みなさんこんにちは!ほんのり歴女なマンガフルライターayameです。
今回も始まりました、名作『あさきゆめみし』キャラ解説。
第2回は、物語の主人公である光源氏について解説します!
第1回はコチラ。
1、主人公・光源氏の基礎知識とバックボーン
光源氏(以下、源氏)は時の帝(桐壺帝)と桐壺の更衣との間に生まれた第二皇子です。
しかし、母親である桐壺は身分が低く、おまけに源氏が三歳の時に他界。
第二皇子でありながら母方の後ろ盾を失い、祖母にひっそりと育てられました。(この時代、母方の家の身分は大きな意味を持ちます)
とはいえその美しさ・利発さは隠しようもなく、主上(帝)も第一皇子よりも第二皇子を深く愛します。
その後、母親に次いで祖母を亡くした第二皇子は宮中の主上のもとへ。
しかし、高麗人の占いにより「この子を帝にすると国が乱れる」と言われたこともあり、「なまじ後ろ盾のないままよりも、臣下として伸び伸び生きられるように」と源の姓を与えられ、臣籍に下されます。
やがて、まるで彼自身が光り輝くようであることから、宮中の女官たちから「光る君」と愛されるようになるのです。
もはや宮中のアイドル
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
ここまでが、幼少期の源氏に起こったこと。
母親を失ったことで、本来帝の座にも手が届く皇子の身分から、永遠に手の届かない源姓へと降ろされたわけですね。
実は、このことが後の源氏の人生観に大きく影響します。
さらに、源氏に関する情報を箇条書きでまとめますとーー。
- とにかく美形
- 勉学が得意
- 和歌が上手い
- 楽器も上手い
- 舞も上手い
- 武術もできる
- スポーツも万能
- 実は絵も上手い
- センスもいい
- なんか良い匂い
- お茶目な一面もある
よくもまぁここまで詰め込みましたね……!っていうレベルのウルトラスペシャルスーパーダーリン。
そして、もっともよく知られている彼の特徴が「プレイボーイ、女好き、浮気者」ですね。
『源氏物語』に登場する、彼と関係を持った女性はざっと十数人。
物語には描かれていないだけで、実際はもっといたとも考えられます。(『あさきゆめみし』にはモブキャラと戯れるような描写もあり)
なぜ彼はそこまで女好きなんでしょうか?
2、なぜそこまで女性を求めるのか?源氏の悲しき性
源氏は思春期から青年期、壮年期、そして晩年期にかけてあらゆる女性と恋を楽しみ、苦しみ、涙します。
源氏が紡いだ恋物語は多くが悲劇であり、お相手の女性もたくさん涙を流します。(なかには終始穏やかに過ごす女性もいるのですが)
とはいえ、源氏だってなにも好き好んで何人もの女性と恋に落ち、苦しむわけではありません。
「この人こそ」「今度こそ」「あなただけ」ーー何度、そう繰り返したでしょうか……。
けれど、源氏の心が満たされることはありません。
なぜなら、彼が求める理想の女性とは亡き母である桐壺だから。
幼い頃に母を亡くしているからこそ、より深く母の愛を求めるのでしょう。それも仕方のない話です。
そんな彼のマザー・コンプレックスを結果的に大きく歪めてしまったのが、藤壺の宮という女性。
彼女は亡き桐壺の更衣に生き写しの女性であり、父である桐壺帝の女御(后妃)です。
源氏は幼い頃から藤壺を母とも姉とも慕いますが、成長するにつれ、そこに燃えるような恋心を宿していきます。
ふさぎきっていた主上も藤壺の入内ですっかり元気に。
姉弟のように仲睦まじく美しい藤壺と光る君の姿は宮中でも評判です
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
とはいえ、相手は父親の妻で、帝の妃です。臣下の身分である自分にとって、けして手の届かない存在。
けれど不思議なもので、人って「ダメ」って言われると余計に燃えるんですよね……。
源氏はわずか12歳で元服(成人)。これを境に、直接応対することも叶わなくなりました
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
「障害のある恋ほど燃える」というのはまさにその通りで、古今東西、道ならぬ恋というのはネタになりやすいものです。
ロミオとジュリエット然り(ご存知『ロミオとジュリエット』)、在原業平と高子然り(史実とも言われていますが『伊勢物語』)、オスカルとアンドレ然り(私の大好きな『ベルサイユのばら』)、ジャックとローズ然り(名作『タイタニック』)……。
紫式部がどの程度読者心理を推察してこうした展開にしたのかはわかりませんが、とにかく、そんな状況は源氏のマザコンをさらにこじらせてしまいます。
こうなるともはや「藤壺・コンプレックス」とでも言えばいいのか……。
源氏のなかにあった絶対不動の譲れない『母』への慕情は藤壺にとって変わられ、手の届かない彼女への思いは募るばかり。
そして、(端から見れば)さまざまな奇行へと走るのです。
手の届かない存在に憧れるあまり、身分の高い年上の未亡人に手を出してみたり(六条の御息所)。
藤壺に似ているからといって、10歳にも満たない幼女を誘拐さながら家に連れて帰ってしまったり(紫の上)。
すべては母である桐壺を幼くして亡くしたことから始まり、藤壺への慕情によって歪められ……、こうして源氏の女性遍歴は始まるわけです。
心にぽっかりと空いた穴を埋めるためのように、女性を求め続ける源氏。
永遠に叶わない恋心を抱えた彼にとっては、すべての女性が「本当に必要な存在」なのです。
その姿にはどこまでも悲しさがつきまとい、一層彼の魅力を増しているように感じられます……。
どんな女性と睦み合おうと、心に浮かべるのは藤壺の姿のみ
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
3、不思議と憎めないからこそ不幸な男・光源氏のまとめ
個人的な感想ではありますが、源氏の不幸って、優れた容姿やきらめく才能、貴い身分、そしてその人柄にあると思うのです。
というのも、源氏の周りの人って基本的に源氏に甘いんですよね。
どんなに女性を泣かせても、不幸にしても、「源氏だから許しちゃう」「なぜだか憎めない」と言われてしまう。
そんなんだから、「私はなにをしても許される身なんです」とか源氏自身も言っちゃう。(このセリフは自分の身分を指しているものですが)
キラキラしてて優しくて情け深くてときに可愛らしくて、ひどいことしてもなぜか憎めない、むしろ愛されてしまう。
それゆえに、ひどい目にあわされても女性は源氏を許してしまう。そして許されるからまた同じ事をしてしまう。
それで相当痛い目にあっても、なんやかんや周りの手助けがあって結局同じことを繰り返してしまう。終わらないループ。
彼の生まれ持った数々の美点こそが、彼をダメ男にしているのだなぁとあらためて思わされます。
でも、ただのダメ男じゃありません。
浮気者で不誠実だけれど、仕事はできるし、恋人や妻達の生活はきちんと保証し、経済的な支援は惜しみません。
これができるから、源氏はそんじょそこらの男とは違うのです。
あっちへフラフラ、こっちへフラフラしてる割に、遊び人であることは「知る人ぞ知る」状態なのもポイント。(父である主上ですら、源氏の評価は「ものがたい男」)
つまり、基本的に恋人選び(遊び相手を含む)が上手いんですよね。
自分の評価を心底落とすような相手には手を出さないんです。
けれど。
そんなことを言ってられたのも、政局が源氏を味方している間だけ。
そんな源氏の慢心や心の底に抱えたコンプレックスが、一時は彼の身を落とすことになるのですが……それについてはまた別のキャラ紹介コラムにて。
ayame
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