みなさんこんにちは、金曜日に「今週の一冊」をご紹介するマンガフルライターの神門です。
今回ご紹介するのは、二駅ずい先生の『純とかおる』です!
著者 | 二駅ずい |
出版社 | 講談社 |
掲載雑誌 | 別冊少年マガジン |
掲載期間 | 2018年6月号~2021年10月号 |
単行本巻数 | 全2巻 |
ジャンル | TSラブコメ |
『純とかおる』ですが、1巻が発売されたのが2019年4月で実に2年以上の月日が流れており、もう発売されることはないのか!?
と不安になりましたが、この度無事に2巻が発売されました! 待っていてよかった!
そして2巻で完結!
これはちょっと寂しいですぞ!
さてさてこの『純とかおる』がどんな作品かというと、タイトル通りに純とかおるの二人の男女を主人公としたものです。
家が隣同士で幼馴染の純(男)とかおる(女)ですが、この二人、毎日00:00になって日付が変わると、性別が入れ替わります。
男だったら女に、女だったら男に。
『純とかおる』 1巻 二駅ずい/講談社 より引用
純とかおるが入れ替わるのではなく、それぞれ別個の精神のまま、肉体だけが転換します。いわゆる性転換もの、TSものです。
この作品の面白いところは、性転換するけれど、それが契機でトラブルが起きたり、周囲を巻き込んだ男女間の複雑な恋愛関係に発展したり、ちょいとエッチな展開になったり、そういうTSものでおなじみのことが全く起きないことです。
単に、性別が日毎に変わる二人の日常を描いている作品なのです。
TSという題材なのに、なんとまあ!
だけどコレ、面白いのは、二人が同時に男に、あるいは女になることがないということです。
必ず男女で別々になり、二人同時に男、あるいは女になることはありません。
- 純が女のときのかおるとの関係
- かおるが女の時の純との関係
基本的な性格とかは変わらないんだけど、性が変わったことによってどこかちょっと違った感じになる。
その微妙な差というか変化というものが、これまた具体的にガツンと描かれているというよりは、雰囲気で表現されている。
この「空気感」とでも言いましょうか、それが実に絶妙なのがこの『純とかおる』という作品であり、二駅ずい先生の特徴なのかなと思います。
物語は日常を描いているもので、純とかおるは幼馴染、そして性転換も昔からのことで慣れていてお互いの制服を毎日交換し合うのがお約束。
今更、男の体や女の体で騒ぐこともなく、気の知れた同士だから普段の会話が多いわけでもなく、淡々と進むようにも見えます。
でも淡々と見える日常の中で、ちょっと相手を意識してしまった瞬間とか、何気ない一言や表情とか、さりげないしぐさとか、そういう中に独特の空気感があって。
言葉で説明するのが非常に難しいのですが、絵を通して二人の感情を豊かに想像させられる、とでも言いましょうか。
『純とかおる』 2巻 二駅ずい/講談社 より引用
幼馴染で仲が良いけれど、恋人同士の関係にまでは至っていない。
だけど、二人は一緒にいて、これからも一緒にいる。
その距離感もまた絶妙で、その絶妙な距離感を表現できているのです。
2巻で終わってしまうのはもったいなく、もっと二人を中心としたゆるっとしている日常を見ていたかったですね。
そこは、二駅ずい先生の次回作に期待しましょうか!
『純とかおる』は、マンガBANGで読むことができます!
お互いに「異性」はただ一人ですね。人生の半分ずつ、男と女を生きてくると、多分、ジェンダーの意識もニュートラルでしょう。SDGs/ジェンダーで重要な意味を持つかも知れなかった、空気感や微妙な感情の機微も描いていた本作ですが、本当に残念です。続編に期待しています。
コメントありがとうございます!
互いに性転換するけれど、同時に同じ姓にならない、っていうのは大きなポイントだったと思いました。
2巻の終盤でその辺のことも描かれていましたが。。
本当に、言われている通り空気感や感情の機微を、言葉ではなく作者さん独自の描き方で表現をしていた作品だったと思います。まさか2巻で終了は残念ですが、新たな作品を楽しみに待ちたいと思います。