【今週の一冊】『セシルの女王』エリザベス一世に仕えた忠臣を描いた一作+関連作品を紹介

 

みなさんこんにちは、【今週の1冊】として毎週、直近に読んだ作品(時には古い作品も!)をご紹介するマンガフルライターの神門です。

皆さんが作品を購入するご参考にしていただければと思います。

今回ご紹介するのは

『セシルの女王』

です!

 

本作に関しては同じコラムの【最近の新連載】でも紹介しています。

【最近の新連載】『セシルの女王』こざき亜衣(ビッグコミックオリジナル)~16世紀イングランドの処女女王と忠臣。人物描写が巧みだった前作『あさひなぐ』を元に紹介します~

2021年11月6日

 

本作の単行本の1巻が発売されましたので、私の方からも紹介しちゃいます!

物語については、上記の記事でも記載されているのですが、改めて簡単に。

 

舞台は16世紀イングランドです。

主人公は、地方地主の息子で出世を夢見る少年ウィリアム・セシル

セシルは父親につれられて12歳の時に登城しますが、そこで知り得た真実は12歳の少年に衝撃を与えるには十分すぎるものでした。

絢爛豪華な中で繰り広げられているのは、権力と欲望の渦巻く大人たちの薄汚いやり取りばかり。

しかし、そんな王宮の中で失意のセシルが出会ったのが、ヘンリー8世の妻であるアン・ブーリン

男児を産むことを望まれ、周囲に誰一人味方もいないようなアンは、王宮の中でただ一人優しさと純粋さを持ってアンに接する少年セシルのことを気に入ります。

そしてアンはセシルにお願いします。

「生まれてくる王を支えてほしい」

と。

だけど、いざ生まれてきたのは女児。

男児を産めなかったということで王から疎まれ、周囲からも見放されるアンと生まれたばかりの女の子。

それでもセシルは誓います。

自分が、貴女を守ると。

彼女こそがエリザベス一世。

テューダ―朝の第五代にして最後の大君主なのでした。

産まれたばかりのエリザベスに誓う、ウィリアム・セシル

「セシルの女王」 こざき亜衣 1巻/小学館より引用

 

そんな感じで展開される1巻、つかみとしては申し分ないですね!

歴史ものではありますが、重苦しくなりすぎず、ときにギャグっぽいシーンや口調も織り交ぜつつ、読みやすく描かれています。

歴史が苦手という人も、歴史を知らなくても新たな知識を得るものと思って楽しめると思います。

 

さてさて、本作でも描かれることになるエリザベス一世といえば、思い浮かべるものがあります。

そう、言わずと知れた、キース・ロバーツ『パヴァーヌ』ですね!

表紙がまた美しいんですよこれが!

 

この『パヴァーヌ』、もとはサンリオSF文庫で刊行されたのですが、刊行された2か月後にサンリオSF文庫自体が廃刊になってしまい希少本となりました。

その後、2000年になって扶桑社から刊行されましたが扶桑社版も絶版になり。でもその後にまた筑摩書房から出版されて今では誰でも読めるようになっています、素晴らしいですね!

え、エリザベス女王?

そうそう、この『パヴァーヌ』は、エリザベス女王が暗殺されてしまい、その混乱に乗じてスペイン無敵艦隊が英国本土に侵入しスペイン国王フェリペ2世が英国を統治するようになったことで、宗教改革は鎮圧されて世界はカトリックの配下に置かれた後の20世紀という、IFの世界線を描いているのです。

歴史改変小説の名作といえば、ディックの『高い城の男』が思い浮かぶ方も多いかと思います。

第二次世界大戦で日本とドイツが戦勝国になった世界を描いた一作。ディックらしい、現実と虚構が混ざり合っていく感がたまらない

 

ですが、『パヴァーヌ』だって負けておりません。

特に『パヴァーヌ』で特筆すべきことは、キース・ロバーツの描く、この世界の美しさです。

この世界においてはカトリックの勢威が強いことで科学技術が発達せず、かわりに蒸気機関が発達しています。

すなわち、スチームパンクの世界を描いています。

IFの世界でありスチームパンクの世界ですから思い浮かべるしかないのですが、キース・ロバーツの筆致、美しい描写というか表現により頭に思い描く世界はなんと幻想的になることか。

今まで読んだ作品の中で、もっとも「美しい」という言葉が当てはまると思っています。

 

・・・え、エリザベス女王出てこないって?

ではでは改めてエリザベス一世といえば・・・

皆川博子先生の『海賊女王』でしょう!

この表紙と帯の訴求力の強さよ!

 

これは間違いないですよ!

物語の冒頭で出てくるのはロバート・セシル。そう、ウィリアム・セシルの息子です!

人物一覧もこの通り、間違いありません。

ほらね!

 

とはいえ主人公はイングランド側ではなく、最後までイングランドに屈しなかったアイルランドのゲールの女王・グローニャ。

グローニャが10歳の少女時代から老齢に至るまでの、闘いと航海に明け暮れた女の一生を描いた一作。

その中で交わる、グローニャとエリザベスという二人の女王。

グローニャという女海賊の冒険譚だけではなく、英国王室の陰謀渦巻くところなども描かれており、ぐんぐん引き込まれます。

本当に、グローニャという女海賊の一生に魅入られます。

特にラスト、長年の戦友であるアラン、マクティーリャと共に最後の戦いに向かうシーンなんて、脳裏に映像が浮かび上がるよう。

鮮烈でありながら、凄烈かつ清冽なエンディングは、いつまでも忘れることが出来ません!

 

・・・え、『セシルの女王』はどうしたって?

いやいや、何を言っているんですか。

エリザベス一世というだけで、これだけ素晴らしく魅力的な作品を思い浮かべることができるってことですよ。

そういう、関連する様々なことを考えたり、思い浮かべたりしながら読むのもまた楽しみの一つ。

是非、手に取ってみてください!

紹介した作品を読んだ人はきっと楽しめるし、逆に『セシルの女王』を元に紹介した作品を手に取って読んでみても面白いと思いますよ!

今回、ご紹介した作品は↓こちら!




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ABOUTこの記事をかいた人

社畜として働きつつ、漫画と小説と野球に癒される日々。人生を変えた作品は「女神転生」。プロ野球を愛しベイスターズを愛する。 熱血王道もの、血飛沫舞うバトルものから美少女百合ものまでなんでも好む。特に「無限の住人」の美しい殺し合い、「はやて×ブレード」のバカバトルが好きです。