『ペリリュー 楽園のゲルニカ』の8巻が発売したあー!嬉しいライター、中山です。
中山は戦争マンガをちょくちょく読むんですが、そのなかでもカワイイ絵の戦争マンガに目がいってしまいます。
なんでかな、と思ったら、かわいい絵の方が絶望が深いんですわ!!!(絶望を求める38歳)
言うなれば口当たりのいい劇薬。
かわいいからって油断して、未曾有の悲劇をスルッとハードル低く読まされてしまう恐ろしさがあります。
今回はそんな劇薬マンガの中から面白いなあと思うものを3つピックアップし「絵」に照準を合わせて語ってみたいと思います!
・かわいい絵の戦争マンガ3選と各作品の絵の作用感想
・『ペリリュー 楽園のゲルニカ』
画力激高な作者さんが、あえてのコロコロしたキャラクターで描くマンガです。舞台は戦時中に激烈な戦闘のあった孤島、ペリリュー。
リアル絵だったらとてもじゃないけど直視できない残虐な風景もよく出てきます。読み終わった後、「冷静に考えたらとんでもない死体見ちゃったなあ」と我に返ります。
読み終わるまでしっかり乗せてくれるのは、史実を調べた上で絵柄に合わせて微調整してくれているからかなと。
優しい絵柄のキャラクターたちがリアルな装備をすると違和感があるので、あえて一部装備品などを変更し作品として統一感を出しているそうです。
こういった工夫で、最後まで離脱する事なく読めるんだと思います。
・『この世界の片隅に』
童話のような、柔らかな線を重ねた絵が美しいマンガです。
当時の生活や風俗などを優しい絵で丁寧に表現してくれるので、穏やかな世界にたっぷり感情移入してからの悲劇にブッ刺されます。
イラストとして見て癒される画風で、特にフリーハンドで描かれる建物で構成された温かな風景に優しい気持ちになります。
逆に空襲で焼け野原になる風景は、線も少し荒くなります。そこにいる人の心を書き起こしたような風景画です。
・『cocoon』
線の数が少ないシンプルな線と淡いトーンで戦時中の沖縄の女学生を描きます。
背景も少なく、人物描写もごく単純な線。絵本のような繊細な絵で、ワガママだったり、現実見えてなかったりの愛おしい思春期が表現されます。
お人形のような可愛いオンナノコたちが戦火に犯されていくのが悲惨さを際立たせます。
人体描写などの緻密さには欠けるのですが、それがまたお人形を壊されているような・・・フワフワした悪夢のような読み心地です。
・悲劇はかわいさでさらに加速する
ライター中山は普段から「血は流れ内臓は爆裂する」という漫画を大喜びで読んでいます。
が、それは※エンタメに限るというやつであり、史実が絡んでいると思うと心がじくじくいたします。
そう思って戦争ものをかわいい絵のマンガから入っているのに、・・・かわいさがむしろ悲劇を倍加させるトラップ!
敷居が低いだけで、中身はむしろキツいんですが、面白いのですよ・・・アンビバレンツ・・・ッ!
(中山今)
※この記事の発端、『ペリリュー楽園のゲルニカ』の8巻を読んでまさに劇薬にズバッとやられました。
感想をツイートしたんで載せときます。↓
【読んだ】
ペリリュー 楽園のゲルニカ 8巻
読ませるッ・・・あっという間の1冊だった。
読者は既にわかっている結論、そこから自我を守り抜こうとする悲しさ、そしてにじり寄る狂気。悲劇が大気圏突破して別次元に行った。。戦争ってホントにいろんなもの壊したんだなあ。。
— 中山今 (@kon_nakayama) January 29, 2020
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