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ドラゴンボールのヤムチャ名場面10選!カッコわるい?いえいえ!初登場から元カノの息子に大事なことが言えるようになるまでの成長を振り返る

どうも。『ドラゴンボール』は子どもの頃から何十回も読んでいるマンガフルライターの、相羽です。

突然ですが、ヤムチャってカッコいいですよね?

ストーリーの後半、フリーザやセルといった地球規模・宇宙規模の脅威とヒーローである悟空とのスーパーバトル! という展開に入っていくと、バトルの面では「弱い」という印象もあるヤムチャですが。

それゆえ、「弱い」=「カッコわるい」の構図でとらえてしまう方もいるかもしれないのですが。

ちょっと、待ってほしいと。

大人になってから『ドラゴンボール』を読み返してみると、ヤムチャっていわゆる「ヒーロー」っていう感じではないのですが、人との出会いやストイックな修行をとおして地道な成長を遂げている、むしろ我々のような一般人からすると親しみをもって共感できる「カッコいい」キャラクターじゃないか! と思ったりするわけです。

そこで、今回の記事では、大人になってから気づく「地道な成長」という「渋い」視点から、ヤムチャというキャラクターを、彼の名場面を紹介するという形式で掘り下げていってみたいと思います。

今回の記事は、こういう人におすすめです。

 

  • 私もヤムチャが好きだ! という方
  • 好きというほどではないかもしれないけど、ヤムチャ懐かしい! という方
  • そもそも、ヤムチャってどんなキャラクターだっけ? という方

 

ヤムチャが気になるというあなたにご満足頂けるように、執筆してみたつもりです。

それでは以下、妙にヤムチャ成分が高い記事本編を楽しんで頂けましたら幸いです!

(注意書き)
漫画『ドラゴンボール』全編をとおしての、ヤムチャの成長の物語に焦点をあてるという記事の性質上、ここから先の文章には、コミックス全42巻の最後までの内容のネタバレが含まれている点をご了承頂けたらと思います。

目次

1、『ヤムチャ』ってどんなキャラクター?

ドラゴンボール (巻1) (ジャンプ・コミックス)
著者 鳥山 明
出版社 集英社
掲載雑誌 週刊少年ジャンプ
掲載期間 1984年〜1995年
巻数 全42巻(通常版)
全34巻(完全版)
ジャンル 冒険アドベンチャー&バトル

ヤムチャは鳥山明先生による漫画『ドラゴンボール』のキャラクターです。

最初は主人公の悟空と戦うライバルキャラ的なポジションで登場しますが、後に悟空の仲間に。

物語の後半、作中のバトルが地球規模・宇宙規模へとスケールアップしていく中では、序盤でやられてしまったり、そもそも戦いへの参加の描写が薄かったりと、徐々にストーリーの中心的なキャラクターではなくなっていきますが、そんな彼なりに地道な成長が描かれているという視点で本記事ではヤムチャを解釈していきます。

 

2、『ヤムチャ』の名場面10選〜荒野の悪党だった若者が出会いと修行をとおして大人になってゆく普通の人間なりの成長物語

それでは、さっそくヤムチャの名場面をピックアップしていきたいと思います。

「成長物語」という視点を意識しつつも、基本的には定番のシーン、有名なシーン、ヤムチャのストーリーで重要なシーンを中心に今回は選んでみました。

 

2-1 初登場はラーメンを食べてるコマ!最初はちょっと感じが悪い荒野の悪党だった

ヤムチャの初登場は「其之七 ヤムチャとプーアル」です。

ドラゴンボールを探す旅をしていた悟空とブルマ(この時点でウーロンもいます)が、フライパン山に向かう途中に砂漠に迷い込んでいた時に、金品、ホイポイカプセルなどを強奪してやろうと悟空たち一行に狙いをつける、「荒野の悪党」としてヤムチャは登場してくるのです。

記念すべき、初登場の最初の一コマはこちら。

 

(『ドラゴンボール』1巻 鳥山明/集英社 より引用)

 

ラーメンを食べてます!

今回の記事ではヤムチャの「成長」に焦点を当てているのですが、それは裏を返せば「成長」する前はある程度至らなかった人間だったということです。

鳥山明先生も作中で言葉としてストレートに最初の時点のヤムチャを「悪党」と表現していますし、描写から推測するに、悟空たちがくる前にも、けっこう金品とかホイポイカプセルの強奪をやっていた様子です。

ヤムチャ、最初は「悪党」だったのです!

『ドラゴンボール』で最初は悪いやつだったけど、後から一定の改心をして悟空の仲間になったキャラクターとしては、ピッコロ(マジュニア)やベジータの印象が強いかもしれませんが、ヤムチャもまたそういった系統のキャラクターだったとも捉えられるのです。

 

2-2 炸裂!狼牙風風拳(ろうがふうふうけん)!序盤では悟空をダウンさせるほどの強力な技だった

少年漫画、特にバトルものでは「華」とも言える必殺技。

『ドラゴンボール』の必殺技といえば、「かめはめ波」や「元気玉」を最初に思い浮かべるという方も多いかもしれませんが。

ヤムチャにもあります、必殺技。

そう、イメージとしては彼の代名詞でもあろう必殺技、「狼牙風風拳」です。

作中ではじめて登場したのは、最初の悟空との戦いの時です。

 

(『ドラゴンボール』1巻 鳥山明/集英社 より引用)

 

まずは中華刀のようなもので戦っていたヤムチャでしたが、悟空の如意棒の一撃を受けて刀を手放します。

悟空のじいちゃんが孫悟飯だと知ったヤムチャはいよいよ本気を出し、「狼牙風風拳」を繰り出すのでした。

「狼牙風風拳」はざっくりとは打撃による連続攻撃で、初登場時は悟空を吹き飛ばしていったんダウンさせるほどの威力を見せます。

もっとも、その後悟空の「ジャン拳」の反撃を受け、さらにはそのタイミングで目覚めたブルマを見て緊張してしまい(ヤムチャの「女が苦手」という設定、懐かしいですね!)、最初の悟空との戦いは水入りになるのですが……。

必殺技の打ち合いという、ライバルキャラらしい戦いをしていたのは覚えておきたいところなのでした。

 

2-3 兎人参化(とにんじんか)との戦いではさりげなく助っ人に!悟空達の影響で徐々にイイやつに

最初のドラゴンボールを探す旅は、悟空とブルマの旅をヤムチャとプーアルが追跡しているという構図になっているので、ちょくちょくヤムチャは旅の途中のイベントに絡んできます。

悟空たちがフライパン山の後にやってきたのは、ウサギ団に人々が怯えている街でした。

ウサギ団の団員は悟空の敵ではなかったのですが、そこにウサギ団のオヤブン・兎人参化が登場してきます。

この兎人参化、戦う力はそれほどでもないのですが、触れた相手をニンジンに変えてしまうという能力の持ち主。

悟空は、ニンジンにされてしまったブルマを人質にとられて、抵抗できないままボコボコにされてしまいます。

そんな、悟空たちの窮地に、ヤムチャが登場です。

 

(『ドラゴンボール』2巻 鳥山明/集英社 より引用)

 

人質にされていたニンジン(ブルマ)を取り上げ、悟空が自由に戦えるようにしてあげます。

ヤムチャもドラゴンボールを狙ってるので、ここで悟空たちを助けてあげるのは打算的な行動とも言えるのですが、個人的にはたぶんヤムチャは卑怯な兎人参化に素で憤る気持ちもあっての助力なのではと思っています。

悪党として登場してきてヤムチャですが、悟空たちの影響で「イイやつ」になってきてるのが伺える場面だとも思うのでした。

ちなみに、この「ウサギ団」との戦いのお話はオチが秀一です。悟空が最後に「ウサギ団」たちをどうしたのか。忘れているという方は、ぜひコミックスを手に取ってもう一度読んでみて頂けたらと思います。

 

2-4 ブルマとつき合い始めるきっかけ!ピラフ一味との戦いの後にそれぞれの願いが一致するのに気づく

ヤムチャというと、ストーリーの後半になってからは「ブルマの元カレ」という印象が強くなってくると思うのですが、元カレというか、そもそもブルマとヤムチャが付き合うきっかけはなんだったのか?

コミックス2巻までの、最初のドラゴンボール探しの旅のラストは、ピラフ一味との戦いです。

悟空が大猿になったりして、大混乱。ドラゴンボールも世界各地に飛び散ってしまい、願いが叶えられるようになるのは一年後。

その状況で、ブルマとヤムチャが、それぞれドラゴンボールで何を願いたかったを振り返ります。

ブルマは、素敵な彼氏が欲しかった。

ヤムチャは、女嫌いを克服したかった。というかむしろ、彼女が欲しかった。

というところで、気づいてみれば、お互い隣に、ピンとくる人が。

 

(『ドラゴンボール』2巻 鳥山明/集英社 より引用)

 

当初は「ドラゴンボールを集めて願いを叶える」という、けっこう壮大なことをして叶えようと思っていた願いが、気づいてみたら、旅の過程で何気ない感じで叶っていた……という良い場面だと思います。

また、ヤムチャ視点からしても、当初は悪党として登場してきてかつ「女が苦手」という課題を抱えていた人物が、旅の果てに思いがけず彼女もゲットして、なんだか人間としても良き人物になり始めていた、という。

冒険の果てに、当初自分に欠けていたものを手に入れる……という成長物語の王道のフォーマットからしても、まさに「ヤムチャの成長物語」として、腑に落ちる最初の冒険の着地だと思うのでした。

 

2-5 占いババの館では奮戦!透明人間のスケさんには亀仙人の鼻血の助力で勝ったけどミイラくんには負けた

二度目のドラゴンボール探しの旅にて。

最後のドラゴンボールのありかを占ってもらうために占いババの元を訪れた悟空たちでしたが、占いには1千万ゼニーかかります。

1千万ゼニーが払えない場合は、占いババが準備した五人の選手と戦って勝つ必要があるということで、ヤムチャも助っ人に参戦です。

当初は悪党として登場してきたヤムチャですが、このあたりになってくると、前向きに悟空に協力してくれる「普通にイイやつ」になってきてますね。

ヤムチャの相手は「透明人間のスケさん」。姿が見えない相手に苦戦するヤムチャですが、亀仙人の鼻血で姿が見えるようになったところに、「狼牙風風拳」を叩き込んで見事に勝利します。

 

(『ドラゴンボール』9巻 鳥山明/集英社 より引用)

 

なんとなく、戦いでは負けてる印象があるヤムチャですが、勝ってる時もあるのです!

されど、続く占いババの館での二戦目、「悪魔の便所」でのミイラくんとの戦いでは負けてしまうのですが……。

逆に、悟空のようにカッコよく勝利して世界を救うとかではないのだけど、悟空のようなヒーローが勝つまでに、「透明人間のスケさん」あたりを着実に倒してくれる味方としての地味なありがたさに、大人になってから読み返してみるとヤムチャの渋い感じの良さを見出したりしてみるのでした。

 

2-6 天下一武道会での天津飯との戦い!新狼牙風風拳やかめはめ波をくり出すも敗れて足を折られる

天下一武道会は『ドラゴンボール』作中でもワクワクするイベントですが、もちろんヤムチャも参加しています。

今回は、作中では二度目の天下一武道会、第22回天下一武道会でのヤムチャの天津飯との戦いっぷりを見ていってみましょう。

お互いに亀仙流、鶴仙流というバックボーンを背負っての、ヤムチャと天津飯の戦い。

当初はヤムチャを軽くみていた天津飯も、かなりの程度ヤムチャを認める素振りを見せます。

というのも、この時のヤムチャは新技の猛攻がすごいです。

地味に、「狼牙風風拳」のバージョンアップ技、「新狼牙風風拳」を繰り出したりもします。

最終的には、ヤムチャは「かめはめ波」まで使います。

 

(『ドラゴンボール』10巻 鳥山明/集英社 より引用)

 

「かめはめ波」、物語の後半になると、エネルギー波みたいなのを出すのはわりと普通くらいの感覚になっていきますが、序盤では使える人が限られるすごい技だったのですよね。

しかし、ヤムチャが放った「かめはめ波」は天津飯に跳ね返され、それを避けて上に飛んだところを天津飯に叩き落とされてヤムチャ敗北。足まで折られてしまいます。

「スーパーサイヤ人」になる! みたいな劇的なパワーアップはなくても、新技の披露など地道に成長している。

そういうところに、普通の人としてのヤムチャの魅力を感じつつ、それでもさらなる強者には及ばないことがある厳しさを教えてくれるのも、またヤムチャだと思ったりするのでした。

 

2-7 ピッコロ大魔王と天津飯の戦いに助っ人へ行こうとする!情に厚く人のために動けるイイやつ

『ドラゴンボール』における最初の世界の危機ともいえる「VSピッコロ大魔王」との戦い。

最後に戦う悟空はもちろん、武天老師(亀仙人)も餃子(チャオズ)も殺されたり、最後の決戦の場には天津飯もいたり、本当に総力戦といった戦いとなるのですが。

その時のヤムチャは?

実は、実際に魔族と戦ったりはしないのだけど、天津飯が決死の覚悟でキングキャッスルへ戦いに赴こうとするのを聞いて、助っ人にいこうとしていたりします。

 

(『ドラゴンボール』13巻 鳥山明/集英社 より引用)

 

最後に勝利をつかむ悟空のようなポジションではないですが、ヤムチャいいやつだなと思える場面です。

そもそも、ヤムチャの足を折ったのは天津飯なのに、現在の自分の状態なりに助けにいこうとする。

この、自分はそもそも脇役的なポジションなのかもしれないし、怪我をしているなど万全の状態であるわけでもないのだけど、それでも、普通の人なりにできる範囲でやれることをやっていくというのが、大人になってから分かる、ヤムチャの「なんかイイな」と思えるところなのでした。

 

2-8 「足元がおるすになってますよ」操気弾も登場するシェンとの戦いは人生における学びが詰まっている

ヤムチャは何度も天下一武道会に出てるのですが、決勝戦で悟空とマジュニアの死闘が演じられる第23回天下一武道会では、一回戦で神様扮するシェンと戦っています。

このバトルのポイントは二つ。

一つは、なんと言っても「操気弾」。今でも、「狼牙風風拳」と並ぶヤムチャの必殺技というイメージを持ってる人は多いのではないでしょうか。

 

(『ドラゴンボール』15巻 鳥山明/集英社 より引用)

 

エネルギー弾を「操」、つまり操るのはカッコいいですよね。武闘場の下にいったエネルギー弾が、下から飛び出してシェンにヒットするところは、ヤムチャの見せ場という感じです。

しかし、バトル自体はヤムチャが敗北。

そこで、印象に残ってるのが、シェンの「足元がおるすになってますよ」のセリフです。

ヤムチャが上半身で猛攻をかけるのですが、シェンがこのセリフで足元をつくのですね。

元々昔からある人生の警句的なものではありますが、漫画で印象的に使われているのは、この『ドラゴンボール』でのヤムチャVSシェン戦だと思います。

最近の読者さん的には、ネットとかで見かけたことがあるセリフだったけど、このバトルで使われていたのか! という感じかもしれません(ぜひ、コミックス15巻で確認してみてください!)。

すごい修行して「操気弾」を身につけるくらい強くなったのだけど、つい、自信が驕(おご)りになってしまう。

ある意味「悪党」時代の名残というか、こういった、なかなか成長しきれない人物として描かれているのも、ヤムチャの「人間味」の部分だなぁと思ったりするのでした。

 

2-9 栽培マンにやられてしまう!嫌な予感がしてクリリンのかわりに出るも油断して命を落としてしまう

「名場面」というのとはちょっと違った意味合いのシーンかもしれませんが、ナッパとベジータとの戦いで、栽培マンにやられてヤムチャが早々に死んでしまうのは、タイムリーにジャンプの連載で読んでいた子供の頃、中々の衝撃でありました。

しかも、いったんは「かめはめ波」で倒したか!? と思ったところで油断して、栽培マンに取りつかれて自爆されて死亡……という流れですからね。

油断してはいけない、相手を甘くみてはいけない、という「2-8」シェン戦の教訓が生きてない! と思う部分ですね(笑)。

 

(『ドラゴンボール』18巻 鳥山明/集英社 より引用)

 

それでも、「…死んでる……」とヤムチャの死を確認したクリリンによると、「き…きっとヤムチャさんは嫌な予感がしてたんだ……そ…それでオレのかわりに……」とのこと。

修行を頑張って強くなるんだけど、油断して死んでしまって、でも土台には友達(クリリン)を大事にする気持ちもあって。

結局、ものすごく強いわけじゃないから、自分の力で友達やましてや世界を守ったりはできないんだけど、人間としてあたり前の情愛からクリリンのかわりに戦うという行動もできるところ……全てひっくるめて、「普通の人間」なりのカッコよさがヤムチャにはやっぱりあるんだよな〜と振り返ったりもできるシーンなのでした。

 

2-10 セル編の終わりに元カノ(ブルマ)の息子であるトランクスに大事なことを伝える優しさを見せる

『ドラゴンボール』の「人造人間・セル編」は、悟空と悟飯、ベジータとトランクスの二組の親子に焦点が当たる「親子」が一つのテーマとなっているストーリーです。

そんな中で、トランクスの方は長い間父であるベジータにわだかまりを感じていたのですが。

この、トランクスの父・ベジータへのわだかまりをとってあげる、最後の一ピースを埋めてあげるのが実はヤムチャの役割だったりするのでした。

ヤムチャってカッコいいよね! 地道な成長物語があるよね! という視点から彼の名場面を振り返ってきた今回の記事ですが。

ヤムチャの「成長」とカッコよさが結実していると感じられる、名場面・オブ・名場面がこちらです。

 

(『ドラゴンボール』35巻 鳥山明/集英社 より引用)

 

セル編の物語の終わり。全ての戦いが終わった後に、トランクスが撃たれたことに怒って、ベジータがセルに敢然と立ち向かっていったことを伝えるヤムチャ。

トランクスは元カノのブルマの子供です。自分をフった(どちらからフったといった明確な描写は作中にありませんが)女性が他の男との間につくった子供というポジションのトランクスに対して、多少なりとも複雑な気持ちもありそうなのは推察されます。

このシーンの時点でもまだ、初登場時の徳の低い悪党のままのヤムチャだったら。

あるいは、ドラゴンボール探しをしてまで女嫌いを克服したかった。というか彼女が欲しかった頃のヤムチャのままだったら。

自分よりも他の男を選んだ女性の子供に対して、なんか自分が否定されたような気もしたりして、キーってなったりしそうじゃないですか。

ですが、彼は物語をとおして、学んで修行して、でも負けちゃったり、それでもまた頑張ったりしながら、成長しているのです。

もう、ただの悪党ではないし、女への執着が強かった未熟な頃よりも心も成熟している。

大人になってから分かることですが、物理的に戦闘で強いということの他にも、精神面での人間としての強さというものもあります。

恋愛では自分は負けたとか、そういうことは置いておいて。自分よりも若い、トランクスのために。

これから、未来で戦っていかないとならないトランクスのために。

お父さん(ベジータ)がおまえのこと愛していたっていうこと。おまえのために怒って戦ってくれたということ。この子のこの先の人生のために、きっと大事なことだから、一言伝えておこうと思ったんだと思います。

荒野の悪党をやってて他人からホイポイカプセルの強奪とかやってたヤムチャが、このシーンではほとんどエゴを手放してるかのような態度で、他人(トランクス)のために大事な言葉を伝えているのです。

フリーザやセルを倒すような方向での活躍はできなかったヤムチャだけれど、トランクスの心の重荷を少し軽くしてあげる手伝いができています。彼の、一世一代の見せ場です。

普通の人にできる範囲で、普通に他人を慮(おもんばか)って、優しい言葉をかけるということ。

このシーンのヤムチャは、本当にカッコいいと思います。

 

3、まとめ

今回は、『ドラゴンボール』のヤムチャにまつわる名場面を振り返るというかたちで。

ヤムチャには、当初、悪党・チンピラだった人間が、親へのわだかまりを感じている若者(トランクス)を案じて一言優しい言葉をかけてあげられる人間にまで変わっている。一種の成長物語のストーリーがある! というお話をさせて頂きました。

世界を救ったりはしないけど、普通の人の範囲で手が届きそうな地道な成長をみせてくれていたキャラクターである、というヤムチャ像を提示することがある程度できたのではないかと思います。

いわゆる「ヒーロー」っていう感じではないのですが、僕たちのような一般人からすると親しみをもって共感できる「カッコいい」キャラクターじゃないか!

ヤムチャって「カッコいい」、を本記事の結論としたいと思います。

『ドラゴンボール』は大人になってから読み返すと、作品本体はもちろん、各キャラクターに関しても新たな発見があったりします。

本記事をきっかけに、改めて『ドラゴンボール』という作品の魅力に気づいたり、ヤムチャの良さに気づいたりして頂けましたら、一『ドラゴンボール』ファン・ヤムチャファンとしても、望外の喜びであるのでした。

 相羽裕司

→今回の記事でヤムチャ熱が高まってしまったあなたにはこちらの作品もおすすめです!


→ヤムチャの活躍を改めて本編のコミックスで!

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