こんにちは!東京暮らし在宅勤務、マスクと自粛生活のマンガフルライター、中山今です。
毎週日曜連載のこの「最近読んだ漫画感想」、本日は『きのう何食べた?』18巻の「コロナとの距離の取り方」の感想を書きたいと思いますー!
日曜の昼下がり、漫画レビューをサラッと楽しんでもらえれば幸いです。
目次
1、『きのう何食べた?』18巻のあらすじ。穏やかな50代男性カップルの生活はいつも通り。
著者 | よしながふみ |
出版社 | 講談社 |
掲載雑誌 | モーニング |
掲載期間 | 2007年12号~(連載中) |
単行本巻数 | 既刊18巻 |
ジャンル | 料理日常漫画 |
相変わらずのんびり変わらぬ、50代男性カップルのシロさんとケンジ(とその周りの人たち)の生活。
生活に紐づいた食事作りとごはんの時間を、1話完結で描きます。
- シロさんの勤務先の弁護士事務所の大先生がシロさんの私生活を盛大に勘違いしたり、
- シロさんがドライに自分の遺言書を作ろうとしたり、
- 友人のワタルくんカップルとシロさんたちがホムパしたり、
- シロさんの弁護士事務所の事務・志乃さんが中年太りしたり、
しながら、日常のご飯を作っていきます。
今回劇中で作るごはんは、塩にくじゃが、アボカドツナチーズトースト、焼うどんなど。
作中メニューより「ゆで鮭」の食レポ。テレビで見て作ってみるシロさんの主ふ力・・・!
ライターも作ってみましたが、油が落ちてあっさり美味しかったです。
(『きのう何食べた?』18巻/よしながふみ 講談社より引用)
美味しくてじんわり沁みる、変わらぬ日々が優しい漫画です。
2、『きのう何食べた?』18巻における、コロナとの距離感の所感。『相談役 島耕作』『鬱ごはん』との比較を添えて
『きのう何食べた?』18巻の楽しさは、既刊と同じく愛すべき隣人たちのなにげない日々。久々に連絡とった友達と話すみたいな感覚になる漫画です。
しかし今回は『きのう何食べた?』18巻自体の感想記事ではありません。
『きのう何食べた?』18巻を読んでいて感じた、「コロナとの距離の取り方」について語りたいと思います。
今、時代はパンデミック一色。現代日本において、マスクの着用や映画館の休館など身近な生活にいつもコロナの影を感じます(2021年6月現在)。
しかし、現代を反映する「現代ものの漫画」において、コロナの扱いはかなり難しいものがあると思います。
さっと考え付く、漫画表現におけるコロナ生活の不具合とは、
- マスクで顔が隠れてしまうので作画(表情の表現など)が大変
- パンデミックの影響で物語の意味合いが変わることもある
といったものです。
ライターが見るに、現在連載中の多くの現代もの漫画はコロナにノータッチであると感じています。
『きのう何食べた?』と同じ雑誌、料理もの、現代もの漫画『クッキングパパ』。会社の中でもノーマスクで会話、コロナ以前の生活様式ですね。
(『クッキングパパ』モーニング2021年24号掲載/うえやまとち 講談社より引用)
一方、数は少ないけれどがっつりとコロナの影響や生活様式を取り入れている漫画もあります。
料理もの(?)、現代もの漫画『鬱ごはん』より引用。
主人公、鬱野はコロナ不景気のあおりでウーバーイーツ労働をし、マスク姿で時短営業で店の閉まった夜をさまよいます・・・リアル!(2021/5/18掲載)
(『鬱ごはん』143話/マンガクロス 秋田書店より引用)
キングオブサラリーマン漫画『相談役島耕作』より引用。
作中、全員がマスクをつける『相談役島耕作』ですが、バーにて女将さんはマスク、席間にはアクリル板という描写。「会社の偉いひとはご飯のときマスクしなそう」というイメージを漫画に反映させています。
なお島耕作は作中でコロナに罹患したことがあり、現実の大手ニュースサイトでも取り上げられました。
(『相談役島耕作』モーニング2021年24号掲載/弘兼憲史 講談社より引用)
ライターはコロナありなし、どちらも創作物の選択だなあと自然に受け入れています。
しかし、『きのう何食べた?』18巻は「コロナの影響」だけを取り入れ、「コロナの画面」は取り入れていなかったのが印象的でした。
友人宅でのホームパーティー。みんなでマスクなしで集まっているけど不景気な話題ばかり。
(『きのう何食べた?』18巻/よしながふみ 講談社より引用)
飲食店での一コマ。ランチ営業時間中、マスクはないけど話題は飲食店の危機的経営難。
(『きのう何食べた?』18巻/よしながふみ 講談社より引用)
コロナと明言はしていませんが、今の現実生活の感覚からするとまさにコロナ禍の日常ストーリー。
積極的に現実の見た目(マスクの人々やソーシャルディスタンスの徹底など)を描くわけではないけれど、現実に起こった影響(美容院や飲食などの不景気、それに伴うケンジの給与減など)は取り入れるというスタイルでした。
『きのう何食べた?』18巻のコロナの距離の取り方が至上というわけではもちろんありません。
しかし創作の選択肢のひとつとして大変面白いと思いました!
いずれコロナも落ち着きます(100年前流行したスペイン風邪のように)。
そのとき、『きのう何食べた?』はどのように展開していくのか。またほかの現代もの漫画はどのように影響を受けるのか。
漫画表現としてとても楽しみです!
3、今週のまとめ。よしながふみ先生はパンデミック漫画を完結させたばかりだったなあ
今回は『きのう何食べた?』18巻の漫画の面白さそのものより、現実社会とのリンクの考察という意味合いの記事をお送りしました。
ていうか考えてみたら『きのう何食べた?』著者のよしながふみ先生は大パンデミックSF『大奥』を描いたその人だ!
そのあたりもこのコロナとの距離の取り方に影響があったら面白いですね。
↓ちなみに当サイトに『大奥』のまとめ記事ありますので良ければどうぞ!↓
それでは、来週の『最近読んだ漫画感想』は『虎鶫〈とらつぐみ〉 -TSUGUMI PROJECT-』の感想を書きます!
フランスで先行公開、大ヒットしたアポカリプスSFです。絵がきれいなんですよ~~!
ではまた来週もお楽しみに~~!
(2021年6月17追記)
『虎鶫〈とらつぐみ〉 -TSUGUMI PROJECT-』のレビュー記事、アップしました!
(中山今)
↓前回のレビュー記事はこちら↓
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