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HUNTER × HUNTERの連載再開を祝して、冨樫義博先生の作品の魅力を改めて語ろう(2)

どうも、和佐です。

今回は前回の記事の続きを書こうと思います。

前回の記事はこちら

HUNTER × HUNTERの連載再開を祝して、冨樫義博先生の作品の魅力を改めて語ろう(1)

2017年6月19日

前回は「幻影旅団」の登場までを振り返ったわけですが、まだまだ「HUNTER × HUNTER」の世界は奥深く、魅力に溢れています。

できれば今回の2記事目で全てを語り切りたいと思っていますが、もしかすると熱が入りすぎて前回同様、語りきれないかもしれません。

とりあえず、今回の目次はこちらです

 




2、「HUNTER × HUNTER」の魅力を思い出しながら語る PART2 ※ネタバレあり

前回はクラピカの宿敵である「幻影旅団」との戦いまででしたね。

軽くおさらいすると、

  • ゴンとキルアは「グリードアイランド」という幻のゲームソフトを入手するためにヨークシンで開催されるオークションにやってきた
  • グリードアイランドにはゴンの父親の手がかりがあるかもしれない
  • 一方でクラピカは同胞の奪われた「緋の目」を取り戻すべくオークションに参加(自分が参加するのではなく、人体収集家のネオンの護衛として参加)
  • 緋の目はクラピカが子供の頃に幻影旅団によって奪われている(この時同胞は皆殺しにされた)
  • 幻影旅団もまた、盗賊としてお宝を求めてヨークシンにやってきた
  • 今まさに偶然が重なり、大きな争いの火ぶたが切って落とされようとしていた…

ということですね。

前回の記事の目次はこちらです。

1、「HUNTER × HUNTER」がなぜジャンプ史上最大の問題作とされているのか?
2、「HUNTER × HUNTER」の魅力を思い出しながら語る(ネタバレあり)
2-1 冒険の始まり、仲間との出会い
2-2 ハンター試験開始
2-3 キルアの里帰り
2-4 天空闘技場にて世界のレベルを知る
2-5 「念能力」の登場で広がる世界観
2-6 ヨークシン編

では、2ー7から続きを振り返っていきましょう。

 

2-7 幻影旅団の登場

幻影旅団とは通称「クモ」と呼ばれる盗賊団で全員が念能力の達人であり、アンダーグラウンドの世界ではゾルディック家と並んで、知らない者はいない集団です。

主要メンバーの出身は「流星街」と呼ばれる無法地帯で、どこの国にも属さない(見捨てられた)治外法権的な特区です。

この流星街は、世界中のアンダーグラウンド世界に人材や物資を提供していて、マフィアンコミュニティとは蜜月関係にあります。

流星街の特異性をよく表しているのが、

「我々は何ものも拒まないだから我々から何も奪うな」

という不可侵宣言です。

これを破ると誰であろうが御構い無しにテロ攻撃を仕掛けてくるクレイジーな集団が流星街であり、さらにその中でも異端な存在が幻影旅団と考えるとわかりやすいと思います。

幻影旅団のメンバーは「クモ」の頭と手足になぞらえて13人と決まっていて、団員が欠けると団長である「クロロ=ルシルフル」がどこからか誰かを連れてきて補充するか、他の団員の推薦で補充するかをしていて、過去に数名の入れ替わりがあったようです。

団員にはそれぞれクモを象徴する刺青があり、中には数字が刻まれています。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

幻影旅団は常に「クモの存続」を最優先させることを掟とし、手足である団員を見捨ててでも幻影旅団という理念が生き残ることを第一としています。

それは例え「団長」であっても同じで、幻影旅団の絶対的リーダーであり、カリスマのクロロが仮に窮地に陥ったとしても、クモの存続が危ぶまれるなら、助けに行ってはいけないわけです。

が、この「クモの掟」の解釈は団員によって異なり、それこそが後に幻影旅団のあり方にも、ゴンやキルアの人生観にも、クラピカの復讐心にも影響を与えることになっていきます。

まあ、要するに、幻影旅団も「人間」だということです。

理念やイデオロギーだけではなく、
感情があり、それ故に「理想と現実の狭間」で揺れ動くわけです。

で、ここで幻影旅団のメンバーを1人1人紹介しているわけにもいかないので、今回は主要なメンバーを4人だけ紹介しておきます。

まず最初は「団長」「クロロ=ルシルフル」です。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

幻影旅団の結成メンバーであり、旅団の頭脳でもあります。

絶対的なリーダーシップとカリスマ性を併せ持ち、念能力での戦闘のレベルもおそらく旅団で1番です。

ヨークシン編の中盤では、キルアの父親である「シルバ=ゾルディック」と祖父である「ゼノ=ゾルディック」の2人を相手に戦いますが、互角に戦って見せました。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

まあ実際には「時間切れ」ということで、ゾルディック家がクロロの暗殺を途中で中止したわけなので、実際に最後まで戦っていたら流石に負けていたと思いますが、

「世界一の殺し屋2人の猛攻を耐えるほどの強さ」

はもっているということですね。

作中の念能力者の強さランキングで言っても、10本の指には入る強さを持っていると思われます。

ゴンに「なぜ簡単に他人を殺せるのか?」と尋ねられた時、答えに困る一面もあり、自分自身の行動原理を言語化することは苦手で、自分自身を理解することを目的として生きているような節もあります。

団員であるウボォーギンが死んだ時には涙を流し、深く悲しむ一面もあることから、完全に理性だけで行動しているわけではなく、先ほどの「行動原理の言語化」が苦手ということも併せて考えると、

「常人には理解できない天才(論理と感性が同居する)」

ということになるでしょう。

その天才性は念能力にも現れていて、作中でも数少ない「特質系」の念能力者です。

その能力は、

「ある条件を満たすと対象の念能力を本に封じ込めることができ、本を開くことでその能力を自由に使うことができる(盗賊の極意(スキルハンター))」

というものです。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

一見無敵にも思える能力ですが、実際には戦闘能力が拮抗している、または格上の敵相手には「戦闘中に条件を満たす」ということはほぼ不可能であり、
故に「戦闘中に自分の能力が奪われる」という危険性はほとんどありません。

厄介なのは
「1人で複数の能力を使い分けられる」
ということです。

念能力には「メモリ」があり、1人で習得できる能力は1種類か2種類程度です。

クロロの場合は、奪ってしまえばいつでも引き出すことが可能なので、複数の能力を使い分けて戦うことができます。

後に天空闘技場にてヒソカと戦う時にはさらに能力がパワーアップしていて、読者の情報処理能力が追いつかないほどの高度な心理戦を見せてくれます。

団長として申し分のない、魅力的なキャラクターですね。

・・・・・

次にヨークシン編で重要な役割を担ったのは
「ウボォーギン」です。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

ウボォーギンは強化系の能力者で、複雑な念能力で戦うのではなく、己の肉体のみでシンプルに戦うことを得意としています。

それ故に技も「ビッグバンインパクト(ただの右ストレート)」のようなものが多く、超人ハルクのような戦いぶりを見せてくれます。

クラピカが一番最初に戦ったのがこのウボォーギンでした。

幻影旅団の中では「戦闘員」的な役割で、ノブナガやフランクリンなどと一緒に先頭を切って戦っていたと思われますが、念能力には「他人を操作する能力」や「強制的に拘束する能力」などがあるため、集団先頭においてはサポート役がいないとかなり危ない、弱点だらけの能力だとも言えます。

純粋な戦闘力では旅団随一でも、心理戦・頭脳戦・能力の相性などでいくらでも攻略されてしまう危険性もあります。

まあ登場時はそんな「念戦闘の奥深さ」は出てきていないので、とにかく圧倒的な強さで、クラピカ以外の念能力者では一切歯が立ちませんでした。

・・・・・

そして次に重要なキャラクターは「パクノダ」です。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

パクノダは数少ない女性メンバーで、クラピカと幻影旅団の第一次抗争に終止符を打つメンバーです。

彼女の「想い」が他の団員にも伝わり、一時的にクラピカと幻影旅団の抗争を中止させることになりました。

能力は「体に触れた他人の思考を読み取る」というもので、読み取った情報や記憶を弾丸に込めて打ち、他人と共有することもできます。

・・・・・

最後に重要なキャラクターは「ヒソカ」です。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

ヒソカは他の団員とは違い、クモに忠誠を誓っているわけではなく、クロロと戦うために幻影旅団に潜入しています。

しかしクロロは常に他の団員とセットで行動しており、幻影旅団としての仕事が終わると完全に行方を眩ませているので、ヒソカの目的は一向に達成されません。

そこでヒソカはクラピカと密通し、幻影旅団を壊滅させるか、クロロと戦えるシチュエーションを作ろうと画策します。

クラピカにとっては唯一の幻影旅団の情報源であり、しかし、完全には信用できない不気味な存在です。

・・・・・

さて、クラピカと幻影旅団の抗争をざっくりと振り返るために必要最低限の4人のキャラクターを紹介しましたが、他の団員も当然出てくるので、写真と名前だけ掲載しておきます。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

団員ナンバー1「ノブナガ=ハザマ」

 


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

団員ナンバー6「シャルナーク」

 


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

団員ナンバー8「シズク」

 


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

団員ナンバー不明「マチ」

 


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

団員ナンバー不明「フィンクス」

 


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

団員ナンバー不明「フェイタン」

 


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

団員ナンバー不明「フランクリン」

 


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

団員ナンバー不明「コルトピ」

 


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

団員ナンバー不明「ボノレノフ」

 

では、幻影旅団の紹介が終わったところで、実際のクラピカと幻影旅団の抗争を振り返ってみましょう。

 

2-8 第一次幻影旅団抗争

勝手に「第一次」と名付けましたが、事の発端は、

「幻影旅団がオークションに出品されるはずの商品を丸ごと奪った(奪おうとした)」

ということです。

実際にはオークションを仕切るマフィアコミュニティが、事前に旅団の襲撃を予期して、「陰獣(いんじゅう)」と呼ばれる各国のマフィアから選りすぐられた念能力集団に商品の死守を依頼していたので、商品自体は奪われずに済んだわけですが、その場に居合わせたマフィアは皆殺しにされました。

この襲撃事件により、マフィアンコミュニティは正式に幻影旅団に賞金をかけ、敵対するようになります(それまでは流星街出身の旅団にはなるべく手出し無用だった)。

クラピカはマフィアの一員として旅団を追うわけですが、この時遭遇したのが圧倒的戦闘力を誇るウボォーギンでした。

襲撃の犯人が幻影旅団だと知るとクラピカは怒りに我を忘れて、思わず飛び出しそうになりますが、他のマフィアの仲間に止められて、我に返り冷静さを取り戻します。

ウボォーギンにより普通のマフィア(非念能力者)がゴミのように殺されていく中、陰獣が姿を現します。

「陰獣vsウボォーギン」の戦いが始まります。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

結果的に陰獣の4人は善戦するも、ウボォーギンの圧倒的な戦闘力の前に敗れます。

しかしこの戦闘で「毒」と「ヒル」の攻撃によってウボォーギンは体の自由が奪われたので、その隙を見てクラピカは「束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)」の能力でウボォーギンを捕縛。

一旦は捕縛したウボォーギンをマフィアンコミュニティに引き渡すことに成功します。

しかしウボォーギンの圧倒的な身体能力(念で強化した剣すら刺さらない)のせいで、拷問などの対処に遅れ、そのうち自力で毒から回復して拘束を解いてしまいます。

仲間も助けに来たことによってウボォーギンは完全に逃げ出し、それ以来、幻影旅団はクラピカのことを「鎖野郎」として敵視します。

ウボォーギンはクラピカによって完全に捕縛されてしまった「借り」を返すために単独でクラピカを追いますが、それを逆手に取り、クラピカはウボォーギンと1対1で対峙します。

普通に考えると最初の段階では「ウボォーギンが弱っていた」から、クラピカの鎖で捕縛することができたわけですから、1対1では到底勝ち目がないようにも思えました。

しかしクラピカの幻影旅団に対する復讐心は想像を超えて、クラピカにある特殊能力をもたらしていました。

それは、クラピカ自身が「緋の目」の状態になると、念の性質が「特質系」になり、その状態であれば、すべての系統の念能力が100%の力で使えるというものです。

※「緋の目」はクルタ族の特徴で、感情の高ぶりによって目の色が赤く染まっていくというもの

この状態を「絶対時間(エンペラータイム)」と言い、この能力をさらに徹底的に強化するために、クラピカはエンペラータイムを「幻影旅団にのみ使う」、という「制約」を設けています。

念能力は能力者の精神に影響を受けるので、
「制約」と「誓約」という裏技を使うことによってより強力なものにすることができます。

例えばクラピカの場合は、

「幻影旅団以外の人間にこの能力を使えば自分が死ぬ」

という制約をしていて、誓約の証として実際に自分の心臓に自分の念能力で鎖の針を刺しています。

だから実際にクラピカは幻影旅団以外にエンペラータイムを使うと死んでしまうわけです(ただの念の鎖としてであれば能力は使える)。

この非常に危険な賭けによってクラピカは3種類の強力な能力(鎖)を幻影旅団相手にのみ使うことができます。

3種類の能力は、

  • 癒す親指の鎖(ホーリーチェーン)
  • 束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)
  • 律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)

と言ってそれぞれ、治癒・拘束・罰を司っています。

もう1つの能力である、

  • 導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)

これは幻影旅団以外にも使用しているので、制約と誓約の範囲外のようです。

幻影旅団随一の戦闘力を誇るウボォーギン相手に、クラピカはこの3種類の能力を使って「実際に渡り合えるか」の実験をしたかったわけです。

なぜなら実戦投入はこれが初めてですからね。

結果として、チェーンジェイルの

「拘束した相手を強制的に絶状態にする」

という念能力者相手には強力無比な能力によって、ウボォーギンがノーダメージの状態でも余裕で拘束することができることが判明します。

※「絶」は念能力が使えない状態のこと


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

念能力による肉体強化がない状態であれば、クラピカの具現化した鎖が千切られることはない(ウボォーギンがその実験台)、ということがわかったので、これは

「クラピカが1対1であれば幻影旅団に対抗できる」

という証明でした。

また、肉体的に旅団の中で最も強靭なウボォーギンに対して、絶状態であればクラピカの通常の打撃でも十分に致命傷を与えることができることもわかりました。

ひとしきり実験を終え、クラピカは最後にジャッジメントチェーンを使い、

「私の質問に答えろ」

と命令します(命令に背けば鎖で心臓が潰される)。

しかしウボォーギンは

「さっさと殺せ」

の一点張りで、結局最後の最後まで仲間の情報を語ることはありませんでした。

この戦闘によりクラピカは自分の能力が幻影旅団に対して十分有効なことを知りましたが、同時に精神的なダメージを負います。

制約と誓約で強化された念能力は「実力以上の力」を発揮できる分、能力者本人の心身を蝕むという副作用があったのです。

クラピカはそのまま寝込んでしまい、一時的に戦線離脱。

幻影旅団は行方不明のウボォーギンを探しますが、「鎖野郎に殺された」ということを悟り、マフィアに対して派手に復讐することを決めます。

一方のマフィアは「陰獣」が全滅したことにより焦って、世界中の殺し屋に幻影旅団の抹殺を依頼します。

このとき呼び出されたのがキルアの父である
「シルバ」と祖父である「ゼノ」の2人です。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

シルバとゼノは、幻影旅団の団長である「クロロ」と対峙しますが、クロロもまた、同じゾルディック家の「イルミ(キルアの兄)」十老頭(マフィアのボスたち)の暗殺を依頼していました。

つまりゾルディック家としては、マフィアからもクロロからも依頼を受けていたわけですが、ゾルディック家は1人1人が独立して仕事を請け負っているようなので、そこは特に何の問題もなく進みます。

これにより、

  • シルバ・ゼノのペアが先にクロロを仕留めるか
  • イルミが先に十老頭を仕留めるか

という時間の勝負になったわけですが(依頼者が死ぬとミッションは無効になる)、何とかシルバとゼノの攻撃をしのぎ、イルミが先に十老頭を殺害。

そのままイルミが十老頭を操って、マフィアンコミュニティ全体に幻影旅団の抹殺を中止にすることを伝えます(実際は幻影旅団の死体を偽装して、殺したように見せた)。

これによりマフィアと幻影旅団の抗争は収束していきますが、マフィア側は十老頭を殺され、オークション品も奪われ、踏んだり蹴ったりです(バレてはいない)。

結果としては幻影旅団は鮮やかな手腕で、目的のものを手に入れて、さらにはマフィアからの鬱陶しい追撃もかわした、という感じですね。

あと残るは「鎖野郎(クラピカ)」の問題だけです。

幻影旅団は「そもそも鎖野郎の目的は何か?」ということを考え、ヨークシンにやってきているということは、オークションが目的だということに気がつきます。

つまり、オークション品の行き先を追えば鎖野郎に行き渡るだろう、と。

最終的に「緋の目」が目的であることを突き止め、今度は幻影旅団によってクラピカが追い詰められることになります。

クラピカの強みはあくまで

  • 「1対1」であること
  • 自分の能力が相手に知られていないこと

が前提なので、複数人と同時に戦うことはできません。

間一髪で逃げ出したクラピカでしたが、マフィアの仲間が旅団に捕まり、パクノダの能力でクラピカの素性が読まれたことによって、さらに窮地に追い込まれていきます。

そんな中ゴンとキルアもクラピカに協力して、幻影旅団の監視の任務を続けていました。

そして「クラピカがいるであろうホテルに向かう組(クロロ・マチ・シズク)」と「他のマフィアの仲間を追う組(ノブナガ・パクノダ)」の前者を尾行している最中に捕まり、ホテルのロビーで拘束されてしまいます。

ゴンとキルアが何か鎖野郎のことを知っているはずだと察知したクロロはパクノダの到着を待ちます。

パクノダの能力でゴンとキルアを調べられたら仲間であることがわかってしまい、人質として利用される可能性が高くなってしまいます。

パクノダの能力は「記憶を読む」ので、クラピカの性格などもわかってしまい、仲間を見捨てることができない性格が弱点であることがわかってしまいます。

そんな緊迫した「時間との勝負」の中、急遽、クラピカが考案した作戦を実行し、見事成功。

これによってクラピカは、ゴン・キルアの奪還ではなく、団長であるクロロを捕縛し、逃走することに成功します。

そして置き手紙として、

「2人に何かあれば団長を殺す」

という言葉を残し、消えます。

団長を奪われた団員は自分たちの判断では動ききれず、他の団員の到着をホテルで待ちます。

ホテルに集まったのは、

  • マチ
  • シズク
  • コルトピ
  • ノブナガ
  • パクノダ
  • フィンクス
  • フェイタン

でした。

団長がさらわれたことを聞くとフィンクスとフェイタンは真っ先に「なぜ追わなかった」と問い詰めます。

団長がさらわれた時に居合わせたメンバーは、

「追えば団長が殺されていた」

と言いますが、フィンクスとフェイタンはその返答に対して、

「それはクモへの侮辱か?」

と詰め寄ります。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

クモの掟は、

「例え手足がもがれても、頭がもがれても、クモを存続させる」

というもの。

ここで団員たちのクモに対する考えの違いが浮き彫りになっていくわけです。

団員同士でマジギレ戦闘が始まる寸前で、シズクによって喧嘩は収められ、一旦ゴンとキルアも連れてアジトに戻ることになります。

アジトにいた他の団員とも協議し、
最終的には、

「今は鎖野郎の言うことを聞いて、もし団長が死んだら、そのとき見す見す団長を奪わせてしまった団員も殺して、また1からクモを立て直せばいい」

という結論になり、クラピカの指示通り、
ゴン・キルアとクロロの人質交換をすることになります。

このときクラピカは一番話が分かりそうな(電話した感じ)パクノダを指名し、1人でゴンとキルアを指定された場所まで連れてくるように指示します。

クラピカと密通していたヒソカは、このことによって不本意ながらアジトに拘束される羽目になり(他の団員がいるので動けない)、ゾルディック家のイルミに助けを求めます。

※イルミは変装の達人

イルミとヒソカが入れ替わり、ヒソカはパクノダを追いかけていきます(ヒソカにとってはこれがクロロと戦える最大のチャンス)。

飛行船に乗り、指定の孤島(断崖絶壁)にたどり着き、そこで人質交換をすることに。

無事に人質交換は終わりますが、
クラピカの「ジャッジメントチェーン」の能力によって、クロロは

  • 「今後一切、念能力の使用を禁ずる」
  • 「今後一切、幻影旅団との接触も禁ずる」

という約束を強制させられてしまいます。

また、パクノダも「ここでの出来事の一切を口外するな」という約束を強制されます。

せっかくクロロと戦えると思っていたヒソカもクロロが念能力を使えなくなってしまったことを知り、一気に興ざめしてしまいます。

※ヒソカは偽団員だったので「ジャッジメントチェーン」は発動せず、クロロと接触が可能

クラピカはゴンとキルアを取り戻し、クロロは旅団を去り、パクノダはアジトへと戻ります。

パクノダは自分の記憶や想いを弾丸に込めて、幻影旅団の初期メンバーである6人にその弾丸を打ち込みます。


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

パクノダはジャッジメントチェーンの効果により死んでしまいますが、全てを知った団員たちは、仲間のために奮闘するゴン・キルア・クラピカの姿と自分たちがウボォーギンやクロロに対して取った行動を重ね合わせて、共感してしまいます。

この時点でクラピカは幻影旅団を壊滅させるまではいきませんでしたが、クロロを脱退させることに成功し、本来の目的である「緋の目」の回収に戻ることにします。

幻影旅団も鎖野郎への復讐を後回しにして、クロロの捜索と、クロロにかけられた念能力の解除の方法を探すことに集中します。

※念能力には「死後強まる念」が存在し、クラピカを殺してしまうとクロロにかけられた念が暴走し、クロロが死んでしまう可能性が高い

・・・・・

と、こんな感じで、クラピカと幻影旅団の第一次抗争は幕を閉じるのでした。

ヨークシン編は冨樫先生の「巧みな頭脳・心理戦」の真骨頂とも言えるパートでしたね。

明らかに強い格上の相手に対して、少人数で挑み、ちゃんと落とし所も用意している点は、素晴らしいとしか言いようがありませんね。

2-9 オークション編

さて、クラピカと幻影旅団の一件が落ち着いたところで、ゴンとキルアは本来の目的であった「グリードアイランド」の入手に取り掛かります。

入手難易度はハンター専門サイトによるとFランク。

つまり、

「お金さえ出せば(ハンターなら)誰でも手に入れられる」

というものでしたが、今回のオークションではそうもいきません。

なぜなら、今回のオークションでは
「バッテラ氏」という人物が、出品されるグリードアイランドをすべて買い占めようとしていたからです。

グリードアイランドの評価価格は「50億ジェニー」でしたが、最終的にオークションでは200億ジェニー以上の価格がついていました。

ゴンとキルアにとってはこの金額を出すのは不可能だったので、悩んだ末に、

「バッテラ氏に雇われよう」

ということになりました。

グリードアイランドは「ハンター専用ゲーム」で、念能力が使える人間しかプレイすることができません。

だからバッテラ氏も優秀な念能力者を探しているはずだ、と考えたわけです。

この時ゴンとキルアは自分の「必殺技」とも言える念能力の習得を求められたわけですが、ゴンは強化系なので難しいことはせずに、

「これまでの修行の成果を拳に凝縮させる」

というシンプルな方法で、必殺技の「ジャジャン拳」の原型を完成させます。

キルアの方は変化系能力者として「オーラの性質を変える」ということで前々から考えていた「電気」というアイディアを実現させます。

ただし普通であればオーラの性質を変えるには相当なイメージ力が必要で、オーラを電気に変えようと思えば、毎日拷問のような電撃を浴びていなければ不可能でした。

そこはキルアの家庭の事情で、物心ついた頃から電撃の拷問が日常茶飯事だったことが幸いして、晴れて2人はやっと自分たちの念能力の極意の端をつかむことができたのでした。

これにより、バッテラ氏に雇われているシングル(一つ星)ハンターの「ツェヅゲラ」に採用されて、ゴンとキルアはグリードアイランドをプレイすることができるようになりました。

  • 「ハンター専門のゲーム」
  • 「念能力者以外はプレイできない」

果たしてグリードアイランドとはどんなゲームで、ゴンの父親の手がかりは見つかるのでしょうか?


引用元:冨樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

続く・・・




追伸

いやー、今回も全く書ききれなかったですね(苦笑)

幻影旅団が魅力的すぎて、もう、無理です。

一旦ここで終わらせてまた次回に続きを書きたいと思いますが、まだまだ書くことがいっぱいあります。

 2-10.グリードアイランド編に突入
 2-11.キメラアント編で絶望と対峙
 2-12.会長選挙とアルカをめぐる争い
 2-13.ゴンの帰還
 2-14.暗黒大陸の登場
 2-15.人知を超えた冒険に突入

3.「HUNTER × HUNTER」とは一体なんなのか?

4.冨樫義弘先生の他の作品
 4-1.幽☆遊☆白書
 4-2.レベルE

5.まとめ

HUNTER × HUNTERだけで言ってもまだ「グリードアイランド編」「キメラアント編」「会長選挙とアルカ編」「暗黒大陸編」と、重要なパートが4つもあります。

多分、1つ振り返るのにこの調子だと1記事かかるので(苦笑)

ってことはあと最低でも4記事に分かれそうですね。

もうお腹いっぱいだと思いますが、是非お付き合いください。

では、今回はこれで。

あ、HUNTER × HUNTER読みましょうね!

和佐大輔

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ABOUTこの記事をかいた人

「人生で大事なことはすべて漫画から学んだ」と豪語するマンガタリのライター。「漫画を愛し、漫画に愛された男」サンシャイン和佐は少しでも多くの人に漫画のすごさを伝えなければいけない、という身勝手な使命のためにマンガタリを一人で運営中。詳しくはプロフィールをご覧ください。