さぁやって参りました、NON先生インタビュー後編です!
先駆けて公開させていただいた『ハレ婚。』の裏話とインタビュー前編を読んでいない人は、ぜひ先にお読みくださいね。
前編ではNON先生が漫画家になるまで、そして現在連載中の『ハレ婚。』について詳しくお話をお聞きしました。
今回の後編では、漫画家として、そして妻として・母としてのNON先生にも注目し、気になる『ハレ婚。』のラスト、『ハレ婚。』終了後の活動などなど、もりだくさんな内容でお送りします!
また、NON先生のお仕事現場にも潜入しちゃいました!
あの美麗絵が生み出される環境とはいったい……?!
ぜひ最後までご覧ください!
目次
1、女性作家でありながら青年漫画を描くことは「全然苦じゃない。性格的に向いている!」
『ハレ婚。』は青年漫画でありながら、女性にも大人気の作品です。
やはり、作者のNON先生が女性であることが大きいのでしょうか?
そこで、NON先生のお話から女性でありながら青年漫画を描くことの難しさや強みなどを探ってみたいと思います!
1-1 『ハレ婚。』は女性ファンが多数だからこそ、女性目線はめちゃくちゃ意識する!でもキュンキュン展開は苦手……(笑)
6:4で女性が多いくらいじゃない?
そもそも男性ファンはあんまり「好きです」って主張しないからね。
だから、男性のファンから「好きです」って言ってもらえるまで、きっと男性は『ハレ婚。』が好きって言うのは恥ずかしいんだろうなって思ってました。
男性はもっと声を届けて!(笑)
堂々とは言いにくいんじゃないかな。
絵もキレイだし、タイトルも一見するとハーレムものだとは思わないし。
絵やタイトル以外の要因としては、電子書籍の普及も大きいと思います。
やっぱり、女性は本屋さんに行っても青年誌の棚ってなかなか行かないじゃないですか。
でも、スマホならこっそり読めるから。
うららのエピソードみたいなラブストーリーを描くのは恥ずかしいんですけど、でも頑張って描くと女性読者さんがすごく喜んでくれるんですよ。
なので、それを励みに「きっとこれを待っている女性読者がいるはず!」と思って描いてます(笑)
だからいつも言うんです。
そんな風に茶化してたら女の子喜ばないよ、もっとキュンキュンさせて!って(笑)
男性向けだと、やっぱり女キャラが男キャラに奉仕するシーンが外せないと思うんです。
女性って、基本「強く求められて」っていう前提が欲しいんじゃないかなって。
そのうえで、「私はそれほどじゃないけど、あなたがしたいなら」みたいな。
たぶん、慎みが方向性を変えた形だと思うんですけど(笑)
だからこそ、龍と小春のプレイシーンは女性読者にとってハマるものがあるのかなと。
描きながら需要と供給のバランスは当然考えるんですけど、描けば描くほど、やっぱり嘘は描けなくなります。
そうすると、最終的に自分のなかの真実……要は自分の好みに行き着いちゃうんですよね。
小春が一番可愛く見えるところだと思います。
それじゃあ、『ハレ婚。』の女子で一番人気なのはやっぱり小春ですか?
そんなことありませんよ、だいさん!(笑)
というわけで、実際にツイッターで「『ハレ婚。』ヒロインといえば?」とアンケートを採った結果……!
【 #NON先生降臨 】
#ハレ婚 。ヒロインアンケート、結果発表!得票2,355票
小春 65%
ゆず 17%
まどか 12%
うらら 8%ご応募ありがとうございました!NON先生にお伝えします!
先生のインタビュー記事はマンガタリ(https://t.co/BcwPNowurW)にて制作中。アップ時、本アカウントにて告知します! https://t.co/GYRoydxC83
— 【公式】マンガフル (@mangatari_) April 25, 2019
なんと2,355もの票が集まり、結果は圧倒的小春の勝利となりました!
1-2 『ハレ婚。』が男性・女性どちらの目線でも楽しめるのは、繰り返し行うだいさんとのすり合わせのたまもの!
その結果、男性だからちょっと難しい、女性だから理解できないってポイントも人によって出てくると思うんです。
男女でまったく考えが違うし、台詞でどれだけ感情を説明してもわからないものはわからないから、何も言わず、キャラの表情だけで伝える!
「これは女性の意見で、男性にはわからない一面なんだ。それ面白いね」っていう判断の仕方なので、僕ら男性の意見と女性であるNONの描くものをすり合わせた結果が、男性読者と女性読者の両方に届いてるのかなと思いますね。
すり合わせ作業は大変じゃないですか?
でも仕方ない。男と女は別の生き物だから(笑)
武田と小春の車中のやりとりなんか、「わかるぅ~!」って声がいろんなところから聞こえてきそうです(笑)
問題のシーンがこちら
(『ハレ婚。』NON 5巻/講談社 より引用)
実際、「自意識過剰かも」って思ってるうちにつけ込まれちゃう女の子も多いですもんね。
でも、小春は小春でパンツ見せちゃってるからね。思わせぶりに(笑)
こういうとき男性って意識するもんなんだよ、男性ってこういうこと考えてるんだよ、勘違いしちゃダメだしさせちゃダメだよって。
武田は完全にヤレると思ってるからね。過去に告られてるし。
まぁそんな感じで、いろいろ二人で議論しながらいつもストーリーを作ってます。
武田を世に送り出したとき、NON先生はファンから「女性なのになんでこんなキャラが作れるんだ!?」と言われたそうです。
リアルな男性目線の描写を可能にしているのは、一番身近で男性としての意見をストレートにぶつけてくれるだいさんの存在も大きいんですね!
1-3 「常に新しいものじゃなきゃ面白くない!エロも率先して描く!……でもちょっとクールダウンしなきゃ(笑)」
たとえば、妊娠したゆずが心と体の変化に戸惑うところとか。
なかなか男性が知るところじゃないし、青年誌で見るようなシーンじゃないですよね。
だから、とくに狙ってとかではなくごく自然に描きました。
男性には言ってもわからないですしね(笑)
でも、そういう風に伝わることもあるのか~。面白いですね。
単純に面白くないし(笑)
だから、読者の負担にならないように描いていくのは難しいところでした。
ゆずの不安も、龍之介が一発で解消したし……。
「旦那にはこうあってほしい」っていう私自身の思いが、ときに龍を動かすこともあります。
体の変化に戸惑うゆず。そんなゆずの不安も、龍之介にかかればこの通り!
(『ハレ婚。』NON 15巻/講談社 より引用)
そういう部分も含めて、『ハレ婚。』はハーレムものとしてすごく斬新ですよね。
新しいものじゃないと、私自身が面白いって思えないんですよ。
NONが描けば、どうしたってただのハーレムものじゃない、新しいものになるって僕は最初から思ってました。
勝手な想像で、やっぱり女性でありながら青年漫画を描くというのはハードルが高いんじゃないかと思ってましたが……。
もちろん男性目線との意見のすり合わせが大変なときはあるけれど、自分の中で培ってきたものが男性向けベースなので。
でも、うららちゃん編みたいに、内から湧いて出てくるものが意外と女性的でビックリするときもあります(笑)
だから、「男性読者は楽しんでいるかな?」っていう不安は常にありますけどね。
エッチなシーンも、全然抵抗ないんですもんね。(「私の武器はエロだ」参照)
そこに自分の価値があると思っているので、どんどんエロを磨こう!って。
おかげで徐々に激しくなってきちゃって……これ以上は成人誌いくしかないぞってとこまで来てるので、ちょっとクールダウンしなきゃとは思ってますけど(笑)
今後はそれをどう昇華させるかって感じですね。
畑が違うので、そっちには行けないですね。
2、多忙な仕事と家庭を夫婦で協力しながら両立!そこにはだいさんの熱い誓いがあった!
NON先生は漫画家であると同時に2児のママ!
とくに二人目のお子さんはまだ生まれたばかりで、多忙なお仕事と家庭の両立は難しそう……。
いったい、どのように仕事と家庭のバランスをとっているのでしょうか?
2-1 お子さんが増えて週刊連載から隔週連載へ!NON先生の働き方改革とは
おかげで無理をしなくなって、時間がすごく大切になりました。
以前は土日のどっちかは夫に子供を預けて一人で仕事したりしてたんですけど、今はそれもなくなって、週末は家族で過ごすようにしています。
あと、夜もちゃんと寝るようになりました!
週刊連載の時は寝る時間をどんどん削ってたので……。
そういうときは徹夜をするときもあります。
実際にNON先生に書いてもらった1日のスケジュールがこちら。
仕事の時間と家族の時間、リフレッシュの時間もしっかりあって、とても良いバランス。
まさに理想の働き方!
それから、麟之介の言動とかも自分の子供の影響がありますね。
あんまり子供子供になると育児漫画みたいになっちゃうし、そこは気をつけようって話してます。
子供が生まれてもドキドキハラハラ、そしてエロい雰囲気を忘れない。
そんな『ハレ婚。』だから、作中で3年の時が経ってもマンネリすることなんかあり得ない!
読者がずっと楽しく読み続けられるよう、NON先生もだいさんも慎重に作品作りをしていらっしゃいます。
2-2 NON先生を全面的に支えるだいさん。根底にあるのは「NONという作家を死なせてはいけない」という強い思い
お二人は仕事でも家庭でもずっと一緒ですが、どこかで「ここからは仕事」「ここからは家庭」と切り替えたりしているのでしょうか?
ライブは子供が生まれてからなかなか行けなくなったけど。
ホントにずっと一緒にいるので……。
ちょっと仕事で意見が食い違ってけんかになると、ずっとそれを引きずるじゃないですか。
お互い逃げ場がないので、ストレスは大きくなりますよね。
だから、仕事と家庭でずっと一緒っていうのは作品作りには生かされるけど、善し悪しです。
もちろん、常にそばにいることの安心感は大きいですよ。
ネームに詰まったときもすぐに相談できるし、子供になにかあったときも頼れるし。
食事作りは私の担当ですけど、それ以外は子供のことも含めて全部安心してお任せできます。
当時僕も背景を描いたりしてサポートしてたので、デビューが決まったときは自分のことのように嬉しかったですね。
もともと僕はデザイン会社に務めてたんですけど、ちょうど僕がフリーになって独立したときと『デリバリーシンデレラ』が終わって彼女が連載会議に通らなくて落ち込んでいるときが重なって。
NONが「描きたくない、やめたい」と言ったときに、「それは絶対ダメだ」と。
彼女自身そんなこと望んでないはずだってわかってたので、「俺も一緒に作っていくから、一緒に頑張ろう」って誓ったんです。
育児でも家事でもアシスタントでもなんでもやるから、とにかくNONという作家をここで死なせてはいけない、支えていかなきゃいけないっていう思いでした。
僕もクリエイターなので、一緒に作品を作っていくこと自体、とても楽しいんですよ。
もちろん大変なこともいっぱいあるし、口論も絶えないけど。
でもそうやってやりとりを重ねてお互いに成長してきて、だからこそNONの成功が嬉しい。
普通の会社員ではできない体験をさせてもらえてるので、これからも一緒にやっていけたら良いなぁって思ってます。
でも、本当に彼はすごいと思います。
私だったら漫画家の夫なり嫁なりになるの、絶対嫌ですから(笑)
あと、私は結婚して妻になって母になって、自分のなかですごく変化を感じるなって思うんですけど、彼は昔っから彼のままで変わらないっていうのも大きいですね。
男性はそうそう変わらないっていうけど、まさにその通りで、彼のままで自然に父親業も相棒もこなしてて……そういう存在が支えになるなって思います。
お二人の強い絆を感じられ、なんだか聞いてる私の方が照れちゃいました……!
2-3 漫画家としての自己評価は低め……でもすぐそばに満点を出してくれる人がいるから挑戦を続けられる!
えぇ~……でも、低いと思う……。自己評価低いんですよ。
もっと自信持って!って(笑)
これだけ星の数ほど漫画家先生がいて、自分が目指してきた作家さんの漫画を読んだりすると、ほんとにまだまだだなって感じます。
最初に絵を見たときに、オンリーワンになれる作家だなって思いました。
もちろん絵だけじゃなく、ストーリーも。
当然好き嫌いはあると思いますけど、他にはないものを描ける漫画家になれる、なってきてるって思います。
だから100点。
それができあがっちゃうと、生み出すものも凝り固まっちゃうからね。
そういう部分も強みなんじゃない?
とにかく、新しいものに挑戦したい!っていう意欲だけは燃やし続けていきたいですね。
普段はぜんぜん褒めてくれないんですよ。
まぁ、一緒に仕事してるから、どうしても仕方ないのかな。
よかったら言うし、疑問を感じても言うし。正直なんですよ(笑)
3、『ハレ婚。』のラストまであとわずか!最終話にかける思いと気になるNON先生今後の活動予定は?
取材当日はNON先生と担当さんの打合せ日でもあり、なんとこの日は『ハレ婚。』の最終話に関する打合せ!
刻々と近づく『ハレ婚。』のラスト……。
さみしいけれど、連載終了後のNON先生の活動も気になります!
さっそく、聞ける範囲でグイグイお聞きしてみました!
よくここまで読者の方はついてきてくれたな、って。
突飛な物語で、好き放題にやってきたので。
だから、ラストには読者のみなさんへの感謝を込めています。
なんにもなくて、「なにやりたいんですか?」って聞かれてもわからないくらい、今は真っ白ですね。
もちろん、休止中も水面下では動いてます。
ただ、それが表に出てくるまでは時間がかかるかもしれないですね。
恐怖心もありますけど、可能性はゼロじゃないですね。挑戦は常にしたいので!
最後に、NON先生の野望を聞かせてください。
漫画家としてずっと生きていたいし、私が死んだときは漫画家の星に行きたいです。
憧れの先輩たちと同じように、人の心にいつまでも残る漫画家でありたい……、そのために、すべての体験を漫画の糧にしていきたいです。
今まで経験したもの、たとえば結婚も出産も全部漫画のためなので、持ってるものはすべて漫画に出し切りたい。
その上で、常に新しいことに挑戦していけたら嬉しいなって思ってます。
恐怖もあるけど、試してみたい気持ちもあります(笑)
とにかく今は、『ハレ婚。』のラストまでしっかり描ききりたいと思います。
お話をしながら、「あぁ、本当に『ハレ婚。』が終わってしまうんだ……」としんみりしましたが、私もいちファンとして、ラストに込められた先生の思いをしっかり受け止めたいと思います!
そして、『ハレ婚。』終了後のNON先生の活動も楽しみに待ってます!
4、NON先生のお仕事現場に潜入!そこは漫画を描くために最適化されたスペースだった!
インタビュー後はNON先生のお仕事現場を見学させていただきました!
魅力的なキャラとストーリーが生み出される現場を、写真マシマシでレポートしていきます!
そう言って先生が案内してくれたのは、住居スペースに隣接した建物。
中にお邪魔すると、白を基調にしたスタイリッシュかつ落ち着く空間が広がっています。
何より目を奪われるのは、壁一面の本棚!
でも、最近は電子版が増えてきたので、私も電子で買うことが多いですね。
そうしないと床が抜けちゃうから。
そしてこちらがNON先生のスペース。壁際は鏡張りになっています。
なんとなく、デジタル作業だと遠隔指示でアシスタントさんは在宅作業、みたいなイメージありました。
でも、やっぱり近くにいたほうが細かい指示も出しやすいし。
遠隔だと顔が見えないし、トラブルとかも聞くので……。
今は隔週連載なので、アシスタントさんには週2回来てもらってます。
実際に原稿を進めるNON先生。
【 #NON先生降臨 】
先生ガーーー
生原稿作成中ーーーーー!!!!!#マンガタリ #ハレ婚 。 pic.twitter.com/tskqnhmzOq
— 【公式】マンガフル (@mangatari_) April 18, 2019
スタッフさんによってはゲーム用のパッドを使う人もいたり……作業効率化のためにみんな工夫してます。
壁にはカレンダーが描かれた大きな黒板も!とってもおしゃれです!
来ても邪魔しかしないけど(笑)
でも、そばにいてくれるとやっぱり癒されるので。
連れてきたり出してあげたりする手間がなくなって、猫も私もストレスがなくなりました。
その頃に比べたら格段に快適です!
この快適空間があるからこそ、NON先生も心行くまで漫画が描けるということですね!
以上、NON先生のお仕事現場見学レポートでした!
5、インタビューを終えて……NON先生&だいさんのお人柄に感謝・感動!『ハレ婚。』はお二人の大切な結晶
『ハレ婚。』の裏話に加え、前編・後編に分けてお送りしてきたNON先生へのインタビュー。
後編は、
- 漫画家・妻・母としてのNON先生
- 『ハレ婚。』ラストにかけた思い
- 気になる今後の活動
などなどをお聞きし、結果的にNON先生の普段の姿により迫れる内容になったかなと思います。
私は『ハレ婚。』いちファンとしてインタビューをさせていただいたのですが、すべてを終えて印象に残っているのはNON先生のお人柄。
とても気さくで優しく、私のために色紙までご用意してくださいました!
それから、NON先生とだいさんの絆の強さ。
夫婦としてはもちろん、クリエイターとしての相性も抜群で、お互いに強く信頼しあっているのを感じました。
とくにだいさんのNON先生への絶対的な自信はけして揺らぐことなく、NON先生を全力でサポートする姿勢がとってもかっこいい!
私たちの大好きな『ハレ婚。』は、こうしたお二人の才能と努力の結晶なんだなということをあらためて実感できました!
『ハレ婚。』最新巻の18巻は2019年6月6日発売!
物語も佳境を迎えつつある『ハレ婚。』……。
龍之介の浮気疑惑にまどかの再登場。
いやいやいや、どうしてそうなる……!!
(『ハレ婚。』NON 17巻/講談社 より引用)
いったい伊達家はどうなってしまうのか?!
気になる最新巻の18巻は、6月6日に発売です!
ラストまであと少し!
波乱ずくめの伊達家の行く末を見守りましょう!
ayame
前編に続いて、後編ではNON先生のプライベートな部分にも切り込んでいきますよ!