こんにちは！ゴールデンウイーク、東京のすみっこの下町からステイホームでお届けします。中山今です。
日曜の昼下がり、漫画レビューをサラッと楽しんでもらえれば幸いです。
このレビューでは作品を以下の３つの項目でご紹介していきます。
- 簡単なあらすじ
- レビュー
- イチ推しページ
各作品の参考までにどうぞ（今週は２作品！）
目次
１、『もっこり半兵衛』６巻：性悪説と呼びたい悪！バイオレンスとお下劣てんこもりのお江戸チャンバラ
江戸人情噺と呼ぶには相手が邪悪！エロ・お下劣も振り切れたバイオレンス人情もの
【あらすじ】
享保2年、江戸。夜の街を見回る「月並半兵衛」は、元はとある藩の剣術指南役。
夜鷹や陰間、飴売りなど、江戸の弱者に寄り添う半兵衛は、親しみを込めて「もっこり半兵衛」と呼ばれている。
庶民を踏みつける悪を討ち、弱い庶民を見守る人情噺。
【レビュー】
人情噺にして悪のレベルが桁違い！江戸のチャンバラにして生々しく殺し過ぎ！もっこりお下劣ギャグでおなじみの『もっこり半兵衛』。１話完結スタイルで読みやすいです。
６巻も性悪説と呼びたい邪悪が炸裂。民草を救う植物学者の悲惨な末路や出世のために黒歴史を「仲間ごと」もみ消す若者など、これ人情噺だったかなあ・・・という精神に来る悪が楽しめます。
出世に目がくらんで仲間を惨殺。自分なりの正義をこじつけ「でも」と垂れ流す邪悪さ、たまんないねエ
『もっこり半兵衛』6 巻/ 徳弘正也 集英社より引用
その反面、性欲が強すぎて恨みを買う男の話などの無邪気なアホお下劣、過去の因縁で散った悲恋などの純人情噺もあり、エピソードのバリエーションが豊富な見ごたえのある巻だなあと思います。
なお、書下ろしで徳弘先生の近況漫画が読めるほか、巻末には徳弘先生の最近の御姿写真が掲載。美しく鍛えられた三角筋とあたたかな絵柄のギャップは二度見不可避。
２、『ゆりあ先生の赤い糸』 ８巻：キャラは人間臭く、お話はドラマティック！旦那の愛人×2と同居する介護生活
下町を舞台に、現実感あるキャラたちがドラマティックな物語を紡ぐ。
【あらすじ】
50歳、女、子どもなし。旦那がくも膜下出血で倒れて自宅介護に。ともに介護にあたるのは旦那の愛人の「オトコ」と「シンママ」！？
責任感ある女性、ゆりあ先生も恋をする。うんと年下の恋人で子持ち、ユーヤのおうちにお邪魔したら、そこには（たぶん）同年代のユーヤの父がいて・・・
【レビュー】
登場人物、全員実在してませんか？と確認したいくらい細やかなキャラ設定とエクストリーム展開という合わせ技が匠の技。
介護をフックに旦那の「愛人のオトコ」、旦那が「世話してたシンママファミリー」（二人の女の子アリ）と同居する話運びにドラマしか生まれない・・・！
８巻ではエクストリームその２「50歳家族介護中オンナと二回り下のシンパパの恋」がヒートアップ。
そしてそんなドラマティックに、現実的に残酷に水を浴びせる常識的な声ッ！
社会的には「遊び」と言われる年齢差の恋。現実離れしたドラマ⇔現実の生々しさに引き裂かれそうになる
『ゆりあ先生の赤い糸』８巻/ 入江喜和 講談社より引用
「不倫モノ」ではあるのですが、各人の事情や感情、そして幸福のきらめきは雑な言葉でくくれないと思わせる分厚いヒューマンドラマです。
３、今週のまとめ。下町の人情はいつだって心に刺さる
『もっこり半兵衛』はお江戸、『ゆりあ先生の赤い糸』は葛飾区が舞台。ともに下町であり、ザクっとした言い方をすれば「人情にあふれる町」です。
しかし両作品ともうわべだけの人情噺にとどまりません。醜さや身勝手さなど、負の面もしっかり描くことで非常に分厚いドラマになっていると思います。
それでは来週は全然共通点のない２作品、サメパニックゾンビホラー『ギョ』と栄光の恋愛マンガのリバイバル『後ハッピーマニア』の感想を書きます！
（中山 今）
※2021/5/9追記
↓『ギョ』『後ハッピーマニア』のレビュー記事公開しました！
↓前回のレビュー記事はこちら↓
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