『ハレ婚。』が好きでせっせと『ハレ婚。』の記事を書き続け、そんな私をどう思ったのか当メディアの編集長に「NON先生にインタビューとかできたらいいね」と言われたのが数ヶ月前……。
ついに念願叶って、NON先生にインタビューすることに……!(すごい!やったぞ!)
インタビューするに至った詳しい経緯は、先行記事にも書かせていただきました!
先行記事は『ハレ婚。』の裏話が盛りだくさんなので、まだ読んでいない方はぜひ一度ご覧くださいね。
今回のインタビューでは、NON先生だけではなく、『ハレ婚。』の構成を手がけている手塚だいさんのお話もお聞きすることができました!
お二人にお聞きしたメイントピックスは、
- NON先生のこれまでの活動について
- NON先生がもつ漫画家・母・妻の3つの顔について
- 『ハレ婚。』の終わりにともなう今後の活動や展望について
- お仕事現場見学
などなど。
前編では、おもにNON先生の幼少期から漫画家デビュー、そして現在連載中の『ハレ婚。』に至るまでのお話。
NON先生のこれまでの軌跡をじっくりねっとり聞いてきましたよー!
目次
1、生粋のジャンプっ子が漫画家を目指し専門学校へ!担任の「お前は青年誌だ!」という言葉がバシッとハマった!
ファンとして気になるのは、第1に漫画家NON先生の誕生ストーリー!
ライターの緊張をほぐすためにも、最初は子供時代に好きだった漫画についてお聞きし、そこから少しずつ現在に至るまでのお話を聞いてみました!
今回はファン目線を交えつつ、漫画家・NON先生の誕生から現在に至るまで深掘りしていきたいなと思っています。
小さい頃から漫画が好きだったんですか?
で、小学生のとき公園で『ダイの大冒険』を拾って、「ドラクエの漫画だ!」って。
そこから一気に漫画にハマりましたね。
NON先生が大好きな「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」
ほかに好きだった漫画はありますか?
こちらが宝貝人間の哪吒。ちなみにライターは天化が好きでした。
(だいさんに向かって)ぜんぜんわかんないでしょ?
でも、漫画はぜんぜん描いてなかったです……ノートとかに描こうとはするんですけど、仕上げられないんですよ。
これじゃあ持ち込む作品もないぞってことで、18歳で焦って専門学校に進みました。
学校なら課題で強制的に作品が作れるので(笑)
で、その専門学校の担任の先生に「お前は青年誌だ!」って言われたんです。
「ヒューマンストーリーが得意なんじゃないか」って言われて、そこで初めてヤング誌を読んで、一気にハマりました。
少年誌にはない刺激がたっぷりで(笑)
2、『デリバリーシンデレラ』でついにデビュー!板挟みや賛否両論あろうとも初連載から描きたいものを追求!
2-1 やりたいのはあくまでもストーリーもの!エッチ系の需要に応えつつ徐々に路線変更したNON先生とそれを支えただいさん
女性作家で風俗もので、「シンデレラ」っていう一見かわいらしいタイトルで、実は結構ダークなお話って……。
でも、最初からいきなりそれはできないので、エッチ系という需要に応えながら、徐々に誘導していった感じですね(笑)
ミヤビがいろんな男性客と出会ってやりとりして、みたいな。
でもNONは、いろんな女の子の抱えている問題を風俗を通して描いていって、結果的にミヤビの成長に繋がる話にしたい!って、当時から相談受けてたんです。
編集さんに言われたことを持ち帰って、相談すると違う意見を言われることもありました。
で、「そうなのかも」と思って編集さんに言うと、「また旦那に入れ知恵されて!」って言われて。
当時は裏で操られているとかも言われました(笑)
でも、どっちの意見もすごく参考になったし、真摯に聞いていましたよ。
で、いろいろ迷いもありましたけど、最終的には自分の好みとか勘ですすんでいきました!
2ー2 「女の子を通して風俗業界の問題に切りこみたい!」徐々に社会派に傾くストーリーは賛否両論だった!
それに立ち向かっていくかっこいい女性がいたらミヤビもきっと憧れるだろうし、実際にそういう女性がいたら風俗界も変わるのかなっていう希望も込めて。
雫はいろんな憧れが詰まったキャラなんです。
雫はミヤビの憧れの存在であり、物語を大きく変える人物です。
(『デリバリーシンデレラ』NON 1巻/集英社 より引用)
万人が興味あるとも言えないしどうしたって辛い展開もあるし……、でもその方が面白いんじゃないかと思って、突き進みました。
ホスト狂いになって、でも最終的に旦那さんに許されてっていう……。
けっこうファンの賛否があったんじゃないかなって。
もともと、サクラは男性読者を意識したキャラじゃなかったんです。
女の傲慢さとかわがままさを表に出して作ったキャラクターなので、賛否の否についてはあんまり気にしなかったかな。
女の人は心がちょっと弱くて、誰かの支えを必要としている、助けてあげなきゃいけないんだよっていう、そんなヒロインのひとりとして描いたので。
夫が自分に関心がないって……辛いですよね……。
ライターが心をえぐられたシーン。
(『デリバリーシンデレラ』NON 3巻/集英社 より引用)
ミチルみたいな女の子、実際いるよなーって思いますもん。
どうやってキャラ作りしたんですか?
それでバランスをとりながら女の子を増やしていったら、自然といろんなタイプの女の子が登場するようになったんです。
ミチルみたいな子ほど、幸せになってほしい!
(『デリバリーシンデレラ』NON 2巻/集英社 より引用)
NON先生のキャラ作りについて、だいさんは「(漫画家は)みんなそうだよ」と笑ってらっしゃいましたが、それでもあれだけリアリティのある女の子を1つの作品で何人もつくれるなんて……!とあらためて衝撃でした。
2-3 『デリバリーシンデレラ』によってエロも漫画家としての体力も鍛えられた! ~そして『ハレ婚。』へ~
なかなか許可がおりなくて……。
普通は読み切りをのせて、アンケートの結果がよければ連載って感じなんですけど、多分読み切りを3回くらいやらされたかな。
でも、それで鍛えられたなって思ってます。エッチなシーンもたくさん描いたし!
こんな過激なシーンも!
(『デリバリーシンデレラ』NON 1巻/集英社 より引用)
エッチ描写も含めて『デリバリーシンデレラ』で得られたものはすごく大きくて、漫画家としての基盤みたいなのが作られたなって感じています。
デビュー作から担当編集さんやだいさんをはじめ、多くの人の意見に触れられたことが、NON先生の漫画家としてのセンスに磨きをかけたんですね。
その後の『ハレ婚。』で見られる魅力的な人間ドラマも、『デリバリーシンデレラ』あってこそ、というわけです。
3、『ハレ婚。』のきっかけはだいさんの意外な一言!今だから言える何度もくじけそうになった連載決定までの道のり
ぜんぜん覚えてないんですよ!(笑)
3-1 撃沈続きの連載会議……。だいさんの「少子化って問題だよね。一夫多妻すればいいのに」という言葉がきっかけに
着想はどこから?
デリシンが終わって、次の連載を担当さんと考えてて、それが連載会議に通らなかったんですね。ボロクソに言われて。
少子高齢化って問題だなぁ、一夫多妻でもしたらいいのになぁって。
で、当時の担当さんに話したら、「それだ!」って。
でも、私はハーレムものってあんまり面白くないなって思ってました。
自分が女性だからっていうのもありますけど。
でも、NONだったら今までのハーレムものと違うものが描けるって思ったんですよ。
だいさんの言葉からは、漫画家NON先生に対する、絶対的にな自信と信頼を感じられます……!
3-2 漫画家さんあるある?なかなか決まらない連載……一時は「もう連載なんてしたくない」という言葉も
けど……。
で、またすっごい落ち込んだんです。
僕自身、目の前で生む苦しみを見てきたんで、こりゃ大変だと。
じゃあほかの担当さんの意見も聞いてみよう!ってなっていろんな人に紹介してもらったんです。
その一人が講談社の編集さんで、「うちならすぐ出せますよ」って言ってもらえて、この人とやってみよう!と。
やっぱり出版社によってカラーとかも違いますし。
同席していた編集さんにお話を振ってみましたが、連載に関わる詳しいことは「ノーコメント」とのこと!
連載までの長い道のり……漫画家さんは誰しも経験のあることなのでしょうか?
連載って本当に大変だ!そして連載をもっている漫画家さんはやっぱりすごい!
3-3 魅力的な女子キャラのつくりかたは女友達が多い女性作者ならでは!龍之介は編集さんの一言で徐々にイケメンに進化?!
みんな違ってみんないい!
(『ハレ婚。』NON 4巻/講談社 より引用)
ハーレムものだけに、『ハレ婚。』の女の子たちってそれぞれに違った魅力があってみんな素敵なんですけど、モデルとかいるんですか?
でも、バッチリその子そのままっていうよりは、「あの子の姉御肌なとこキャラに生かしたいなぁとか」「あの子のこんな仕草がかわいかったなぁ」とか……。
そのへんは女友達が多い女性作者ならではって感じですね。
ちなみに、小春はどうやって作りましたか?
そこから自然に生まれたのが小春っていうキャラなんですよね。
ちょっと面倒でウザいけど(笑)
だから、まさかこんなに批判されるとは思わなかった!
でも、小春の魅力ってまさにそこかなって。
人の目を気にして自分を押さえ込んだりしない、ちょっと単細胞だけどどんどん突進していく感じ。
常に自然体で裏表のないところが人を惹きつけて、男女問わず周りに人が絶えないタイプですね。
実はそういう女の子こそ、一番魅力的でかわいいと思うんですよ。
意外と乙女チックなところも(笑)
共感する女性も多いと思います。
知り合いには「キスもハグも嫌」っていう子もいました(笑)
イヤイヤすぎても話がすすまないし、でもすごく興味深いところだから丁寧に描きたいし……。
でも、龍之介は一番苦労したキャラなんですよ……。
というのも、最初、龍之介はかっこよく描いちゃいけないって思ってたんです。
号泣で登場した龍之介
(『ハレ婚。』NON 1巻/集英社 より引用)
青年誌だし、かっこよくて天才で金も持ってる男が美女にモテまくる漫画なんて、誰が読みたいんだ?!って。
でもハネムーン編あたりで、編集さんに「この男、どこがいいのかサッパリわからない」って言われたんです。
そのときはじめて、かっこ良く描いて良いんだ!って気づいたわけです(笑)
そこからぐんぐん龍がイケメンになっていくんですよ。
男性読者はイケメンが嫌いってすり込まれてたんですけど(笑)
イケメンにしつつ、どうしたら龍のヤバさを生かした楽しいストーリーになるかとか考えるのも楽しいですね。
でも、ストーリー的にも落ち着いてきて、伊達家に子供もできたし、自然にそうなったんだろうね。
それに、ハーレムものの主人公って女の子に目移りしていくけど、あれが嫌なんです。
だから、龍は一途でみんな大好きっていうスタンスをぜったい崩さないキャラクターであるべきと思っています。
強さがあって弱さがあって、守ってあげたくなっちゃうような……女性が一番魅力に感じるタイプですね。
読者の皆さん、ぜひハネムーン編から読み直して、龍之介のイケメンへの変化を確認してください!(笑)
4、インタビュー前編のまとめとライターの個人的な感想
前編ではNON先生が漫画家を志すまで、そしてデビュー、『ハレ婚。』の連載開始に至る苦労話やキャラメイクなどについてお話を聞きました。
一番驚いたのは、いまや大人気の『ハレ婚。』でも、連載が決定するまではとっても大変だったことでしょうか。
NON先生の粘り強い努力とそれを支えただいさん……二人の思いが一つのベクトルにならなければ、今私たちが楽しんでいる『ハレ婚。』はこの世になかったのです。
NON先生の言葉の端々からとにかく大変だったことは十分伝わってきましたが、きっとそれだけじゃ足りないほど、連載を獲得するのって読者が想像している何十倍も大変なことなんですね……。
また、龍之介がイケメンに変化(進化?)したというのも興味深いお話でした!
編集さんの声を柔軟に取り入れるNON先生だからこそ、ストーリー以外にも予想外の楽しみを発見できますね!
個人的には、NON先生の龍之介に対するスタンスを聞けたのも嬉しかったです。
龍之介はことあるごとにフラフラしていて、とにかく何を考えてるのかわからないですが、実際は「一途でみんなが大好き」。
わかっていたつもりだけど、作者であるNON先生の口から直接聞けたことで、なんだか安心しちゃいました。
これが小春にもちゃんと伝わればなぁ!と思います。切実に。
と、いうわけで、前編では漫画家NON先生の基盤や『ハレ婚。』制作秘話をたくさんお聞きし、時間も忘れてしゃべってしまいました……。
続く後編では、現在のNON先生についてさらにクローズアップ!
- 青年漫画で活動するスタンス
- 現在のお仕事環境について
- 今後の活動に関するお話
などを聞いていきます!
ayame
今回のインタビューのきっかけとなった『デリバリーシンデレラ』や『ハレ婚。』の記事を置いておきます。
よかったら読んでみてください!
【追記】2019.06.04
マンガタリ編集部よりお知らせ!
今回のNON先生と手塚だいさんとのインタビューの裏話を取材に帯同した編集長・堤と副編集長・中山で語りました。
写真撮影担当とTwitterの実況担当の裏話です。ちょっとでも現場の雰囲気が伝わればなと思って収録しました。是非、聴いてみて下さい!