みなさんこんにちは!ほんのり歴女なマンガフルライターayameです。
前回(第0回)から始まった、名作『あさきゆめみし』キャラ解説。
記念すべき第1回は、『源氏物語』においてすべての始まりともいえる桐壺の更衣を紹介したいと思います!
↓こちら完全版の『あさきゆめみし』。美しいですね~!
目次
1、『源氏物語』における桐壺の更衣とは
記念すべき第1回に紹介するのは、光源氏の生みの母である 桐壺の更衣 (きりつぼのこうい)。
「桐壺」というのは彼女の住んだ場所(淑景舎)の別称。
「更衣」というのは后妃の位のひとつで、后妃の位については、おおまかに皇后=中宮>女御>更衣くらいに覚えておけばOK。
つまり、「桐壺っていうところに住んでるちょっと位の低い帝の奥さん」のことですね。
平安時代は女性を住んでいる場所や父親の身分、出身地などで呼ぶことが多いです。(キャラが多いとこれが混乱のもとになったり…)
さて。
『源氏物語』は全54帖からなる大作ですが(帖=巻とか章だと思ってください)、その第一帖こそが「桐壺」。
要は、始まりの物語ですね。
「桐壺」は古典の教科書に載っていることが多いので、軽く触れた人も多いと思います。
そんな「桐壺」の冒頭をざっとまとめるとーー。
2、『あさきゆめみし』における桐壺の更衣~異色のオリジナルストーリー~
『あさきゆめみし』は光源氏の母を思い起こす独白からはじまります
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
比較的原作『源氏物語』に忠実である『あさきゆめみし』。
ですが、桐壺の更衣に関してだけはちょっぴり異色で、大和和紀先生のオリジナルストーリーがふんだんに盛り込まれています。
前項で紹介した「桐壺」の冒頭の通り、原作では「帝が桐壺っていう女性を偏愛しちゃって朝廷はもう大変」というところから始まるのですが、『あさきゆめみし』は主上(おかみ=帝)と桐壺の出会いから描かれています。
父親を亡くしたため更衣という低い身分で入内することになった桐壺。(入内=内裏にあがること)
身分が低いことから、同じ内裏で暮らしながらも主上にはそうそう会えません。(不思議ですよね、一応夫婦なのに)
そんな桐壺、ひょんなことから魅力的な公達(若者)に出会い、じわじわと距離を縮め、あれよあれよとベッドイン。
この時代、顔を見られることは裸を見られるのに近いこと。
なかなかうかつなお姫様です。
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
後にその公達こそが主上なのだと知り、「私なんかが……」とおそろしさに涙を流すものの、あふれる愛は止められず……。
すでに主上との間に一の宮(一番上の皇子)を設けている弘徽殿の女御をメインに、多くの女性から結構ひどい仕打ちを受けますが、主上に守られながらなんとか男の子を出産します。
その際、黒いモヤ(死神?)に子供を奪われそうになりますが、自分の命と引き換えにすることで難産を乗り切るのです。
その後、ひどいいじめが原因なのか、はたまた黒いモヤとの契約が働いたのか、桐壺は再び床に伏します。
主上に愛された至福と、幼い我が子を残して逝かねばならない不幸の狭間のなか、桐壺は眠るように亡くなるのです。
3、桐壺の更衣ってこんな女性(あくまでも『あさきゆめみし』での話)
いやいや、名前も身分も知らない若者とベッドインしたらダメでしょ!
と突っ込みたくなるのは私だけではないはず。笑
ただの女官ならまだしも、更衣は身分こそ低くても側室なわけだし(おまけに父親である大納言が生きていれば女御としての入内も夢じゃなかった人なのに)、
いくらまだ主上に会ったことがないとはいえども、后妃としての自覚が足りないのでは?!
とはいえ、実際のところ当時は相手をよくわからないまま・勘違いしたままベッドインしてしまうことも珍しくなかったそうで。
ずいぶん内裏も乱れているわね……(ゴクリ)と震えると同時に、後ろ盾のない状態で入内した桐壺の心細さや寂しさ、頼りなさなんかも見えるエピソードとなっています。
そんなわけで、儚げでちょっと流されやすく、精神的にも弱いイメージの桐壺。(こういうのが主上もたまらんのだろうなぁ~)
でも、個人的にはなかなか強かというか、芯の強い女性なのではないかなと思っています。
謎の公達が主上なのだと気づいたとき、それはあの美しくて身分が高く、気も強い弘徽殿の女御と争うことになると気づきつつも、それでも主上との愛を選ぶ人です。
そして、まだ幼い少女でありながらも、自分の身にかえても我が子を守る強い母でもあります。
我が子を残して逝くとき、人生を振り返り愛に感謝できるのも強い証かもしれません
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
いっそ、主上の前で見せる「風にも耐えぬ儚げな少女っぷり」のほうがフェイクなのでは……?と思ってしまうほど。
ある意味、女性の二面性が強く描かれたキャラクターであり、これは後に光源氏が出会うさまざまな女性たちの姿を総括したものを暗示しているのでは、と思わせられます。
実際、光源氏は亡き母の愛を求めることからその女性遍歴が始まるのですが……、それはまた別の機会にーー。
4、愛に生きた女性・桐壺の更衣まとめ
『あさきゆめみし』における桐壺の更衣は、
- 低い身分ながら、迷いつつも主上との愛を貫き通した芯の強い女性であり
- 光源氏が理想として追い求めた女性の姿であり
- 光源氏が求めた数多の女性を総括したような、隠れた多面性をもつキャラクターである
といえます。
光源氏の人生において、幼くして母を亡くしたことはもっとも大きな人生の転機。
そこから、彼の独特の人生観や女性観が少しずつ育っていきます。
あくまでも個人的な見解ですが、光源氏にとって桐壺の更衣は生みの母であり理想の女性であると同時に、彼に一種の呪いを与えた存在といってもいいかもしれませんね……。(もちろんそこに桐壺の瑕疵はないのですが)
ayame
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名前は桐壺。
桐壺は身分こそ高くないものの、帝の寵愛っぷりといったら目も当てられないほどで、貴族はあきれるし、他の女御・更衣も嫉妬しまくりのいじわるしまくり。
そんな状況だからか桐壺は病がちになるものの、そのうち玉のような可愛い男の子を授かります。
けれど、相変わらず桐壺に対する周りからのあたりは強く、子供が3歳になるころ再び病に。
今度はかなり重症で、帝はいろいろな手を尽くしたけれど結局助からず……。
愛する桐壺の面影を残す美しい男の子だけでも手元に残したいと帝はおいおい泣くのですが、喪に服すべき男の子が宮中に残ることは許されず、さらにおいおい泣くのでした。
(以下省略)