱり口で言わなきゃ伝わらない事もありますよね」という台詞です。

エルリック兄弟ほど仲がよくて通じ合っている同士でも行き違うことがあるのです。他人同士が察し合って分かり合うなんて、もとより無理な話なのです。

「何で分からないんだ」とか「それくらい分かれよ」なんて言う御仁には、ウィンリィの名言をそっくりそのままお贈りしましょう。

第9位 「何かおかしいよね?」という安全な場所からの非難を跳ね返す

我輩は戦場に残ってその「間違ってるもの」と戦うべきだった!!


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第14巻第57話「イシュヴァールの傷」より引用

イシュヴァールの内乱を鎮圧するため、戦場に投入されたアレックス・ルイ・アームストロング少佐。子供や老人など弱い者が巻き込まれて犠牲になるのが我慢ならず、軍の命令に背き、前線から外されました。

それから13年が経ち、軍がホムンクルスに支配されていると知って、またもや愕然とします。そんな少佐にマスタング大佐は「軍を辞めてはどうだ」と言い放ちます。軍人であるには少佐はやさし過ぎるのです。

しかし、アームストロング少佐はイシュヴァールでの自身を「戦場から逃げた」と悔やみます。少佐にとって「戦場」とは、かつて悲劇を目の辺りにしたイシュヴァールという場所ではなく、軍という組織なのです。

「我輩は戦場に残ってその『間違ってるもの』と戦うべきだった!!」

そう悔恨を口にし、再び軍が戦場となろうという今度こそは、逃げる訳にいかないと少佐は決断します。

安全なところで勝手なことを言うのは容易いことです。少佐の決意はそうではなく、自らが戦の真っ只中に立ち、働かねばならないという役割を理解してのことです。

少佐が選択したように、戦場での惨劇について批判や非難をするなら、まず戦場=現場に立つべきでしょう。現場を知らない者が現場に口出しするほど、滑稽で無力なことはないでしょう。

アームストロング少佐のような豪腕の持ち主でさえ一度は退いた戦場という場所に立ってやるべきことをなすのは、並大抵のことではありません。

遠く離れた安全な場所から文句だけを言うような人は、後悔によって現在の自分を奮い立たせるアームストロング少佐の名言で追い払いましょう。

第8位 「そんなのはきれいごとだ」というため息に突きつける

理想とか綺麗事と言うがそれを成しとげた時それはただの“可能な事”に成り下がる


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第15 巻第61話「イシュヴァールの英雄」より引用

イシュヴァールの内乱で功績を上げながら、己れの無力を痛感したマスタング大佐は「ほんのわずかでも自分の守れるだけ、大切な者を守ろう」と誓います。

これを理想論だと一蹴されたときに、マスタング大佐は言ったのです。

「理想とか綺麗事と言うがそれを成しとげた時それはただの“可能な事”に成り下がる」

さらに大佐は続けます。

「理想を語れなくなったら人間の進化は止まるぞ」

きれいごとも理想も、叶わないものと最初から諦めていてはいけないのです。難しいことと分かっていながらでも唱え続けるべきなのです。

たとえ難しいことでも理想を掲げて、それを成せるよう励む――そうすることで理想は可能なことになり得るのです。

難しいことと不可能なこととは違います。理想やきれいごととはきっと難しいことであっても不可能なことではないはずです。

理想やきれいごとといった「目指すべきもの」を見失っている人には、マスタング大佐が苦悩の末に辿りついた真実を突きつける必要がありますね。

第7位 「いくらがんばったって」の愚痴を封じ込める

兄さんも「天才」だなんて言われてるけど「努力」という代価を払ったからこそ今の兄さんがあるんだ

「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第1巻第2話「命の代価」より引用

「何かを得ようとするならそれなりの代価を払わなければいけない」

錬金術の基本であり「鋼の錬金術師」の物語の芯でもある「等価交換」の思想です。

この原則に則るなら、支払った代価の分、人は能力や成果を得られるということです。もちろんその逆もまた真なり。何も支払わない人は何を得ることもできません。

最年少で国家錬金術師の資格を得て天才の誉れも高い鋼の錬金術師も、最初から錬金術が使えた訳ではありません。

「兄さんも『天才』だなんて言われてるけど『努力』という代価を払ったからこそ今の兄さんがあるんだ」

自ら学び、イズミ師匠の許で修行し、研究と研鑽を重ねて、エドは現在の地位と技術を得たのだ、とアルは説明しています。

いくらがんばったって凡人には何もなし得ない――そんな愚痴は「努力」という代価を払ってから言え、ということです。

努力する兄エドの姿を見つめてきたアルの言葉は、努力を軽視する人の愚痴を封じるに充分な名言です。

第6位 「卑怯」の謗りを覆す

ケンカに卑怯もくそもあるか


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第3巻第12話「人間の定義」より引用

第5研究所でもと死刑囚の「スライサー」こと48(ヨンハチ)と戦ったときのエドの台詞です。1対1で戦っていましたが剣に長けた48に圧され、不利な状況にあったエドは、48の背後に向かって叫びました

「アル!! 今だ!!」

しかし振り向いた48の背後には誰もいません。振り向いた隙にエドの右腕が一閃!

攻撃を食らった48は「卑怯な……」と洩らしながら倒れてしまいます。そこでエドが言うのです。

「ケンカに卑怯もくそもあるか」

「卑怯」とは主に「正々堂々としていないこと」を言いますが、ケンカはスポーツやゲームではありません。勝負です。正々堂々とする必要はないし、勝った者が勝ちです。

卑怯だ何だというのは往々にして負けた者が口にするもので、生きていればこそ言えることです。しかし敗者はその場で生命を落としていても不思議のない立場にあるのです。

たとえどのような手段をとっても、勝つ必要があるときには勝たねばなりません卑怯だなどと相手を貶めている暇があるなら、いま生命があることをよろこび、再び負けることがないよう努めるべきでしょう。

負けたという事実を受け容れられずに「卑怯だ」などと謗りを向けてくる相手は「ケンカに卑怯もくそもあるか」の一言で一蹴してしまいましょう。

第5位 「かわいそう」という憐憫を滅する

不自由である事と不幸である事はイコールじゃない


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第12巻第47話「戦場の少女」より引用

人体錬成という禁忌を犯したことにより肉体のすべてを失い、空の鎧に魂を定着させて生きているアル。

対して、イシュヴァラ教の教義では錬金術は認められないために錬金術師を否定する傷の男(スカー)

対峙しながら傷の男はアルに問いました。

「そのような不幸な身体になって、なお錬金術を信じるのか!?」

これに答えてアルが言ったのがこの台詞です。

「不自由である事と不幸である事はイコールじゃない哀れに思われるいわれはないよ!

自分のものさしで他者を勝手に不幸認定してしまう人というのが、何故か世の中には一定数、存在します。そういった人たちは、きっとこのときの傷の男と同じように、異なるものを同一視してしまっているのでしょう。

「不自由」と「不幸」は違う。当然のことですが、この違いが分からない、或るいは思い違いをしている人には、違いを示してあげる必要があります。

「かわいそう」と他者を憐れむということ。それは自分とは異なる状況にある人を気遣っているようでありながら、実は他者を自分よりも低いところに設定しているのです。

そうして自分の優位性を確保し、不当に安心を得ているのだということに、気づかせなくてはなりません

憐れみを望んでもいない人にこれ見よがしに「かわいそうにね」なんて言う相手にはアルの台詞が必要なのです。

第4位 「どうしろって言うんだ」という逆ギレを受け流す

自分達の納得する方法で前へ進みなさい


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第9巻第36話「苦渋の錬金術師」より引用

エルリック兄弟を助けて軍法会議所の資料に当たっていたヒューズ中佐はホムンクルスの手にかかり、生命を落としました。しかしその事実は、長い間兄弟には伏せられていました。

事実を知り、ヒューズの残された妻グレイシアと会ったエルリック兄弟。自分たちがもとの身体に戻ろうとすることで危険に巻き込み、ヒューズを死なせてしまったのだと詫びます。

さらには「この先また被害者が出るかもしれない」と、もとの身体に戻るための旅を諦めようとさえ言う兄弟に、グレイシアは涙も憤りも見せることがありませんでした。

「ここであなた達があきらめたら、主人の死は無駄になります」と前置いた上で、グレイシアは言います。

自分達の納得する方法で前へ進みなさい」

「鋼の錬金術師」に登場する人たちは、停滞も撤退も許しません。とにかく「進め」と言います。「進め」ということは、言い換えると「生きろ」ということです。

グレイシアもまた、エルリック兄弟に前進を促す一人です。

どうするべきなのかとエルリック兄弟は悩みますが、誰にもああしろ、こうしろとは言えません。何故なら、それはエルリック兄弟自身が進む道だからです。

自分が進むためには道すじも辿る方法も、自分で決めなければなりません巧く行かないときに誰かのせいにしてしまわないためにも。

あることをするのに全然方法か分からなかったり、或るいはあちらからああしろ、こちらからこうしろと言われてしまったりで「どうしろって言うんだ」とキレて周囲に当たり散らす人というのは、時折、現れます。

そんな人に出くわしてしまったら、グレイシアのように落ち着いて、彼女の名言を差し出しましょう。

第3位 「何もかも巧く行かない」という嘆きを断ち切る

そうやって悩んで這いずり回って格好悪くたって生き延びなきゃ


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第15巻第58話「破滅の足音」より引用

エドは単身、ホークアイ中尉の自宅を訪れました。中尉から借りた拳銃を返すためです。

さまざまな事件に遭遇し「覚悟が無いから周りに迷惑かけてばっかりで」と悩みを吐露したエドに、中尉が言ったのがこの言葉です。

「そうやって悩んで這いずり回って格好悪くたって生き延びなきゃ」

生きていく上で格好よくあることは、決して必須ではありません。格好つけて死んでしまうくらいなら、どれだけ無様であろうと生き延びなければ、何もなすことはできません。

何もかも完璧にやり尽くして、この世でなすべきことなど一つもない。そうでもない限りは生きることを簡単に諦めてしまってはいけません。

生きていれば、いまは格好悪くても、身を整えて格好よくなることもいずれできるかもしれません。

いま何もかもが巧く行かなくて苦しくても、みっともなく足掻いて抗って、自分自身で活路を見出す。そうして生き延びさえすれば、苦しさを返上することも安らぎを獲得することもできるでしょう。

第2位 「恰好悪い」という嘲笑を吹き飛ばす

うるせー!! 人間生き残ってなんぼじゃい!!


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第13巻第51話「闇の扉」より引用

グラトニーの身体に飲み込まれたエド。そこは真っ暗な空間で、拳銃を発砲しても銃声の反響さえありません。音が響くための壁がない――果てがないのです。

一緒に飲み込まれたシン国の皇子リンとともに出口を探して、足許に血の海が広がるだけの闇をさまよいますが、それらしきものは一向に見つかりません。

そこにザバザバと血の海を歩く音が近づいてきます。音の主はグラトニーの仲間のエンヴィー。グラトニーが暴走して仲間まで飲み込んでしまったのでした。

エンヴィーの姿を認めた瞬間に「出口教えてクダサイ!」と下手に出たエドをリンは非難しますが、エドは言うのです。

「うるせー!! 人間生き残ってなんぼじゃい!!」

自分たちを抹殺しようとした、自分たちを飲み込んだグラトニーと同じホムンクルスであるエンヴィーに、しかも下手に出つつ、窮地を脱する方法を訊ねたエド。とても格好悪いかもしれません。

しかし本人が言う通り「人間生き残ってなんぼ」。どんなに格好悪くても生き延びてこそこれは第3位の名言紹介の際にもお伝えした通りです。

死んでしまったらそこでおしまい。それまでの行いはすべて水泡に帰してしまいます。

これまでやってきたことを無駄にしないためにも、これから何かを変化させ何かを取り返すためにも、どんなにみっともなくても生きねばならないのです。

生きていてこそ。そのためになりふりなど構っていられません。あなたの生きざまを格好悪いと嗤う人もいるかもしれませんが、そんなときには堂々と叫びましょう。「人間、生き残ってなんぼじゃい!!」

第1位 「誰の言うことを聞けば」という八ツ当たりを受けとめる

貴方自身を信じなよ 貴方の魂に恥をかかせない生き方を選べばいいじゃない


「鋼の錬金術師」(荒川弘 / スクウェア・エニックス)第24巻第98話「底なしの強欲」より引用

物語も終盤、軍の中枢である大総統府がオリヴィエ・ミラ・アームストロング少将らによって陥落せられたときのことです。それまで大総統に従っていた軍人たちは寄辺を失い、なす術もありません。

軍のトップである大総統はホムンクルスで、国のすべてを犠牲にするつもりでいたのです。国のためと信じて働いていたつもりが滅亡への加担となっていたとなると、軍人としては最早や何を信じたらいいのか分かりません。

そう落胆するある軍人に、イズミが告げます。

貴方自身を信じなよ。貴方の魂に恥をかかせない生き方を選べばいいじゃない」

人は何かを寄辺として、何かを恃みにして生活しているものです。しかし、そのように頼っている何かが、常に・いつまでも・確実に存在するとは、信用していられるとは、限りません。

最終的に頼れるのは、頼りになるのは、自分自身しかないのです。

第4位の名言ではグレイシアは「自分達が納得する方法で」と言いました。それはおそらくイズミが言う「貴方の魂に恥をかかせない生き方を選ぶ」ということと同じことを意味しています。

あちらこちらからああしろこうしろと、主旨の異なる指示が飛んできて、どの声に従えばいいんだと、叫びたくなるときだってあるでしょう。

自分はともかく、近くにいる、たとえば同僚などが上司たちにいいように振りまわされて、八ツ当たりしてくることもあるかもしれません。

そんなときには自戒も込めて、イズミが言ったように、己れの魂に恥のない選択をせよと告げましょう。それが最も後悔の少ない選択となるはずです。

 




4.まとめ

 

「鋼の錬金術師」の名言を10個、ご紹介しました。

日常生活の中で使える言葉ばかりを集めましたが、みなさんの生活の中でも応用が効くものばかりだったのではないでしょうか。

マイナス発言に「イヤだなあ」と思っているだけでなく、自分の意志や考えをビシッと言い返せると、それだけでスッキリするものです。

ビシッと言い返せてビシッと決まる名言ばかりですので、みなさんもご自身の生活に合わせて、使ってみてくださいね!

ライター:衛澤 創



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鋼の錬金術師

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1年中アロハでつるつる坊主のトランスおじさん。作家 / ライター、たまに講演。読み書きと甘いものとねこと短髪髭眼鏡が好き。 年令一ト桁の頃から漫画を読み続けて約50年。シリアス・4コマ・18禁、分け隔てなく読みます記事書きます。好きになる漫画が悉くどマイナー。救いのないアンハッピーエンドが好き。 仕事と関係なくまったく個人的な趣味でおすすめするなら、三浦靖冬『とわにみるゆめ』。