みなさんこんにちは!ほんのり歴女なマンガフルライターayameです。
毎週水曜更新の名作『あさきゆめみし』キャラ解説ですが、10.5回となる今回は番外編。
5.5回と同じく、名シーンの解説をしようと思います。
『あさきゆめみし』にはさまざまな名シーンがありますが、今回は役者が一同に揃う青海波を取り上げますよ~!
『あさきゆめみし』キャラ解説、初回の前説はこちらです↓
↓『あさきゆめみし』完全版も出ています。美しいですね~。
↓こっちは55周年記念の新装版。かわいらしい!
目次
1、『源氏物語』における青海波
「青海波」とは管弦と舞楽(二人舞)で構成された雅楽の演目のひとつ。(ちなみに、青海波原曲の楽譜は現存していないそうです)
『源氏物語』の「紅葉賀」の帖で、源氏はライバルであり親友でもあり義兄でもある頭中将と二人、宮中でこの舞を披露します。
もともとはこの青海波、桐壺帝の父である一の院(朱雀院)の50歳を祝う紅葉賀の式典をより華々しくするために企画されたもの。
でも、朱雀院での披露だと、宮中に残る后妃や女房たちが見ることはできません。
ちょうど藤壺の懐妊も明らかになったころで、うきうきワクワク状態の桐壺帝が「せっかくだから藤壺にも見せたい!だったらリハーサルを宮中でやればいいじゃん!」と言ったことで、宮中での青海波お披露目が実現したのです。
つまりこの青海波を舞うシーン、宮中にいる『源氏物語』のメイン役者がそろい踏みする、非常に貴重な場面というわけですね。
2、『あさきゆめみし』における青海波~みなそれぞれ悲喜こもごも~
リハーサルとは思えないほど、大変華々しく豪勢に披露された青海波。
舞い散る紅葉も舞台装置のひとつですね
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
源氏の美しさはまるでこの世のものとは思えないほどのもので、女人の多くは骨抜きにされてしまいます。
それは男性も同じで、やはり源氏の美しさやその才気は並大抵のものではないとみながうっとりするのです。
とはいえ、全員が全員、同じ気持ちで青海波見ていたわけではありません。
舞っている源氏自身も含め、キャラクターたちは悲喜こもごも。
まずは源氏。
つい最近屋敷に迎えたばかりの幼い紫の上と人形遊びなどして無邪気に過ごす一方、藤壺が自分の子を妊娠していると知り、彼女への恋心はつのるばかり。
源氏の人生はだいたいいつもこんな感じ。衝動で行動して後悔ばかりです。
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
苦しむ藤壺をどうにか救いたいと思いますが、しかし同時に、当たり前ですが父である桐壺帝への罪悪感も生まれます。
それでも、舞を踊りながら「せめて少しでもこの想いが藤壺に伝わるように……」と願わずにはいられません。
その舞を、桐壺帝も見ているわけですから余計に複雑な心境でしょう。
そして藤壺。
源氏への恋心と、それより深い罪の意識に苦しみ、恐れを抱いている藤壺。
源氏の魅力的な舞を見て、その苦しみはいっそう強くなったはず。
人格者である藤壺ですが、そんな彼女でも、何もはばかることなく源氏の傍に侍ることのできる女人に嫉妬を覚えています。
主上の愛を得ることですべてを手にしたように見える藤壺ですが、その実はーー
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
それほどまでに苦しまなくてはならない、禁断の恋。
きっと、青海波を見ながら「こんな状況でなければ自分も他の女人のように純粋に源氏の美しさに見惚れていられたのに……」なんて思ったのではないでしょうか。
藤壺の懐妊に桐壺帝は狂喜してるし、身重の体をこの上なく労わってくれるのですから、いたたまれないですよね……。
そんな桐壺帝は桐壺帝で、美しい息子を自慢に思いつつ、華々しい舞を藤壺に披露できたことで大満足。
一方、渋々出席した弘徽殿の女御はちっとも面白くありません。
嫌味だって言っちゃいます
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
描かれてはいませんが、源氏の兄で弘徽殿の息子である東宮は、才気豊かな弟を見て誇らしさと同時ちょっとした劣等感を感じたはずです。
本番である紅葉賀の後のワンシーン。源氏を褒める東宮の心に偽りはありませんが……
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
ちなみに、この青海波は後に源氏の運命を大きく動かすきっかけとなる朧月夜(まだ源氏と通じる前)も見物しています。(朧月夜の解説はまた別の機会に)
弘徽殿の女御に「六の君」と呼ばれた艶やかな女性です
(文庫版『あさきゆめみし』1巻 大和和紀/講談社 より引用)
さまざまな人の苦しみや悲しみ、喜びなどが交差する「青海波」。
間違いなく名シーンといっていいでしょう。
3、映像で見る「青海波」も美しい!個人的おすすめ2作品を紹介
多くの女人が虜になる光源氏の「青海波」。
ですが、『あさきゆめみし』ではあまりページ数は割かれていません……。
というわけで、せっかくだからこの青海波を映像で見てみるのはいかがでしょう?
今回は映像美が優れている映画を2本ご紹介!
まず一つ目は、生田斗真が源氏を演じた『源氏物語 千年の謎』。
こちらは『源氏物語』ではなく高山由紀子先生の小説『源氏物語 悲しみの皇子』を映画化したものであり、紫式部と藤原道長の物語(リアル)と源氏の物語(創作)が入り混じって展開していくお話です。
正直、平安マニアなライターとしては演出やら細かいところにいろいろツッコミを入れたくなる作品ですし、開始早々「ヒガシ―――!!」と叫んでしまいましたが(笑)、青海波はわりと冒頭で登場するので「そこだけ見たい!」なんて人にもおすすめ。
色彩豊かで華々しく、見ごたえがあります。
個人的には弘徽殿のキャラが好きです。あと、桐壺の更衣がけっこう強かです(笑)
ちなみに、宮城とおこ先生作画で漫画化もしてます。美しいです~!
源氏物語 千年の謎(1) 源氏物語 千年の謎 (あすかコミックスDX)
二つ目は、天海祐希が源氏を演じた『千年の恋 ひかる源氏物語』。
すらっと長身の天海祐希さん演じる源氏は中性的でとても美しいです。女性同士の濡れ場も、ある意味見どころのひとつ。(苦手な人は苦手かもです)
青海波のシーンは前述の『源氏物語 千年の謎』より地味にも見えますが、むしろ雰囲気があって個人的にはとても好きです。
とにかく女優さんが豪華!すごい!映像も綺麗!
……ですが、口コミは基本低評価が多いです……(笑)
気になる人はぜひ視聴してみてくださいね。
ちなみに、この作品も漫画化しています。
源氏物語を映像化した作品はほかにもいくつかあるので、興味のある方はぜひいろいろ鑑賞してみてくださいね。
(ayame)
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