春なのにいきなり寒くてもう漫画を読むしかない中山 今(関東の感想)です。
このところ読んでいた漫画の感想をまとめました。各作品の参考までに(今週は3作品!)
目次
1、『チ。―地球の運動について― 』3巻:女性の「ガラスの天井」問題!真理の前で、人は残酷なまでに平等
【あらすじ】
15世紀ヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりにされていた時代・・・
完全なる異端思想「地動説」研究をする孤高の修道士バデーニとネガティブ思考の青年オクジー。研究の協力者を募ったところ、現れたのは当時の常識では学ぶことすら嘲笑される「女性」の学者、ヨレンタだった。
迫害を知りながら、それでも真理に魅せられる激熱漫画3巻。
【レビュー】
3巻は女性差別!!
1、2巻でもビシバシ社会的圧力や迫害を描いてきた本作ですが、本巻では女性の「ガラスの天井」問題をモチーフにしています。
現代に生きるライターも女性ゆえ、この問題は実感しています。その上で描き方がフェアであると感じました。社会構造根元の問題であり、個人の善意や努力ではどうにもならないという描かれ方。逃げ場ゼロの地獄ッ!
『チ。―地球の運動について―』の時代、女性が地動説など唱えたら一発で魔女認定されて火あぶりです。
しかしそれでも知(チ)への好奇心が抑えられない。
そして好奇心は女性のみならず、アナーキーな教養層の僧侶、無学でコンプレックスの強い青年、そして権威ある老人も等しく持っています。
真理の前には誰もが等しい。あまりにも暴力的で、圧倒的で、美しい平等さ。アツい!女性も読んでッ!!
2、『フールナイト』1巻:貧困がキーワードの近未来SF。絵がうますぎてクリーチャーも映える
【あらすじ】
遥か未来、分厚い雲に覆われた地球。冬と夜ばかりが続き、植物が枯れ酸素は薄くなった。
人類はヒトを植物に変える「転花」という技術で酸素を作り生き延びていた。転花したヒトは1000万円を得る代わり、2年後には物言わぬ植物に変わり果てる。
貧困にあえぐ青年、トーシローは1000万欲しさに転花を受ける。手術後、トーシローには元ヒトの植物の声が聴こえるようになる・・・
【レビュー】
貧しさがキーワードの近未来SF!!
主人公、トーシローの家庭環境の貧困ぶりがまず心に来る。「精神病の実母の介護付き工場勤務月給9万」という地獄の設定。1000万欲しさに工業廃水を体に入れて転花(=2年後の確実な死)を希望したトーシロー。たった1000万、と言いつつ、現代でも十分やっちゃう人のいそうな手ざわりのある金額が怖い。
あと絵が極ウマ・・・!デビュー作とは思えない爆裂センス。白黒のメリハリが効いた画面は植物クリーチャーと化す元ヒトのグロさが映える。
難解なSF設定ながら、ストーリー運びは「依頼を受けて特定の植物(元ヒト)の声を聴く」という探偵モノスタイルで安定感あり。心置きなく貧困の辛さとしんどさを堪能できます。
3、『おしりダンディ ザ・ヤング かいぞくの おたからを さがせ!』:お下品がなくなった安心設計の子ども向け漫画
【あらすじ】
さまざまなおたからを保存、管理するのが目的の「遺跡調査人」はおしりが顔の「おしりダンディ」!今回も相棒のへーへーと共に、砂漠と孤島で謎解きと冒険に挑む!ヤング(2~7歳くらい)にバカうけの絵本『おしり探偵』スピンオフはおしり探偵の父・おしりダンディの若き日の冒険活劇マンガ。
【レビュー】
幼稚園年長~小3くらいまで楽しめそうな迷路、謎解き、絵探しなど、『おしり探偵』シリーズに一貫した遊びが満載。ストーリーも海賊と戦うお話で冒険心を満喫できるはず。
本作の最大の特徴はお下品描写がなくなったこと・・・!
『おしりダンディ』漫画シリーズとして2作目の本作。前作には小2男子が大喜びしそうな「お宝きんのたま」だの「象のキャラクターアラチン(鼻の形が絶対狙ってる)」だのアグレッシブに下ネタを繰り出していたけれど本作はお下品なし!おしりダンディだからおならはしますが!
お子さんに下品はもう少し待っていたい保護者の方必見。おじいちゃんおばあちゃんにも読み聞かせをお願いできる安心設計です。
4、今週のまとめ。ある意味で社会を反映した漫画でした
『チ。―地球の運動について― 』の社会的な差別と『フールナイト』の貧困は現代社会でもバリバリ実感できるものだし、『おしりダンディ ザ・ヤング かいぞくの おたからを さがせ!』からお下品がなくなったのもご時世かなあと・・・
ちなみに『おしりダンディ ザ・ヤング かいぞくの おたからを さがせ!』、私はもうちょっとお下品攻めてもいいと思いつつ、とは言えこどもがいろいろ覚えてしまうと義父母の手前ちょっとね、というのも本音としてありますね。
(中山 今)
前回の感想まとめは↓
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