みなさんこんにちは、【今週の1冊】として毎週、直近に読んだ作品(時には古い作品も!)をご紹介するマンガフルライターの神門です。
皆さんが作品を購入するご参考にしていただければと思います。
今回ご紹介するのは
『つばめティップオフ!』
です。
著者 | ワタヌキヒロヤ |
出版社 | フレックスコミックス |
掲載雑誌 | COMICメテオ |
掲載期間 | 2020年~ |
単行本巻数 | 既刊5巻 |
ジャンル | 女子高生のバスケットボール |
さて、紹介の前に一つ大事なことを。
本作『つばめティップオフ』は5月に5巻が発売されたのですが・・・
なんで5巻で終わり!?(一応、第1部が終わりという形になっていますが・・・)
4巻、5巻と、どんどん面白くなってきて、さあここからというところでなぜ終わらせるのか!?
これは絶対に第2部を再開させないと納得できませんよ!
なので皆さん、ぜひぜひ、Twitter等で声をあげていただきたいです!!
・・・ということで、改めてご紹介をば。
主人公の春野つばめは190cmという身長にコンプレックスを抱いている女の子。
中学を卒業して新たに女子校に入学した彼女は、部活動を何にしようか悩んでいました。
背は高いけれど運動神経はなく、家では祖母から茶道を教わっているような完全に文化部向きのつばめ。
しかし、当然ながらつばめの高身長に目を付ける上級生もいます。
それがバスケ部の2年生、秋風アイビス。
アイビスからバスケ部に誘われたつばめは当然のように断ろうとしますが、アイビスは簡単に諦めようとしません。
そこでつばめは交換条件を出します。
アイビスの小さくて可愛らしい容姿に惹かれたつばめは、アイビスに着物を着てお茶をしてくれら練習試合の人数合わせに入ると約束をします。
一回だけのつもりが、そこでバスケットの魅力の一端に触れ、また試合でアイビスの魅力に惹かれ、つばめはバスケットを続けることを決意します。
こうして、運動が苦手なつばめバスケット青春グラフィティが幕を開けるのでした。
「つばめティップオフ!」 1巻 ワタヌキヒロヤ/フレックスコミックス より引用
まさに、王道なスポーツ青春モノという感じです。
こういうスポーツものといえば、
- 主人公が弱小校に入って強豪校を倒す
- 主人公が強豪校に入ってその中で実力を発揮していく
- 初心者の主人公が自分の強みを活かして這い上がっていく
なんて感じのパターンがありますが、本作は最後のパターンになります。
主人公のつばめはバスケ経験がないどころか、運動そのものが苦手で、体育の時間にボールを顔面キャッチしちゃうような女の子です。
でも、つばめは他の誰もが持っていないようなものを持っている。
それは、190センチという身長と、長い手足。
どんなに運動神経があろうとも、体だけは自分ではどうにもならない。
だけどつばめは、その体だけで大きなアドバンテージを持っています。
バスケの技術は教えれば良いけれど、背の高さは誰もどうすることもできませんから。
そして、愚直で、教えられたことは素直に何度も反復練習をすることができる。
むしろ、茶道を行っているつばめにとって、同じことを同じように繰り返し身に着けるのは性に合っていること。
一歩ずつ成長するというのはそうなんですが、あくまで背が高い、手足が長いことを活かして、それを中心に伸ばしていきます。
ドリブルなんてできなくてもいい、ゴール下でただ一つのことが出来ればいい、という考えでアイビスはつばめを鍛えます。
「つばめティップオフ!」 1巻 ワタヌキヒロヤ/フレックスコミックス より引用
そのアイビスはつばめと逆に150センチという小柄な体、だけどバスケ技術は抜群、という対照的な女の子。
凸凹なのはバディものとしては当然の組み合わせですね。
さらに、つばめが所属する白鷺高校のバスケ部は問題も抱えていました。
圧倒的な実力をもつアイビスが引っ張るワンマンチームであり、それ故に過去に一度、チームは壊れてしまっているということ。
かつてはもっと沢山在籍していた部員たちは他の部に移籍し、残ったメンバーは数人だけ。
アイビス一人で突っ走ったところで、チームとして勝てるわけではない。
崩壊したチームと、そこからの再生。
つばめの成長と同時に、新たにチームを作り上げていく過程も見せているわけです。
「つばめティップオフ!」 2巻 ワタヌキヒロヤ/フレックスコミックス より引用
いずれも王道展開ですが、それをちゃんと描いてくれているから読む方としても楽しめる。
つばめがバスケット初心者だけに、つばめに教える形をとってバスケットに詳しくない読者に説明できる形もきちんとはまっています。
もちろん、白鷺だけではありません。
- ライバル校も登場して、対戦して、そのライバル校との合同合宿での技術の向上
- 新たな人間関係の構築
- 意識の変化
特に白鷺は、アイビスという突出したプレイヤーが良くも悪くもチームに大きな影響を与えるわけですが、チーム内でのアイビスと他メンバーとの関係性といったものが変化していきます。
アイビスだけのチームから、アイビスを中心としたチームへと進化していく。
そういった姿を見せてくれて、読んでいてとても気持ちよくなっていくし、応援したくもなります。
だからこそ!
冒頭で記したように、まさにここからどんどん盛り上がるぜ! というところで終わるのがもったいなさすぎます!
つばめとアイビス以外の白鷺高校のメンバーの色も出てきて。
ライバル高校のキャラクター達も個性を見せてきて。
「つばめティップオフ!」 5巻 ワタヌキヒロヤ/フレックスコミックス より引用
- アイビスにライバル心むき出しで負けん気が強いけれどメンタルに弱点を抱えるアヤ
- 自分自身の能力はさほどでもないけれど、メンバーの能力を活かしコート上の監督としてゲームを組み立てる能力に秀でたマチ
- タッチがきたらどんなシュートもねじ込んで手の付けられなくなるシューターのミオ
- 足の速さとスタミナでコートを駆け回るルリハ
他にも様々なキャラクターがコート上で、コート外で、魅力を発揮し始めたというのに。
あと、つばめの友人でバスケ部のマネージャーをしていたリコがいよいよプレイヤー側に回ろうかというところで終わりなんて!
何回も言いますが、本当になんでやねん!
ということで、本記事を読んで同じ思いを抱いたファンの皆様、あるいは本記事から『つばめティップオフ!』を知って手に取って面白いと思ってくれた皆様。
是非是非、第二部再会してもらうようにしましょう!
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